- 「除する」ってどういう意味?
- 読み方は?
- 「割る」「除算する」とは何が違うの?
- 建築基準法とか告示でやたら出てくるけど、なんで普通に「割る」と書かないの?
- 法令文の「○○を××で除する」をどう読み解けばいい?
- 実務でどう計算に落とすの?
上記の様な悩みを解決します。
「除する」は建築基準法施行令や告示・JIS規格などの法令系文章でよく使われる表現で、意味は「割る」と同じですが、ニュアンスや使い方が独特です。意味を正しく押さえておくと、容積率・建ぺい率・耐震計算・風荷重式といった構造関連の条文を読むスピードが格段に上がります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
除するとは?
除するとは、結論「割る・割り算をする」ことです。
数学的にはまったく同じ操作ですが、「除する」は法律・条例・告示・JIS規格などの公的な文書で好んで使われる表現で、日常会話で「除する」と言う人はほぼいません。「3を5で除する」と言われたら「3 ÷ 5 = 0.6」を計算すれば済む話です。
ただし、文脈によっては「ある集合から取り除く(除外する)」という意味にもなり、「○○の場合を除く」のような使い方とは別物なので、文章全体で判断する必要があります。本記事では計算操作としての「除する」を中心に扱います。
ちなみに、「除する」の対になる言葉が「乗ずる(じょうずる)」で、こちらは「掛ける」の意味です。「○○を××で除した値に△△を乗じた数」のような長い式が法令にはよく出てきます。読み解くコツは、文末から逆順にたどることです。
除するの読み方と語感
「除する」は「じょする」と読みます。
漢字「除」は「のぞく」「わる」「じょ」の3つの読み方があり、「除する」では「じょする」、「掃除(そうじ)」「除外(じょがい)」では「じょ」、「雪を除く(のぞく)」では「のぞく」という具合に使い分けます。割り算の意味で使うときの音読みが「じょ」で、これがそのままサ変動詞化して「除する」になっています。
「除する」と類義語の使い分け
| 表現 | 読み方 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 除する | じょする | 割る | 法令・告示・規格 |
| 除す | じょす | 割る | 古い文書・数学書 |
| 除算する | じょざんする | 割り算する | 数学・プログラム |
| 割る | わる | 割る | 日常・実務 |
| 商を求める | しょうをもとめる | 割って答えを出す | 算数の教科書 |
法令で「除する」が好まれる理由はシンプルで、意味が一意に確定するからです。日常語の「割る」は「ガラスを割る」「仲間に割って入る」など多義的ですが、「除する」は割り算以外の意味で使われることがほとんどないため、誤読の余地がありません。法律家が選んだ言葉なので、ニュアンスはお堅いですが正確性は高いんですよね。
除するの計算方法と例
計算は単純に「割り算」をするだけです。
基本の例
- 12を3で除する → 12 ÷ 3 = 4
- 100を25で除する → 100 ÷ 25 = 4
- 1を2で除する → 1 ÷ 2 = 0.5
- 9を4で除する → 9 ÷ 4 = 2.25
法令文によくある言い回しのパターン
- 「Aを Bで除した値」 → A ÷ B
- 「Aを Bで除して得た数」 → A ÷ B
- 「Aを Bで除した値に Cを乗ずる」 → (A ÷ B) × C
- 「Aから Bを減じた値を Cで除する」 → (A − B) ÷ C
ここで気をつけたいのが、語順です。日本語は「BでAを割る」と聞こえそうな順番で書かれますが、計算は A ÷ B(先に出た数 ÷ 後に出た数)で正しいです。
たとえば「100を5で除する」は「100 ÷ 5 = 20」であり、「5 ÷ 100 = 0.05」ではありません。法令を読むとき、ここで主語と分母を取り違えるとまったく違う結論になるので、最初に意識を合わせておくのが安全です。
マイナスや小数の場合
- (−10)を2で除する → −10 ÷ 2 = −5
- 0.6を0.2で除する → 0.6 ÷ 0.2 = 3
「除する」自体に符号や桁数の特別ルールはなく、四則演算の割り算と完全に同じです。
除すると割る・除算の違い
意味は同じでも、使われる場面とニュアンスがはっきり違います。
それぞれの特徴
- 除する:法律・告示・JIS規格などの公的文書で多用。論理的・厳密
- 割る:日常会話、社内文書、現場の指示などで多用。直感的
- 除算する:数学やプログラミングの解説で使われる、操作名としての表現
施工管理の現場で「壁量計算で必要壁量を1.25で除した値」と言われることはまずなくて、「1.25で割った値」と言うのが普通です。一方で構造計算書や確認申請の書類を読むと、ほぼ必ず「除する」「除した値」「除して得た数」が並んでいます。文書の格式に応じて使い分けられている、と理解しておけば困りません。
「除く」とは別物
字面が似ているので注意したいのが「除く(のぞく)」です。
- 除する(じょする) → 割り算をする
- 除く(のぞく) → 取り去る・除外する
たとえば「○○を除く」は「○○以外」の意味ですから、計算操作の「除する」とは別の話です。法令文でも「ただし、〜の場合を除く」のような書き方がよく出てきますが、これは「のぞく」と読む側で、計算とは無関係です。
建築法令で除するが使われる場面
「除する」は建築・土木関連の法令でとても頻繁に登場します。代表的な場面をいくつか紹介します。
容積率・建ぺい率の計算
建築基準法第52条・施行令の条文には、
「容積率 = 建築物の延べ面積を敷地面積で除した値」
という構造の文が並びます。容積率200%なら「延べ面積 ÷ 敷地面積 = 2.0」です。建ぺい率(建築面積 ÷ 敷地面積)も同じく除算で表されます。
容積率や建ぺい率の計算では「面積の単位」をきちんと揃えて除算することが大事で、坪・畳・m²の換算を間違えると致命的なミスになります。面積換算の基本は別記事にもまとめました。

