- 手元の例文は「私が担当した工事で〜した」の過去形。今の問題にそのまま使えるの?
- 問Aと問B、例文を見比べてから選びたい
- 運用中の施設の工事なんてほとんどやっていない
- 他業者と同じフロアで作業したくらいで「関連工事と輻輳」って書ける?
- 2つの事項が似てしまう。どこまで違えば重複しないことになるの
- ヘルメットや安全帯の話は書いたら点にならない?
- 旧形式の例文を今の形に直すには、どこを変えればいい?
- 例文の現場を自分の現場に置き換えるやり方が分からない
上記の様な悩みを解決します。
結論から言うと、例文で練習するなら令和7年度の問題1の形に合わせるのが近道で、中身は「留意すべき事項とその理由」の2組と、事項ごとの「とるべき対策又は処置」でできています。この記事では、問A(施設等が運用中で大勢の来客がある現場)の例文、問B(関連工事と輻輳する現場)の例文、令和5年度までの形で書いた例文の3本を並べ、旧形式の例文を令和7年度の形へ直す手順まで示します。
問Aの「運用中で大勢の来客」と問Bの「関連工事と輻輳」、どちらの場面なら自分の現場の記憶で書けるのかは、実際に書かれた答案の形を見てみないと判断しにくいんですよね。そこで問A・問Bの例文をそれぞれ用意し、各文が問題文のどの語に答えているかを文ごとに注記しました。この記事では、1つの経験を旧形式とR7形式の両方で書いたときの差分と、重複しないことの対象が年度で広がった条件に3本を当てた点検まで踏み込みます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、過去形の例文を何本も持っているのに今の形で1行目が書けない、という方でも読み進めやすいかなと思います。
それではいってみましょう!
R7の問題1で例文に求められる形:場面指定・2つの事項・事項ごとの対策
令和7年度の問題1は、場面を問題文が指定し、その場面で「留意すべき事項とその理由」を2つ、事項ごとに「とるべき対策又は処置」を書かせる設問です。「留意すべき」と「留意した」で何が違うのかという疑問は、この語尾にそのまま答えがあります。令和元年度から令和5年度までの問題1は「あなたが留意した事項」「あなたがとった対策又は処置」という過去形で、自分が担当した工事で実際にあったことを書く形でした(令和5年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))。
令和7年度の問題文は、まず「問題1.次の問A又は問Bのどちらかを選択して答えなさい。」と始まります。問Aは「(問A) あなたの電気工事の経験を踏まえ,施設等が運用中で大勢の来客がある現場の電気工事において,安全管理上あなたが留意すべき事項とその理由について,2つ具体的に記述しなさい。そのうえで,適切な安全管理を実施するために,あなたがとるべき対策又は処置について,その事項ごとに具体的に記述しなさい。」、問Bは「(問B) あなたの電気工事の経験を踏まえ,関連工事と輻輳する現場における電気工事において,安全管理上あなたが留意すべき事項とその理由について,2つ具体的に記述しなさい。そのうえで,適切な安全管理を実施するために,あなたがとるべき対策又は処置について,その事項ごとに具体的に記述しなさい。」です(令和7年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))。
同じ問題1には条件が2つ付いています。「解答する2項目の記述については,留意すべき事項とその理由,対策又は処置の内容は重複しないこと。」と、「なお,保護帽の着用のみ又は要求性能墜落制止用器具(安全帯)の着用のみの記述については配点しない。」です(同 問題1(問題冊子−2−))。工事概要を書く欄がR7には無いのかという点は、そのとおりで、令和6年度と令和7年度の問題1には工事名や工期を書かせる1−1がなく、問A・問Bの選択式だけになっています。
この記事の例文は、問題文の語を次の順で文に割り当てて組んでいます。例文を読むときも、この割り当てを頭に置いておくと、どの文がどの語の受け皿なのかが追いやすくなります。
- 「留意すべき事項」=誰が、何によって、どう被災しうるかを1文で名指しする
- 「その理由」=問A・問Bの場面の語(運用中・大勢の来客・関連工事・輻輳)を1つ持ち込んで、なぜその場面で起きるのかを書く
- 「とるべき対策又は処置」=作業に入る前に決めておく段取りを書く
- 「具体的に」=当日、誰がどの時点で何を確かめるかまで書く
- 「その事項ごとに」=事項1には事項1の対策、事項2には事項2の対策だけを書き、混ぜない
