- 令和4年度の問題1の形で、全部埋まった品質管理の例文が見たい
- ②の「不具合」と「そう考えた理由」、どこで切ればいい?
- ③の「行ったこと」と「特に留意したこと」が同じ話になってしまう
- 仕上げや躯体で受検するけど、例文がコンクリートの話ばかり
- 2.の確認事項が、1.で書いた内容とかぶってしまう
- スランプやかぶり厚さの数字、書かないとダメ?
- 令和6年度・令和7年度の形にも、品質の例文は使えるの?
上記の様な悩みを解決します。
本記事では、令和4年度の問題1の枠で埋めた品質管理の例文を、受検種別の建築・仕上げ・躯体でそれぞれ1本、合計3本を架空の作例として載せました。3本とも、1.の事例3つと2.の確認事項2つを、「設計図書どおりに施工した」のような言い切りにせず具体的に書いています。
品質管理の例文は検索すればたくさん出てきますが、多くは工種ごとの短い文例や、書き出しの部品を並べたものです。問題文の①②③の枠や、2.の「着手時」「施工中又は完了時」の切り分けに対応させて、1枚の答案として最後まで埋めたものはほとんど見当たらないんですよね。今回は工事概要の書き方・1.の事例3つ・2.の確認事項2つといった基本を押さえた上で、競合の例文集では扱われていない「受検種別ごとに題材を変えた3本」「2.を1.と材料を分けて書いた跡」「令和6年度・令和7年度の問題に、作例のどこが持ち越せるか」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、①②③の欄が埋まらずに手が止まっている方にも読み進めやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
3本とも、令和4年度の問題1の枠をそのまま埋めた(工事概要・1.の事例3つ・2.の確認事項2つ)
3本で見てほしいのは、1つの事例にどれだけの現場の事情と手を詰めているか、そして①②③の欄がどこで切れているかです。どれも当サイトが想定した架空の工事で書いたもので、実施機関が公表した解答ではなく、この通りに書いた答案の点数を約束するものでもありません。実在の発注者名・地名・社名は入れていません。
枠に使ったのは令和4年度です。令和元年度から令和7年度までの2級建築・第二次検定(令和2年度までは実地試験)の問題1のうち、柱書に品質管理を名指ししたのは令和4年度だけでした。その柱書は「あなたが経験した建築工事のうち,あなたの受検種別に係る工事の中から,品質管理を行った工事を1つ選び,工事概要を具体的に記入したうえで,次の1.及び2.の問いに答えなさい。」です(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。なお、令和8年度の第二次検定の問題は、この記事で確認した資料には含まれていません。次にどの管理項目が出るかは、ここでは扱いません。
工事概要の欄は、令和4年度の問題文では「イ.工事名」「ロ.工事場所」「ハ.工事の内容」「ニ.工期等(工期又は工事に従事した期間を年号又は西暦で年月まで記入)」「ホ.あなたの立場」「へ.あなたの業務内容」の6つです(同 p.2)。ハは新築か改修かで書く中身が分かれていて、新築等は「建物用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ」、改修等は「建物用途,建物規模,主な改修内容及び施工数量」とされています(同 p.2)。作例1と作例3は新築等、作例2は改修等の並びで書きました。なお、令和元年度・令和2年度の問題文は「ニ.工 期」「へ.業務内容」という項目名でした(「令和元年度 2級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題」p.2・「令和2年度 同」p.2)。作例は令和3年度から令和5年度の項目名に合わせています。
