令和7年度の2級建築の問題1は、「工事の遅延防止等に関するあなたの考え」を問うものでした(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。問題冊子の工事を1つ選び、項目Aから1つ選んだうえで、②主な要因と影響を受ける作業、③事前に講ずべき対応策を3つ書く形です。
- 工程管理の経験記述って、令和7年度は何を聞かれたの?
- 自分の工事じゃなくて、問題に書いてある工事で答えるって本当?
- 解体・新築・改修、どれを選べば書きやすい?
- 項目Aの「材料」「工事用機械」「作業員」、3つとも同じのを選んでもいいの?
- 3つの考えが全部似てしまう。どこまで違えばいい?
- ②の「主な要因」と「影響を受ける作業内容」って何が違うの?
- 手元の例文は「実際に行った対策」の形。今の問題に使える?
- 図面の不備で手戻り、みたいな話は書ける?
- 設問2の「工程短縮の方法」と③の対応策、同じになってしまう
- 答案を誰にも見てもらえないのが不安
上記の様な悩みを解決します。
実は、令和7年度の項目Bは②③の設問文言そのものが変わっていて、令和2・5年度の「実際に行った対策」形式の例文をそのまま書き直すと、設問の求めに正確に答えられていない可能性があります。この記事では、②の主な要因と影響を受ける作業内容、③の事前に講ずべき対応策への言い換え方を、旧形式の答案からどう直すかまで踏み込みます。
今回は出題の履歴・項目Aの選び方・項目Bの①②③の語の読み方といった基本を押さえた上で、例文を配るタイプの解説ではまず扱われない「問題冊子の工事計画に書かれた前提を、遅延の要因を選ぶ前のふるいに使う読み方」と「工程が主題だった3年分で、②③と設問2の言葉がどう入れ替わってきたか」まで、実施機関が公表している問題冊子の原文だけを材料に整理しました。
できるだけ噛み砕いて書いていくので、令和5年度までの例文集を手元に置いたまま手が止まっている方にも、どこから直せばいいかが見える内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
2級建築で工程管理が問題1の主題になったのは3回、骨組みは3回とも同じ
令和元年度から令和7年度までの7回で、工程が問題1の主題として置かれたのは令和2年度・令和5年度・令和7年度の3回です。そしてこの3回は、項目Aの3区分から選び、項目Bの①②③を書き、それを3つ並べるという骨組みが共通しています。
各年度の問題1の柱書で、何を主題にしていたかを並べると次のようになります。
| 年度 | 柱書で示された主題 | 書く題材の工事 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 令和元年度 | 「施工の計画を行った工事」 | 自分が経験した工事 | 令和元年度 2級建築施工管理技術検定 実地試験問題 p.2 |
| 令和2年度 | 「工程の管理を行った工事」 | 自分が経験した工事 | 令和2年度 2級建築施工管理技術検定 実地試験問題 p.2 |
| 令和3年度 | 「施工の計画を行った工事」 | 自分が経験した工事 | 令和3年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
| 令和4年度 | 「品質管理を行った工事」 | 自分が経験した工事 | 令和4年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
| 令和5年度 | 「工程の管理を行った工事」 | 自分が経験した工事 | 令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
| 令和6年度 | 「施工計画時におけるあなたの考え」 | 問題冊子の工事概要イ・ロ・ハから1つ選ぶ | 令和6年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
| 令和7年度 | 「工事の遅延防止等に関するあなたの考え」 | 問題冊子のイ・ロ・ハから1つ選ぶ | 令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
ここで「3回」と書いたのは、あくまで問題1の主題としての回数です。令和3年度は主題が施工の計画でしたが、設問2のほうに「「品質低下の防止」及び「工程遅延の防止」について,それぞれ①及び②を具体的に記述しなさい。」とあり、工程遅延を書く場面そのものはありました(令和3年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。工程の話が出たのは3回だけ、という数え方はしないでください。
