インダクタンスとは?単位、計算、公式、リアクタンスとの違いなど

  • インダクタンスって結局なに?一言で言ってほしい
  • 単位の「H(ヘンリー)」ってどれくらいの大きさ?
  • リアクタンスと何が違うの?同じじゃないの?
  • インピーダンスやキャパシタンスとも混同する…
  • 自己インダクタンスと相互インダクタンスの違いは?
  • 公式が多すぎてどれを使えばいいか分からない
  • 計算例を1個見せてほしい
  • 施工管理の自分が、これ覚えて意味あるの?
  • 現場でインダクタンスって実際どこで効いてくる?
  • 力率が悪いって言われるけど、これと関係ある?
  • リアクトルって現場で見るけど、あれもインダクタンス?
  • 電験3種で出るけど、暗記でいいのか理解すべきか

上記の様な悩みを解決します。

インダクタンスは、電気の理論用語の中でも「言葉は聞くけど、現場で何に使うのか分からない」筆頭格だと思います。電験3種や電気工事士の勉強でつまずく人も多いですし、いざ後輩や上司に「これ何?」と聞かれて答えに詰まる、というのは電気施工管理あるあるです。今回は定義・単位・公式・計算といった基本を押さえた上で、現役の電気施工管理目線で「類似用語(リアクタンス・インピーダンス・キャパシタンス)との違いの一発整理」「現場で実際に効いてくる場面(力率・リアクトル・ケーブル・ノイズ)」まで、現場で腑に落ちる形で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

インダクタンスとは?

インダクタンスとは、結論「コイルが持つ”電流の変化を邪魔する性質”の大きさ」のことです。

もう少し丁寧に言うと、コイルに流れる電流が変化すると、その変化を打ち消す向きに誘導起電力(逆向きの電圧)が発生します。この「電流の変化に対して、どれだけ強く逆らうか」の度合いを数値で表したものがインダクタンスです。電流を増やそうとすると「増やすな」、減らそうとすると「減らすな」と踏ん張る、いわば電気の世界の”慣性”みたいなものだと捉えると分かりやすいです。

ここで先に1つだけ、施工管理の人がいちばん知りたいであろう「で、自分に関係あるの?」に答えておきます。結論、めちゃくちゃ関係あります。後半で詳しく書きますが、力率の良し悪し、リアクトルという機器、ケーブルの電圧降下、ノイズ対策のコイル、これらは全部インダクタンスの話です。理論として暗記するだけだと「試験のためのもの」で終わりますが、「現場のあの機器・あの現象の正体」だと分かると一気に腑に落ちます。

僕の感覚だと、インダクタンスは「コイル=電流変化を嫌うやつ」とだけ最初に覚えておけば十分入口を突破できます。新人の頃は「誘導起電力が〜磁束が〜」と言われても全然ピンと来ませんでしたが、「電流を急に変えようとするとコイルが抵抗してくる、その抵抗の強さ」と現象ベースで掴んでから、後ろの数式がようやく意味を持って見えてきました。

コンデンサ(キャパシタンス)はちょうど逆の性質を持っていて、セットで理解すると一気に整理できます。

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インダクタンスの単位「ヘンリー(H)」

インダクタンスの単位は「H(ヘンリー)」です。アメリカの物理学者ジョセフ・ヘンリーにちなんだ単位で、記号としては大文字の「H」を使い、量記号(式の中で使う文字)は「L」を使います。

定義としては「1秒間に1アンペア電流が変化したときに、1ボルトの誘導起電力が発生するコイルのインダクタンスが1H」です。式で書くと次の関係になります。

記号 単位
インダクタンス L H(ヘンリー)
誘導起電力 V(またはe) V(ボルト)
電流の変化率 di/dt A/s(アンペア毎秒)

現場で出てくるのは「mH」「μH」が中心

ここが地味だけど大事なポイントで、1Hというのは実はかなり大きな値です。現場や電子回路で実際に扱うインダクタンスは、1Hより小さい単位で出てくることがほとんどです。