1.は「施工の品質低下を防止するために取り組んだ事例を3つ選び」、「① 工種名又は作業名等」「② 品質低下につながる不具合とそう考えた理由」「③ ②の不具合を発生させないために行ったこととその際特に留意したこと」の3つを書かせる問いです(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。条件として「①は同一でもよいが,あなたの受検種別に係る内容とし,②及び③はそれぞれ異なる内容とする。」が付いています(同 p.2)。2.は「工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず」、「① 工種名又は作業名等」「② ①の着手時の確認事項とその理由」「③ ①の施工中又は完了時の確認事項とその理由」を「それぞれ2つ具体的に記述しなさい。」という問いです(同 p.2)。
3本を受検種別で分けたのは、令和4年度の問題冊子の表紙に「イ.受検種別:建築の受検者は問題5-Aを解答してください。ロ.受検種別:躯体の受検者は問題5-Bを解答してください。ハ.受検種別:仕上げの受検者は問題5-Cを解答してください。」とあり(同 p.1)、問題1の柱書と1.の条件にも「あなたの受検種別に係る」という限定が入っているためです(同 p.2)。この記事で確認した範囲(表紙の注意事項と問題1)には、どの工種がどの受検種別に係るかの線引きは書かれていません。作例では一般的な受け止め方に合わせて題材を置いたので、自分の種別で書ける範囲は実施機関の公表資料で確かめてください。
- 作例1:受検種別「建築」。RC造の共同住宅の新築で、型枠・鉄筋・コンクリートの3事例。2.の2組もこの作例に付けた
- 作例2:受検種別「仕上げ」。事務所ビルの改修で、屋上防水・外壁シーリング・床の3事例
- 作例3:受検種別「躯体」。鉄骨造の新築で、①を3つとも鉄骨工事にした3事例
- 3本共通:数値は「設計図書・施工計画書に定めた値」と所在で書き、工事概要の数字は〇〇で伏せた
令和6年度から問題1の入口そのものが変わった経緯は、2級建築の経験記述の形式変更を追った記事で年度順に並べています。
受検種別「建築」の作例:RC造共同住宅の新築で、型枠・鉄筋・コンクリートの3事例
1本目は、建築で受検する人が、鉄筋コンクリート造の共同住宅の新築を題材に選んだ想定の架空の作例です。ここでは、建築で受検する人が躯体の3工程を題材にした想定で3事例を立て、②の不具合と③の手がどれも重ならないように書き分けました。工事概要の数字と固有名は〇〇で伏せています。自分の答案では、ここに経験した工事の実際の内容が入ります。
作例1の工事概要
| 項目 | 記入の作例 |
|---|---|
| イ.工事名 | (仮称)〇〇共同住宅新築工事 |
| ロ.工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇町 |
| ハ.工事の内容 | 共同住宅、鉄筋コンクリート造、地上〇階、延べ面積〇〇〇㎡、外部仕上げ:外壁 磁器質タイル張り・一部 複層仕上塗材吹付け、屋上 アスファルト防水、主要室の内部仕上げ:床 フローリング張り、壁・天井 せっこうボード下地ビニルクロス張り |
| ニ.工期等 | 令和〇年〇月〜令和〇年〇月 |
| ホ.あなたの立場 | 工事主任 |
| へ.あなたの業務内容 | 躯体工事の施工管理(型枠・鉄筋・コンクリート工事の品質管理、協力会社との施工打合せ) |
1.事例1 柱・壁の型枠
① 型枠工事(柱・壁の型枠の建込み)
② コンクリートの打込み時に、柱・壁の型枠が側圧ではらみ、仕上がりの断面寸法と通りが狂う不具合。妻側の壁は型枠の建込み後に開口補強筋の追加があり、締付け金物を一部外して組み直していたため、締付けが型枠加工図どおりに戻っていない箇所が残ると考えた。
③ 打込みの前日に、組み直した範囲の締付け金物とサポートの位置を型枠加工図と1か所ずつ照合し、不足していた箇所に型枠大工が金物を追加してから打込みを許可した。その際、照合した位置を型枠加工図に書き込んで記録し、打込み当日は妻側の壁の外側に型枠大工を配置して、はらみが見えた時点で打込みを止めて締め直せるようにしたことに特に留意した。
1.事例2 スラブの上端筋
① 鉄筋工事(床スラブの配筋)
② 打込み中に作業員の歩行や筒先の移動でスラブの上端筋が踏み下げられ、設計図書に定められた上端筋の位置(有効な高さ)が確保できなくなる不具合。この現場の床スラブは住戸ごとに段差があり、打込み範囲が広いため、筒先を持った作業員が配筋の上を長く移動する計画になっていたことから、そう考えた。