骨組みのほうを見ていきます。項目Aは3回とも「a.材 料(本工事材料,仮設材料)」「b.工事用機械・器具・設備」「c.作業員(交通誘導警備員は除く)」の3区分で、並びも中身も変わっていません(令和2年度 2級建築施工管理技術検定 実地試験問題 p.2/令和5年度 同 第二次検定問題 p.2/令和7年度 同 第二次検定問題 p.2)。3つとも同じ区分を選んでよい点も共通で、令和2年度と令和5年度は「3 つの事例は同じ項目を選んでもよいものとする」、令和7年度は「同一の項目を複数回選んでもよいものとし」と書かれています(令和2年度 実地試験問題 p.2/令和5年度 第二次検定問題 p.2/令和7年度 第二次検定問題 p.2)。
一方で、題材になる工事は大きく変わりました。令和2年度と令和5年度は自分が経験した工事を1つ選んで工事概要を書く形でしたが、令和7年度は4ページから6ページに示された「イ.解体」「ロ.新築」「ハ.改修」から1つを選びます(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。この「問題冊子に載った工事から選ぶ」方式は令和7年度が最初ではなく、令和6年度にすでに「3 ページ,4 ページに示す工事概要イ「新築」,ロ「解体」又はハ「改修」の 3 つの建築工事の中からいずれか 1 つ選び」という形で出ています(令和6年度 同 第二次検定問題 p.2)。
過去問をどこまで使えるかは、この「変わっていない部分」と「変わった部分」で分けて考えると整理しやすいです。
- そのまま使える:項目Aの3区分の切り分け方と、3つを書き分ける練習(令和2・5・7年度で共通)
- そのまま使える:項目Aを「手配や配置」の場面で扱うという視点(令和2・5・7年度とも設問1の問題文にこの語がある)
- 読み替えが要る:②の書き方(「理由」を書く形から「要因と影響を受ける作業」を書く形へ)
- 読み替えが要る:③の書き方(「実際に行った対策」から「事前に講ずべき対応策」へ)
- 使えない:自分の工事概要を前提にした例文の丸暗記(令和6年度から題材の工事が問題冊子側にある)
例文を丸暗記しておけば何とかなるか、という問いへの答えは、この最後の行のとおりです。題材の工事が当日まで分からない以上、覚えた文章がその年の工事計画と噛み合う保証はありません。覚えるなら文章ではなく、項目Aの3区分から材料を拾う手順のほうだと僕は考えています。
なお、令和8年度の2級建築は、後期の第一次検定と第二次検定がどちらも令和8年11月8日(日)に行われ、第二次検定の試験時間は14:15〜16:15と公表されています(国土交通省「令和8年度建築施工管理技術検定の実施について」p.1/建設業振興基金「令和8年度 2級建築施工管理技術検定 受検の手引(第一次・第二次同時)」p.28)。ここで分かるのは試験の日付までで、何が問われるかは書かれていません。令和8年度に工程が主題になるかどうかも、この記事では予想しません。
項目Aの3区分から、遅延の要因になりそうなものを拾う
令和7年度の問題1で最初に手が止まるのが、項目Aをどう選ぶかです。設問1の問題文では、選んだ工事を行ううえで「項目Aのa.からc.の中からあなたの受検種別に係る工種又は作業に関連する項目を 1 つ選び,工事の遅延防止を念頭に置いてそれらの手配や配置,施工をする立場として,項目Bの①から③について,あなたの考えを 3 つ具体的に記述しなさい。」とされています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。
この一文から読み取れる条件は3つです。項目Aは自分の受検種別に係る工種か作業に関連するものであること、立場は「手配や配置,施工をする立場」であること、そして書くのは経験談ではなく「あなたの考え」であること。自分の現場の思い出を探すより、選んだ工事の中で自分が手配する側に立ったら何に困りそうかを考える問題、と読むと入りやすくなります。
同じ区分を何度選んでもいいのか、という点は問題文に答えがあります。「項目Aは,同一の項目を複数回選んでもよいものとし」とあり、①については「①工種名又は作業名等は同一の記述でもよいが,②及び③はすべて異なる内容を記述するものとする。」とされています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。つまり、3つとも材料を選び、①も同じ工種で揃えることは問題文上は許されています。その代わり、②と③は3つとも中身が違っていなければなりません。
