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擁壁の種類とは?L型・重力式・練積みの違い、選定基準など

  • 擁壁って結局なに?
  • 擁壁にはどんな種類があるの?
  • L型擁壁と重力式擁壁ってどう違うの?
  • 練積みブロックの擁壁とRC擁壁、どっちを選べばいい?
  • 高さや地盤でどう使い分けるの?
  • 確認申請が必要なケースって?

上記の様な悩みを解決します。

擁壁は宅地造成・道路工事・外構工事で必ずと言っていいほど登場する構造物で、「種類選定を間違えると後から大事故になる」典型的な分野です。施工管理として高さ・地盤・予算からどの種類を選ぶべきか、判断軸を持っておくと現場で迷わなくなります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

擁壁とは?

擁壁とは、結論「高低差のある地盤で、上側の土が下側に崩れてこないように支える構造物のこと」です。

道路と宅地に高低差があるとき、駐車場と隣地の境界で段差があるとき、河川敷の護岸など、土が自重で崩れてしまうのを物理的に止める「土留め」の役目を果たします。

擁壁の高さや種類は、宅地造成等規制法・建築基準法の安全基準に直結します。具体的には、宅地造成等工事規制区域内で高さ2mを超える擁壁を新設・改築する場合は、宅地造成等工事規制法に基づく許可(または届出)が必要です。建築基準法でも、高さ2mを超える擁壁は工作物として確認申請の対象になります(令第138条)。「2m」がひとつの大きな分岐点になるので覚えておくと便利です。

僕も電気施工管理として外構の最終段階に入った現場で、擁壁の打設後に電線管を埋設しようとしたら「ここは構造体の一部なので電線管を通せない」と止められた経験があります。擁壁は単なる「土留め」ではなく構造物なので、設備屋・電気屋にとっても「触っていい場所/触れない場所」の判断が必要な存在です。

擁壁の種類

擁壁は大きく分けて、コンクリート系・ブロック系・自然系の3グループに分類できます。それぞれの特徴を表で整理してから、個別に詳しく見ていきましょう。

分類 種類 主材料 主な高さの目安 特徴
鉄筋コンクリート造 L型擁壁 RC 〜10m程度 自重ではなく構造で支える代表
鉄筋コンクリート造 逆T型擁壁 RC 〜10m程度 L型を反転、隣地境界に強い
鉄筋コンクリート造 控え壁式擁壁 RC 高さ大きい場合 高擁壁向けに控え壁を追加
重力式 重力式擁壁 無筋コンクリート 〜3m程度 自重で支えるシンプル構造
重力式 もたれ式擁壁 無筋コンクリート 〜5m程度 既存斜面にもたれかかる形状
ブロック系 練積み擁壁 コンクリートブロック+モルタル 〜2m程度 比較的安価で小規模向け
ブロック系 空積み擁壁 コンクリートブロックのみ 〜1m程度 法的には擁壁扱いされない
自然系 石積み擁壁 自然石 〜2m程度 景観性、古い宅地に多い

鉄筋コンクリート造(RC擁壁)

鉄筋を入れたRC造の擁壁で、最も汎用的な種類です。代表的なのがL型擁壁で、L字型の底盤と立壁で、上の土の重さで底盤が押さえつけられて転倒しない仕組みになっています。
https://seko-kanri.com/l-yoheki/

逆T型擁壁はL型を反転させた形状で、底盤が背面側にも伸びていて、隣地境界が迫っているケースで重宝します。控え壁式擁壁は高さ5mを超える高擁壁で背面に三角形の控え壁を入れる形式です。

重力式擁壁

無筋のコンクリートを台形断面で打設し、自分自身の重みで土を支えるタイプの擁壁です。底辺が広くて頭が細い「しっかり踏ん張った下半身」みたいな形状で、構造的な仕組みは単純ですが、その分コンクリートの量が多くなる傾向があります。
https://seko-kanri.com/juuryoku-yoheki/

もたれ式擁壁

既存の安定した斜面や岩盤にもたれかかるように設置する擁壁。自分の重さは小さくても、既存斜面の支えがあるので機能する設計です。山岳道路でよく見かけます。

練積み擁壁(コンクリートブロック擁壁)

工場で作られたコンクリートブロックを、鉄筋とモルタルで一体化して積み上げる擁壁。一般住宅の境界擁壁としてはコスト面のバランスが良く、高さ2m以下の小規模な土留めで採用されます。

石積み擁壁

自然石をモルタルで一体化した「練積み」と、モルタルなしで重ねた「空積み」があります。古い住宅地や農地でよく見られますが、新規物件で採用されることは少なくなりました。景観条例対応で意図的に採用するケースはあります。

RC擁壁vs練積み擁壁の実務判断

施工管理の現場で最もよく問われるのが「RC擁壁か練積みか」の二択。判断軸を整理します。

判断軸 RC擁壁有利 練積み擁壁有利
高さ 1.5m以上は迷わずRC 1m以下なら練積みも有力
工期 型枠+鉄筋+打設+養生で2〜3週間 ブロック+モルタルで1週間程度
コスト m²単価が高い RCの6〜7割程度
必要敷地 底盤分の幅が必要 壁厚分だけで済む
地盤 軟弱地盤でも対応可(基礎設計次第) 比較的良い地盤前提
景観 コンクリート打ちっぱなし or 化粧 ブロック模様がそのまま見える

「敷地が狭くて底盤を広げられない場所では練積みのほうが有利」という現場判断はよくあります。一方で「2m近い高さで地盤がやや軟らかい」と判明したら、構造設計者と相談して逆T型RC擁壁に切り替えるのが定石です。

