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母屋とは?読み方、役割、サイズ、間隔、棟木や軒桁との違いなど

  • 母屋ってなに?
  • 「もや」と「おもや」どっちで読むの?
  • 母屋のサイズや間隔ってどれくらい?
  • 棟木や軒桁、垂木とはなにが違うの?
  • 「母屋下がり」って聞いたけど別物?
  • 小屋裏配線のときに母屋って邪魔にならない?

上記の様な悩みを解決します。

母屋(もや)は、木造の屋根をつくるうえで絶対に外せない横架材で、屋根の荷重を集めて柱へ流す大事な役割を持っています。施工管理として小屋組の図面を読むときにも、リフォームで屋根裏に入るときにも、必ずぶつかる用語ですね。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

母屋とは?

母屋とは、結論「木造の屋根で、棟木と軒桁の間に水平に架け渡して垂木を支える横架材のこと」です。

読み方は建築業界では「もや」と読むのが基本。住宅金融支援機構が発行している『木造住宅工事仕様書』などの公的な仕様書でも、屋根を構成する横架材として「母屋」という用語が使われていますね。

小屋組(こやぐみ=屋根を支える骨組み)の中では、だいたいこんな位置にいる部材です。

小屋組での母屋の位置

  • 屋根の一番てっぺん:棟木(むなぎ)
  • 棟木と軒桁の中間にいくつか:母屋
  • 外壁の一番上:軒桁(のきげた)
  • 母屋・棟木・軒桁の上にズラッと並ぶ斜材:垂木(たるき)
  • 母屋を下から突き上げる短い柱:小屋束(こやづか)

屋根の断面を横から見たときに、棟木と軒桁をハシゴの両端だとすると、間にわたる横棒が母屋、そのハシゴの上にペタペタ貼られている斜めの棒が垂木、みたいなイメージです。

ちなみに「母屋(おもや/しゅおく)」と読むと、敷地内にある主たる建物(=離れや物置に対する本体)を指す言葉になります。読み方によって意味が全然違うので、ここは一応押さえておきたいところ。

  • もや:屋根の横架材(この記事のメインテーマ)
  • おもや/しゅおく:敷地内にある主たる建物(本体住宅)

図面や現場で「母屋」と書かれていたら、文脈でどっちなのか判断する感じですね。構造図・矩計図(こうばいず)に出てくれば100%「もや」と思ってOKです。

建築の構造体全体の話は、こちらの記事でまとめていますのでよろしければ。

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母屋の役割

母屋の主な仕事は、ズバリ「屋根の荷重を受けて小屋束に流す中継ぎ」です。

屋根の荷重が柱に伝わるまでの流れを追うと、だいたいこんな順番。

屋根荷重の流れ

  1. 屋根材(瓦・ガルバ・スレート等)→ 野地板
  2. 野地板 → 垂木
  3. 垂木 → 母屋・棟木・軒桁
  4. 母屋 → 小屋束
  5. 小屋束 → 小屋梁
  6. 小屋梁 → 柱 → 基礎

母屋は垂木から受けた荷重を、下の小屋束へ引き継ぐ中間ランナーみたいなポジションですね。

水平面での面剛性にも効いている

母屋は単に垂直荷重を受けるだけでなく、水平方向にも屋根面を繋いで一体化する役割があります。

母屋が飛ばされたり抜けたりすると、垂木がバラバラになって屋根面として機能しなくなる訳です。台風や地震のときに屋根面が一体として動くかどうかは、母屋と軒桁・棟木がちゃんと繋がっているかにかかっています。

最近の住宅だと、母屋同士や母屋と垂木をしっかり金物で緊結するのが標準。住宅金融支援機構の『木造住宅工事仕様書』でも、母屋と小屋束、母屋と垂木それぞれの接合方法が細かく規定されていたりします。

母屋のサイズ(寸法)

母屋の断面寸法は、屋根のスパン(母屋間隔・垂木スパン)と積雪荷重・屋根材の重さで決まります。一般的な住宅で使われるサイズはだいたい以下の通り。

断面寸法 呼び方 主な用途
90×90mm 3寸角 一般住宅の母屋の標準サイズ
105×105mm 3寸5分角 やや大きめのスパン・重い屋根材
120×120mm 4寸角 積雪地域・長スパン

一般住宅では3寸角(90mm角)が最もスタンダード。積雪地域や瓦屋根など重い屋根材を使う地域では、3寸5分角や4寸角に上げるケースが多い感じですね。

また、棟木(屋根の頂部にある母屋)は、集まる荷重が大きいぶん母屋より一回り太くする、もしくは同寸とするのが一般的。例えば母屋が3寸角なら棟木は3寸5分角、みたいな具合です。