工事概要に書いてある語から、区分ごとに候補を拾う
では何を材料にするか。いちばん確実なのは、問題冊子に印刷された工事概要の語です。令和7年度の3つの工事には、それぞれ次のような記載があります(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.4〜p.6)。イの解体は「木造戸建て住宅解体」「木造在来軸組工法 地上 2 階建て」で、「なお,基礎解体後の掘削底面は整地まで行う。」と添えられています。ロの新築は「軽量鉄骨構造共同住宅新築」で、地業が「羽根付き鋼管杭 4.0 m × 4 本」。ハの改修は「軽量鉄骨構造共同住宅改修」で、勾配屋根が「既存スレート板葺きのうえ ガルバリウム鋼板カバー工法」です。3つを包む工事計画には、既存共同住宅の「内外装改修工事を並行して行う計画」であることと、敷地境界の「既存囲障の敷地内側に仮囲いを設ける」ことが書かれています(同 p.3)。
これらの語を、項目Aの3区分に振り分けてみたのが次の表です。表の左寄りの列は冊子の記載と、そこから直接たどれる手配の対象、右側の「着目できること」は、手配・配置・施工をする立場で何が止まりうるかを僕が整理した見方で、公式の区分けとは別物です。
| 区分 | イ.解体で拾える記載 | ロ.新築で拾える記載 | ハ.改修で拾える記載 | 着目できること |
|---|---|---|---|---|
| a.材料 | 共通の仮設として「仮囲い」 | 「羽根付き鋼管杭」「軽量鉄骨構造」 | 「ガルバリウム鋼板カバー工法」、内外装改修 | 使う日までに現場に届くか、置き場所が取れるか |
| b.工事用機械・器具・設備 | 基礎解体と「掘削底面は整地まで行う」 | 羽根付き鋼管杭を施工する機械 | 屋根材を屋根面まで上げる手段 | 必要な日に据えられるか、入れ替えの段取りで止まらないか |
| c.作業員 | 木造2階建ての解体と基礎解体にあたる人員 | 杭と軽量鉄骨の建方にあたる職種 | 内外装改修にあたる複数の職種 | 並行する工事と人の取り合いにならないか、手配の遅れで空く日がないか |
表を作るときに気をつけたいのは、冊子に無い部材や数値を持ち込まないことです。たとえばロの杭は「4.0 m × 4 本」と書かれていますが、それ以外の寸法や重量は書かれていません。書かれていない数字をそれらしく足すと、自分で前提を作ってしまうことになります。
仕上げに関わる工種で受ける人が、イの解体を選んでも書けるのか、という疑問もよく出ます。問題文は、どの工事を選ぶかを受検種別で縛ってはいません。縛られているのは、項目Aが「あなたの受検種別に係る工種又は作業に関連する」ものであることのほうです(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。なので判断の順番は、先に工事を決めるのではなく、上の表のような拾い出しを3つの工事でやってみて、自分の受検種別の工種がいちばん多く見つかった工事を選ぶ、が筋だと思います。
3つを「すべて異なる内容」にするための散らし方
②③を3つとも違う内容にする、という条件で詰まる人は多いです。似てしまう原因は、たいてい同じ区分・同じ工種・同じ時期の話を3回書いていることにあります。そこで、3つを書き分けるときの軸を先に決めておきます。これは問題文ではなく、僕の整理です。
- 区分を変える:1つ目は材料、2つ目は作業員、というように項目Aの記号をずらす
- 工種を変える:同じ材料の区分でも、杭の話と屋根の話のように①の工種を分ける
- 時期を変える:同じ工種でも、着工前の手配の話と、施工中の配置の話に分ける
- 共通の仮設を使う:「3 つの工事に共通して必要な仮設に関する内容は,選んだどの工事で記述してもよい」とされているので、仮囲いなどを1枠に回す(令和7年度 第二次検定問題 p.2)
3つのうち2つ以上の軸が違っていれば、②③が同じ文章になることはまずありません。逆に、区分も工種も時期も同じなら、言い回しを変えても中身は同じと読まれやすいはずです。職人が集まらなくて遅れる、という話は作業員の区分に入りますが、それを3つとも書くのではなく、1つに絞って残り2つを別の軸に回すと、答案全体の幅が出ます。
②は「主な要因」と「影響を受ける作業」の2つで1組
