- 鉄筋カッターって、グラインダーで切るのと何が違うの?
- D16まで切れるって書いてあるけど、SD345でもSD390でも同じ?
- 充電式とコード式、現場にはどっちを手配すればいい?
- 手動のカッターだと何ミリまで切れるの?
- 切った端材が飛んできそうでちょっと怖い
- 刃ってどのくらい使ったら交換するもの?
- ガスで焼き切るのは仕様書的にアウト?
- 高速カッターで切るなら特別教育が要るって本当?
上記の様な悩みを解決します。
鉄筋カッターは鉄筋を挟んで切断する工具の総称で、手動・電動などの種類があります。選ぶ際にまず確認したいのは、切れる鉄筋の太さと種類が書かれた切断能力の表示の読み方です。ここを見誤ると、現場に用意した機械では手元の鉄筋を切れず、後から手配し直す事態になりかねません。僕は、能力表示を先に確認してから電源方式や重さ、手動か電動かを比べる順番が、選び直しを避ける近道だと考えています。
ただ、検索して出てくるページは売れ筋の機種を並べた紹介が中心で、切断能力の数字の横に添えられた鉄筋の強度区分をどう読むのか、国の標準仕様書が鉄筋の切断をどう書いているのか、砥石で切る道具に持ち替えたときにどんな法令の規定がかかってくるのか、までは踏み込んでいないことが多いんですよね。今回は定義・種類・選び方・安全な使い方という基本を押さえた上で、その3点を、メーカーの取扱説明書のページや仕様書の節番号、法令の条番号までたどって整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、差し筋や補強筋の手直しで鉄筋を切る段取りを任されたばかりの方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
鉄筋カッターとは?刃で挟んで切る工具と、仕様書にある切断の決まり
鉄筋カッターとは、結論「鉄筋を刃で挟み込み、力をかけて切り離す工具」のことです。
刃のあいだに鉄筋をはさんで切るので、砥石を高速で回して削り進めるディスクグラインダーや高速カッターとは、切り方の仕組みがまったく違います。使い方の注意も、あとの章で触れる法令の規定も、刃で挟む道具と砥石を回す道具とで分けて考える必要があります。
呼び名は、メーカーによって語尾をのばすかどうかが分かれています。マキタの資料では「充電式鉄筋カッタ」「鉄筋カッタ」、松阪鉄工所(MCC)の製品ページでは「鉄筋カッタ」、IKK・オグラ・アーム産業の資料では「鉄筋カッター」という表記です(出典:マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」・マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』、MCC公式サイト「鉄筋カッタ」、IKK公式サイト「DIAMOND-鉄筋カッター DC-22HD」、オグラ『コードレス鉄筋カッター HCC-F1618 取扱説明書』、アーム産業公式サイト「鉄筋カッター」、2026年9月確認)。カタログや通販で型式を探すときは、両方の表記で引いておくと取りこぼしが減ります。
現場で鉄筋をどう切るかについては、国の標準仕様書にも一文があります。国土交通省大臣官房官庁営繕部の『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』は、5.3.1(1)で「鉄筋は、設計図書に指定された寸法及び形状に合わせ、常温で正しく加工して組み立てる。」とし、5.3.2(1)で「鉄筋の切断は、シヤーカッター等により行う。」と定めています(出典:同仕様書 5章 鉄筋工事 3節 p.26、2026年9月確認)。改修工事でも、『公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』の8章 耐震改修工事にある8.3.2(1)に、「鉄筋の切断は、シヤーカッター等により行う。」と同じ文言が置かれています(出典:同仕様書 8章3節、2026年9月確認)。
日本建築学会のJASS 5にも近い書き方があり、2009年版の草案(2008年5月30日現在の本文案)の10.4 c.には「切断はシヤカッターまたは直角切断機などによって行う.」とあります(出典:日本建築学会『建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事(2009年版)(案)』本文案 印刷頁p.28、2026年9月確認)。ただしこれは草案の段階の文面で、現行版の本文はこの記事では確認できていません。現行の規定として引用するのは避けてください。
ガスで焼き切るのはどうなのか、という疑問もここで整理しておきます。先ほどの『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』を見ると、5章の鉄筋工事には「ガス切断」「熱による切断」という語が出てきません。「ガス切断」は、7章の鉄骨工事にある7.3.5 切断及び曲げ加工に、鋼材を対象にした書き方で出てきます(出典:同仕様書 5章・7章、2026年9月確認)。鉄筋の切断の方法として5.3.2(1)が書いているのは「シヤーカッター等により行う」までで、ガス切断の可否を名指しした文言があるわけではありません。ガスで切りたい事情が出てきたら、5.3.1(1)が加工を「常温で正しく」行うとしている点との関係も含めて、設計図書や特記仕様書、監理者の指示で扱いを確かめるのが順当です。
ガス圧接をする鉄筋では、切り方の決まりがもう一段具体的になります。同じ仕様書の5.4.6は、(1)で「圧接箇所1か所につき鉄筋径程度の縮み代を見込んで、切断又は加工する。」、(2)で「圧接しようとする鉄筋は、その端面が直角で平滑となるように、適切な器具を用いて切断する。」としています(出典:『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』5.4.6 p.34〜35、2026年9月確認)。圧接する鉄筋を現場で切り直すときは、長さに縮み代が見込まれているかと、切り口の向きと面の状態を一緒に見ることになります。5.4.6(2)が書いているのは「適切な器具を用いて」までで、どの器具がそれに当たるかは書かれていません。圧接する鉄筋の切り直しにどの器具を使うかは、圧接を担当する業者や監理者と事前に決めておいてください。