単位 読み 大きさ よく見る場面
H ヘンリー 基準(1H) 大型リアクトル・電源トランス級
mH ミリヘンリー 1/1,000 H 一般的なチョークコイル・リアクトル
μH マイクロヘンリー 1/1,000,000 H プリント基板・高周波回路のコイル

僕の感覚だと、この「単位のスケール感」を持っておくと、データシートやリアクトルの仕様書を見たときに「ああ、これは小さいコイルだな」「これはかなり効くな」と当たりがつくようになります。試験では1Hや100mHみたいなキリのいい数字で出ますが、実機の仕様を見ると「2.2mH」「470μH」みたいな値が並んでいて、最初は桁を見間違えやすいので注意です。

インダクタンスの公式と計算方法

インダクタンスの公式は、用途別に大きく3つ覚えておけば現場でも試験でも困りません。「定義の式」「コイル構造から求める式」「巻数と磁束の式」の3つです。

① 誘導起電力の式(インダクタンスの定義そのもの)

いちばん根っこにある式がこれです。

V = L × (di/dt)

Vは発生する誘導起電力[V]、Lがインダクタンス[H]、di/dtが電流の変化率[A/s]です。「電流を急に変える(di/dtが大きい)ほど、大きな逆電圧が出る」ことを表しています。スイッチを切った瞬間にアークやサージ電圧が出るのは、まさにこの式が効いているからです。

② コイルの形状から求める式(ソレノイドの自己インダクタンス)

コイルそのものの構造からインダクタンスを求めるのがこの式です。

L = μ × N² × S ÷ l
記号 意味 単位
L 自己インダクタンス H
μ 透磁率(鉄心なら大きい) H/m
N コイルの巻数
S コイルの断面積
l コイルの長さ m

ここで一番効くのは「N²(巻数の2乗)」です。巻数を2倍にするとインダクタンスは4倍、3倍にすると9倍になります。「コイルをたくさん巻くほど効きが強くなる、しかも2乗で効く」というのがこの式の肝です。鉄心(コア)を入れるとμが大きくなって一気にインダクタンスが上がるのも、リアクトルやトランスに鉄心が入っている理由そのものです。

③ 巻数と磁束の式

もう1つ、定義に近い形で覚えておくと試験で役立つのがこれです。

L = N × Φ ÷ I

Nは巻数、Φ(ファイ)は磁束[Wb]、Iは電流[A]です。「電流を流したときに、巻数×磁束がどれだけ生まれるか」を電流で割ったもの、と捉えればOKです。

計算例(μHを電流変化に当てはめる)

数式だけだとイメージが湧かないので、簡単な計算例を1つ。

「インダクタンス100mH(=0.1H)のコイルに流れる電流が、0.01秒の間に0Aから2Aまで変化したとき、発生する誘導起電力は?」

V = L × (di/dt)
  = 0.1 × (2 ÷ 0.01)
  = 0.1 × 200
  = 20V

たった2Aの変化でも、短時間(0.01秒)で変えると20Vの逆電圧が出る、という結果です。リレーやソレノイドバルブのコイルを切った瞬間に接点が傷むのは、この計算がもっと急峻(di/dtがもっと大きい)に起きて、数百V級のサージが出るからです。

僕としては、公式は丸暗記より「①が定義、②が構造、③が巻数と磁束」と役割で覚えるのがおすすめです。試験では②③で値を求めて、①でサージ電圧を考える、という使い分けが多いです。とくに②の「N²で効く」は、応用問題でも実機の理解でもずっと効いてくるので、ここだけは確実に押さえておくといいです。

自己インダクタンスと相互インダクタンス

インダクタンスには「自己インダクタンス」と「相互インダクタンス」の2種類があります。1つのコイルの話か、2つのコイルの間の話か、という違いです。

種類 記号 何の話か
自己インダクタンス L 1つのコイルが、自分の電流変化に逆らう性質
相互インダクタンス M 隣のコイルの電流変化が、こちらのコイルに起電力を生む性質

自己インダクタンスは、これまで説明してきた「自分の電流変化を邪魔する」性質です。一方、相互インダクタンスは「片方のコイルの電流が変わると、磁束を通じてもう片方のコイルにも電圧が誘導される」性質を表します。