何行書けばよいかについては、令和7年度の問題1の問題文に字数や行数の指定は書かれていないので、この記事の例文も1組を「事項1文・理由1文・対策2文」程度にそろえるだけにとどめました。令和8年度の形がどうなるかも問題文からは分からないので、旧形式でもR7形式でも使える材料として3本目に令和5年度までの形を置いています。場面の言葉から事項を拾う手順そのものは、2級電気の安全管理の答案の組み立て方をまとめた記事で扱っているので、ここからは例文の中身に絞ります。
例文1:問A(施設等が運用中で大勢の来客がある現場)
1本目は問Aに答える例文です。「運用中の施設の工事なんてほとんどやっていない」という方でも、営業を続けている店舗やビルの一角で改修をした経験があれば、この場面に当てはまります。以下は、営業を続ける商業施設の中でテナント区画の照明とコンセントの回路を改修する電気工事、という架空の例です。実在の施設や工事をもとにしたものではありません。各文の直後の〔 〕は、その文が問題文のどの語に答えているかの注記です。
事項1:送電中の回路での作業員の感電
留意すべき事項の1つ目は、分電盤の改修作業中に、作業員が送電中の回路の充電部に触れて感電することである。〔「留意すべき事項」:被災する人=作業員、災害=感電〕
施設が運用中で営業を止めずに工事を進めるため、同じ盤の中に停電できない回路が残り、停電した回路と送電中の回路が隣り合った状態で作業することになるからである。〔「その理由」:「施設等が運用中」を持ち込んだ文〕
対策として、作業の前日までに施設の管理者と、停電する回路と送電を続ける回路を1回路ずつ確定させ、送電を続ける回路の配線用遮断器と配線に表示を付け、その充電部を絶縁シートで覆っておく。〔「とるべき対策又は処置」:作業前の段取り〕
作業当日は、停電させた回路を検電器で検電し、無電圧であることを自分が立ち会って確かめてから作業員に着手させる。〔「具体的に」:誰が・いつ・何を確かめるか〕
事項2:工事区画の脇を通る来客の負傷
2つ目は、工事区画の近くを通る来客が、脚立の上から落ちた工具や材料に当たったり、通路に出た仮設の配線につまずいたりして負傷することである。〔「留意すべき事項」:被災する人=来客、災害=飛来落下・転倒〕
大勢の来客が工事区画のすぐ脇の通路を行き来しており、来客は工事の中身も危ない場所も知らないまま区画に近づくからである。〔「その理由」:「大勢の来客」を持ち込んだ文〕
対策として、天井内の作業範囲の真下を含めて区画を仮囲いで囲い、出入口を1か所に絞って作業中は閉じておく。〔「とるべき対策又は処置」:作業前の段取り〕
仮設の配線は来客の通る通路を横断させず区画の内側の壁際を通し、資材の搬入は来客の少ない開店前の時間帯に限って、搬入の間は自分が通路側に立って来客を区画から離す。〔「具体的に」:どこを通し、いつ、誰が立つか〕
読み返すと、事項1は作業員の側、事項2は来客の側に被災する人を分けてあります。理由も、事項1は「運用中」、事項2は「大勢の来客」と、問Aの場面の語を1つずつ別々に受け持たせました。問Aの場面は「運用中」と「大勢の来客」の2語でできているので、2組にそれぞれ1語を割り振る組み方が、僕はいちばん崩れにくいと思っています。
例文2:問B(関連工事と輻輳する現場)
2本目は問Bに答える例文です。「他業者と同じフロアで作業したくらいで書けるのか」と迷う方は多いと思いますが、問Bの問題文が指定しているのは「関連工事と輻輳する現場における電気工事」という場面だけで、どの程度の規模の輻輳かは書かれていません(令和7年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))。以下は、工場の一区画で動力設備の配線を更新する電気工事で、同じ区画で空調設備工事と内装工事が並行している、という架空の例です。こちらも実在の工事をもとにしたものではなく、〔 〕は問題文のどの語に答えているかの注記です。
事項1:上下で重なった作業での飛来落下
留意すべき事項の1つ目は、高所作業車の上でケーブルラックを取り付けている間に、ボルトや部材が落下して、下で作業する他業者の作業員に当たることである。〔「留意すべき事項」:被災する人=他業者の作業員、災害=飛来落下〕
関連工事である空調設備と内装の作業員が、同じ区画の床面で並行して作業しており、電気工事の高所作業と上下で重なる時間帯が生じるからである。〔「その理由」:「関連工事」を持ち込んだ文〕