ガス圧接という継手そのものの基本は、ガス圧接の記事で押さえられます。

僕の整理では、監理者や検査の場で切り方を聞かれたときに、仕様書の節番号を添えて答えられる状態にしておくことが、この章のいちばんの持ち帰りです。鉄筋カッターは、5.3.2(1)の「シヤーカッター等」に当たる道具だと捉えておくと、次の種類の話もつかみやすくなります(出典:『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』5.3.2(1) p.26、2026年9月確認)。
鉄筋カッターの種類|手動・手動油圧・電動のコード式と充電式
鉄筋カッターは、動かす力と電源の取り方で4つに分けておくと、手配の相談がしやすくなります。手で閉じる手動、名前に手動油圧式と付くタイプ、コンセントから電気を取る電動のコード式、電池で動く電動の充電式です。メーカーの資料で確認できた型式を、この4つに振り分けました。
| 種類 | 資料で確認した型式の例 | 資料にある電源 | 資料にある重さ |
|---|---|---|---|
| 手動 | MCC No.0(RC-0000)、RC-13(RC-0113)、RC-16(RC-0116) | 使わない | 4.0kg、10.0kg、15.0kg |
| 手動油圧 | アーム産業 TC-16HB | 使わない | 15.1kg(本体質量の欄) |
| 電動・コード式 | マキタ SC130、SC161、SC191/IKK DC-22HD、DC-16LZ | 単相100V | 6.5kg〜12.8kg |
| 電動・充電式 | マキタ SC163D、SC001G/HiKOKI CF18DSL、CF18DSAL/IKK DCC-1636HR/オグラ HCC-F1618 | 電池(18Vまたは36V) | 5.6kg〜9.4kg |
表の数値は、MCC公式サイト「鉄筋カッタ」、アーム産業公式サイト「鉄筋カッター」、マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2と製品ページ「SC163D」「SC001G」、IKK公式サイトの製品ページ(DC-22HD・DC-16LZ・DCC1636HR)、HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11、オグラ『コードレス鉄筋カッター HCC-F1618 取扱説明書』p.2から取りました(2026年9月確認)。質量は、バッテリを含むのか、コードを含むのかといった条件がメーカーごとに違うので、そのそろえ方は選び方の章で説明します。
今回確認した手動(MCC)は、床に置いて使う
MCCの手動の鉄筋カッタは、取扱説明書で「鉄筋コンクリート用棒鋼を手動で切断するための作業工具であり、床面に置いて使用します。」と説明されています(出典:MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1、2026年9月確認)。製品ページの表では、切断能力(異形棒鋼)がNo.0でD6とD10、RC-13でD10とD13、RC-16でD13とD16、全長(mm)の欄は766、1050、1250と並びます(出典:MCC公式サイト「鉄筋カッタ」、2026年9月確認)。今回確認した手動の3機種では、いちばん大きいRC-16で異形棒鋼D16まで、という書き方です。
手動で気をつけたいのは、切ってよい鉄筋の書き方が資料によって違う点です。製品ページの表の注記は「SR295・SD295・SD345 引張り強さ590N/㎟以下(約60kgf/㎟以下)」ですが、取扱説明書の仕様は「SR295 または SD295(引張強さ590N/㎟以下(約60kgf/㎟以下))」で、こちらにはSD345が書かれていません(出典:MCC公式サイト「鉄筋カッタ」/MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1、2026年9月確認)。同じメーカーの資料の中でも表記がそろっていないので、SD345の鉄筋を手動で切る予定があるなら、どちらかに寄せて判断せず、購入前にメーカーへ確かめるのが確実です。
手動油圧はアーム産業のTC-16HB
アーム産業が「手動油圧式鉄筋カッター(日本製)」として載せているTC-16HBは、製品ページの表で、切断能力の欄が「鉄筋(SD490)φ16mm(JIS G3112 SD490)」、最大出力の欄が「11tonf」、本体質量の欄が15.1kgです(出典:アーム産業公式サイト「鉄筋カッター」、2026年9月確認)。電源を使わない点は手動と同じですが、切断能力の欄にSD490という強度区分がはっきり書かれているところが、MCCの手動の表記とは違います。
今回確認したコード式は、どれも単相100V
マキタのSC130・SC161・SC191は、取扱説明書の仕様で電圧が「単相100V」、消費電力が500W・1050W・1330W、質量が6.5kg・8.7kg・12.8kgです(出典:マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2、2026年9月確認)。IKKのDC-22HDは「単相100V 11A(1050W)」で質量11.1kg(3芯・5.0mコードを含む)、DC-16LZは「単相100V 10.5A(1010W)」で質量7.0kg(2芯・2.5mコードを含む)です(出典:IKK公式サイト「DIAMOND-鉄筋カッター DC-22HD」「DIAMOND-鉄筋カッター DC-16LZ」、2026年9月確認)。今回確認した機種の中で、切断能力にD22までの表示があるのはDC-22HDの「SD390鉄筋 D22以下(4~22mm)」です。
今回確認した充電式は、18Vか36Vの電池