相互インダクタンスはトランスの原理そのもの

相互インダクタンスは、難しそうに聞こえますが、要は「トランス(変圧器)の原理」です。一次側コイルの電流変化が、二次側コイルに電圧を生む、これが相互誘導であり、その効きの強さが相互インダクタンスMです。現場で変圧器を見ない電気施工管理はいないので、実は一番身近な概念だったりします。

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結合係数 k と合成インダクタンス

2つのコイルがどれだけ強く磁気的に結びついているかを表すのが「結合係数 k」で、次の式で関係づけられます。

M = k × √(L₁ × L₂)

kは0〜1の値を取り、漏れ磁束がまったく無い理想状態でk=1、まったく結合していなければk=0です。トランスのように鉄心で磁束を閉じ込めると、kは1に近づきます。

2つのコイルを直列につないだときの合成インダクタンスは、磁束の向きで変わります。

つなぎ方 合成インダクタンス
和動接続(磁束が同じ向き) L₁ + L₂ + 2M
差動接続(磁束が逆向き) L₁ + L₂ − 2M

僕の感覚だと、自己と相互の違いは「1個のコイルか、2個のコイルか」で線を引くのが一番スッキリします。電験の理論で相互インダクタンスや結合係数の計算問題はよく出ますが、根っこは「トランスってどう電圧を渡してるんだっけ」という現場の感覚に紐づけると、暗記が理解に変わります。

コイルの直列・並列とインダクタンスの合成

抵抗と同じように、コイルも直列・並列でつないだときの合成インダクタンスを計算できます。ただし「相互インダクタンスの影響が無い(磁気的に結合していない)」場合に限り、抵抗とまったく同じ計算になります。

つなぎ方 合成インダクタンス(結合なしの場合)
直列 L = L₁ + L₂ + …(足すだけ)
並列 1/L = 1/L₁ + 1/L₂ + …(逆数の和)

直列は単純に足し算、並列は抵抗の並列と同じく「逆数の和の逆数」です。ここは抵抗の合成を覚えていれば、そのまま流用できます。

注意点は1つで、コイル同士を近づけて磁気的に結合している場合は、前のセクションで出てきた相互インダクタンスM(±2M)が入ってくることです。試験で「結合がある/ない」が明記されているので、まずそこを読み取るのが大事です。

僕としては、ここは「抵抗の合成と同じ。ただしコイルが近接してたら相互Mを忘れるな」とだけ覚えておけば十分だと感じます。実機では、リアクトルを複数並べるときに相互干渉を避けるため、わざと距離を取ったり向きを変えたりして、Mの影響を小さくする設計がされていたりします。

インダクタンス・リアクタンス・インピーダンス・キャパシタンスの違い

ここが、ネットの知恵袋でも繰り返し質問されている、みんなが一番こんがらがるポイントです。インダクタンス・リアクタンス・インピーダンス・キャパシタンス、似た言葉が多すぎて混乱するので、一度きっちり整理します。

用語 量記号 単位 何を表すか
インダクタンス L H(ヘンリー) コイルが電流変化を邪魔する”性質”の大きさ
キャパシタンス C F(ファラド) コンデンサが電荷をためる”性質”の大きさ
リアクタンス X Ω(オーム) コイル/コンデンサの「交流に対する流れにくさ」
インピーダンス Z Ω(オーム) 抵抗+リアクタンスを合わせた回路全体の流れにくさ

ポイントを順番に整理します。

① インダクタンスとキャパシタンスは「部品の性質」

インダクタンス(コイル)とキャパシタンス(コンデンサ)は、部品が持つ”性質そのもの”の大きさで、単位はそれぞれH・Fです。電流変化を嫌うのがコイル(L)、電荷をためて電圧変化を嫌うのがコンデンサ(C)で、ちょうど正反対の性質を持つペアだと捉えると整理しやすいです。

② リアクタンスは「交流での流れにくさ」(Ωに化ける)

そのコイルやコンデンサが、交流回路でどれだけ電流を流しにくくするかをΩ(抵抗と同じ単位)で表したものがリアクタンスです。コイルのリアクタンス(誘導性リアクタンス)は次の式になります。