対策として、前日の作業調整の打合せで関連工事の各社の責任者に、ケーブルラックを取り付ける範囲と時間帯を示し、その範囲の床面では他業者が作業しない区分を決めておく。〔「とるべき対策又は処置」:作業前の段取り〕
当日は取付け範囲の真下をカラーコーンとバーで立入禁止にし、地上に監視する者を置いて、他業者が範囲に入ろうとしたら上の作業を止めさせる。〔「具体的に」:当日の区画と、止める判断を誰がするか〕
事項2:送電の予定を知らない他業者の感電
2つ目は、送電の予定を知らない他業者の作業員が、送電を始めた電路の末端にある盤や器具の近くで作業して感電することである。〔「留意すべき事項」:被災する人=他業者の作業員、災害=感電〕
複数の工事が輻輳して工程が日ごとに入れ替わるため、電気工事の送電の予定が関連工事の作業員一人ひとりまで届かないまま、同じ電路の近くで作業が続くからである。〔「その理由」:「輻輳」を持ち込んだ文〕
対策として、送電する日時と範囲を書いた掲示を区画の出入口と対象の盤の前に出し、送電を始めた盤には送電中の表示を付けて扉を施錠する。〔「とるべき対策又は処置」:作業前の段取り〕
送電の直前には、自分が末端の盤と器具の周りを回って他業者の作業員が残っていないことを確かめ、確かめた後に送電の操作をさせる。〔「具体的に」:送電の前に誰が何を確かめるか〕
「高所作業車や脚立の話ばかりになる」という悩みに対しては、事項1の書き方が1つの答えになります。高所作業車は出てきますが、事項の中心は車両の扱いではなく、関連工事の作業員が真下にいるという上下の重なりのほうに置いてあります。事項2で感電を選んだのも、事項1が飛来落下なので災害の種類をずらすためです。2つとも感電にしてよいかという点は、後の節で重複の条件と照らして見ます。
問Bの例文を自分の現場に置き換えるときに入れ替えるのは、主に3か所です。空調設備と内装という関連工事の名前、ケーブルラックという自分の作業、そして送電という電気工事ならではの段取りです。関連工事の名前を建築や衛生に替えても、上下の重なりと送電の予定の伝わり方という骨組みはそのまま使えます。一方で、関連工事の作業そのものを答案の主役にしてしまうと、問題文の「電気工事において」から外れていくので、主語はいつも自分の電気工事の管理に置いておくのが無難です。
例文3:R5までの形(1−1・1−2)で書いた例と、R7の形への直し方
3本目は、令和5年度までの問題1の形で書いた例文です。手元にある例文が「私が担当した工事で〜した」という過去形ばかりで、今の問題に使えるのか不安な方は、ここで旧形式と新形式の差を1本の例で確かめられます。令和5年度の問題1は、1−1で経験した電気工事の6項目を書かせ、1−2で「上記の電気工事の現場において,安全管理上,あなたが留意した事項とその理由を2つあげ,あなたがとった対策又は処置を留意した事項ごとに具体的に記述しなさい。ただし,対策又は処置の内容は重複しないこと。」と求めていました(令和5年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))。6項目の1−1は令和元年度から令和5年度まで毎年あり、令和6年度と令和7年度の問題1にはありません。
以下は、例文1と同じ架空の経験を、令和5年度までの形で書いた例です。工事名や場所は伏せ字にしてあり、実在の工事ではありません。まず1−1の6項目です。
- (1) 工事名:◯◯ビル 店舗区画改修電気設備工事
- (2) 工事場所:◯◯県◯◯市
- (3) 電気工事の概要:営業中の商業施設内の店舗区画における分電盤の更新、照明器具の交換、コンセント回路の改修
- (4) 工期:令和◯年◯月〜令和◯年◯月
- (5) この電気工事でのあなたの立場:電気工事業者の現場代理人
- (6) あなたが担当した業務の内容:施工管理(安全管理・工程管理・品質管理)
続いて1−2です。〔 〕は令和5年度の問題文のどの語に答えているかの注記です。
1つ目として、分電盤の更新作業における作業員の感電に留意した。〔「留意した事項」〕営業中の店舗であり、停電できない回路が盤内に残ったためである。〔「その理由」〕対策として、停電する回路と送電を続ける回路を事前に施設の管理者と確認し、送電中の回路に表示を付け、作業前に検電を行わせた。〔「とった対策又は処置」〕
2つ目として、工事区画の周辺を通る来客の負傷に留意した。〔「留意した事項」〕営業中の店舗であり、工事区画の脇を来客が通行したためである。〔「その理由」〕対策として、区画を仮囲いで囲い、仮設の配線を通路に出さないようにした。〔「とった対策又は処置」〕
R7の形へ直すときに変える4つの点
この旧形式の例文を令和7年度の問Aの形に直したものが、例文1です。並べて読むと、手を入れた箇所は4つあります。