充電式は、マキタのSC163Dが直流18Vで質量6.9kg(バッテリ含む)、SC001Gが直流36(40Vmax)で質量6.0kg(BL4025装着時)です(出典:マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」「SC001G」、2026年9月確認)。HiKOKIのCF18DSLとCF18DSALは電池電圧18Vで、質量は6.6kgと9.4kg(蓄電池装着後、サイドハンドル除く)です(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11、2026年9月確認)。IKKのDCC-1636HRは「36Vコードレスマルチボルト 2.5Ah」で質量5.6kg(バッテリー含む)、オグラのHCC-F1618は直流18Vで質量5.8kg(バッテリ含む)です(出典:IKK公式サイト「DIAMOND-コードレス鉄筋カッター DCC1636HR」/オグラ『コードレス鉄筋カッター HCC-F1618 取扱説明書』p.2、2026年9月確認)。
4つの違いは「電源をどう確保するか」と「切断能力に書かれた太さと強度区分がどこまでか」の2つの軸で見ると、手配の話につなげやすくなります。後者はすぐ次の章で、前者は選び方の章で掘り下げます。
切断能力の表示の読み方|径と鉄筋の強度区分をセットで見る
切断能力に書かれた太さまでなら、手元の鉄筋はどれでも同じように切れるのか。鉄筋カッター選びでいちばん迷うのは、たぶんここです。
結論から言うと、切断能力は径の数字だけで読まず、その数字がどの強度区分の鉄筋を前提にしているか、刃物の指定が付いていないか、までをセットで読みます。メーカーごとに書き方がかなり違うので、今回確認した資料の表記をそのまま並べてみます。
| メーカー・型式 | 見た資料 | 切断能力の書き方(資料の表記どおり) |
|---|---|---|
| マキタ SC163D | 製品ページ | φ3~16(強度区分の記載なし) |
| マキタ SC163D | 取扱説明書 p.2 | SD345相当鉄筋 490N/mm²(50kgf/mm²)最大D16(5/8″) |
| マキタ SC001G | 製品ページ | φ3~16(強度区分の記載なし) |
| マキタ SC001G | 取扱説明書 p.2 | SD390相当鉄筋 560N/mm²(57kgf/mm²)最大D16(5/8″) |
| マキタ SC130/SC161/SC191 | 取扱説明書 p.2 | SD345相当品 φ13mm/φ16mm/φ19mm、SD390・SD490相当品(SP刃物使用) φ10mm/φ16mm/φ19mm |
| HiKOKI CF18DSL/CF18DSAL | 取扱説明書 p.11 | 軟鋼材(SS400、SD345) 外径4~16mm/外径4~19mm |
| IKK DC-22HD | 製品ページ | SD390鉄筋 D22以下(4~22mm) |
| IKK DC-16LZ | 製品ページ | SD345鉄筋 D16以下(4~16mm) |
| IKK DCC-1636HR | 製品ページ | SD390鉄筋 D16以下(4~16mm) |
| オグラ HCC-F1618 | 取扱説明書 p.2 | SD390相当鉄筋 560N/mm²(57kgf/mm²)最大D16(5/8″) |
| MCC No.0/RC-13/RC-16 | 製品ページ | 対象材 SR295・SD295・SD345 引張り強さ590N/㎟以下、異形棒鋼 D6・D10/D10・D13/D13・D16 |
| MCC No.0/RC-13/RC-16 | 取扱説明書 p.1 | 対象材 SR295 または SD295、呼び D6・D10/D6・D10・D13/D13・D16 |
| アーム産業 TC-16HB | 製品ページ | 鉄筋(SD490)φ16mm(JIS G3112 SD490) |
表の出典は、マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」「SC001G」、マキタ『SC163D 取扱説明書』p.2・『SC001G 取扱説明書』p.2・『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2、HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11、IKK公式サイトの各製品ページ、オグラ『コードレス鉄筋カッター HCC-F1618 取扱説明書』p.2、MCC公式サイト「鉄筋カッタ」と『鉄筋カッタ取扱説明書』(取説No.RC0001-02)p.1、アーム産業公式サイト「鉄筋カッター」です(いずれも2026年9月確認)。並べてみると、強度区分を「相当鉄筋」「相当品」と書くメーカー、「SD390鉄筋」と言い切るメーカー、鋼材の記号と並べて「軟鋼材」とくくるメーカーがあり、径も「φ」「D」「外径」と書き方がそろっていません。
製品ページが同じ「φ3~16」でも、取扱説明書では前提の鉄筋が違う
表でまず見てほしいのが、マキタのSC163DとSC001Gです。製品ページではどちらも切断能力が「φ3~16」で、ここだけ見ると同じ能力に見えます。ところが取扱説明書p.2の仕様では、SC163Dが「SD345相当鉄筋 490N/mm²(50kgf/mm²)最大D16(5/8″)」、SC001Gが「SD390相当鉄筋 560N/mm²(57kgf/mm²)最大D16(5/8″)」で、前提にしている鉄筋の強度区分が違います(出典:マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」「SC001G」/マキタ『SC163D 取扱説明書』p.2・『SC001G 取扱説明書』p.2、2026年9月確認)。製品ページの数字だけで候補を決めず、取扱説明書の仕様まで開いておきたい理由がここにあります。
強度区分が上がると、同じ機械でも切れる径が変わる機種がある
マキタのSC130/SC161/SC191の取扱説明書は、切断能力を「SD345相当品」と「SD390・SD490相当品(SP刃物使用)」の2段に分けて書いています。SC130は、SD345相当品ならφ13mm、SD390・SD490相当品(SP刃物使用)ではφ10mmで、同じ機械でも強度区分が上がると切れる径が小さくなる書き方です。SC161とSC191は2段ともφ16mm、φ19mmで径は同じです。3機種とも、SD390・SD490相当品の段には「SP刃物使用」と刃物の指定が付いています(出典:マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2、2026年9月確認)。径が変わる機種でも変わらない機種でも、刃物の条件が付いていることがあるので、数字の横の括弧書きまで読み飛ばさないのがコツです。SP刃物が何を指すかはここでは説明せず、手配するときに販売店やメーカーへ確かめる前提にしておきます。