樹種は杉・松が主流

母屋に使われる樹種は杉(スギ)が最も多く、次いで松(マツ)。いずれもJAS製材規格に基づいて製品管理されている材料ですね。

木造の構造材として使う場合、JAS製材のうち「構造用製材(目視等級区分・機械等級区分)」のランクの材を選ぶのが基本です。「甲種構造材」「乙種構造材」といった区分があって、母屋は曲げ応力を受けるので甲種扱いが一般的。

母屋の間隔

母屋の設置間隔は、木造住宅のモジュールである半間(909mm、いわゆる910mmピッチ)が標準です。

母屋の一般的な間隔

  • 標準:910mm(半間)ピッチ
  • 長くする場合:1,820mm(1間)ピッチ+垂木を太くする
  • 短くする場合:455mm(半間の半分)ピッチ+豪雪地域など

母屋の間隔は、つまり垂木がどれくらいのスパンを飛ばすかと直結しています。母屋が遠ければ垂木を太くしないと撓んでしまいますし、逆に母屋を細かく入れれば垂木は細いままでOK、というトレードオフの関係ですね。

屋根材別にざっくりイメージすると、スレート・ガルバなど軽い屋根なら45×60mm@455mmピッチ、瓦など重い屋根なら45×75mm以上@303〜455mmピッチといった垂木仕様に、母屋間隔910mmの組み合わせが定番ですね。

この「母屋間隔と垂木断面のセット」は、住宅金融支援機構の『木造住宅工事仕様書』にスパン表が掲載されていて、屋根材の重さ・積雪・垂木寸法ごとに目安値が確認できます。構造計算ルートを使わない仕様規定ルートで設計するときの、典型的な拠り所になっていますね。

母屋と棟木・軒桁・垂木の違い

「母屋・棟木・軒桁・垂木」はどれも屋根を支える材料で、初心者だと「どれがどれだっけ?」となりがちなところ。ここでざっくり整理しておきます。

部材 読み方 位置 主な役割
棟木 むなぎ 屋根の最頂部 左右の屋根面の垂木を受ける
母屋 もや 棟木と軒桁の間 垂木を途中で受ける
軒桁 のきげた 外壁の頂部 垂木の下端を受ける+壁の上部をつなぐ
垂木 たるき 棟木〜母屋〜軒桁に斜めに架ける 野地板を受け屋根面を構成
小屋束 こやづか 母屋・棟木の直下 母屋・棟木を下から支える短柱

厳密に言うと、棟木も広い意味では「母屋の一種(=頂部にある母屋)」として扱われることがあります。つまり棟木=特別な母屋、という位置づけですね。

軒桁との違いが一番ややこしい

初心者が混乱しやすいのが「母屋と軒桁の違い」。どちらも屋根面の下にいる水平材で、垂木を受ける点は共通しています。

違いを一言で整理すると、軒桁は「外周の壁の上端にあって柱を繋ぐ役目も兼ねる」のに対し、母屋は「小屋組の内側にあって純粋に垂木を受けるだけ」、という感じ。

軒桁は壁=柱と屋根を繋ぐ界面の材料なので、屋根荷重と水平力(地震・風)を同時に受ける重要部材。一方で母屋は、軒桁より一段格下の(失礼)「屋根の中継ぎ専用」ポジションなわけです。

母屋下がりとは?

「母屋(もや)」と混同されがちな用語として「母屋下がり(もやさがり)」があります。これは読み方は同じ「もや」でも、指すものが少し違います。

母屋下がりとは、結論「屋根の外側(軒先側)の母屋や軒桁を通常より低い位置に下げて、室内側を勾配天井にする設計手法」のことです。

主な目的は、建築基準法の斜線制限(道路斜線・北側斜線)をクリアすること

建築基準法で定められた斜線制限(国土交通省の管轄)に建物がかかってしまう場合、屋根面をそのまま寝かせるのではなく、一部の母屋・軒桁を下げて屋根を外側に落とし、斜線をよける、という操作をします。

母屋下がりのメリット・デメリット

  • メリット:斜線制限をクリアしつつ2階の床面積を確保できる
  • メリット:室内が勾配天井になって開放感が出る
  • デメリット:天井の低い部分が生まれる(使い勝手に影響)
  • デメリット:屋根が複雑になって雨仕舞いのリスクが増える

電気の施工管理目線で言うと、母屋下がりの部屋は天井のいちばん低いところの照明位置が悩ましくなりがちです。シーリングライトを付けると頭をぶつけるので、ダウンライトや間接照明で逃がす、みたいな調整が必要になるんですよね。

