- 電圧降下ってなに?
- 原因は?
- どんな影響を与えるの?
- 計算方法って?
- どうやって対策すればいいの?
- 早見表が欲しい
上記のような悩みを解決します。
電気工事において考えなければならないのが、電圧降下です。電圧降下を知らずに施工を進めると設備事故が発生してしまう可能性がありますので、しっかりと学びましょう。
この記事では電圧降下とは?といったところから、原因、影響、公式、計算方法、対策、早見表などについて解説していきます。
なるべく専門用語は使わずに分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも分かりやすい記事になっているかなと思います。
電圧降下とは?原因などを解説
電圧降下とは、結論「受電側の電圧が送電側の電圧よりも小さくなる現象のこと」です。
例えば、送電側の電圧が102Vだとすると、受電側の電圧は100Vになったりします。送電している最中に電圧降下が発生し、負荷まで電気がたどり着いた頃には2Vくらい降下しているんです。
電線やケーブルは、基本的に抵抗値の少ないものが採用されます。
電気を送るのが目的ですから、導電率の高い素材を使用するのは分かりやすいと思います。とはいえ、いくら抵抗が小さい(導電率が高い)といっても、0ではありません。ほんの少し、抵抗が存在します。
抵抗の部分で、電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるので、電気エネルギーの量は減ってしまいます。具体的にいえば、電圧の高さも降下するという訳です。
実際の現場に行くと、下記のような電圧設定になります。
送電端と受電端の電圧
- 100V負荷の場合:送電端は102V
- 200V負荷の場合:送電端は204V
電圧降下が与える影響
電圧降下が発生することにより、負荷が正常に稼働しなかったりします。
要するに負荷に供給される電圧が小さくなることによって、負荷が正常に稼働しなくなる。。。というのが電圧降下が与える影響です。
例えば、照明器具の具体例を見てみましょう。
当たり前ですが、100Vの照明器具には100Vの電源を供給しなければなりませんよね。ただ電圧降下が発生することにより、97Vしか供給できなかったらどうなるでしょうか?
本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。
具体的には照度が下がったりします。簡単な話、100Vで500luxの照明器具が、98Vで500luxを出せる訳はありませんよね。
電圧降下に気付かずに施工を進めると、照度を測定した時に「思ったよりも照度が出ていない」という問題に繋がりかねません。
パソコンや電動機の場合は、突然使えなくなったりします。機器自体が壊れるというよりかは、電源が足りなくてシャットダウンしてしまう感じですね。
電圧降下の計算方法(公式)と対策
変数は「A(断面積)」と「L(長さ)」と「I(電流の大きさ)」ですよね。実際の現場において、長さと電流の大きさを変えることはできません。
よって、電圧降下の対策は断面積を大きくすることです。
断面積を大きくすれば、分母が大きくなり、全体の大きさは小さくなります。簡単な話、22sqのケーブルよりも38sqのケーブルの方が電圧降下が小さいということです。
とりあえず、電圧降下の対策としては、ケーブルを太くしておきましょう。
現場によってはケーブルルートが厳しいところもありますから、ルートがちゃんと確保できるのかの確認が必要です。
電圧降下の早見表(内線規定を元に作成)
トランス(変圧器)アリ
長さ | 幹線 | 分岐 |
60m以下 | 2%以下 | 2%以下 |
120m以下 | 4%以下 | 4%以下 |
200m以下 | 5%以下 | 5%以下 |
200m以下 | 6%以下 | 6%以下 |
トランス(変圧器)ナシ
こう長 | 幹線 | 分岐 |
60m以下 | 3%以下 | 2%以下 |
120m以下 | 5%以下 | 5%以下 |
200m以下 | 6%以下 | 6%以下 |
200m以下 | 7%以下 | 7%以下 |
電圧降下に関する情報まとめ
電圧降下に関する情報まとめ
- 電圧降下とは:受電側の電圧が送電側の電圧よりも小さくなる現象のこと
- 電圧降下の原因:抵抗で電気エネルギーが熱エネルギーに変換される
- 電圧降下が与える影響:照明器具の照度が落ちたり、PCがシャットダウンしたりする
- 電圧降下の計算方法:上式参照
- 電圧降下の対策:ケーブルサイズを太くする
- 電圧降下の早見表:上表参照
以上が電圧降下に関する情報のまとめです。
一通り電圧降下の基礎情報は網羅できたと思います。
類似の単語としては「許容電流」というものもあります。まだしっかり理解していない方は下の記事で学びましょう。
電気は目に見えないので、概念が分かりにくかったりします。
ただ一つ一つを正しく学んでいけば理解できない分野ではありませんので、これからも学びを継続していきましょう!