読み違えないための確認の順番
ここまでの読み方を、候補の機種を見るときの確認の順番にまとめておきます。
- 径の数字(φ・D・外径)に、どの強度区分の鉄筋が添えられているか
- 強度区分によって径が変わる書き方や、刃物の指定が付いていないか
- 製品ページと取扱説明書で、書き方が食い違っていないか
- 取扱説明書に、切ってはいけない材料が書かれていないか
- 手元の鉄筋の強度区分と径の組み合わせが、表示のどこかに入っているか
最後の項目で当てはまる表示が見つからないときは、自分の判断で切りに行かず、メーカーに確かめてから手配するのが筋です。表示に書かれていない組み合わせで何が起きるかは、手元の資料からは言えないからです。
能力を超えた鉄筋について、取扱説明書が書いていること
能力を超える太さや硬さの鉄筋を無理に切るとどうなるのか。取扱説明書に書かれているのは、切断片が飛んで負傷するおそれと、工具が破損するおそれです。マキタのSC001Gの取扱説明書は、p.10で「能力以上の鉄筋は絶対に切断しないでください。」「鉄筋以外の材料は切断しないでください。」とし、p.11で「抗張力の高い(硬い)鉄筋や輸入された硬い鉄筋を切断する際に切断片が飛んで負傷する恐れがあります。」と注意しています(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10〜11、2026年9月確認)。
HiKOKIのCF18DSL/CF18DSALの取扱説明書p.5は、「仕様欄にある本機の切断能力を超えた作業はしないでください。」に続けて、硬い輸入材やPC鋼(原文の表記は「PC 綱」)などの材料を切断しないよう求め、「切断片が飛ぶことがあり、事故の原因になります。」としています(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.5、2026年9月確認)。手動のMCCは、取扱説明書p.1で、刃は軟質の棒鋼を切断するために製作されたものなので硬鋼・ステンレス鋼・熱処理した線材などは切断しないこと、JIS規格品以外の鉄筋材料や再生材は部分的に硬い物があり工具が破損するおそれがあるので切断しないこと、を挙げています(出典:MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1、2026年9月確認)。
PC鋼の扱いは、メーカーと機種、刃物で違います。HiKOKIは先ほどのとおり切断しない材料に挙げていますが、IKKの取扱説明書(8ML318C)の仕様のページには、機種によって「PC鋼線を切断する場合は、オプションのPC鋼用カッターブロックをお求めください」という注記があります(出典:IKK『鉄筋カッター 取扱説明書』8ML318C p.12、2026年9月確認)。PC鋼を切る予定がある現場では、機種と刃物の組み合わせごとに取扱説明書で確かめてください。
表示に出てくる強度区分の記号そのものが何を分けているのかは、鉄筋の規格を扱った記事で確かめられます。

図面や鉄筋に出てくる記号の読み方は、鉄筋の記号の記事にまとめています。

現場目線で言えば、切断能力の欄は「何mmまで切れるか」を見る場所ではなく、「どの鉄筋を何mmまで切れるか」を見る場所です。この読み方に切り替えるだけで、届いた機械で切れなかったという手戻りの多くは、手配の段階で拾えるはずです。
鉄筋カッターの選び方|電源・重さ・切断時間・使う場所
切断能力の表示で候補を絞り込めたら、そこから先は現場の条件との相性です。次の順番で比べていくと迷いが少ない、というのが僕の考えです。
- 手元の鉄筋の径と強度区分が、切断能力の表示に入っているか
- 電源をコンセントから取るか、電池で動かすか
- 質量が、何を含めた数字として書かれているか
- 切断時間の数字を、どういう前提の数字として読むか
- その日に切る本数と、本体が高温になったときの注意
1つ目は前の章で見たので、ここでは2つ目から順に確認していきます。
電源は、今回確認したコード式が単相100V、充電式が18Vか36Vの電池
コード式は、マキタのSC130・SC161・SC191とIKKのDC-22HD・DC-16LZが、いずれも単相100Vです(出典:マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2/IKK公式サイト 製品ページ DC-22HD・DC-16LZ、2026年9月確認)。充電式は、マキタSC163DとオグラHCC-F1618が直流18V、HiKOKIのCF18DSL/CF18DSALが電池電圧18V、マキタSC001Gが直流36(40Vmax)、IKKのDCC-1636HRが36Vです(出典:マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」「SC001G」/オグラ『HCC-F1618 取扱説明書』p.2/HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11/IKK公式サイト 製品ページ DCC1636HR、2026年9月確認)。
どちらが上というより、鉄筋を切る場所まで電気をどう持っていくかで決まる話です。仮設の分電盤から離れた場所や、延長コードを這わせにくい場所で切ることが多いなら充電式の出番が増えますし、電源の近くでまとめて切るならコード式も候補に残ります。
重さは電池込みか、コード込みかをそろえて比べる
質量の数字は、何を含めて量ったかの注記とセットで読みます。充電式は、マキタSC163Dが6.9kg(バッテリ含む)、SC001Gが6.0kg(BL4025装着時)、オグラHCC-F1618が5.8kg(バッテリ含む)、IKKのDCC-1636HRが5.6kg(バッテリー含む)、HiKOKIのCF18DSLとCF18DSALが6.6kgと9.4kg(蓄電池装着後、サイドハンドル除く)で、5.6kg〜9.4kgの幅でした(出典:マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」「SC001G」/オグラ『HCC-F1618 取扱説明書』p.2/IKK公式サイト 製品ページ DCC1636HR/HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11、2026年9月確認)。
