- 整式ってなに?読み方が分からない
- 多項式との違いがイマイチ分からない
- 整式じゃない式ってどんな式?
- 「整理する」って具体的に何をするの?
- 降べきの順って何?
- 建築や構造計算で整式は出てくるの?
上記の様な悩みを解決します。
整式とは、結論「数や文字を、足し算・引き算・かけ算・整数乗だけで組み合わせた式(文字が分母や根号の中に入らない式)」のことです。読み方は「せいしき」。高校数学Iの最初に登場し、構造力学のたわみ式や曲げモーメント式、断面二次モーメントの公式の中身は、ほぼすべてこの整式の形をしています。建築の世界では「整式」という単語そのものを使う場面は少ないですが、構造計算で扱う数式の95%以上は整式なので、土台として押さえておく価値がある概念ですね。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
整式とは?
整式とは、結論「数(係数)と文字を、足し算・引き算・かけ算・自然数乗(整数の累乗)だけで組み立てた式」のことです。
英語では polynomial expression。読み方は「せいしき」、漢字を分解すると「整った式」のことですね。「文字が分母にある」「文字に√が掛かっている」みたいな崩れた形ではなく、シンプルに整った形をしている式、というイメージで掴むと早いです。
整式の具体例
- 3x + 5
- 2x² − 7x + 1
- x³ + 4x²y − xy² + 6
- 5(定数だけでも整式)
整式じゃない式の具体例
- 1 / x (文字が分母にある)
- √x (文字が根号の中にある)
- 2^x (文字が指数になっている)
- |x| (絶対値記号が文字に掛かっている)
つまり「式を見たときに、x の上には自然数の指数しか乗っておらず、x が分数の下や根号の中に入っていない」なら整式、と判断できます。
整式の各部分には呼び名があります。
- 項:プラス・マイナスで区切った1かたまり(例: 2x² − 7x + 1 なら 2x²、−7x、1 がそれぞれ項)
- 係数:文字に掛かっている数(2x² の係数は 2、−7x の係数は −7)
- 次数:その項に含まれる文字の指数の合計(2x² は2次、−7x は1次、定数項 1 は0次)
この呼び名は次のセクションでも使うので、軽く頭に入れておきましょう。
数学全体の建築での扱いはこちらの記事もどうぞ。

整式と多項式の違い
ここが一番モヤッとしやすいポイントです。結論から言うと「整式 ≒ 多項式」で、ほぼ同じ意味で使われていますが、厳密には少し違います。
①一般的な使い分け(高校数学)
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 単項式 | 数と文字のかけ算1つだけの式(例: 3x²、−5y) |
| 多項式 | 単項式を足し算・引き算でつないだ式(例: 2x² − 7x + 1) |
| 整式 | 単項式と多項式の両方をまとめた呼び方 |
つまり整式は、単項式と多項式を含む大きなカテゴリで、多項式は整式の一部、というのが本当のところ。
②現場ではほぼ同義で使われる
ただし高校数学の教科書や問題集では、「整式 P(x)」と書いて「2x² − 7x + 1」のような多項式を指すことがほとんど。「単項式と多項式の違い」を厳密に問われる場面は試験くらいで、実用上はほぼ同じものだと考えてOKです。
③構造力学テキストでの呼び方
建築の構造力学テキストでは「整式」という単語はあまり使われず、「多項式」または「式」と呼ばれることが多いですね。e-Govの建築基準法施行令や告示にも整式という表現は出てきません(数式として登場するだけ)。
④覚え方
- 単項式:項が1つ
- 多項式:項が2つ以上
- 整式:単項式 + 多項式の総称
「整式は箱、その中身が単項式と多項式」と覚えておけば混乱しなくて済みます。
整式の種類と整理の仕方
整式を扱うときは、決まったルールに従って整理する習慣が大事。整理の仕方が共通言語になっているので、整理されていない式はすごく読みづらくなります。
①次数で分類
| 次数 | 名前 | 例 |
|---|---|---|
| 0次 | 定数式 | 5、−3 |
| 1次 | 一次式 | 2x + 1 |
| 2次 | 二次式 | x² − 4x + 3 |
| 3次 | 三次式 | x³ + 2x² − x + 5 |
| n次 | n次式 | aₙxⁿ + … + a₁x + a₀ |
②同類項をまとめる
同じ文字の同じ次数を持つ項(同類項)は、係数を足し合わせて1つにまとめます。
3x² + 2x + 5x² − 7x + 4
= (3 + 5)x² + (2 − 7)x + 4
= 8x² − 5x + 4
これをやらないと式が冗長になるので、整式の整理=まずは同類項をまとめる作業、と覚えておきましょう。
③降べきの順(こうべきのじゅん)に並べる
「次数の高い項から順に左から並べる」のが降べきの順です。建築・数学テキストはほぼ全部この順。
(整理前) 5 + 2x² − 7x + x³
(降べきの順) x³ + 2x² − 7x + 5
逆に昇べきの順(次数の低いほうから並べる)もありますが、出番は少ないですね。
④2文字以上の整式は、どの文字に着目するかを決める
xとyの両方が含まれる式は、どちらの文字に着目するかで降べきの順が変わります。
2x²y + xy² − 3xy + y² + 5
(xに着目した降べきの順)
= 2y · x² + (y² − 3y) · x + (y² + 5)
(yに着目した降べきの順)
= xy² + (2x² − 3x + 1) · y² ... ← x²項を分け方など、状況に応じて整理