令和7年度の②は「概要の工事を遅延させる可能性があると考える主な要因と,その要因によって影響を受ける①の具体的な作業内容」です(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。「と」でつながった2つの要素があり、前半が要因、後半がその要因で影響を受ける作業です。
工程が主題だった3回で、②の言葉は毎回変わっています。
| 年度 | 項目Bの②の文言 | 出典 |
|---|---|---|
| 令和2年度 | 「工事を遅延させるかも知れないと着目したこととその理由」 | 令和2年度 2級建築施工管理技術検定 実地試験問題 p.2 |
| 令和5年度 | 「遅延させるかも知れないと考えた当時の状況とそれが遅延につながる理由」 | 令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
| 令和7年度 | 「概要の工事を遅延させる可能性があると考える主な要因と,その要因によって影響を受ける①の具体的な作業内容」 | 令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
並べると、3つの変化が見えてきます。1つ目は、令和2年度と令和5年度にあった「理由」という語が、令和7年度の②から消えたことです。2つ目は時制で、令和5年度の「考えた当時の状況」は過去の自分の現場を振り返る言い方でしたが、令和7年度は「可能性があると考える」と、これから起こりうることを見立てる言い方になっています。3つ目は、令和7年度の②の後半が「①の具体的な作業内容」と、①に戻ってくる作りになっていることです。
要因だけ書いて終わると、問いの半分が空いたままになる
令和7年度の②で気をつけたいのは、要因を書いた時点で答えた気になってしまうことです。問いの後半は、その要因で「影響を受ける①の具体的な作業内容」です(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。①に書いた工種や作業の中の、どの作業がその要因で止まったり遅れたりするのかまで書いて、はじめて②の2つの要素がそろいます。
旧形式の②に慣れている人ほど、ここで「理由」を書こうとしがちです。「◯◯なので遅延につながる」という説明は、令和5年度の②なら後半にそのまま当てはまりました。令和7年度の後半が求めているのは、遅延につながる理屈ではなく、影響を受ける作業の名前と中身です。説明を書く行を、作業を具体的にする行に振り替える、と考えると直しやすくなります。
もう1つ見落としやすいのが、前半の「概要の工事を」という語です。要因は、自分の昔の現場で起きたことではなく、選んだ工事の概要に照らして起こりうることとして書く、という指定です。先ほどの表で工事概要の語から候補を拾ったのは、この「概要の工事」に根を持たせるためでもあります。
「雨」のようなありきたりな要因でも成立するか
天候のように誰でも思いつく要因は書いてはいけないのか、という不安もあります。②の文言には、要因の珍しさを求める語は入っていません(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。求められているのは、その要因と、それで影響を受ける①の具体的な作業内容の2つです。ありきたりな要因であっても、たとえばハの改修を選んで屋根のカバー工法を①に置くなら、その要因で屋根面のどの作業が進められなくなるのかを具体に書けば、問いの言葉には沿います。
ただし、要因は項目Aで選んだ区分とつながっている必要があります。項目Aは「それらの手配や配置,施工をする立場として」と設問1の問題文にある以上、材料を選んだなら材料の手配や置き場にどう響くか、という形で要因を立てるほうが、項目Aと②の筋がそろいます(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。天候そのものを主役にするより、天候で動く材料・機械・人のほうを主役にする、というのが僕の読みです。
書き上げた②は、次の点で見直すと抜けに気づきやすいです。
- 前半に、選んだ工事の概要に照らした要因が書けているか
- 後半に、その要因で影響を受ける作業の名前が①の範囲で書けているか
- 後半が「遅れるから」という理屈の説明で終わっていないか
- 3つの②が、区分・工種・時期のどれかで互いに違っているか
何行くらい書けばいいのか、という点については、問題1の問題文に字数や行数の指定は書かれていません(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。要素が2つある以上、片方だけで枠を使い切らないように配分する、くらいの意識で十分だと思います。