コード式は、IKKのDC-16LZが7.0kg(2芯・2.5mコードを含む)、DC-22HDが11.1kg(3芯・5.0mコードを含む)とコードの長さまで書かれていて、マキタのSC130・SC161・SC191は6.5kg・8.7kg・12.8kgです。まとめると6.5kg〜12.8kgの幅になります(出典:IKK公式サイト 製品ページ DC-16LZ・DC-22HD/マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2、2026年9月確認)。手動はMCCのRC-16が15.0kgで、そもそも床面に置いて使う前提の工具です(出典:MCC公式サイト「鉄筋カッタ」/MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1、2026年9月確認)。
同じ「質量」の欄でも、今回の資料で質量にサイドハンドルを除くと注記しているのはHiKOKIだけで、IKKのコード式はコードの芯数と長さまで含めた数字です。条件がそろっていない数字どうしなので、わずかな差で決めるより、持ち上げて構える場面が多いのか、床や作業台に置いて切る場面が多いのかで考える方が、現場の感覚に合います。上向きや高い位置で構えて使いたいなら、その使い方ができるかを取扱説明書の使い方の項で確かめてから手配してください。
切断時間は数字を並べて速い順にしない
切断時間は、メーカーの表記のまま読みます。マキタはSC163Dが2.8秒(取扱説明書では約2.8秒)、SC001Gが約1.7秒、SC130・SC161・SC191が切断速度1.5秒・1.5秒・2.5秒です(出典:マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」「SC001G」/マキタ『SC163D 取扱説明書』p.2/マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2、2026年9月確認)。HiKOKIは「切断速度(前進時間)」としてCF18DSLが4秒、CF18DSALが6.5秒、IKKはDC-22HDが約4秒、DC-16LZとDCC-1636HRが約2秒、オグラのHCC-F1618は約2.0秒です(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11/IKK公式サイト 各製品ページ/オグラ『HCC-F1618 取扱説明書』p.2、2026年9月確認)。
並べると比べたくなりますが、項目名からして「切断時間」「切断速度」「切断速度(前進時間)」とそろっていませんし、機種ごとに切断能力の表示(径と強度区分)も違います。IKKのDC-22HDは、同じ製品ページの中で仕様欄が約4秒、本文が「D22までの鉄筋を3秒で切断可能です。」と書かれていて、1つのページの中でも数字が1つに決まっていません(出典:IKK公式サイト「DIAMOND-鉄筋カッター DC-22HD」、2026年9月確認)。前提がそろっていない数字なので、この記事では速い順の並べ替えはしません。切断時間は、候補ごとの目安の1つとして眺める程度にとどめるのが無難です。
本数が多い日は1充電の目安と、本体が高温になったときの注意を見る
充電式で本数を切るなら、1充電あたりの作業量の目安も見ておきます。マキタの製品ページでは、SC163Dが「φ16mm 約280本」、SC001Gが「φ16mm 約250本」(BL4025装着時)で、SC001Gには「数値は参考値です。バッテリの充電状態や作業条件によって異なります。」と添えられています(出典:マキタ公式サイト 製品ページ「SC163D」「SC001G」、2026年9月確認)。
本体が高温になったときの注意も、各社が書いています。マキタのSC001Gは「機械本体の外部表面の温度が70℃をこえるとパワーが低下します。」とし、夏季や連続切断で特に高温になりやすいとしています(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.11、2026年9月確認)。HiKOKIは、使用条件や使用環境によって油圧部が50℃以上になると油圧オイルの粘度が下がって切断力が落ちるので、一度本体を冷やしてから使うよう求めています(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.20、2026年9月確認)。IKKの取扱説明書も「本体の表面温度が60℃を超えると、油圧オイルの粘度が低下し、切断力が低下します。」としています(出典:IKK『鉄筋カッター 取扱説明書』8ML318C p.9、2026年9月確認)。
実務だと、切る本数が多い日に1台で休まず切り続ける段取りは組まない方が安全側です。冷ます時間を工程に見込むのか、切る場所や順番で分けるのかを、前日までに職長と話しておくと現場で慌てずに済みます。
使う場所と、手動か電動かの使い分け
構え方に関わる仕様として、HiKOKIの取扱説明書にはヘッド回転角の欄があり、CF18DSLが345°、CF18DSALが360°です(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11、2026年9月確認)。ヘッドをどこまで回せるかを示す欄なので、狭い場所や姿勢が限られる場所で使う予定があるなら、質量と一緒に目を通しておきたいところです。