XL = 2πf × L

fは周波数[Hz]です。ここが超重要なのですが、周波数fが式に入っています。つまり「同じコイルでも、周波数が高いほど流れにくくなる」「直流(f=0)ではリアクタンスは0=ただの電線」ということです。

リアクタンスの詳しい計算はこちらで整理しています。

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③ 直流か交流かで効き方がまるで違う

上の式から導かれる、現場で一番効く結論がこれです。

  • 直流(DC):周波数f=0なので、コイルのリアクタンスは0。定常状態では「ただの電線」として振る舞う(電流を変える瞬間だけ逆らう)
  • 交流(AC):周波数に応じてリアクタンスが発生し、電流を流れにくくする。周波数が高いほど効く

直流と交流でコイルの振る舞いがここまで変わる、というのは現場感覚としても大事なので、両者の違いはセットで押さえておくといいです。

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④ インピーダンスは「全部合わせた最終的な流れにくさ」

抵抗R(レジスタンス)とリアクタンスX(リアクタンス)を、ベクトル的に合成した回路全体の流れにくさがインピーダンスZです。

Z = √(R² + X²)

抵抗とリアクタンスは単純な足し算ではなく、直角三角形の斜辺のように合成されます(位相が90度ずれているため)。実際のケーブルや回路の「結局どれだけ電流が流れにくいか」は、このインピーダンスで効いてきます。

僕の感覚だと、この4つは「L・Cは部品の性質(H・F)」→「それが交流でΩに化けたのがリアクタンスX」→「抵抗RとXを全部足し合わせた回路全体がインピーダンスZ」という3段の階段で覚えると、二度と混乱しなくなります。新人に説明するときも、いきなり全部並べず「まず部品、次に交流での流れにくさ、最後に回路全体」の順で話すと伝わりやすいです。

施工管理・電気工事の現場でインダクタンスが効いてくる場面

ここが、競合の解説記事ではほぼ touch されていない、電気施工管理にとって一番大事なセクションです。「公式は分かった、で、現場のどこで効くの?」に正面から答えます。

① 力率の悪化(モーター・蛍光灯)

工場やビルにはモーター(誘導電動機)が大量にあり、モーターはコイルの塊なので強い誘導性リアクタンスを持ちます。これにより電流の位相が電圧より遅れ、力率が悪化します。力率が悪いと、同じ仕事をするのに余計な電流が流れ、電圧降下や電力損失、電気基本料金の増加につながります。

この力率を改善するために進相コンデンサ(コンデンサ=Lと逆の性質)を入れて打ち消す、というのが力率改善の基本です。「なぜコンデンサで力率が良くなるのか」の根っこは、まさにインダクタンスとキャパシタンスが逆の性質だからです。

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② リアクトルという機器そのもの

現場で見る「リアクトル」は、その名の通りインダクタンス(コイル)を意図的に作り込んだ機器です。高圧進相コンデンサに直列に入れる直列リアクトル、高調波を抑える分、突入電流を抑える、といった役割で使われます。「リアクトル=わざと作ったコイル=インダクタンスのかたまり」と分かると、なぜそこに置かれているのかが見えてきます。

③ ケーブルのインダクタンスと電圧降下

意外と見落とされがちですが、ケーブルそのものにもインダクタンス(リアクタンス分)があります。長距離・大電流の幹線では、ケーブルの抵抗R分だけでなくリアクタンスXL分も電圧降下に効いてきます。電圧降下計算をきっちりやる現場では、抵抗とリアクタンスの両方を見て計算します。

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④ サージ電圧・突入電流(スイッチを切った瞬間)

冒頭の計算例で出た「V = L × di/dt」がここで効きます。コイル(リレー・ソレノイド・モーター)の電流を急に切ると、di/dtが非常に大きくなり、数百V級のサージ電圧が発生して接点が傷んだりノイズの原因になったりします。だからリレーにはサージ吸収用のダイオードやスナバ回路を付ける、というのが定番の対策です。

⑤ ノイズ対策(チョークコイル・フェライトコア)