1つ目は、1−1に預けていた場面の情報の置き場所です。旧形式では「営業中の商業施設内の店舗区画」という前提を1−1の(3)に書いておけば、1−2はそれを「上記の電気工事の現場において」で受けるだけで済みました。令和7年度には1−1が無いので、工事名・工事場所・工期は答案から消え、場面の情報は問Aの語である「施設等が運用中」「大勢の来客」に言い換えて、理由の文の中に入れ直しています。工事名や工期を覚えていっても、問A・問Bの答案には書く場所がありません。
2つ目は時制と文の閉じ方です。「感電に留意した」「検電を行わせた」という過去形の報告を、「感電することである」「確かめてから着手させる」という、これからとる手順の形に変えました。事項の文も「〜に留意した」で閉じるのをやめ、誰がどう被災しうるかを「〜することである」で言い切る形にしています。過去形を現在形に置き換えるだけでなく、事項の文に被災する人と災害の中身を書き足すのが要点です。
3つ目は理由の書き分けです。旧形式の例文は、2つの理由がどちらも「営業中の店舗であり」で始まっています。令和7年度の例文1では、1つ目の理由に「運用中」、2つ目の理由に「大勢の来客」を持たせ、同じ前置きで2つの理由を始めるのをやめました。なぜここを直す必要があるのかは、次の節で条件文を並べて確かめます。
4つ目は対策の書き込みの深さです。旧形式の「作業前に検電を行わせた」は、例文1では「自分が立ち会って確かめてから作業員に着手させる」まで書き、「仮設の配線を通路に出さないようにした」は「区画の内側の壁際を通し」と通す場所まで書きました。問A・問Bの問題文は対策又は処置を「具体的に記述しなさい」と求めているので、誰が・どこで・どの時点で、が読み取れるところまで書いておくのが安全だと僕は考えています。
例文をそのまま覚えて書いてよいのかという点について、問題文にあるのは「あなたの電気工事の経験を踏まえ」という書き出しです。この記事の3本は架空の設定なので、覚えて使うなら、例文の施設・盤・関連工事の名前を自分の現場で実際に見たものに入れ替え、〔 〕の注記の役割だけを残すのが置き換えのやり方になります。入れ替えた後に、理由の文に場面の語が残っているか、対策の文に「誰が確かめるか」が残っているかを見れば、骨組みが崩れていないか確かめられます。令和6年度から問題1の形がどう変わったかの全体像は、令和5〜7年度の問題冊子で2級電気の問題1を見比べた記事にまとまっています。
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例文の場面を自分の現場に置き換えて、事項・理由・対策が重ならない2組をそろえる作業は、一人で何度も繰り返すと時間がかかります。施工管理技士の受験対策講座という選択肢もあります。
- 旧形式の過去形の例文しか手元に無く、R7の問A・問Bの形で書けるか不安
- 2組の事項と理由が似てしまい、重複しないことの条件に触れていないか判断しにくい
- 運用中の施設や輻輳する現場の経験が少なく、場面に合う材料が集まらない
「重複しないこと」の対象は年度で広がった:3本の例文を重複の目で点検する
2つの事項がどこまで違えば「重複しない」ことになるのかは、年度によって問題文が指している範囲が違います。安全管理が問題1で問われた年度の条件文を、古い順に並べると次のとおりです。
- 令和元年度・令和3年度:「ただし,対策の内容は重複しないこと。」(出典:令和3年度は2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題の問題1(問題冊子−2−)、令和元年度は当時の2級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題の問題1(問題冊子−2−))
- 令和5年度:「ただし,対策又は処置の内容は重複しないこと。」(令和5年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))
- 令和7年度:「解答する2項目の記述については,留意すべき事項とその理由,対策又は処置の内容は重複しないこと。」(令和7年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))
令和7年度の条件文は、対策又は処置に加えて「留意すべき事項とその理由」まで重複しないことの対象に入れています。例文に当てはめると、2組の間で見比べる箇所が、令和5年度までの1か所(対策)から、令和7年度は3か所(事項・理由・対策)に増えたということです。この3か所を、3本の例文で1つずつ確かめていきます。