手動と電動のどちらを用意するかは、ここまでの事実を並べると考えやすくなります。手動のMCCは、床面に置いて使い、切るときはハンドルを両手で握って少し足を開いた安定した姿勢で閉じる工具で、取扱説明書の対象材はSR295またはSD295で、製品ページの注記にはSD345も入っています(出典:MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1〜2/MCC公式サイト「鉄筋カッタ」、2026年9月確認)。一方の電動は、今回確認した機種のどれもが、製品ページか取扱説明書のどちらかで切断能力にSD345やSD390などの強度区分を書いていて、DC-22HDのようにD22まで表示のあるものもあります(出典:マキタ『SC163D 取扱説明書』p.2・『SC001G 取扱説明書』p.2・『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.2/HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.11/IKK公式サイト 製品ページ DC-22HD・DC-16LZ・DCC1636HR/オグラ『HCC-F1618 取扱説明書』p.2、2026年9月確認)。個人的には、切る鉄筋が手動の対象材と径の範囲に収まり、床に置いて切れる場所なら手動も候補、SD345やSD390の鉄筋を切ることが多いなら、その強度区分が表示された機種から探す、という分け方が現実的だと考えています。電源を使わないタイプでも、アーム産業のTC-16HB(手動油圧)のように「鉄筋(SD490)φ16mm(JIS G3112 SD490)」と強度区分を書いているものがあります(出典:アーム産業公式サイト「鉄筋カッター」、2026年9月確認)。
買うかレンタルで済ませるか、元請で用意するか鉄筋屋さんが持ち込むかは、メーカーの資料で決まる話ではありません。着工前の打合せで、持ち込み工具の扱いと一緒に誰がどの機械を用意するかを決めておくのが、手配の抜けを防ぐいちばん確実なやり方だと思います。
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【PR】能力表示の見誤りで選び直しにならないよう、購入前に候補を見比べておきましょう
切断能力の欄に書かれた鉄筋の太さと種類を確かめてから選ぶと、手配し直す手間が減ります。
- 切断能力の表示(対応する鉄筋の太さや種類)の読み方が分かりにくい
- 充電式かコード式か、電源方式と重さのバランスで迷う
- 手動と電動、どちらを選ぶべきか用途で迷う
鉄筋カッターを安全に使うための注意|切断片の飛散・保護具・刃の交換
切った端材が飛んでくるのが怖い、という感覚は、取扱説明書の書き方ともぴったり重なります。マキタ・HiKOKI・MCCの取扱説明書には、飛ばさないための切り方と、飛んだときに備える保護具の両方が書かれていて、IKKの取扱説明書にも、短く切ったときや硬い材料で切断片が飛ぶことへの注意があります(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10〜11、HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.5、IKK『鉄筋カッター 取扱説明書』8ML318C p.8、MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1〜2、2026年9月確認)。
1本ずつ、刃の奥まで入れて切る
まず守りたいのが、2本以上を同時に切らないことです。マキタのSC001Gの取扱説明書は「鉄筋を絶対に2本以上同時に切断しないでください。切断片が高く飛んだりして負傷する恐れがあります。」「また複数の鉄筋が予想外の動きをして手指をはさむなど負傷する恐れがあります。」としています(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10、2026年9月確認)。HiKOKIの取扱説明書p.5も、一度に2本以上切断しないよう求めたうえで、「鉄筋はカッタブロックの間に深くはさみ、切断してください。浅い位置で切断するとカッタブロックを損傷したり、切断片が飛ぶことがあり、事故の原因になります。」と書いています(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.5、2026年9月確認)。
手動のMCCも、取扱説明書p.1で「被切断材は切断刃溝の奥まで挿入して切断してください。」とし、刃溝の先端部で切ると刃が損傷するおそれがあるとしています。同じページの警告には「電流が流れているものには使用しないで下さい。」ともあります(出典:MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1、2026年9月確認)。No.0(RC-0000)とRC-13(RC-0113)は、切断部に小径用と大径用の2つの切断刃(溝)があり、細い材料を大径用の刃で切ると完全に切れ落ちない場合がある、と製品ページに注記されています(出典:MCC公式サイト「鉄筋カッタ」、2026年9月確認)。
材料の硬さについては、IKKの取扱説明書が「PC鋼線や高強度鉄筋などの硬い材料ほど飛びやすくなります。」と書いています(出典:IKK『鉄筋カッター 取扱説明書』8ML318C p.8、2026年9月確認)。硬い鉄筋ほど、切り方と周りの安全確認をていねいにする必要がある、ということです。
メーカーごとに違う2つの目安:短く切ることの注意と刃の交換
短く切ることについての注意と、刃の交換の目安は、メーカーの取扱説明書ごとに書き方も数字も違います。下の表は、マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10〜11、HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.5・p.21、IKK『鉄筋カッター 取扱説明書』(8ML318C)p.8・p.22から、該当する記述を拾ったものです(2026年9月確認)。
| 取扱説明書 | 短く切ることについての記述 | 刃の交換・向き替えについての記述 |
|---|---|---|
| マキタ SC001G | 切断片が200mm以下では切断しない(p.10) | 破損(刃欠け、ひびわれ)や変形した刃物はすみやかに交換(p.11) |
| HiKOKI CF18DSL/CF18DSAL | 15cmより短く切断しない(p.5) | 刃部1辺あたりの寿命の目安はおよそ1,000回。刃部は4辺あり、取付け向きを替えて4回使える(p.21) |
