工程管理アプリとは?工程表アプリとの違い、必要な機能、更新の運用、選び方など

  • 工程管理アプリと工程表アプリって、同じもの?
  • 検索するとAsanaとかNotionが出てくるけど、現場でも使えるの?
  • ガントチャートは描けたけど、その後どう回せばいいのか分からない
  • 予定工程表を作って貼っただけで、誰も更新していない
  • 協力会社にはどこまで見せればいいの?
  • 総合工程と週間工程、アプリで両方やるものなの?
  • 雨で1日飛んだとき、全部引き直すのが面倒で放置してしまう
  • 入れたはいいが、結局ホワイトボードに戻った

上記の様な悩みを解決します。

工程管理アプリは、工程表を作るだけでなく、実績を入れて遅れを見つけ、関係者に共有するところまでを1つの場所でやるための道具です。ところが検索して出てくるのは建設向けのSaaS会社と、AsanaやNotionのような汎用ツールを紹介する記事が混ざった状態で、どちらも構成は「とは、機能、メリット、選び方、おすすめ何選」で揃っています。読んでも現場が動き出さないのは、道具の一覧の前にあるはずの「工程表のどの層を載せるのか」「実績を誰が入れるのか」が抜けているからなんですよね。今回は工程表アプリとの違い・機能・選び方といった基本を押さえた上で、ベンダーの記事に出てこない汎用ツールが行き詰まる理由、3階層のどれを載せるか、更新の運用の決め方まで、施工管理の目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、工程を初めて任された方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

工程管理アプリと工程表アプリは目的が違う

まず言葉を分けます。結論「工程表アプリは描く道具、工程管理アプリは回す道具」です。世の中の記事はこの2つを同じ意味で使っていますが、現場で必要になる機能はまったく違います。

描く道具に求められるのは、バーを並べる、階層を作る、印刷して掲示する、といった作成の機能です。これは1人で完結します。対して回す道具に求められるのは、実績を入れる、遅れを検知する、変更を関係者へ配る、という運用の機能で、こちらは複数人が毎週触ることが前提になります。

工程表アプリ 工程管理アプリ
目的 工程表を作る 進捗を回す
主な操作 作成、編集、印刷 実績入力、変更、共有
触る人 作成者ひとり 担当者と協力会社
効果が出る条件 作図が速くなる 更新が続く

自分がいま欲しいのがどちらなのかを決めずに製品を比べると、印刷がきれいなだけのものを選んで運用が続かない、あるいは高機能すぎて誰も入力しない、のどちらかになります。工程表そのものの型については、まずここを押さえておくと道具の話が分かりやすくなります。

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汎用のタスク管理ツールが建設の工程で行き詰まる理由

検索するとAsanaやNotionのような汎用ツールが並びますが、結論「建設の工程には、汎用ツールが持っていない制約がある」ため、そのままでは行き詰まります。ここは競合の記事がまったく触れていないところです。

汎用ツールのタスクは、基本的に人と期限で管理します。ところが建設の工程では、順序を決めているのが担当者の都合ではなく物理と法令です。コンクリートを打った翌日に型枠は外せませんし、養生期間は誰が急いでも短くなりません。上階の躯体が終わらないと下階の内装に入れないという制約も、担当者を増やして解決できるものではありません。

もうひとつがリソースの数え方です。汎用ツールは1人1タスクを前提にしますが、現場のリソースは職種別の人工で、しかもその大半は自社の従業員ではありません。鉄筋工が明日何人入るかは協力会社の都合で決まるので、こちらのツール上で人数を割り当てても、それは予定にしかなりません。

  • 順序を決めているのは担当者ではなく物理と法令
  • 養生期間や検査待ちは短縮できない
  • リソースは職種別の人工で、他社が持っている
  • 天候で1日ずれると後続がまとめて動く

そして天候です。1日の雨で後続がまとめてずれるので、日付を1つずつ直す作りのツールだと更新が現実的でなくなります。先行と後続の関係を持たせて、前が動いたら後ろも動く形になっているかが、建設で使えるかどうかの分かれ目になります。この考え方は工程表の型そのものにも表れています。

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工程表は3階層|どの層を載せるのかを先に決める

導入がうまくいかない現場のほとんどは、結論「どの層の工程表をアプリに載せるのかを決めていない」状態です。

工事の工程表は普通、3つの層で運用されています。着工から竣工までを月単位で見る総合工程。その月の中を週や日で刻む月間工程。そして今週何をどの順でやるかを決める週間工程です。層が違えば、更新の頻度も、見る人も、粒度も違います。

