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非常照明の設置基準とは?建築基準法、照度、間隔、対象施設など

  • 非常照明ってどの建物に必要なの?
  • 設置基準は法律のどこに書いてある?
  • 明るさは何ルクスあればOK?
  • 設置間隔の決まりはある?
  • 予備電源は何分もたせる?
  • 点検はどれくらいの頻度?

上記の様な悩みを解決します。

非常照明は「停電や火災のときに自動で点いて、避難経路を照らす照明」のことですが、設置義務がかかる建物や、必要な照度・予備電源時間が建築基準法できっちり決まっています。施工管理としては「どこに、どれだけ付ければ法的にOKなのか」を押さえておかないと、確認申請でやり直しになったり、消防検査で指摘を受けたりします。今回は非常照明の設置基準を、対象建築物・照度・予備電源・施工要件・点検まで一気通貫で整理してみます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

非常照明の設置基準とは?

非常照明の設置基準は、結論「建築基準法施行令126条の4・5で定められた、設置義務・照度・予備電源・配線についての法的ルール」のことです。

→ 建築基準法ベースなので「建築基準法上の非常用照明装置」とも呼ばれます。誘導灯や非常放送は消防法ベースなので、根拠法令が違うのがポイント。

根拠法令の整理

設備 根拠法令
非常照明(非常用照明装置) 建築基準法施行令126条の4・5
誘導灯 消防法施行令26条
非常放送 消防法施行令24条

→ 非常照明は「建築基準法」、誘導灯は「消防法」と覚えるのが間違いない整理です。よく現場でも混同されるポイントなので、最初にここで切り分けておきましょう。

非常照明設備そのものの基本知識はこちらの記事も参考にしてください。

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非常照明の設置対象となる建築物

どの建物に非常照明が必要かは、用途と規模で決まります。

設置義務がかかる建築物(建築基準法施行令126条の4)

主に以下の条件のいずれかに当てはまる建物が対象です。

対象 条件
特殊建築物 別表第一に掲げる用途で、共同住宅以外の用途部分
階数3以上の建築物 延べ面積500㎡超
採光無窓居室 採光に有効な開口部が床面積の1/20以下
延べ面積1,000㎡超の建築物 居室・廊下・階段など避難経路
地階の居室 全般

→ 「特殊建築物」とは飲食店・店舗・ホテル・病院・学校・劇場・映画館などのこと。普通のオフィスビルや住宅でも、規模が大きい・無窓階があるなら設置義務がかかります。

設置場所

設置義務がかかる建物の中で、具体的にどこに付けるかは「避難経路と居室」が原則。具体的には居室(執務室・客室・店舗内など)、廊下、階段室、通路、ロビー・ホール、機械室・電気室(無窓の場合)、というあたりが対象になります。

→ 「人がいて、避難経路になり得る場所」にはほぼ全て必要、と理解しておくと整理しやすい。

設置免除される場所

すべての箇所に必要なわけではなく、一戸建て住宅、学校(学校教育法上の学校)、共同住宅の住戸内、自然光のみで床面1lx以上を確保できる屋外・吹き抜け部、機械室で人が常駐しない部屋(条件あり)、というあたりは免除対象になります。

→ 共同住宅でも「廊下・階段・エントランス」など共用部には設置が必要。住戸内が免除されるだけ、と覚えておきましょう。

建築物の定義そのものはこちらの記事も参考にしてください。

非常照明の照度基準

設置するだけではダメで、停電時に確保すべき明るさにも基準があります。

床面における必要照度

光源 必要照度(停電時)
白熱灯 床面で1lx(ルクス)以上
蛍光灯・LED 床面で2lx以上

→ 白熱灯と比べて蛍光灯・LEDは「色が冷たく、明所視と暗所視の感度差で見えにくくなる」ため、2lxとより厳しい基準になっています。最近はほぼLED化されているので、実務上は「床面2lx以上が必要」と覚えて差し支えありません。

