- ガセットプレートってなに?
- どこに使う部材なの?
- スプライスプレートと何が違うの?
- どんな種類があるの?
- 設計や施工で気をつけることは?
- どれくらいの厚みのものを選ぶの?
上記の様な悩みを解決します。
ガセットプレートは、鉄骨造の現場に入ると必ず目にする「節点(せってん)」を作る板です。図面ではあっさり書かれているわりに、現場で見ると意外と存在感があり、ここの納まりが悪いと工程全体に響いてくる、地味だけど効く部材ですね。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ガセットプレートとは?
ガセットプレートとは、結論「鉄骨の節点で複数の部材を1枚の板を介して接合するための鋼板」のことです。英語で書くと “gusset plate”、直訳すると「マチ板」。複数の鋼材が交わる「マチ」になる部分を1枚の板でまとめる、というイメージですね。
最も典型的なのは、ブレース(筋交い)の端部を柱や梁に取り付ける部分。Y字や三角形の鋼板が、柱や梁から飛び出るようにくっついている、あれがガセットプレートです。
材質はSS400やSN400Bなどの一般構造用鋼材が中心で、厚みは6mm〜25mm程度。形状は接合する部材の角度や本数に合わせてカット加工するため、現場ごとに形が違うのが特徴です。
スプライスプレートとの違い
混同されやすいのが スプライスプレート。違いをひとことで言うと、
- スプライスプレート:同じ部材を「継ぐ」板(梁と梁、柱と柱など、一直線方向の接合)
- ガセットプレート:複数の異なる部材が「集まる」節点を作る板(柱・梁・ブレースが集まる三叉路)
つまり、スプライスプレートは「直線の継手」、ガセットプレートは「交差点」を作る板。役割がそもそも違うので、図面記号や呼称も区別されています。スプライスプレートの詳細は別記事にまとめてあるので、そちらも合わせてどうぞ。

ガセットプレートが使われる場所
実際の現場で見かける主な場所は次の通り。
1. ブレースの取り付け部(最頻出)
柱と梁の交点から斜めに伸びるブレースの端部を留めるためのプレート。耐震要素として効く部分なので、ボルト本数や溶接長が構造計算で厳密に決まっています。
2. トラスの節点
体育館や工場の屋根トラスでは、上弦材・下弦材・斜材・束材の交点でガセットプレートが大活躍。1枚のプレートに4〜6本の部材がボルト接合される、というケースもあります。詳しくはトラス関連の記事もどうぞ。
3. 鉄骨階段の踏み板取り付け部
ササラ桁に踏み板を留めるための小型のガセットプレートも、よく見かけます。
4. 大型機器の据付架台
プラント設備やエレベーター機械室の架台でも、複雑な形状の架台節点をガセットプレートで作ります。
ブレース節点が圧倒的に多いので、まずは「ガセット=ブレース取り付け板」と覚えておけば、現場では大きく外しません。
ガセットプレートの種類
形状や使い方で分類すると、大きく次のように分かれます。
| 種類 | 特徴 | 主な使用箇所 |
|---|---|---|
| 三角形ガセット | 最もオーソドックス。ブレース1本を留める | 鉄骨造の耐震ブレース部 |
| 多角形ガセット | 複数のブレースを1枚で受ける | 大型工場・体育館 |
| 切欠き(ノッチ)付き | 取付け部に逃げ加工。座屈に配慮 | 高軸力ブレース |
| 補強リブ付き | 板の面外座屈を防ぐリブが溶接される | 厚い柱・薄板ガセットの組合せ |
| ボックス型ガセット | 板を2枚重ねて袋状にしたもの | 特殊架構・橋梁 |
注意したいのは「接合方式」の違い。ボルト接合用なのか溶接接合用なのかで、孔開け加工の有無や板厚の決まり方が変わります。図面で「F10T M22 × 6本」のような記載があればボルト接合用、開先(かいさき)が描いてあれば溶接用、という見方ですね。
ガセットプレートの設計ポイント
設計者向けの数式まで踏み込むと専門的になりすぎるので、施工管理が押さえるべき設計上の急所だけ列挙します。
1. 板厚は接合される部材より「やや厚め」が安全
ブレース材の板厚と同等か、それ以上の板厚にするのが原則。薄いと座屈してブレースが効かなくなります。
2. ホイットモア幅で応力分布を確認
「ホイットモア幅(Whitmore section)」という考え方があり、ボルト接合面から30度の広がりで応力が分布するという経験則。この幅が確保されていないとプレートが破断する恐れがあります。
3. 縁端距離・ボルトピッチは規格遵守
ボルト孔から板の端までの最小距離、ボルト同士の間隔は、JIS B 1186(高力ボルト)と建築学会の鋼構造接合部設計指針で決まっています。現場で「ちょっとずらしてもいい?」と聞かれた場合、原則NGです。
4. 面外座屈の検討
細長いガセットは、ブレース引張時にメクれて変形することがあります。長辺方向にリブを溶接する補強がよく行われます。
ガセットプレート施工時の注意点
現場で施工管理として確認すべきポイントを列挙します。
1. ミルシートと板厚チェック
特に高軸力ブレースの場合、現場搬入時にミルシート(鋼材検査証明書)と実物板厚のスポット確認は必須。「9mmと書いてあるのに実測8.5mm」みたいな事故が起こると、構造設計のやり直しが発生します。詳しくはミルシート記事をどうぞ。

2. ボルト孔の位置精度
ガセットプレートはほぼ100%工場製作品。現場でボルト孔がずれていると、リーマー加工で広げる程度ならOKですが、孔位置をずらす加工(ガス孔開けなど)は構造設計者の事前承認が必要です。
3. 高力ボルトの締付け順序とトルク管理
F10T級の高力ボルトであれば、本締めのトルクと軸力管理が必要。ピンテール破断式(TC型)なら締付け完了がピンテールの破断で確認できますが、トルク値だけで判断する場合は1次締め→マーキング→本締めの3段プロセスが原則です。
4. 防錆処理の連続性
塗装鋼板のガセットでは、ボルト締結部の塗膜が剥がれていないかをチェック。剥がれていれば現場でタッチアップ塗装が必要です。
5. ブレース取付け前の仮ボルト本数
建方中のブレース取付けでは、仮ボルトの本数が決められています(一般に全本数の1/3以上、かつ2本以上)。ここを省くと建方中の崩壊事故につながりかねません。
電気施工管理として現場を回っていた頃、ガセットの仮ボルトが2本だけで一晩放置されている現場を見て、ヒヤッとしたことがあります。鉄骨工事の安全は、こういう小さな数字の積み重ねで成り立っているんですよね。
ガセットプレートに関する情報まとめ
- ガセットプレートとは:鉄骨の節点で複数部材を1枚の板で接合する鋼板
- スプライスプレートとの違い:スプライスは「継手」、ガセットは「節点(交差点)」
- 主な使用場所:ブレース取付け部、トラス節点、鉄骨階段、機器架台
- 種類:三角形・多角形・切欠き付き・補強リブ付き・ボックス型
- 設計のポイント:板厚は部材以上、ホイットモア幅、縁端距離、面外座屈
- 施工注意点:ミルシート確認、孔位置精度、高力ボルト管理、仮ボルト本数
以上がガセットプレートに関する情報のまとめです。
設計者から見れば応力伝達の要、施工管理から見れば安全と工程を握る板。一見地味な部材ですが、ここを理解していると鉄骨工事の図面の「読みやすさ」がガラッと変わります。鉄骨関連の他の記事も合わせてチェックしてみてください。