粒度 更新の頻度 主に見る人
総合工程 月単位 大きな変更時 発注者、社内、所長
月間工程 週から日 月に一度と変更時 担当者、協力会社
週間工程 日から半日 毎週 職長、作業員

ここで多いのが、総合工程だけをアプリに入れて「更新されない」と言っている状態です。総合工程はもともと毎週動かすものではないので、更新が起きなくて当たり前です。逆に週間工程を載せると毎週必ず触ることになるので、運用は回り始めますが、そのぶん入力の負担が現場に乗ります。

  • 総合工程だけ載せても更新は起きない
  • 週間工程を載せると必ず毎週触ることになる
  • 層をまたぐなら、上の層が自動で追随するかを見る
  • 掲示している紙とアプリのどちらが正かを決める

現場目線で言えば、最初に載せるべきなのは月間工程です。総合工程ほど動かず、週間工程ほど手間が重くない層なので、更新の習慣が付きやすいと感じています。

必要な機能を5つに絞る

機能表は長くなりがちですが、結論「見るのは5つで足ります」。それ以外は導入してから考えても遅くありません。

1つ目は先行後続の設定です。前の作業が動いたら後ろが自動で動く関係を持てるか。2つ目は実績の入力で、予定に対して何パーセント進んだか、あるいは実際にいつ終わったかを残せるか。3つ目は変更の履歴で、いつ誰がどこを動かしたかが分かるか。4つ目は共有の権限で、協力会社に見せる範囲を絞れるか。5つ目は出力で、掲示用に印刷したり、既存の様式に書き出したりできるかです。

機能 無いとどうなるか
先行後続の設定 1日ずれるたびに全部を手で直すことになる
実績の入力 予定工程表のまま止まり、遅れが見えない
変更の履歴 誰がいつ動かしたかが追えず、責任が曖昧になる
共有の権限 見せたくない情報まで協力会社に見える
出力 掲示や提出のために別途作り直しになる
  • 先行後続が持てるかが建設向けかどうかの境目
  • 実績を入れられないものは工程表アプリに分類される
  • 権限は協力会社に無料で配れるかも合わせて見る
  • 出力の様式が社内や発注者の形に合うかを確認する

なお、無料で使えるものをまず試したい場合は、無料の種類そのものが何通りかあるので、そこを整理してから触った方が早いです。

更新の運用|予定工程表を化石にしないために

工程管理アプリで最大の失敗は、結論「予定工程表を入れたきり、実績が入らないこと」です。道具の問題ではなく運用の問題なので、先に決めておきます。

決めるのは3つです。誰が入れるか、いつ入れるか、何を入れるか。誰が入れるかは、担当者が全部やるのか、職長に入れてもらうのかで負担がまるで変わります。いつ入れるかは、朝礼の前なのか、終業時なのか、週末なのか。何を入れるかは、進捗のパーセントなのか、開始と終了の日付だけなのか。パーセントは主観が入るので、日付だけに絞った方が続くことが多いです。

そして遅れが出たときにどうするかも先に決めておきます。予定を書き換えるのか、予定は残して実績を並べるのか。予定を上書きしてしまうと、あとから「そもそも何日遅れたのか」が分からなくなります。当初工程を別に残しておくかどうかは、後で必ず効いてきます。

  • 誰が、いつ、何を入れるかを導入前に決める
  • 入れるのは進捗率ではなく日付にすると続きやすい
  • 当初の予定を残すか上書きするかを決めておく
  • 週に一度、入っているかを確認する人を決める

エクセルの工程表から移行する場合は、いきなり全部を移さず、1現場だけで並行して回してみるのが安全です。エクセル側の運用を整えるだけで足りるケースもあります。

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導入でつまずく場所

つまずき方には型があります。結論「電波、権限、粒度、二重管理の4つ」です。

電波は写真アプリと同じで、地下や山間部では同期が止まります。工程は写真ほど容量を食わないので影響は小さいのですが、朝礼前に開けないと使われなくなります。権限は、協力会社にアカウント費用がかかると入ってもらえない問題です。ここが有料だと、元請の担当者だけがアプリを触り、協力会社とは相変わらず紙とチャットでやり取りすることになります。

粒度は、細かく作りすぎて更新が追いつかなくなる問題です。バーを増やすほど正確に見えますが、毎週それを全部動かすのは現実的ではありません。二重管理は、掲示している紙の工程表とアプリの両方が生きている状態で、どちらが正かが決まっていないと、必ず食い違って混乱します。

  • 朝礼前に開けるかどうかで使用頻度が決まる
  • 協力会社の費用負担があると片肺運転になる
  • バーを細かくしすぎると更新が追いつかない
  • 紙とアプリのどちらが正かを最初に宣言する