地震力・風荷重の式
風荷重の式(建築基準法施行令87条・告示1454号)では、
「速度圧 q = 0.6 × E × Vo²」
の中の係数 E が「地表面粗度区分に応じた数値を高さで除して得た値」のような形で定義されており、Vo(基準風速)に対して「除した値」が複数登場します。地震層せん断力係数 Ci の計算でも、上下階の応答比率を「除して得た値」として表す式が並びます。風荷重の全体像は別記事も参考になります。

壁量計算・耐震診断
木造2階建ての壁量計算(建築基準法施行令46条)でも、「存在壁量を必要壁量で除して得た値(壁充足率)」のような表現で、除算が随所に出てきます。耐震診断の評点 Iw も同じく除算で表されます。

応力度の許容値判定
構造計算書の安全式では、「短期応力度を長期応力度で除した値が○○を超えないこと」のような書き方が登場します。比率・倍率の判定はほぼ100%除算なので、「除する」が出てきたら身構えるクセをつけておくとラクです。応力度の比較で頻繁に登場する不等号の読み方も合わせて押さえておきたいところです。

「分の」との対応関係
法令の「Aを Bで除した値」を読み下すと、ちょうど「B分のA」という小学校で習う分数表現と一致します。
- 「100を25で除した値」 = 25分の100 = 4
- 「100を3で除した値」 = 3分の100 ≒ 33.33
法令文を読むときは、頭の中で「分の」に変換するとイメージしやすいです。僕も電気施工管理時代、確認申請の書類で「電線管の総断面積を電線の総断面積で除して得た値」という条文に当たって混乱しましたが、「(電線の総断面積)分の(電線管の総断面積)」と置き換えた瞬間に「あぁ、占有率の逆数か」とすぐ腹落ちしました。
除するに関する情報まとめ
- 除するとは:割り算をするという意味の改まった表現
- 読み方:じょする
- 語感:法令・告示・JIS規格などで多用される、論理的で厳密な言い方
- 計算方法:「Aを Bで除する」 = A ÷ B(先の数を分子、後の数を分母にする)
- 「割る」との違い:意味は同じだが、除するは公的文書、割るは日常で使う
- 「除く(のぞく)」との違い:字は似ていても意味は別物(取り去る・除外する)
- 建築法令での代表例:容積率・建ぺい率・壁量計算・風荷重・応力度比較 など
- 読み解きのコツ:頭の中で「Bで除した値」 = 「B分のA」 と分数に置き換える
以上が除するに関する情報のまとめです。
「割る」と書けば済むのに、なぜ法令はわざわざ「除する」を使うのか。それは多義的な日常語と一線を画して、解釈のブレを最小化したいからです。意味は単純な割り算ですが、法令を読み解くときに必ず出会う表現なので、対応する数式が頭の中でパッと組み立てられるようにしておきたいですね。
合わせて、法令でよく登場する「整式」「展開公式」「面積の単位」あたりを押さえておくと、構造関係の条文がぐっと読みやすくなります。




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