ノイズ対策で電源線にコイル(チョークコイル)やフェライトコアを入れるのも、インダクタンスの「高周波(=ノイズ)ほど流れにくくする」性質を使っています。XL=2πfLでfが大きいほどリアクタンスが大きくなるので、低い周波数の電力はそのまま通し、高い周波数のノイズだけブロックする、というフィルタになるわけです。

僕としては、このセクションこそインダクタンスを学ぶ本当の意味だと感じています。力率・リアクトル・電圧降下・サージ・ノイズ、これ全部「コイルの性質」という1本の軸でつながっています。理論を「試験用の暗記」で終わらせるか、「現場のあの現象の正体」として持っておくかで、トラブル対応や設計の深さがまるで変わってきます。電気施工管理として一段上に行きたいなら、ここは絶対に押さえておきたいところです。

電験・電気工事士試験でのインダクタンスの押さえ方

インダクタンスは、電験3種(理論)や電気工事士の試験で頻出のテーマです。試験対策としてどこを押さえるべきかを整理しておきます。

試験 インダクタンスの出方 優先度
第二種電気工事士 リアクタンス・力率の基本、計算は軽め
第一種電気工事士 力率改善、進相コンデンサ絡み 中〜高
電験3種(理論) 自己/相互インダクタンス、合成、RL/RLC回路の計算
電験3種(機械) 変圧器・電動機(相互インダクタンスの応用)

試験で確実に押さえたいポイントは次の通りです。

  • XL = 2πf×L(誘導性リアクタンスの式)は最優先で暗記
  • 自己/相互インダクタンス、結合係数 M=k√(L₁L₂)
  • 直列・並列の合成(相互結合の有無に注意)
  • V=L×di/dt(過渡現象・サージの基礎)

僕としては、電験の理論でつまずく人ほど「公式の丸暗記」で乗り切ろうとして、応用問題で崩れる印象があります。この記事の前半でやったように「コイルは電流変化を嫌う」「N²で効く」「交流でΩに化ける」という現象のイメージを先に持ってから公式に戻ると、暗記量が減って応用も効くようになります。暗記か理解かで言えば、インダクタンスは理解寄りで攻めた方がトータルで楽です。

インダクタンスに関する情報まとめ

  • 定義:コイルが持つ「電流の変化を邪魔する性質」の大きさ。電気の世界の”慣性”
  • 単位:H(ヘンリー)。量記号はL。実機ではmH・μHで出ることが多い
  • 公式:①V=L(di/dt)〔定義・サージ〕/②L=μN²S/l〔構造・N²で効く〕/③L=NΦ/I〔巻数と磁束〕
  • 自己/相互:1つのコイルが自己インダクタンスL、2つのコイル間が相互インダクタンスM(トランスの原理)
  • 結合係数:M=k√(L₁L₂)、kは0〜1。直列合成はL₁+L₂±2M
  • 合成:結合が無ければ抵抗と同じ(直列は和、並列は逆数の和)
  • 類似用語の整理:L・Cは部品の性質(H・F)→交流でΩに化けたのがリアクタンスX→抵抗とXを合わせた回路全体がインピーダンスZ
  • 直流/交流:直流(f=0)ではリアクタンス0=ただの電線、交流では周波数が高いほど効く
  • 現場で効く場面:①力率悪化(モーター)②リアクトル③ケーブルの電圧降下④サージ・突入電流⑤ノイズ対策
  • 試験:XL=2πfLは最優先、電験3種理論では自己/相互/合成が頻出

以上がインダクタンスに関する情報のまとめです。

インダクタンスは「コイルが電流変化を嫌う性質」という1点さえ掴めば、公式も類似用語も、現場の力率・リアクトル・サージも、全部そこから枝分かれで理解できます。理論用語として暗記するだけだと試験で終わってしまいますが、「現場のあの機器・あの現象の正体」として持っておくと、トラブル対応の引き出しが一気に増えます。力率改善やリアクタンス、電圧降下とあわせて押さえておくと、電気施工管理としての設計・管理の精度が確実に上がるはずです。

インダクタンスに関するよくある質問

Q1:インダクタンスを一言で言うと何ですか?