③ 上端筋の下に、施工計画書で定めた間隔と材質でバーサポートを配置させ、打込み前の配筋検査で上端筋の高さを測って検査記録に残した。その際、打込み順序図に合わせて筒先の移動経路に歩み板を先に敷き込むよう、打込み前の打合せで土工と鉄筋工に指示し、打込み中は鉄筋工を常駐させて、乱れた鉄筋をその場で直させたことに特に留意した。
1.事例3 コンクリートの打重ね
① コンクリート工事(各階の柱・壁・スラブのコンクリート打込み)
② 先に打ち込んだ層と後から打ち込む層が一体にならず、打重ね部分にコールドジョイントができる不具合。打込みが夏期にかかり、1回の打込み範囲が広い計画だったため、生コン車の到着が交通事情で乱れると、先に打った層が固まり始めてから次の層を重ねることになると考えた。
③ 打込み区画と打込み順序を事前に図にして、各層の打込み開始時刻を係員に記録させ、施工計画書で定めた打重ね時間間隔の限度に近づいた区画から先に打ち重ねるよう、筒先の位置を切り替えた。その際、生コン工場との連絡窓口を1人に決めて到着予定と実績を打込み中に照合させ、遅れが見えた時点で出荷の間隔を工場と調整したことに特に留意した。
3事例は、打込み当日に不具合が出る場所で分けた
3事例の①は型枠・鉄筋・コンクリートと別の工種にしましたが、狙いは工種を散らすことではありません。②の不具合が、打込み中の型枠、打込み中の鉄筋、打込み中のコンクリートと、同じ打込みの1日のなかで別の場所に起きるように並べています。同じ日の話でも、不具合が違えば③の手も自然に分かれます。
②の「そう考えた理由」には、どの事例もこの現場ならではの事情を1つ入れました。事例1は建込み後の組み直し、事例2は段差のある広いスラブ、事例3は夏期と広い打込み範囲です。不具合の一般論だけで②を閉じると、どの現場の答案でも同じ文になります。理由の欄に自分の現場の事情が入っているかどうかが、②を読んだ人に「この人が実際に考えたこと」として伝わるかの分かれ目だと僕は考えています。
事例3の③には生コン工場との出荷調整が出てきますが、書き方は打重ねの不具合を防ぐ手としてまとめています。1.の条件は「品質管理以外について記述したものは不可」なので(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)、同じ調整でも工程を守る話として書くと、条件の側に寄ってしまいます。
受検種別「仕上げ」の作例:事務所ビルの改修で、屋上防水・外壁シーリング・床の3事例
2本目は、仕上げで受検する人が、事務所ビルの改修を題材に選んだ想定の架空の作例です。品質管理の例文はコンクリートに寄りがちですが、仕上げの工種でも②と③はしっかり書けます。改修を選ぶと、ハ.工事の内容の並びが新築と変わる点も、この作例で確認できます。
作例2の工事概要
| 項目 | 記入の作例 |
|---|---|
| イ.工事名 | 〇〇ビル改修工事 |
| ロ.工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇町 |
| ハ.工事の内容 | 事務所、鉄骨鉄筋コンクリート造 地上〇階 延べ面積〇〇〇㎡、主な改修内容及び施工数量:屋上防水改修(既存防水層撤去のうえウレタンゴム系塗膜防水)〇〇〇㎡、外壁目地シーリング打替え 〇〇〇m、〇階事務室 床ビニル床タイル張替え 〇〇〇㎡ |
| ニ.工期等 | 令和〇年〇月〜令和〇年〇月 |
| ホ.あなたの立場 | 現場代理人 |
| へ.あなたの業務内容 | 改修工事全般の施工管理(防水・シーリング・内装工事の品質管理、建物管理者との作業調整) |
1.事例1 屋上の塗膜防水
① 防水工事(屋上 ウレタンゴム系塗膜防水)
② 塗膜の厚さが部分的に不足し、防水層として必要な性能が確保できない不具合。この屋上は既存の架台やルーフドレン周りの入り組んだ部分が多く、平場と同じ調子で塗り進めると、入隅や立上りで塗り残しと薄塗りが起きやすいと考えた。