照度計算の考え方

設計時には「平均照度ではなく、最も暗い場所での照度」が基準。計算式は逐点法(Point-by-point method)または近似式が一般的で、1台の非常照明灯具で「半径◯m以内に1lx/2lxを確保」と評価し、灯具のメーカーカタログに有効照射範囲が示されているのが普通です。

→ 設計図に「H=2.7mのとき有効照射半径4m」のような数値が並んでいたら、これは照度基準を逆算した「有効に明るく照らせる範囲」のこと。

非常照明の照度計算の詳細はこちらの記事を参考にしてください。

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非常照明の設置間隔

照度基準を満たすには、灯具の設置間隔が物理的に決まってきます。

間隔の決まり方

法律で「○m間隔」と直接決まっているわけではなく、「床面の最低照度を満たすように配置」が原則。廊下幅・天井高・灯具のW数・配光特性で逐一決まる形で、「2lx以下になる谷間が出ないように配置する」というイメージ。カタログの有効照射半径を頼りに、エクセル平面で円を描いて埋めるのが実務的なやり方です。

目安としての設置間隔(実務での目安)

天井高2.7m、廊下幅2m、一般的なLED非常照明(13W程度)で考えた場合の目安。

天井高 一般的な間隔目安
2.5m 約6〜8m間隔
2.7m 約7〜9m間隔
3.0m 約8〜10m間隔
4.0m以上 灯具をハイパワータイプに変更

→ あくまで目安なので、実際には「カタログ × 平面計算」で確認します。建物形状(柱・梁の張り出し、家具のシャドウ)も考慮が必要。

照度を稼ぎたい場所の配置

照度を稼ぎたい場所の配置は、廊下の交差部・角(両方向を照らせるように配置)、階段(踊り場と中段の両方に必ず配置)、居室の四隅(1台だと角に光が届かないので追加配置)、機械室・電気室(機器ラックの陰になる場所をフォロー)、というあたり。

→ 「設置間隔」を機械的に守るだけでなく、陰になる場所を狙い撃ちで埋める意識が大事です。

非常照明の予備電源・配線基準

停電時に動かす必要があるので、電源と配線にも厳しい基準があります。

予備電源の継続時間

予備電源の継続時間は、一般建築物で30分以上、大規模建築物(避難時間が30分以内に終わらない場合)で60分以上、というのが基準。

→ 「最低30分」が基準。バッテリー内蔵タイプか、別置きの蓄電池設備(建築設備の蓄電池盤)が必要です。

予備電源の方式

方式 特徴
内蔵電池式(個別型) 灯具ごとにバッテリー内蔵。配線シンプル
別置電源式(中央型) 共用蓄電池からの一斉給電。大規模ビル向け
自家発電装置式 非常用発電機からの給電。商用+発電のハイブリッド

→ 中小規模では内蔵電池式が標準。大規模ビルや病院などは別置電源式や発電機併用が一般的です。

非常用発電機についてはこちらの記事も参考にしてください。

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配線基準(耐火配線)

非常照明の配線は「火災時にも一定時間機能する」必要があり、耐火配線が要求されます。具体的には、耐火配線(FP配線)として金属管に二種EM電線を入れて施設するか無機絶縁ケーブル等を採用、配線ルートは火災から保護される位置(コンクリートに埋設・MCシャフト内など)、接続はMS-3ボックス・耐火型プルボックスを使用、というのが基本の組み合わせです。

→ 「線が燃え落ちたら意味がない」ので、耐火性能のある配線方法が法的に要求されている、というのがポイント。

電気設備の基本構成はこちらの記事も参考にしてください。

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非常照明の点検基準

設置後の点検・維持についても法で定められています。

点検の頻度

点検頻度は、機能点検が6か月に1回(外観・点灯試験・予備電源切替試験)、総合点検が1年に1回(連続点灯試験を含む詳細点検)、というのが基本ルール。

→ 機能点検と総合点検の両方を実施するのが原則。点検結果は記録として最低3年間保管します。

主な点検項目

区分 点検内容
外観点検 灯具の損傷、表示の有無、ランプの汚れ
機能点検 商用電源を切ったときに点灯するか、切替時間
予備電源 蓄電池の充電状態、電圧、容量
照度 床面の照度(白熱1lx/蛍光・LED2lx)の維持
配線 接続部の発熱、絶縁抵抗