「コイルが電流の変化を邪魔する性質の大きさ」です。電流を急に増やそう・減らそうとすると、コイルがその変化を打ち消す向きに逆電圧(誘導起電力)を出して逆らいます。この逆らう強さを数値化したものがインダクタンスで、単位はH(ヘンリー)です。電気の世界の”慣性”のようなものだとイメージすると掴みやすいです。

Q2:インダクタンスとリアクタンスの違いは何ですか?

インダクタンスはコイル”そのものの性質”の大きさで単位はH(ヘンリー)、リアクタンスはそのコイルが”交流に対してどれだけ電流を流しにくいか”で単位はΩ(オーム)です。式はXL=2πf×Lで、周波数fが入っているのがポイント。同じインダクタンスのコイルでも、周波数が高いほどリアクタンスは大きくなり、直流(f=0)ではリアクタンスは0になります。「部品の性質がL、それが交流でΩに化けたのがX」と覚えると混乱しません。

Q3:インピーダンスとは何が違うんですか?

インピーダンスは「抵抗R+リアクタンスX」を合成した、回路全体の電流の流れにくさで、単位はΩです。リアクタンスはコイルやコンデンサ単体の交流特性ですが、インピーダンスはそこに抵抗分も加えた回路トータルの値になります。式はZ=√(R²+X²)で、単純な足し算ではなく直角三角形の斜辺のように合成されます。階段で言うと「L・C(部品)→X(交流の流れにくさ)→Z(回路全体)」の一番上がインピーダンスです。

Q4:自己インダクタンスと相互インダクタンスの違いは?

1つのコイルが自分の電流変化に逆らう性質が自己インダクタンス(L)、2つのコイルがあって片方の電流変化がもう片方に電圧を誘導する性質が相互インダクタンス(M)です。相互インダクタンスはトランス(変圧器)の原理そのもので、結合の強さは結合係数kを使ってM=k√(L₁L₂)で表します。現場で変圧器を扱うなら、相互インダクタンスは実は一番身近な概念です。

Q5:施工管理にインダクタンスの知識は本当に必要ですか?

電気施工管理なら必要です。力率の悪化(モーターのコイル)、力率改善用の進相コンデンサ、現場で見るリアクトル、ケーブルの電圧降下、リレーを切ったときのサージ電圧、ノイズ対策のチョークコイル、これらは全部インダクタンスの話です。理論として暗記するだけだと試験で終わりますが、「現場のあの機器・あの現象の正体」だと分かると、トラブル対応や設計の深さがまるで変わります。

Q6:力率が悪いのはインダクタンスのせいですか?

大きく関係しています。モーターや蛍光灯安定器はコイル(インダクタンス)の塊で、誘導性リアクタンスにより電流の位相が電圧より遅れ、力率が悪化します。これを改善するために、逆の性質を持つ進相コンデンサ(キャパシタンス)を入れて打ち消すのが力率改善の基本です。「なぜコンデンサで力率が良くなるのか」の答えは、インダクタンスとキャパシタンスが正反対の性質だから、です。

Q7:直流ではインダクタンスは関係ないんですか?

定常状態(電流が一定)では、直流のコイルはほぼ「ただの電線」として振る舞います。リアクタンスXL=2πfLは周波数f=0でゼロになるからです。ただし、電流を変化させる瞬間(スイッチを入れた・切った瞬間)だけはV=L(di/dt)が効いて逆電圧が発生します。直流でも「過渡(変化)の瞬間」だけはインダクタンスが顔を出す、と覚えておくといいです。

Q8:電験3種の勉強で、インダクタンスは暗記でいいですか?

理解寄りで攻めた方がトータルで楽です。XL=2πfLや合成の公式は暗記が必要ですが、「コイルは電流変化を嫌う」「巻数N²で効く」「交流でΩに化ける」という現象イメージを先に持っておくと、応用問題(RL回路・RLC回路・相互インダクタンス)で崩れにくくなります。丸暗記だけだと出題の角度が変わった瞬間に対応できないので、前半の現象イメージとセットで覚えるのがおすすめです。

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