③ 屋上を区画に分けて区画ごとの面積から必要な材料の使用量を出し、作業の終わりに区画ごとの使用済みの缶の数を数えて、施工計画書で定めた使用量に達しているかを確かめた。その際、入隅・立上り・ドレン周りは平場より先に塗らせて塗り重ねの回数を区画図に記入させ、使用量の確認は防水業者の職長と毎日一緒に行ったことに特に留意した。
1.事例2 外壁目地のシーリング
① シーリング工事(外壁目地のシーリング打替え)
② 打ち替えたシーリング材が被着面から剥がれる接着不良。既存シーリング材を撤去したあとの目地に旧材やプライマーの残りがあること、また雨の翌日に被着面が湿ったまま施工に入ることが重なると、新しいシーリング材が付かないと考えた。
③ 既存シーリング材の撤去後、目地ごとに被着面を確認して、旧材が残っている箇所は再撤去と清掃をさせてからプライマーを塗らせた。雨の翌日は被着面の乾燥を確かめてから作業に入らせた。その際、プライマーを塗ってから充填するまでの時間が施工要領書の範囲に収まるよう、その日に充填まで終えられる目地の長さに区切ってプライマー塗りの範囲を決めたことに特に留意した。
1.事例3 事務室の床タイル
① 内装工事(事務室の床 ビニル床タイル張替え)
② 張り上げた床タイルに目違いや浮きが出る不具合。既存床材を撤去すると下地のモルタルが部分的に欠け、旧接着剤も残るため、そのまま張ると下地の凹凸がタイルの表面に出て、接着も不十分になると考えた。
③ 既存床材の撤去後に下地を全面歩いて確認し、欠けた部分は下地調整材で補修させ、残った旧接着剤は削り取らせてから張付けに入らせた。張付け後はローラーで圧着させた。その際、補修した範囲をチョークで床に示し、補修材が乾いたことを確かめた範囲から張付けを進めるよう、翌日以降の張付け範囲を内装業者と日ごとに決めたことに特に留意した。
改修の3事例は、既存との取り合いの違いで分けた
改修の品質管理は、既存の状態をどう扱うかが不具合の出どころになりやすい工事です。作例2の②は、3事例とも「既存を撤去したあと」「既存が入り組んでいる」という改修ならではの事情を理由に置きました。新築の作例1が打込みの1日のなかで場所を分けたのに対して、作例2は既存との取り合いの違いで不具合を分けています。
③の留意したことは、3事例とも「行ったことが崩れやすい場面」に向けています。事例1は毎日の確認を業者と一緒にやること、事例2はプライマーから充填までの時間、事例3は補修材の乾き待ちです。行ったことを書いたあとに、それが現場で崩れるとしたらどこかを考えると、留意したことの欄が行ったことの言い直しになりにくくなります。
工事概要のハ.は、改修等の並びの「建物用途,建物規模,主な改修内容及び施工数量」で書いています(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。新築等の並びにある「主な外部仕上げ」「主要室の内部仕上げ」の欄を、改修の答案で埋めようとして手が止まる人は、この並びの違いを見落としていないかを確かめてください。
受検種別「躯体」の作例:鉄骨造の新築で、①を3つとも鉄骨工事にした3事例
3本目は、躯体で受検する人が、鉄骨造の店舗の新築を題材に選んだ想定の架空の作例です。この作例では①を3事例とも鉄骨工事にしました。令和4年度の1.は「①は同一でもよいが,あなたの受検種別に係る内容とし,②及び③はそれぞれ異なる内容とする。」としているので(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)、担当した工種が1つに偏っていても、作業を分ければ3事例を立てられます。
作例3の工事概要
| 項目 | 記入の作例 |
|---|---|
| イ.工事名 | (仮称)〇〇店舗新築工事 |
| ロ.工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇町 |
| ハ.工事の内容 | 物販店舗、鉄骨造、地上〇階、延べ面積〇〇〇㎡、外部仕上げ:外壁 押出成形セメント板張り、屋根 金属板葺き、主要室の内部仕上げ:売場 床 長尺塩ビシート張り、壁 せっこうボード下地塗装、天井 化粧せっこうボード張り |
| ニ.工期等 | 令和〇年〇月〜令和〇年〇月 |
| ホ.あなたの立場 | 工事係 |