施工する立場で言うと、RC擁壁は工程が長くなる分、給排水・電気・通信の埋設配管を擁壁の打設前後でどう通すかの調整が必要になります。練積みは工期が短い反面、ブロック1段ごとに鉄筋とモルタルを丁寧に納めないと、後でクラックや傾きが出やすい。どちらを採用しても、施工管理として「打設前の段階で他工種の埋設配管がきちんと収まっているか」をチェックすることが事故防止につながります。

高さ別の選定の目安

擁壁の高さは選定における最重要のパラメーターです。法令の閾値とあわせて整理します。

高さ1m以下
小規模な段差処理で、練積みブロック擁壁が最有力。コスト・工期ともに最も軽い。基礎は砕石+コンクリートで簡易に。隣地境界を侵さず確実な支持地盤に乗っていれば、構造計算は省略できる範囲。
https://seko-kanri.com/saiseki/

高さ1〜2m
練積みでも対応可能だが、地盤が軟らかい場合や上部の交通荷重がある場合はRC擁壁が安心。境界線ギリギリに立てるなら底盤幅を抑えられる練積み、隣地境界から30cm以上引けるならL型RCというのが目安。

高さ2〜3m
無条件でRC擁壁の領域。L型または重力式が中心。確認申請が必要になるので、構造計算書とあわせて行政協議が必須。重力式の場合はコンクリート量が増えるので、コスト的にL型RCが選ばれがち。

高さ3m以上
逆T型または控え壁式RC擁壁。地盤調査結果に基づく設計と杭基礎の検討が入ります。宅地造成等工事規制区域内では2m超で許可対象ですが、都市計画区域・地域条例で1.5mや1mに引き下げているエリアもあるので、必ず管轄行政に事前確認すること。
https://seko-kanri.com/kuikiso/

地下擁壁・大型擁壁(高さ5m以上)
建築基準法の地盤調査に加え、N値・支持地盤深さの確認、必要に応じて地盤改良。控え壁式や直交方向の補強を含む特殊設計の世界に入ります。建築構造設計者と土木構造設計者の両方の知見が必要なケースも。
https://seko-kanri.com/n-ti/

擁壁の施工管理の注意点

種類選定が終わった後の、施工フェーズの注意点をまとめます。

根入れ深さの確保

擁壁の底盤・基礎は、地表から所定の深さ以上に埋めなければいけません(根入れと言います)。一般的にRC擁壁で60cm以上、練積みで30cm以上が目安。根入れ不足は底盤が地表近くで凍結深度の影響を受けたり、土の被り圧不足で滑動する原因になります。

水抜き穴の設置

擁壁背面に水が溜まると、水圧(背面土圧+水圧)で擁壁が押されて転倒・滑動する事故につながります。水抜き穴を3m²あたり1箇所以上の頻度で設けるのが標準仕様。穴は外径50〜75mm程度のVP管・PE管を埋め込むことが多いです。
https://seko-kanri.com/pe-kan/

裏込め砕石

擁壁の背面に水を逃がすため、砕石を裏込めします。透水層の役目で、水抜き穴と組み合わせて初めて機能。裏込め砕石を省略すると水抜き穴があっても水が穴に到達せず、結局背面に水が溜まります。

コンクリート打設時の養生

RC擁壁の立壁は高さがあるため、打設時のコールドジョイント発生に注意。1回の打設で立壁を一気に上げるのが理想ですが、打設量が多い場合は打ち継ぎ部の表面処理(レイタンス除去、ハツリ、接合材塗布)を徹底。冬季はマスコン的に温度ひび割れも要注意です。
https://seko-kanri.com/reitance/

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他工種との取合い

擁壁の施工後に給排水管・電線管・通信ケーブルを擁壁の貫通孔から通すケースが多くあります。打設前の型枠段階でスリーブを仕込んでおかないと、後から擁壁にコア抜きを依頼することになり、構造設計者から「鉄筋を切るな」と止められます。具体的には、擁壁着工の2週間前までに電気・設備の図面と擁壁配筋図を重ねて、スリーブの位置・径・本数を一覧化した取合い図を作成しておくのが現場の標準対応です。
https://seko-kanri.com/suri-bu/

確認申請・行政協議

高さ2m超の擁壁は工作物確認申請の対象。さらに宅地造成等規制区域内では宅造法の許可申請も必要。検査済証の交付を受けないまま擁壁の上に建物を建てると、その建物自体の検査済証も出ないという致命的なトラブルにつながります。スケジュール上の事前協議は擁壁着手の3ヶ月前くらいから始めるのが安全です。

擁壁の種類に関する情報まとめ

  • 擁壁とは: 高低差のある地盤で土が崩れないように支える構造物
  • 擁壁の種類: RC(L型/逆T型/控え壁式)、重力式、もたれ式、練積み、空積み、石積み
  • RCと練積みの判断: 高さ1m以下は練積み有力、1.5m以上はRC、2m超は確認申請必須
  • 高さ別選定: 1m以下=練積み、1〜2m=どちらも可、2〜3m=RC、3m以上=逆T型・控え壁式
  • 施工注意点: 根入れ・水抜き穴・裏込め砕石・打継ぎ処理・他工種スリーブ・確認申請

以上が擁壁の種類に関する情報のまとめです。

擁壁は構造物としての安全性と工期・コスト・敷地条件の総合判断が要求される難しい分野で、種類選定を誤ると後から修正が効きません。高さ2mが法令上の大きな閾値であること、RCと練積みの判断軸を持っておくこと、施工フェーズでは水処理と他工種との取合いを抜かりなく押さえることがポイントです。

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