例文1は、事項が作業員の感電と来客の負傷、理由が「運用中」と「大勢の来客」、対策が回路の確定・表示・検電と、区画の仮囲い・配線の通し方・搬入時間で、事項・理由・対策のどれも重なっていません。例文2は、事項が飛来落下と感電で災害の種類が違い、対策も作業範囲の区分と立入禁止・監視、送電予定の掲示と施錠・送電前の見回りで分かれています。気を付けたのは理由のほうで、どちらも他業者と同じ区画にいることが根にあるので、1つ目は「関連工事」の作業員が真下にいること、2つ目は「輻輳」して送電の予定が届かないことと、問Bの2語を別々に受け持たせて書き分けました。
例文3の旧形式は、ここで引っかかります。対策は1つ目が回路の確認・表示・検電、2つ目が仮囲いと配線で分かれているので、令和5年度の条件文が指している「対策又は処置の内容」の範囲では書き分けができています。ところが理由は、2つとも「営業中の店舗であり」で始まり、前置きがそっくり同じです。令和7年度の条件文は「その理由」も重複しないことの対象に入れているので、この理由の書き方のままR7の答案に持ち込むと、条件に触れるおそれがあります。例文1で理由を「運用中」と「大勢の来客」に分けたのは、この点を直すためでした。
2つとも感電の話でよいかという疑問も、同じ物差しで考えられます。令和7年度の条件文は「留意すべき事項」も重複しないことの対象にしているので、事項を2つとも感電にすると、被災する人や経路を変えても事項が似て見えるおそれが残ります。僕なら、例文1のように被災する人を作業員と来客に分けるか、例文2のように災害の種類を変えるかのどちらかにしておきます。もう1つ、1組の中で理由と対策が同じことの言い換えになっていないかも見ておきたいところです。理由の文は「なぜその場面で起きるのか」、対策の文は「そのために何を決め、誰が何を確かめるか」を書く文なので、理由の文に「〜しなかったから」と対策の裏返しが入っていたら、書き分けが甘くなっている合図です。
着用のみ・附帯工事・問題2−1の語句:例文の中での扱い方の線引き
ヘルメットや安全帯の話を書いたら点にならないのか、という噂は、条件文と照らし合わせると言い過ぎです。令和7年度の問題1は「なお,保護帽の着用のみ又は要求性能墜落制止用器具(安全帯)の着用のみの記述については配点しない。」としていて、配点しないとされているのは「着用のみ」の記述です(令和7年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))。同じ趣旨の一文は、令和元年度には「また,保護帽の着用及び安全帯(要求性能墜落制止用器具)の着用のみの記述については配点しない。」、令和3年度には「なお,保護帽の着用のみ又は安全帯(要求性能墜落制止用器具)の着用のみの記述については配点しない。」、令和5年度には「なお,次のいずれか又は両方の記述については配点しない。」の後に「保護帽の単なる着用のみの記述」「要求性能墜落制止用器具の単なる着用のみの記述」の2行を並べる形で書かれていました(出典はいずれも各年度の問題1(問題冊子−2−)で、令和3年度・令和5年度は2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題、令和元年度は2級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題)。表記は年度で揺れていますが、どの年度も配点しないとしているのは「着用のみ」の記述で、この記事の例文もその線に合わせて書いています。
この記事の3本の例文は、どの対策も保護具の着用を主役にしていません。いちばん保護帽を書きたくなるのは例文2の事項1(飛来落下)ですが、そこでは作業範囲の区分、立入禁止、監視する者を置くことを対策の本体にしました。保護帽に触れたいなら、着用させたで止めず、誰が作業前に確かめるのか、被っていない人がいたら誰が作業を止めるのかまで書けば、着用させただけの記述からは離れます。ただ、どこまで書けば配点されるかは問題文に書かれていないので、保護具は対策の主役にせず、段取りに添える程度にしておくのが無難です。