| へ.あなたの業務内容 | 基礎・鉄骨工事の施工管理(鉄骨の製作から建方・接合までの品質管理、鉄骨製作工場との打合せ) |
1.事例1 アンカーボルトの据付け
① 鉄骨工事(柱脚のアンカーボルトの据付け)
② アンカーボルトの位置や高さがずれ、柱を建てたときにベースプレートの孔と合わず、柱が正しい位置に据わらない不具合。アンカーボルトの据付けから基礎コンクリートの打込みまでの間に、配筋作業や打込み時の振動でボルトが動くおそれがあると考えた。
③ アンカーボルトを鋼製の固定用架台で捨てコンクリートに固定して保持させ、基礎の配筋とは縁を切ったうえで、打込み前に通り芯からの位置と天端の高さを測定して、施工計画書で定めた管理値に収まっていることを柱ごとに記録した。その際、打込み時に棒形振動機をアンカーボルトに当てないよう打込み前の打合せで作業員に指示し、打込み後にも位置と高さを測り直して、ずれがないことを確かめてから建方の日程を確定したことに特に留意した。
1.事例2 建方の建入れ
① 鉄骨工事(鉄骨の建方と建入れ直し)
② 柱の倒れが残ったまま本締めされ、建物の建入れの精度が確保できない不具合。建方を一方向から順に進め、先に建てた区画の本締め前に次の区画を継いでいく計画だったため、仮ボルトの段階で狂った建入れがそのまま固定されると考えた。
③ 建方の区画ごとに建入れ直しを行わせ、柱の倒れを測定して施工計画書で定めた管理値に収まったことを確かめてから、その区画の本締めに進ませた。その際、建入れ直しに使ったワイヤーを本締めが終わるまで外させず、柱ごとの測定結果を記録表に記入させ、本締めのあとにも測り直したことに特に留意した。
1.事例3 高力ボルトの本締め
① 鉄骨工事(高力ボルト接合の締付け)
② 本締めの漏れや締付け不足の高力ボルトが残り、接合部が設計で想定した状態にならない不具合。接合部の数が多く、締付けが複数日にまたがる計画だったため、どこまで締め終えたかが分からなくなると考えた。
③ 1次締めのあと全数にマーキングをさせ、本締めのあとにマークのずれ方で共回りや軸回りがないことと、ピンテールが破断していることを全数目視で確認した。その際、締付けを終えた接合部を作業日ごとに色を変えて図面に記入させ、日をまたいでも未締めの接合部が図面上で一目で分かるようにしたことに特に留意した。
①を同じにした3事例は、建方の前・最中・後で分けた
①を同じ鉄骨工事にした分、②は作業の段階で分けています。事例1は建方の前(据付け)、事例2は建方の最中(建入れ)、事例3は建方のあと(接合)です。①が同じでも、②の不具合と③の手が段階ごとに別物なので、3事例が同じ話の言い換えに見えることはありません。
3事例とも、③の測定や確認の基準は「施工計画書で定めた管理値」と書き、具体の数値は入れていません。作例は架空の工事なので、数値を入れると根拠のない値を答案の形で見せることになるためです。問題文が③に求めているのは、行ったことが「具体的に記述」されていることで(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)、数値を書く欄や数値を書けという指示は1.にはありません。自分の答案で数値を書くなら、自分の現場の設計図書や施工計画書で確かめられる値に限るのが安全です。
鉄骨の品質管理は、製作工場での検査も題材になりますが、作例3では現場で自分が確かめた作業に絞りました。1.は「あなたが担当した工種において」取り組んだ事例を問うているので(同 p.2)、へ.あなたの業務内容に書いた範囲と事例が食い違わないようにしておくと、答案全体の筋が通ります。
※以下はPR(アフィリエイト広告)を含みます。
【PR】①②③の書き分け方はそろえても、工種が変わるたびに一から組み立てていないか
3本の例文で書き分け方が分かっても、受検種別や工種が変わるたびに材料を一から探すのは時間がかかります。独学サポート事務局の受験対策講座という選択肢もあります。
- 「設計図書どおりに施工した」から、どこまで具体的に書けば足りるか分からない
- 数値を書くと間違えそうで、書かない方が安全か迷う
- 仕上げ工事の品質管理の例文が手元に少ない
2.は着手時と施工中・完了時で切る:作例1の工事で書いた2組と、1.から外した材料
