構造体接地とは?施工要領、測定方法、接地が必要な理由など

  • 構造体接地ってなに?
  • 施工要領を知りたい
  • 測定方法って?
  • そもそもなんで接地が必要なの?

上記ような悩みを解決します。

施工性の面から、頻繁に採用されているのが構造体接地です。電気工事をしていくなら頻繁に見られる施工方法ですので、基礎知識は抑えておきましょう。

この記事では構造体接地とは?といったところから、施工要領、測定方法、接地が必要な理由などについて解説していきます。

なるべく分かりやすい表現で記事を執筆して行くので、初心者の方にも分かりやすい記事になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

構造体接地とは?

構造体接地とは、結論「建物の躯体を接地線として活用する方法」です。

基本的に接地工事は、下記のような流れになります。

普通の接地工事の流れ

  • 接地極打設
  • 接地極とケーブル接続(接地線)
  • ケーブル(接地線)を上まで伸ばす
  • 各所に接地線を配っていく

接地極からケーブルを上に伸ばしていく訳です。

対して構造体接地の場合、ケーブルではなく構造体を接地線として採用します。

建物の構造体は、基本的に鉄筋か鉄骨ですよね。どちらも金属ですのでよく電気を通します。となると電気の通り道として使うことができるんです。

「わざわざケーブルを施工しなくても、構造体を接地線代わりにすれば良いのでは?」

という発想で生まれたのが構造体接地です。

ケーブルを構造体に変えたとしても品質は劣化しませんし、施工性も向上しますので、様々な現場で採用されています。

ちなみに、構造体とは躯体のことですので、躯体接地とも呼ばれます。

 

構造体接地の施工要領

接地極を打設する

まずは接地極を打設します。

基礎工事の際、捨てコンを打設する前に接地極を地面に打ち込みます。捨てコンが打たれた後では接地極を打設できませんので、忘れないようにしましょう。

接地とはつまり、電気機器と大地を電気的に接続することです。

ただ電気機器と大地を直接繋げることはできないので、接地極という媒介を使用します。何本打てばいいのかは地盤の性質によって異なりますが、2本から10本が一般的でしょう。

捨てコン打設の前に、中に埋まってしまわないよう、立ち上げておきます。

 

接地極と躯体をクランプで接続

接地極を打設したら、接地極と躯体をクランプと呼ばれる部材で接続します。

躯体とは「建物の骨組みのこと」でして、RC造なら鉄筋、S造の場合は鉄骨です。

ここでの接続が弱いと電気が通りませんから、きっちりがっちり接続する必要があります。躯体工事はやり直しの効かない工事ですから、注意が必要です。

後ほど導通チェックを行う訳ですが、そこで導通が取れなかったら大変なことになります。

 

躯体を上まで伸ばす

接地極と躯体をクランプ接続したら、躯体を上まで伸ばしていきます。

例えば鉄筋の場合、4階立ての建物なら4階の高さまで鉄筋を伸ばしていかなければなりません。1本でそれくらいの長さのものはありませんから、鉄筋と鉄筋を接続する必要があります。

鉄筋と鉄筋を接続するには様々な種類の接続方法がありますが、構造体接地の場合、接続方法は圧接になります。

この辺は建築基準法が関係してきますので、法令の確認が必要です。

接続の仕方によっては電気的な接続を認められない場合もあります。

 

上でクランプを取って避雷針まで

接地極地面から避雷針の部分まで伸びます。

躯体を上まで伸ばしたら、上の部分でまたクランプ接続し、ケーブルを引き出す必要があります。ケーブルを引き出して避雷針設備に接続するといった流れですね。

ここまでの大まかな流れを解説すると下記です。

構造体接地の施工要領

  • 地面に接地極を打ち込む
  • 接地極と躯体をクランプで接続
  • 躯体を上まで伸ばす
  • 上からクランプでケーブルを引き出す
  • 避雷針設備に接続

 

接地の測定方法

接地の測定方法は、結論「接地抵抗計を使用して測定する」です。

接地抵抗値を測るには下記3つの接地極を使用します。

接地抵抗測定に必要な3つの極

  • E(Earth)=接地極
  • P(potential)=補助接地極(電圧極)
  • C(curent)=補助接地極(電流極)

電流極、電圧極に関しては接地抵抗計とセットですのでご安心ください。

流れとしてはまず、接地極と接地抵抗計のEを接続します。次に電流極と電圧極を地面にぶっ刺して、接地抵抗計を使えば接地抵抗を測ることができます。

注意点は2つありまして、一つ目は「距離」です。

E極、P極、C極、それぞれ10mは離すのが正しい測定方法になります。近すぎると正確な接地抵抗を測定することはできませんのでご注意ください。

2つ目は「定期的に測ること」です。

接地抵抗値は季節によって異なります。1年で4回(3ヶ月に1回)は接地抵抗値を測り、規定の抵抗値を上回ってないかを確認しましょう。

 

そもそも接地が必要な理由

そもそも接地が必要な理由は「人体の安全性を確保する為」です。

人体に電気が流れる状態は感電と呼ばれ、非常に危険な状態になります。人は数アンペアで命を落としてしまいますから、人体に電気が流れないような措置をする必要があるんです。

電気機器を接地していると、人体ではなく、大地に電気が流れます。

電気というのは抵抗値が低い方へと流れますよね。人体よりも大地の方が抵抗値が低い場合、人体の代わりに大地が感電してくれるという話です。

よって○種接地工事は○オーム以下、という規定がある訳ですね。

建物は利用者にとって安全でなければなりません。

電気は便利な反面、非常に危険です。電気を安全に利用する為に接地工事が行われます。

 

構造体接地に関する情報まとめ

構造体接地に関する情報まとめ

  • 構造体接地とは:建物の躯体を接地線として活用する方法
  • 構造体接地の施工要領:接地極打設→躯体と接続→上まで伸ばす→引き出して避雷針
  • 接地の測定方法:接地抵抗計を使用して測定する
  • 接地が必要な理由:人体の安全性を確保する為

以上が構造体接地に関する情報のまとめです。

一通り構造体接地の基礎知識はまとめられたと思います。

「接地」というのは非常に難しい概念です。ただ、電気工事においては基礎中の基礎ですので、キッチリ理解しておくようにしましょう。

それでは!