| IKK 8ML318C(DC-16LZなどが対象) | およそ15cmより短く切ると、切断片が勢いよく飛ぶことがある(p.8) | 約2000回位(DC-16HRは1000回位)切断したら、取付け向きを替えるか交換(p.22) |
マキタのSC001Gは、200mm以下で切った場合は「切断片が異常に高く跳ねたり、飛んだりして負傷する恐れがあります。」としています(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10、2026年9月確認)。200mmと15cmでは数字がかなり違うので、短く切ってよい長さは「鉄筋カッターなら何cm」と覚えるのではなく、使う機械の取扱説明書で毎回確かめるものだと考えておくのが安全です。
刃の交換も同じで、回数の目安はメーカーの記述として読みます。IKKの約2000回位という目安は、DC-13LVやDC-16LZなどを対象にした取扱説明書(8ML318C)の記述で、同じ取扱説明書は「切断回数が上記の回数に達する前でも、カッターブロックの摩耗や変形には常に注意し、異常を発見した場合は使用を止めてください。」とも書いています(出典:IKK『鉄筋カッター 取扱説明書』8ML318C p.22、2026年9月確認)。この取扱説明書の対象機種にDC-22HDは含まれていないので、DC-22HDの目安として読まないでください。HiKOKIは、刃部に欠けや変形がある場合は早めにカッタブロックの向きを変えて新しい刃部を使うか、新品と交換するよう求めています(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.21、2026年9月確認)。
回数の目安を書いていない取扱説明書にも、刃の傷みを見たら替えるという記述があります。マキタのSC130/SC161/SC191の取扱説明書p.8、オグラのHCC-F1618の取扱説明書p.11、マキタのSC001Gの取扱説明書p.11は、破損(刃欠け、ひびわれ)したり変形したりした刃物はすみやかに交換するよう求め、鉄筋を切る際に外れたり割れたりして重大な事故になる危険を挙げています。手動のMCCも「刃は消耗品です。」とし、摩耗や欠けなどで損傷したら替刃に交換するよう書いています(出典:マキタ『取扱説明書 鉄筋カッタ SC130/SC161/SC191』p.8/オグラ『HCC-F1618 取扱説明書』p.11/マキタ『取扱説明書 SC001G』p.11/MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1〜2、2026年9月確認)。
保護具と飛散防止の部品、周りにいる人への注意
保護具は、取扱説明書が名指ししているものをそろえます。マキタのSC001Gは、硬い鉄筋や輸入された硬い鉄筋で切断片が飛ぶおそれに触れたうえで「不測の場合に備えて作業者は保護メガネをご使用ください。」とし、プロテクターについては「プロテクターは絶対に外さないでください。」としています(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10〜11、2026年9月確認)。HiKOKIは「飛散防止ガードは必ず取付けて使用してください。」「作業中はヘルメット、安全靴などの防具を着用してください。」と書いています(出典:HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.5、2026年9月確認)。
手動のMCCは、「切断作業時は、被切断材が飛散しますので、保護メガネを必ず使用してください。」「保護メガネ・安全靴・手袋を着用する。」に加えて、「作業時には、飛散した被切断材が他の人に当らないよう十分注意を払ってください。」と、周りの人への注意まで書いています(出典:MCC『鉄筋カッタ取扱説明書』取説No.RC0001-02 p.1〜2、2026年9月確認)。操作方法の中には、切断刃と被切断材をウエスなどで包むようにすると飛散しにくくなること、ハンドルを両手で握り少し足を開いた安定した姿勢で閉じることも示されています(出典:同取扱説明書 p.2 操作方法4・7、2026年9月確認)。
保護メガネの種類や選び方は、保護メガネの記事で比べています。

作業前のKYで確かめておくこと
ここまでの取扱説明書の記述を、作業前のKYで確かめる項目に置き換えると、次のようになります。
- 切る鉄筋の径と強度区分が、その機械の切断能力の表示に入っているか
- 1本ずつ切る段取りで、取扱説明書が注意している長さより短い端材を切る予定がないか
- 飛散防止ガードやプロテクターが、外されずに付いているか
- 保護メガネ・ヘルメット・安全靴など、取扱説明書が求める保護具がそろっているか
- 切断片が飛ぶ向きに、ほかの作業員が入っていないか
- 刃に欠け・ひびわれ・変形が出ていないか
正直なところ、この6項目の中で抜けやすいのは、切る本人ではなく周りの人の位置だと僕は見ています。切る人が保護メガネを着けていても、近くで別の作業をしている人まで同じ備えができているとは限らないので、切り始める前にひと声かける習慣を付けておきたいですね。
グラインダーや高速カッターで鉄筋を切るときにかかる決まり
刃で挟んで切る鉄筋カッターではなく、ディスクグラインダーや高速カッターのように砥石(研削といし)を回して切る道具に持ち替えると、話が変わります。砥石を使う道具には、労働安全衛生規則に研削といしについての規定があるからです。刃で挟むタイプの鉄筋カッターは砥石を使わないので、これから挙げる規定は、砥石で切る道具に持ち替えたときに気にするもの、と整理しておくと混ざりません。
砥石を使うときに押さえておきたい条文は、次の5つです(出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』、2026年9月確認)。
- 第36条第1号:「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」を、特別教育が必要な業務に挙げている
- 第117条:回っている砥石で働く人に危険が及ぶおそれがあれば覆いを付ける。直径が50mm未満の砥石は対象外
- 第118条:試運転の時間は、毎日の作業を始める前が1分間以上、砥石を取り替えたときが3分間以上