2.は、自分の工事から一度離れて書く問いです。問題文は「工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず,あなたの今日までの建築工事の経験を踏まえて,施工の品質を確保するために確認すべきこととして,次の①から③をそれぞれ2つ具体的に記述しなさい。」です(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。さらに「②及び③は「設計図書どおりであることを確認した。」等確認した内容が具体的に記述されていないものや1.の②及び③と同じ内容を記述したものは不可とする。」と付いています(同 p.2)。
「受検種別にかかわらず」とあるので、2.は自分の受検種別の外の工種でも書けます。ただ、問題1の柱書には「なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。」と置かれていて(同 p.2)、2.も「建築工事の経験を踏まえて」と書いています。作例では、設備の工種は2.でも選んでいません。
以下は、作例1(RC造共同住宅の新築)を書いた人が2.を答える想定の架空の作例です。1.で書いた型枠・鉄筋・コンクリート打重ねの話と重ならないよう、1組目は1.に出てこない工種、2組目は1.と同じコンクリートでも別の段階を選びました。
2.の1組目 外壁のタイル張り
① タイル工事(外壁 磁器質タイル張り)
② 着手時に、張付け面となる躯体コンクリートの表面に、汚れや型枠の剥離剤、ぜい弱な層が残っていないか、下地の不陸が施工計画書で定めた範囲に収まっているかを確認する。理由は、下地面の状態が悪いと張付けモルタルの付着が落ち、張り上げたあとのタイルの浮きや剥落につながるためである。
③ 施工中又は完了時に、張付けが終わった面をテストハンマーで打診し、浮きのある箇所がないかを確認する。理由は、タイルの浮きは外から見ても分からず、足場を解体したあとでは確かめる手段が限られるためである。
2.の2組目 レディーミクストコンクリートの受入れ
① コンクリート工事(レディーミクストコンクリートの受入れ)
② 着手時に、到着した生コン車の納入書に記載された配合と数量が、施工計画書で定めた発注内容と一致しているかを、打込みを始める前に確認する。理由は、違う配合のコンクリートを打ち込んでしまうと、打ち込んだ後から取り除くことが難しいためである。
③ 施工中に、施工計画書で定めた頻度で受入れ検査を行い、スランプ・空気量・コンクリート温度・塩化物量の試験結果が、施工計画書で定めた範囲に収まっていることを確認する。理由は、同じ工場から届くコンクリートでも運搬時間や気温で性状が変わり、打込みの途中で品質が外れることがあるためである。
1.と2.で材料をどう分けたか
1.と同じ内容を書くと不可になるので、作例では書く前に1.の3事例と2.の2組を並べ、工種と段階が重なっていないかを確かめました。下の表がその跡です。
| 設問 | 工種 | 扱った段階 | 確認や対策の中身 |
|---|---|---|---|
| 1.事例1 | 型枠工事 | 打込み前日〜打込み当日 | 組み直した締付け金物の照合、当日のはらみの監視 |
| 1.事例2 | 鉄筋工事 | 配筋検査〜打込み中 | 上端筋の高さ、歩み板と鉄筋工の常駐 |
| 1.事例3 | コンクリート工事 | 打込み中 | 打重ね時間の記録、出荷間隔の調整 |
| 2.1組目 | タイル工事 | 張付け前/張付け後 | 下地面の状態、打診による浮き |
| 2.2組目 | コンクリート工事 | 荷下ろし前/受入れ中 | 納入書の配合と数量、受入れ検査 |
2組目は1.の事例3と同じコンクリート工事ですが、1.で扱ったのは打ち込んでいる最中の層の重ね方で、2.で扱ったのは現場に届いたコンクリートそのものの確認です。問題文も2.の①について「①は同一でもよいが,②及び③はそれぞれ異なる内容とする。」としているので(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)、工種が重なること自体より、②③の中身が1.と別になっているかを見ておくほうが大事です。