「附帯工事の話を書いたらダメ」と聞いた方もいると思います。その一文は、令和6年度の問題1の冒頭にあった「ただし,解答は電気工事に附帯する工事を主体に記述しないこと。」で、令和元年度から令和7年度までの問題1の中で、この一文があったのは令和6年度だけです。しかも令和6年度の問題1は安全管理ではなく工程管理の問題でした(令和6年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1(問題冊子−2−))。令和7年度の安全管理の問題1にはこの一文はありませんが、問Aも問Bも場面を「電気工事において」で締めているので、例文2でも空調設備や内装は関連工事として登場させるだけにとどめ、事項と対策の主語は自分の電気工事に置いています。工程管理の年にこの一文が何を指していたかは、2級電気の工程管理の問題文を3回分並べた記事で扱っています。
KYや新規入場者教育の話を問題1に書いてよいのか、問題2と材料がかぶるのでは、という心配もあると思います。問題1が工程管理だった年度には、問題2の2−1で安全管理の語句が出ていました。令和2年度の2−1は「安全管理に関する次の語句の中から2つを選び,番号と語句を記入のうえ,それぞれの内容について2つ具体的に記述しなさい。」で、令和4年度と令和6年度も「2つ選び」と表記が少し違うだけで同じ形です(出典は各年度の問題2(問題冊子−2−)で、令和4年度・令和6年度は2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題、令和2年度は2級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題)。並んだ語句は次のとおりです。
- 令和2年度:危険予知活動(KYK)、安全施工サイクル、新規入場者教育、酸素欠乏危険場所での危険防止対策、高所作業車での危険防止対策、感電災害の防止対策
- 令和4年度:安全パトロール、ツールボックスミーティング(TBM)、飛来落下災害の防止対策、墜落災害の防止対策、感電災害の防止対策、新規入場者教育
- 令和6年度:危険予知活動(KYK)、安全施工サイクル、感電災害の防止対策、安全パトロール、墜落災害の防止対策、新規入場者教育
準備する材料の引き出しは1つで構いません。変えるのは、出すときの形です。2−1は語句そのものの内容を2つ書く形で、場面の指定も理由もないので、同じ材料を「活動の中身」(何をする活動か、どう進めるか)として出します。問題1は問A・問Bの場面と理由に結び付いた対策を書く形なので、同じ材料を「場面の手当て」として出します。この記事の例文でいえば、例文1の送電を続ける回路の表示と検電の立会い、例文2の送電前の見回りが、場面の手当てとして出した形です。問題1で活動の名前を使うなら、「新規入場者教育で送電を続ける回路の位置を伝える」のように場面の中身と一緒に書くと、2−1で書く説明の繰り返しにはならないと僕は考えています。問題1と2−1を1つの準備で回す考え方は、安全管理の答案づくりを問題2−1まで通して扱った記事で詳しく書いています。
例文3本から持ち帰る、R7の形で1組を書く手順
- R7の問題1の形:問A・問Bから1つを選び、「留意すべき事項とその理由」を2つ、事項ごとに「とるべき対策又は処置」を書く。1−1の工事概要の欄は無い
- 例文1(問A):事項を作業員の感電と来客の負傷に分け、理由に「運用中」と「大勢の来客」を1語ずつ持たせた
- 例文2(問B):事項を飛来落下と感電で災害の種類を変え、理由に「関連工事」と「輻輳」を1語ずつ持たせた
- 例文3(R5までの形):1−1の6項目+過去形の1−2。R7の形へは、場面の置き場所・時制・理由の書き分け・対策の深さの4点を直す
- 重複の点検:対象はR1・R3の「対策の内容」からR7の「留意すべき事項とその理由,対策又は処置の内容」へ広がった。旧形式の例文は理由の重なりに注意
- 材料の扱い方:保護具は着用のみで終わらせない。附帯工事の一文はR6(工程)だけのもの。2−1の語句と問題1は引き出しを1つにし、2−1では活動の中身、問題1では場面の手当てとして出し分ける
例文3本と、それを点検する物差しは、ここまでで出そろいました。
例文は覚える対象というより、自分の現場の言葉を流し込む枠として使うと役に立ちます。まずは例文1か例文2のどちらか、自分の記憶が多く当てはまる方を選び、施設や盤、関連工事の名前を自分が見た現場のものに入れ替えて1組書いてみてください。書けたら、理由の文に場面の語が1つ入っているか、2組の事項・理由・対策がどれも重なっていないかを、この記事の〔 〕の注記と照らして確かめる。この1周を問Aと問Bで1回ずつ回しておけば、本番でどちらを選んでも手が止まりにくくなるはずです。
答案の組み立て方から確かめ直したい方は2級電気の安全管理の書き方の記事へ、年度ごとの出題形式の変わり方を見たい方は2級電気の経験記述の全体を扱った記事へ進んでください。