採点の中身は、どこにも示されていません。実施機関は、第二次検定について「解答形式が記述の設問は正答を公表いたしません。」としています(建設業振興基金「令和8年度 2級建築施工管理技術検定 受検の手引(第一次・第二次同時)」p.31)。「この書き方なら何点」という情報は、公式には存在しないということです。答案を誰にも見てもらえないのが不安なときは、採点を想像するより、問題文の語を1つずつ埋められているかを自分で照合するほうが確かです。
③は「事前に講ずべき対応策」、実際に行った対策の答案はこう直す
③の言葉も、令和7年度で変わっています。令和2年度は「②の遅延を防ぐために実際に行った対策」、令和5年度は「②による遅延を防ぐために実際に行った対策」でした(令和2年度 2級建築施工管理技術検定 実地試験問題 p.2/令和5年度 同 第二次検定問題 p.2)。令和7年度は「②による遅延を防ぐために有効と考える事前に講ずべき対応策」です(令和7年度 同 第二次検定問題 p.2)。
変わったのは2か所です。「実際に行った」が「有効と考える」になり、「対策」の前に「事前に講ずべき」が付きました。自分がやったことの報告から、②の要因が起きる前に打っておくべき手の提案へ、問いの向きが変わっています。題材の工事が問題冊子側に移った経緯そのものは、経験記述の形式が令和6年度から変わった件の記事で年度を追って整理しているので、ここでは③の直し方に絞ります。
旧形式の答案から直すときの着眼
令和5年度までの形で書いた答案を持っている人は、捨てずに直すほうが早いです。ただ、文末だけを「〜する」に変えても、③の問いには寄りません。直すときの着眼は次の4つです。ここは問題文の語から僕が整理したもので、実施機関が示した手順ではありません。
- 起きてからの挽回を、起きる前の段取りに言い換える(遅れた後に人を増やした話は、遅れる前に何を押さえておくかに置き換える)
- 自分の現場に固有の事情を、選んだ工事の概要にある語に置き換える(③も「②による遅延」を防ぐ手なので、②と同じ工事に根を持たせる)
- ②の要因と③の対応策を1対1で対応させる(②で挙げた要因に効かない手は、③として浮いてしまう)
- 3つの③が互いに違う中身になっているかを確かめる(「②及び③はすべて異なる内容」の条件は③にもかかる)
2つ目の着眼は見落とされやすいところです。旧形式の答案は、自分の現場の条件を前提に書かれているので、その条件が令和7年度の工事計画に無ければ、対応策の前提ごと浮いてしまいます。対応策の中身は使い回せても、何に対する手なのかは選んだ工事に合わせて書き直す必要があります。
③と設問2を同じにしない
③を仕上げたら、設問2との重なりも確認します。令和7年度の設問2は、ただし書きで「1.の③と同じ内容及び建築設備工事に関する内容の記述は不可とする。」としています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.7)。③で使った対応策を、設問2の工程短縮の方法としてもう一度書くことはできません。先に③を3つ決めてから設問2に移り、設問2では③に出てこなかった手を選ぶ、という順番にしておくと、同じ手を二度書く事故が起きにくくなります。
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2級建築の経験記述は令和7年度に項目Bの②③の言い回しが変わり、手元にある旧形式の例文をそのまま書き直すだけでは設問の求めからずれてしまうことがあります。項目A・Bの組み立て方を独学だけで固められるか不安なら、施工管理技士の受験対策講座という選択肢もあります。
- 令和7年度の設問の求めに、今の書き方で対応できているか自分では判断しづらい
- 項目A・Bの組み立てを一人で考えていると、②③の内容が似てしまい、どう直せばいいか分からない
- 仕事をしながらの独学で、経験記述にどこまで時間をかければいいのか決められない
工事計画の前提と「不可」の3条件を、要因を選ぶ前のふるいにする
要因の候補を拾ったら、②に書く前に2段階でふるいにかけておくと安心です。1段目は工事計画に書かれた前提、2段目は記述が不可とされる条件です。
1段目:工事計画に書かれた前提
令和7年度の工事計画には、こう書かれています。「設計図書の不備はなく,工事は下の工程表のとおりとし,作業には一般的な手法を用いることを前提とした無理のない工期を設定している。なお,工事期間中は,敷地内建物すべてにおいて居住者不在とする。」(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.3)