母屋に関する施工管理の注意点

現場で母屋に関わる場面は、新築・リフォーム・設備工事のどれでも出てきます。施工管理として押さえておきたいポイントを、タイミング別にまとめます。

新築時の監理ポイント

新築時の母屋まわりチェック項目

  • 母屋の寸法・樹種が仕様書通りか(JAS認定材か)
  • 母屋間隔が910mm等、設計図通りか
  • 母屋と小屋束、母屋と垂木の金物緊結が適切か
  • 棟木と母屋のレベル・通り(水平・直線性)
  • 母屋下がり部の雨仕舞い(板金・ルーフィングの納まり)

母屋は野地板を張ると見えなくなってしまうので、野地板を張る前の段階で1発で確認するのが鉄則です。張ってからやり直すことになると、せっかく仕上げた屋根を剥がす羽目になりますからね。

構造図の読み方はこちらの記事でもまとめていますので、意匠図との違いを押さえたい方はどうぞ。

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リフォーム・小屋裏工事時の注意点

リフォームや点検で小屋裏に入るときは、母屋を避けて動き回る必要があります。母屋の上に直接乗ると、母屋自体は乗っても大丈夫な材ですが、その下の天井(石膏ボード)を踏み抜く事故が起こりがち。

天井に乗る人は必ず、

  • 母屋・小屋梁・小屋束の位置を把握してから踏み出す
  • 踏み板(歩み板)を置いて分散させる
  • ヘッドライト+養生マットを基本装備に

電気工事士が小屋裏配線を這わせるときも、母屋の側面に沿わせて振れ止めのサドルを打つのが定番の納まり。母屋に打つビスの向きと深さを誤ると、屋根面に貫通して雨漏りの原因になるので要注意ですね。

僕も電気の施工管理で小屋裏配線の検査に入ったとき、配線をぐいっと母屋に押し付けて止めてあって、ビスが長すぎて野地板まで貫通しかけていた現場に遭遇したことがあります。屋根材を葺いた後に雨漏りしたら犯人捜しが大変なので、「母屋へのビスは長さ管理」は地味に大事だったりします。

太陽光・アンテナ設置時

屋根上に太陽光パネルやアンテナを載せる工事では、母屋の位置を正確に把握してから固定金具を打つのが基本です。

架台の固定ビスは、野地板だけでなく垂木・母屋に効かせて初めて構造的に意味があります。母屋の位置がズレていたり間隔が不均一だったりすると、架台レイアウトの現場合わせが発生して工程が遅れる、みたいなことも珍しくないですね。

太陽光架台を載せる建物の耐震・屋根補強の話は、耐震部材としてのブレースなんかも絡むので、あわせてどうぞ。

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積雪地域での注意

積雪地域では母屋のサイズ・ピッチを強化するのが一般的で、建築基準法施行令の積雪荷重(1cmあたり20N/m²以上、多雪区域は30N/m²以上)をベースに設計されます。

多雪区域(北海道・東北・北陸など)では、母屋を105mm角以上にする、あるいは母屋間隔を455mmに詰めるといった調整が一般的。軽い屋根材を選んで荷重そのものを減らすアプローチも有効ですね。

母屋に関する情報まとめ

  • 母屋とは:木造の屋根で、棟木と軒桁の間に水平に架け渡して垂木を支える横架材(読み方:もや)
  • 読み方の別義:「おもや/しゅおく」と読むと、敷地内の主たる建物(離れに対する本体)の意味
  • 役割:屋根荷重を垂木から受けて小屋束に流す中継ぎ+屋根面の一体性を確保する
  • サイズ:一般住宅は3寸角(90mm角)が標準。積雪地域や重い屋根材では105mm・120mm角に
  • 間隔:910mm(半間)ピッチが標準。垂木断面とセットで決まる
  • 似た部材との違い:棟木(頂部)・軒桁(外壁頂部)・垂木(斜材)・小屋束(支え)と位置と役割が違う
  • 母屋下がり:斜線制限をクリアするために母屋・軒桁を下げて勾配天井にする設計手法
  • 関連一次情報:住宅金融支援機構『木造住宅工事仕様書』、JAS製材規格、建築基準法(斜線制限・積雪荷重)

以上が母屋に関する情報のまとめです。

一通り母屋の基礎知識は理解できたと思います。母屋は普段の現場では目立たない地味な部材ですが、屋根の一体性と耐震・耐風性能を裏で支えている縁の下の力持ちなので、施工管理として絶対に押さえておきたいところですね。

木造・構造まわりの関連知識も、以下の記事であわせて読んでみてください。

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