→ 単なる「光るかどうか」だけでなく、予備電源の容量・切替時間・配線の絶縁まで含めて点検するのが正式。

照度測定の周期

法令上の決まりは「3年に1回程度」が目安。新築時の検査、その後は定期的に照度測定を行う運用が一般的です。

点検資格者

点検資格者は、建築基準法上の点検が「特定建築物調査員」または建築士、電気設備としての保守が電気主任技術者(または委託保安管理)、という二本立て。

→ 法令系の点検資格者と電気的保守の両方が関わるのが、非常照明特有のところ。

僕も電気施工管理時代、ある中規模オフィスビルの新築引渡し検査で、非常照明の点灯試験中に1台だけ「点灯はするけどバッテリー切替時に1.5秒の暗転がある」というのが見つかって、メーカー手配でバッテリーユニット交換になった経験があります。法令上は瞬時切替(0.5秒以内が望ましい)が要求されるので、「光ったからOK」ではなく「何秒で切替わったか」まで見るのが新築検査の鉄則。引渡前の最後の検査でこの数値を取り損ねると、引渡し後にビルオーナーから「停電のときチカッと真っ暗になりますよ」とクレームが来かねないので、要注意ポイントだと感じました。

非常照明設置の実務でのチェックポイント

施工管理として実務でよく見る確認ポイントを整理します。

設計段階

設計段階では、用途と規模から設置義務の有無を判断、床面照度2lx以上(LED)を満たす配置設計、予備電源30分以上の確保方法、耐火配線のルート設計、という4点をチェックします。

施工段階

施工段階では、灯具の固定(地震時に落下しないアンカー)、耐火配線の貫通処理(防火区画貫通)、接続箱(MS-3)の正しい使用、配線ルートと他設備との干渉、というポイントを確認。

防火区画貫通処理についてはこちらの記事も参考にしてください。

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完了検査段階

完了検査段階では、商用電源OFF時の自動点灯、切替時間(瞬時〜0.5秒以内)、床面照度の実測(暗くなる場所がないか)、予備電源での30分連続点灯試験、という流れで確認します。

引渡し時

引渡し時は、取扱説明書の引渡し、バッテリーの交換時期の説明、点検履歴の引継ぎ、表示灯(充電完了ランプ)の動作確認、というあたりが押さえどころ。

非常照明の設置基準に関する情報まとめ

  • 根拠法令:建築基準法施行令126条の4・5
  • 対象建築物:特殊建築物、3階以上、無窓階、延べ面積1,000㎡超、地階など
  • 照度基準:床面で白熱灯1lx・蛍光灯/LED2lx以上
  • 予備電源:30分以上(大規模建物は60分)
  • 配線:耐火配線(FP配線)が原則
  • 設置場所:居室・廊下・階段・ロビー・機械室など
  • 点検:機能点検6か月ごと、総合点検1年ごと、照度測定3年ごと
  • 点検資格:特定建築物調査員または建築士+電気主任技術者

以上が非常照明の設置基準に関する情報のまとめです。

非常照明は「法的に必要な保安設備」なので、設置義務・照度・予備電源・配線方法・点検まで一連で整理しておくのが施工管理の基本姿勢です。法令ベースなので「現場の慣行」よりも「法令の数値」を確実に押さえることが優先。一通り非常照明の設置基準に関する基礎知識は理解できたと思います。

合わせて、関連する保安・避難設備の関連記事もチェックしておくと、防災設備全体の理解が一段上がります。

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