ここには、設計図書に不備が無いこと、無理のない工期であること、居住者が不在であることの3つが、前提として明記されています。僕の読みでは、図面の不備による手戻り、そもそも工期が足りないこと、住みながらの改修で居住者との調整がつかないこと、の3つを遅延の要因の根に置くと、問題文が先に置いた前提と食い違う答案になります。図面の不備で手戻り、という話は現場ではいかにもありそうですが、この年度の工事計画では最初から外されている、ということです。採点でどう扱われるかは公表されていないので断定はしませんが、わざわざ前提と食い違う要因を選ぶ理由は無いと思います。
2段目:記述が不可とされる3条件
令和7年度の問題1には、ただし書きで次の3つが不可とされています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。あわせて、共通の仮設については扱いが別に書かれています(同 p.2)。
- 「選んだ工事を行ううえで必要としない工種及び作業に関する内容」
- 「品質が低下するような変更に関する内容」
- 「選んだ工事が「イ.解体」の場合を除き,建築設備工事に関する内容」
- 共通の仮設は「選んだどの工事で記述してもよいものとする」
1つ目は、選んだ工事と①の工種を結びつける条件です。先ほどの表で、工事概要の語から候補を拾ったのは、この条件を最初から満たしておくためでもあります。3つ目は、建築設備工事は書いちゃダメなのか、という疑問への答えで、解体を選んだ場合だけは除かれています。改修を選んで設備の話を書くと、この条件に当たります。
2つ目の品質低下は、工程の設問で特に踏みやすい条件です。遅れを取り戻すために工程を詰めた結果、品質を落とすような変更を書いてしまう、という形で入り込みます。品質が低下するような変更がどういう書き方で入り込むかは、品質管理の経験記述を年度ごとに追った記事に詳しくまとめてあります。ここでは「工期を守るために品質を差し出す話は、③にも設問2にも置かない」とだけ押さえておけば足ります。
旧形式の不可条件とは、向きが違う
令和2年度と令和5年度にも不可の条件はありましたが、中身がまったく違います。令和2年度は「品質管理のみ,安全管理のみ,コストのみについて記述したものは不可とする。」、令和5年度は「品質管理,安全管理,コスト管理のみについて記述したものは不可とする。」でした(令和2年度 2級建築施工管理技術検定 実地試験問題 p.2/令和5年度 同 第二次検定問題 p.2)。旧形式の不可は、工程以外の管理項目だけで答案を埋めることを止める条件でした。令和7年度の不可は、選んだ工事と関係の無い工種、品質の低下、設備という、題材の範囲を外れることを止める条件です。
旧形式の例文集にある「品質だけの話になっていないか」という注意は、令和7年度の不可条件の代わりにはなりません。見直すときは、手元の注意書きではなく、令和7年度の問題文のただし書きと照らし合わせてください。
設問2は年度で問いが違う。工程短縮の方法と良い影響
問題1の設問2は、1.で選んだ工事から離れて答える問いです。令和7年度は「2.あなたの受検種別及び 1.で選んだ工事に係わらず,工期を守るため,あなたが作業工程の短縮に有効と考える合理的な方法や手段と,それらの方法や手段を用いることによって,作業工程の短縮以外に得られる工事への良い影響を 2 つ具体的に記述しなさい。」でした(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.7)。
工程が主題だった3回で、設問2の問いと、③との重なりを禁じる書き方は次のように違います。
| 年度 | 設問2で問われたこと | 1.の③との重なりの扱い | 出典 |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 工程を短縮するために有効な方法や手段を2つと、工程の短縮以外の工事への良い影響 | 「1.の③行った対策と同一のものは不可」 | 令和2年度 2級建築施工管理技術検定 実地試験問題 p.2 |
| 令和5年度 | 作業工程を周知や共有するための有効な方法や手段と、周知や共有が不十分な場合に起こる工程への影響を2つ | 「1.の③の行った対策と同じ内容の記述は不可」 | 令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2 |