- 第119条:砥石ごとの最高使用周速度を超える回し方をしない
- 第120条:側面で使う目的の砥石でなければ、側面を当てて使わない
特別教育の対象として条文に書かれているのは、「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」です(出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』第36条第1号、2026年9月確認)。高速カッターで切るなら特別教育が要るのか、という疑問は、まずこの条文の書き方に照らして考えるのが確実です。
では、鉄筋を砥石で切ること自体はどうか。最初の章で見たとおり、『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』5.3.2(1)が書いているのは「鉄筋の切断は、シヤーカッター等により行う。」という一文で、砥石で切ることの可否を個別に書いた文言は、この一文にはありません(出典:同仕様書 p.26、2026年9月確認)。砥石で切る方法を採りたい場合は、設計図書や特記仕様書、監理者の指示で確認してから段取りに入ってください。
砥石の選び分けや特別教育の中身、覆いと試運転を現場でどう見るかは、ディスクグラインダーの記事に任せます。

同じ「鉄筋を切る」作業でも、手に取る道具が変わるだけでかかる規定が変わる、というのは見落としやすいところです。手直しで急いでいる日ほど、その道具が刃で挟むものか砥石を回すものかを一度確かめてから始めるのが、段取りとしてはいちばん安上がりです。
鉄筋カッターに関する情報まとめ
- 鉄筋カッターとは:鉄筋を刃で挟み込んで切断する工具。公共建築工事標準仕様書は鉄筋の切断を「シヤーカッター等」によると定めている(令和7年版 5.3.2(1))
- 種類:手動・手動油圧・電動のコード式・電動の充電式の4つ。電源の取り方と、表示された太さと強度区分の幅で分けて考える
- 切断能力の読み方:径の数字は、強度区分と刃物の指定とセットで読む。製品ページだけでなく取扱説明書の仕様まで開く
- 選び方:電源の取り方と、質量の条件(電池込みかコード込みか)を確かめて比べる。切断時間は項目名も前提もそろっていないので、順位は付けない
- 安全の注意:能力以上や2本同時は切らない。短く切ることの注意と刃の交換目安はメーカーごとに違い、ガードと保護具は外さない
- 砥石で切る場合:特別教育・覆い・試運転などの研削といしの規定は、砥石を使う道具にかかる(労働安全衛生規則第36条第1号・第117条〜第120条)。仕様書の一文に砥石切断の可否は書かれていないので、設計図書や監理者の指示で確かめる
以上が鉄筋カッターに関する情報のまとめです。
鉄筋カッターは、「この太さまで切れる機械」を1台そろえれば済む道具ではなく、どの強度区分の鉄筋を、どこで、何本切るのかから逆算して選ぶ道具です。手配の前に、切る予定の鉄筋の径と強度区分を確かめ、その組み合わせが候補の機械の取扱説明書の仕様に入っているかを見る。そのうえで電源の取り方と1日の本数を段取りに照らし、KYで1本ずつ・短く切りすぎない・ガードを外さない、を共有しておく。僕の感覚だと、この順番を一度踏んでおくだけで、届いた機械で切れなかったという手戻りも、切断片でひやりとする場面も、かなり減らせるはずです。
切る長さの出どころになる加工図の読み方も押さえておくと、手直しの段取りが一本につながります。

鉄筋カッターの手配と使い方で出てきやすい質問
Q1:D16まで切れる機械なら、SD390のD16も切れますか?
径の数字だけでは判断できないので、表示に添えられた強度区分を見ます。例えばマキタの取扱説明書p.2では、SC163DがSD345相当鉄筋で最大D16、SC001GがSD390相当鉄筋で最大D16と、前提の鉄筋が違います(出典:マキタ『SC163D 取扱説明書』p.2・『SC001G 取扱説明書』p.2、2026年9月確認)。表示に無い組み合わせはメーカーに確かめてください。
Q2:鉄筋をガスで焼き切ってもいいですか?
標準仕様書の5.3.2(1)は「鉄筋の切断は、シヤーカッター等により行う。」としていて、5章の鉄筋工事に「ガス切断」の語は出てきません。禁止を名指しした文言ではありませんが、5.3.1(1)が加工を「常温で」行うとしている点も含めて、設計図書や監理者の指示で確かめます(出典:『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』5.3.1(1)・5.3.2(1) p.26・5章、2026年9月確認)。
Q3:鉄筋を2本まとめて切っても大丈夫ですか?
やめておきます。マキタのSC001Gの取扱説明書は2本以上同時に切断しないよう求め、切断片が高く飛ぶなどして負傷するおそれを挙げています。HiKOKIの取扱説明書も一度に2本以上切断しないよう書いています(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10/HiKOKI『取扱説明書』(CF18DSL/CF18DSAL)p.5、2026年9月確認)。
Q4:短い端材は何cmまで切っていいですか?
全機種共通の数字はなく、取扱説明書ごとに違います。マキタのSC001Gは切断片が200mm以下では切断しない、HiKOKIのCF18DSL/CF18DSALは15cmより短く切断しない、IKKの8ML318Cはおよそ15cmより短く切ると切断片が勢いよく飛ぶことがある、としています(出典:マキタ『取扱説明書 SC001G』p.10/HiKOKI『取扱説明書』p.5/IKK『鉄筋カッター 取扱説明書』p.8、2026年9月確認)。
Q5:高速カッターで鉄筋を切るなら、資格は要りますか?
砥石(研削といし)を使う道具では、労働安全衛生規則第36条第1号が「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」を特別教育の対象にしています(出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』、2026年9月確認)。刃で挟んで切る鉄筋カッターは砥石を使わないので、この規定とは切り分けて考えます。