着手時と施工中又は完了時の違いは、確認する対象が「これから手を付けるもの」か「手を付けている最中か、終わったもの」かで分けると迷いにくくなります。1組目の②は張る前の下地、③は張ったあとのタイル。2組目の②は荷下ろし前の納入書、③は受け入れている最中のコンクリートです。
- ②着手時:これから手を付ける下地・材料・書類の状態を確かめる
- ③施工中又は完了時:作業中の状態や、仕上がったものを確かめる
- 理由の欄:確かめないと何が起き、後から何が難しくなるかを書く
- 1.との重複:工種が同じなら段階を変え、確認の中身まで別にする
③が「設計図書どおり」で終わらないように、9つの③に何を置いたか
1.の③には、はっきりした不可の条件があります。「③の行ったことは「設計図書どおりに施工した。」等行ったことが具体的に記述されていないものや品質管理以外について記述したものは不可とする。」(「令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。条件が問題にしているのは「具体的に記述されていない」ことなので、設計図書という言葉を使うこと自体が悪いわけではありません。作例1の事例2の②でも「設計図書に定められた上端筋の位置」と書き、基準がどこにあるかを示すために使っています。
作例の9つの③を、何を・いつ・どうやって確かめたか、で並べ直すと次のとおりです。
| 作例と事例 | 行ったことの対象 | いつ | どうやって確かめたか |
|---|---|---|---|
| 作例1-1 | 組み直した範囲の締付け金物とサポート | 打込みの前日 | 型枠加工図と1か所ずつ照合 |
| 作例1-2 | スラブ上端筋の高さ | 打込み前の配筋検査 | 高さを測って検査記録に残す |
| 作例1-3 | 各層の打込み開始時刻 | 打込み中 | 係員が記録し、限度に近い区画から打ち重ねる |
| 作例2-1 | 区画ごとの材料の使用量 | 毎日の作業の終わり | 使用済みの缶の数を数える |
| 作例2-2 | 目地ごとの被着面 | 撤去後・雨の翌日 | 旧材の残りと乾燥を目で確かめる |
| 作例2-3 | 撤去後の床下地 | 張付けの前 | 全面を歩いて欠けと旧接着剤を探す |
| 作例3-1 | アンカーボルトの位置と天端の高さ | 打込みの前と後 | 通り芯から測定して柱ごとに記録 |
| 作例3-2 | 柱の倒れ | 本締めの前と後 | 測定して記録表に記入 |
| 作例3-3 | 高力ボルトのマークとピンテール | 本締めのあと | 全数を目視 |
9つとも、対象・時点・確かめ方の3つが文の中に入っています。「設計図書どおりに施工した。」という文には、このうちどれも入っていません。自分の③を書き終えたら、この3つが読み取れるかどうかを見るだけで、具体性が足りているかの見当がつきます。
「行ったこと」と「特に留意したこと」が同じ話になる悩みは、③の後半を「行ったことが現場で崩れそうな場面への備え」にすると解けやすくなります。作例1-1なら、行ったことは前日の照合と金物の追加で、留意したことは当日のはらみに備えた型枠大工の配置です。作例3-2なら、行ったことは建入れ直しと測定で、留意したことは本締めまでワイヤーを外させなかったことです。どちらも、前半の手が効かなくなる場面を後半で塞いでいます。
写真や試験成績書で確認した、と書けば具体的になるかというと、それだけでは足りないと僕は見ています。写真は確かめた結果を残す手段で、何を確かめたかは別に書く必要があるからです。作例2-1では、行ったことを使用量の確認として書き、記録はその後ろに置きました。記録の手段を主役にせず、確かめた中身を主役にしておくほうが、③の文としての具体性は保ちやすいはずです。
数値を書くと間違えそうで怖い、という声もよく聞きます。作例3の後で触れたとおり、令和4年度の1.と2.の問題文が求めているのは具体的な記述で、数値の記入を指定する文言はありません(同 p.2)。数値を入れるかどうかで迷うより、対象・時点・確かめ方が入っているかを先に見るほうが、③の手直しとしては効きます。
令和6年度の2.と令和7年度の不可条件へ、作例の材料をどこまで持ち越せるか