| 令和7年度 | 作業工程の短縮に有効と考える合理的な方法や手段と、短縮以外に得られる工事への良い影響を2つ | 「1.の③と同じ内容及び建築設備工事に関する内容の記述は不可」 | 令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.7 |
令和2年度と令和7年度は同じ型で、令和5年度だけが周知・共有を問う別の問いでした。令和7年度は、③との重なりに加えて建築設備工事も不可に入り、「合理的な方法や手段が同一のもの」も不可とされています(令和7年度 同 p.7)。2つ書く方法や手段が互いに同じであってもいけないし、③と同じであってもいけない、という二重の縛りです。
「良い影響」に何を書くかで迷う人も多いです。問いは「作業工程の短縮以外に得られる工事への良い影響」なので、工期が縮むこと自体はここに書く中身になりません(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.7)。正直なところ、ここで「工期に余裕ができる」と書くと、短縮そのものを言い換えただけになりやすいです。短縮の方法を使ったことで、工期とは別の面で工事にどんな得があったか、という形で考えるのが問いの言葉に沿った読み方だと思います。
設問2の準備は、次の順で進めると③との重なりを避けやすくなります。
- 先に1.の③を3つ決め、そこに出てきた手を書き出しておく
- 書き出した手を除いたうえで、工程短縮の方法や手段を2つ選ぶ(2つ同士も別の手にする)
- それぞれについて、工期以外の面で得られる良い影響を1つずつ考える
- 最後に、どちらにも建築設備工事の話が入っていないかを確かめる
設問2は「あなたの受検種別及び 1.で選んだ工事に係わらず」とされているので、選んだ工事の概要に縛られず、自分の知っている工程短縮の手を広く使えます(令和7年度 同 p.7)。工程を縮める手を考えるときは、工程表の読み方が土台になります。横線で工種の並びを追う形はバーチャート工程表の基本に、作業どうしのつながりとクリティカルパスの考え方はネットワーク工程表の読み方と書き方に整理しているので、方法や手段の引き出しを増やしたいときに役立ちます。
時間の配分については、令和8年度は第一次検定(後期)と第二次検定が同じ令和8年11月8日(日)に行われます(国土交通省「令和8年度建築施工管理技術検定の実施について」p.1)。一次の対策を終えてから二次の記述に取りかかる、という順番だと、記述の練習が本番直前に押し込まれがちです。現場目線で言えば、記述は本番の形式で手を動かす時間を早めに確保しておくほうが、一次の暗記と並べても崩れにくいと感じます。
2級建築施工管理技士の経験記述(工程管理)に関する情報まとめ
- 出題の履歴:令和元年度から令和7年度で、工程が問題1の主題になったのは令和2・5・7年度の3回。項目Aの3区分×項目B①②③×3つという骨組みは3回とも同じで、問題冊子の工事から選ぶ方式は令和6年度から
- 項目Aの選び方:同じ区分を複数回選んでよいが、②③は3つとも違う中身にする。工事概要の語を区分ごとに拾い、区分・工種・時期をずらして書き分ける
- ②の書き方:令和7年度は「主な要因」と「影響を受ける①の具体的な作業内容」の2つで1組。旧形式の「理由」を書く行は、影響を受ける作業を具体にする行に振り替える
- ③の書き方:「実際に行った対策」から「事前に講ずべき対応策」へ。起きてからの挽回を起きる前の段取りに言い換え、②の要因と1対1で対応させる
- 前提と不可:設計図書の不備なし・無理のない工期・居住者不在を前提から外さない。必要としない工種、品質低下、解体以外での建築設備工事は不可
- 設問2:令和2・7年度は工程短縮の方法と短縮以外の良い影響、令和5年度は周知・共有の方法と不十分な場合の影響。令和7年度は③と同じ内容も不可
以上が2級建築施工管理技士の経験記述(工程管理)に関する情報のまとめです。
手を動かす順番は、拾い出し、ふるい、選ぶ、の3段です。イ・ロ・ハの工事概要の語を項目Aの3区分に振り分けたら、その場で工事計画の前提3つ(設計図書の不備なし・無理のない工期・居住者不在)と不可の3条件に当たる候補を消しておきます。残った候補から区分・工種・時期のずれる3つを選び、③の事前の対応策を3つとも先に固めてから設問2に移れば、③と設問2で同じ手を二度書いてしまう事故も起きにくくなります。
令和7年度を受けて届かなかった人は、落ちた原因をどこに求めるかで次の1年の使い方が変わります。第二次検定で止まったときの立て直し方は、2級建築施工管理技士に落ちたときの記事で順を追って整理しています。