現場に置くタブレットや掲示板と組み合わせて運用している例もあります。掲示を残すなら、印刷の元はアプリ側にする、と決めておくと二重管理になりません。

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選び方|何を回したいのかから逆算する

選び方は、結論「回したい層と、触る人の数から逆算する」のが答えです。機能の多さで選ぶと、たいてい重すぎて止まります。

週間工程を協力会社まで含めて回したいなら、必要なのは軽さと権限、そして無料で招待できることです。月間工程を社内で回したいなら、先行後続と履歴が効いてきます。総合工程を発注者に見せるだけなら、出力の様式が合うことがほぼすべてで、アプリでなくても足りる場合があります。

  • 回したい層を先に1つ決める
  • 触る人が何人で、そのうち何人が社外かを数える
  • 先行後続を持てるかを最低条件にする
  • 1現場で1か月並行運用してから広げる
  • 掲示用の出力が既存の様式に合うかを確認する

個人的には、導入の可否を決める指標は機能数ではなく「雨で1日飛んだときに、何分で工程表を直せるか」だと思っています。ここが5分で終わるなら更新は続きますし、30分かかるなら、どんなに高機能でもいずれ誰も触らなくなります。

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工程管理アプリに関する情報まとめ

  • 工程管理アプリとは:工程表を描く道具ではなく、実績を入れて進捗を回す道具
  • 工程表アプリとの違い:作成の機能か、運用の機能か。触る人の数が違う
  • 汎用ツールが行き詰まる理由:順序を決めているのが物理と法令、リソースは他社が持つ職種別の人工
  • 3階層:総合、月間、週間のどれを載せるかを先に決める。総合だけ載せても更新は起きない
  • 必要な機能は5つ:先行後続、実績入力、変更履歴、共有権限、出力
  • 更新の運用:誰が、いつ、何を入れるかを導入前に決める。進捗率より日付の方が続く
  • つまずく場所:電波、協力会社の費用、粒度の作り込みすぎ、紙との二重管理
  • 選び方:回したい層と触る人の数から逆算する

以上が工程管理アプリに関する情報のまとめです。

工程管理アプリは、工程表を美しくする道具ではなく、変更を早く配るための道具です。だから導入を任されたら、製品を並べる前に、自分の現場のどの層を回したいのかを1つ選び、実績を入れる人と日を決めてください。この2つが決まっていれば、必要な機能は5つに絞れますし、決まっていなければどの製品を選んでも同じ場所で止まります。現場目線で言えば、工程は道具で管理するものではなく、更新の習慣で管理するものだと考えています。

工程管理アプリに関するよくある質問

Q1:AsanaやNotionのような汎用ツールでも工程管理はできますか?

社内の事務作業やタスクの管理なら使えます。ただし建設の工程は、順序を決めているのが担当者の都合ではなく物理と法令で、養生期間や検査待ちは短縮できません。前が動いたら後ろも動く先行後続の関係を持てないツールだと、雨で1日ずれるたびに手で全部直すことになります。そこが続けられるかで判断してください。

Q2:工程表アプリと工程管理アプリは何が違いますか?

目的が違います。工程表アプリは工程表を作って印刷するための道具で、基本的に1人で完結します。工程管理アプリは実績を入れて遅れを見つけ、変更を関係者へ配るための道具で、複数人が毎週触ることが前提です。実績を入力できない製品は、名前がどうであれ前者に分類されます。

Q3:総合工程と週間工程、どちらをアプリに載せればいいですか?

最初に載せるなら月間工程がおすすめです。総合工程は毎週動かすものではないので更新が起きず、放置されているように見えてしまいます。週間工程は必ず毎週触るので運用は回りますが、入力の負担が現場に乗ります。月間工程はその中間で、更新の習慣が付きやすい層です。

Q4:協力会社にも見せる必要がありますか?

工程の変更を早く伝えることが目的なので、見せた方が効果は出ます。ただし見せる範囲は絞ってください。原価や社内のメモまで見える状態だと運用が止まります。あわせて、協力会社にアカウント費用が発生する製品だと参加してもらえないので、無料または低コストで招待できるかを事前に確認してください。

Q5:エクセルの工程表から移行するときの注意点は?

いきなり全現場を移さないことです。1現場だけでエクセルとアプリを1か月並行して回し、雨や変更が起きたときにどちらが早く直せるかを実際に比べてください。工程表の作成だけが目的で、共有も実績入力も不要なら、エクセルの運用を整えるだけで足りる場合もあります。

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