令和6年度・令和7年度の問題1は、柱書に品質管理の名前がありません。それでも品質に触れる設問や条件は残っていて、作例の材料が関わる場所があります。どの年度の問題でも、作例をそのまま写せば通るという話ではない点は先に断っておきます。
令和6年度の2.は「施工計画時における「品質低下」及び「公衆災害」の防止について,それぞれ①及び②を具体的に記述しなさい。」で、①は「品質低下及び公衆災害を防止するため,施工計画時に検討することとその理由」、②は「品質低下及び公衆災害を防止するための対策と実施に当たって留意すべき事項」です(「令和6年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。令和3年度の2.も「「品質低下の防止」及び「工程遅延の防止」について」、①施工の計画時に検討することとその理由、②防止対策とそれに対する留意事項を問うていました(「令和3年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。
作例の②の「そう考えた理由」と、③の「行ったこと」「特に留意したこと」は、この①②の品質低下の側に近い材料です。ただし時制と時点が違います。令和4年度の③は実際に行ったことを過去形で書く欄でしたが、令和6年度の2.と令和3年度の2.①は施工計画時に検討すること、つまり着手前の段階の話として書く欄です。作例1-3の打重ねの話を持ち込むなら、「打込み区画と順序を施工計画の段階で決めておく」という前倒しの形に書き直す必要があります。
令和7年度は、1.の不可条件に「品質が低下するような変更に関する内容」が入っています(「令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題」p.2)。遅延防止の答案を書くときに、作例の③に出てくる照合・測定・乾燥待ちのような手は、削ったり省いたりする対象として書かないほうがよい材料だと読めます。品質の例文の材料は、令和7年度では書く側ではなく、書かない側の線を引くのに使える、という関わり方です。
年度ごとに品質管理がどこに置かれてきたかを順に追いたい場合は、品質管理の出題位置を年度別に並べた記事で扱っています。令和6年度の施工計画の設問そのものは施工計画の9項目を読み解いた記事に、令和7年度の形で工程の例文を書いたものは工程管理の例文3本の記事にまとめています。
3本の作例で埋めた令和4年度の枠をふりかえる
- 枠:令和元年度〜令和7年度で柱書に品質管理が名指しされたのは令和4年度。工事概要イ〜ヘ、1.の事例3つ、2.の確認事項2つで1枚の答案になる
- 作例1(建築):RC造共同住宅の新築。型枠・鉄筋・コンクリートの不具合を、打込みの1日のなかで場所を分けて立てた
- 作例2(仕上げ):事務所ビルの改修。防水・シーリング・床の不具合を、既存との取り合いの違いで分けた
- 作例3(躯体):鉄骨造の新築。①を3つとも鉄骨工事にして、据付け・建入れ・接合の段階で分けた
- 2.:着手時はこれから手を付けるもの、施工中又は完了時は作業中か仕上がったものを確かめる。1.とは工種か段階を変え、中身まで別にした
- ③の具体性:対象・時点・確かめ方の3つを文に入れた。数値は設計図書・施工計画書という所在で書いた
- 令和6年度・令和7年度:令和6年度と令和3年度の2.には計画時の形に直して関わり、令和7年度では品質を落とす変更を書かない線引きに関わる
以上が、令和4年度の枠で書いた品質管理の例文3本のまとめです。
例文を読み終えたときに見てほしいのは、文面よりも、1事例あたりにどれだけの事情と手が詰まっているかという密度のほうです。自分の現場を思い出して、②に「この現場だからそう考えた」という事情が1つ入り、③に対象と時点と確かめ方が入るなら、例文と同じ密度の答案はもう書けます。作例の工事と自分の工事は違うので、文面を似せるより、自分の現場の事情でこの密度まで書き込めた答案のほうがずっと強いと思います。
令和4年度の枠が、令和6年度以降の問題1でどこまで姿を変えたのか。その変わり目を年度順に押さえておくなら、問題1の形式変更を年度順に並べた記事が手元にあると迷いません。