構造力学では「Mx と My の両方を含む式を、たわみδについて整理する」みたいな場面が出てくるので、どの文字を主役にして並べるかは実務でも意識する場面があります。
整式に出てくる用語の整理
整式まわりで一緒に出てくる用語を、まとめて押さえておきましょう。試験対策にも、構造計算の式を読むときにも効きます。
①項・係数・定数項
2x² − 7x + 1
↑ ↑ ↑
2x²の項 −7xの項 定数項(1)
- 2x²の項:係数2、文字部分はx²、次数2
- −7xの項:係数−7、文字部分はx、次数1
- 定数項:文字を含まない項(次数0)
②最高次の項・最高次の係数
整式の中で次数が一番高い項を最高次の項、その係数を最高次の係数と呼びます。
3x³ + 2x² − x + 5
最高次の項:3x³
最高次の係数:3
次数:3次式
構造力学ではここの「最高次の係数」が、たわみ式の最大値や、応力分布の傾きを決めるパラメータとして直接効いてきます。
③整式の値
xに具体的な数値を代入したときの計算結果を「整式の値」と呼びます。
P(x) = x² − 4x + 3 のとき、
P(2) = 2² − 4·2 + 3 = 4 − 8 + 3 = −1
構造計算では「梁の中央x = L/2 でのたわみδ」みたいに、特定の位置での式の値を求める場面が頻繁に出てきます。
④整式の加減乗(除は除く)
整式同士の加減算と乗算の結果も整式になりますが、割り算の結果は整式にならないことがある点だけ注意。
(x² − 1) ÷ (x − 1) = x + 1 ... 整式(割り切れる場合)
(x² + 1) ÷ (x − 1) = x + 1 + 2/(x−1) ... 整式じゃない(あまりが残る)
これが「整式の四則」と呼ばれるとき、足し算・引き算・かけ算しか含まれない理由です。
整式が建築の構造計算で出てくる場面
建築・施工管理の世界で「整式」という単語そのものを口にする場面は少ないですが、構造計算で扱う式の大半は整式の形をしています。具体例で見ていきます。
①単純梁のたわみ式
両端ピン支持の単純梁、中央集中荷重Pのたわみは、
δ = P L³ / (48 E I)
P・L・E・I の4変数の整式です。Lだけに注目すれば、L³ の項だけの単項式(3次式)になります。
②等分布荷重を受ける単純梁の最大曲げモーメント
M_max = w L² / 8
これも w と L についての整式(Lに着目すれば2次式の単項式)。
③RC梁の有効断面二次モーメント(簡略式)
中立軸まわりの断面二次モーメントは、長方形断面なら
I = b h³ / 12
b(幅)と h(せい)についての整式。h³の係数が h の単項式の最高次係数として効いてくるので、「断面のせい h を1.5倍にすると、I は h³に効くから 1.5³ ≒ 3.4倍」のような感覚が、整式の最高次の項の理解とつながってきます。
④固有周期の式
1自由度系の固有周期は、
T = 2π · √(m / k)
実はこれは整式じゃない式です。√(根号)の中に変数 m と k が入っているからですね。整式と非整式の区別を意識すると「ルートの中の式(m / k 自体)は整式だが、外側のTは整式ではない」と分解して考えられるようになります。
⑤施工計画での整式の例
たとえば「コンクリート1m³あたり10人工で、a階建ての建物に b 平米のスラブが各階あるとき、必要総人工数 N は」
N = a × b × 10 / V (V: 1人工あたりのコンクリート打設量)
a と b に着目すれば、これも整式。現場での見積式や工程算定の式も、突き詰めると整式の形に整理できるところが面白いポイントですね。
[talk words=’現場で構造図を見ていて「梁のせいを5cm増やせばたわみがどれくらい変わるか」を電卓で叩いた経験があります。h³に効く I の感覚さえ持っていれば「せいを1.1倍するだけで I は1.33倍、たわみは0.75倍に減る」と暗算で出せて、設計者との打ち合わせがスムーズに進んだことがありました。整式の最高次の項を意識しておくと、設計変更の影響を肌感覚でつかめるようになります。’ name=”” avatarimg=”https://seko-kanri.com/wp-content/uploads/2020/02/c-run.png” avatarsize=70 avatarbdcolor=#d0d0d0 avatarbdwidth=1 bdcolor=#d0d0d0]
ベクトルの大きさや構造計算で使う数式の話はこちらでも触れています。

整式に関する情報まとめ
- 整式とは:数と文字を加減乗・整数乗だけで組み立てた式(文字が分母や根号に入らない式)
- 読み方:せいしき
- 単項式と多項式の総称が整式(実用上はほぼ多項式と同義で使われる)
- 整理の手順:①同類項をまとめる ②降べきの順に並べる ③どの文字に着目するかを決める
- 用語:項、係数、定数項、最高次の項、最高次の係数、整式の値
- 整式の加減乗の結果は整式、除算は整式にならないことがある(あまりが残る場合)
- 建築での出方:たわみ式、曲げモーメント式、断面二次モーメント式の中身はほぼ整式
- 注意:固有周期 T = 2π√(m/k) のように√を含む式は整式ではない
以上が整式に関する情報のまとめです。
一通り整式の基礎知識は理解できたかなと思います。建築の世界では「整式」という単語そのものを使う場面は少ないですが、構造計算で扱う数式の中身はほぼすべて整式の組み合わせ。最高次の項に着目して「せいを1.1倍したらたわみは何倍になるか」を頭で計算できるようになると、構造図を見る目が一気に変わってきます。形式的な数学の単元として暗記するより、目の前の式を整理する道具として使い倒す感覚で身につけるのがおすすめです。
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