- 網入りガラスって何のためのガラス?
- 防火なの?防犯なの?
- ヒシ・クロス・線入りって何が違うの?
- なんで網に沿ってヒビが入るの?
- 金網入ってるのに防犯にならないの?
- どこの窓に指定されるの?
- 線入りガラス(プロテックス)も防火設備なの?
- 図面表記や交換のときの注意点は?
上記の様な悩みを解決します。
網入りガラスは、延焼ラインの窓でよく指定される身近なガラスですが、調べるとガラス交換店の費用案内ばかりで、施工管理が本当に知りたい「なぜここに指定されるのか(法的根拠)」「なぜ網に沿って割れるのか」「線入りとの違い」が出てきません。今回は定義・種類・用途といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で、建築基準法上の位置づけと熱割れ・錆割れの仕組みまで踏み込んで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
網入りガラスとは?
網入りガラスとは、結論「ガラスの中に金網を封入した、火災時の延焼を防ぐための防火用ガラス」のことです。線入りガラス、ワイヤーガラス、防火設備用ガラスとも呼ばれます。火事でガラスが割れても、中の金網が破片を保持して崩れ落ちを防ぎ、開口部から炎や火の粉が入り込むのを遮る、という役割を持っています。
ここで最初に押さえてほしいのは、網入りガラスの主役は「防火」であって「防犯」ではないという点です。金網が入っているので防犯に強そうに見えますが、これは大きな誤解で、後の章で詳しく説明します。合わせガラスが安全・防犯、複層ガラスが断熱、網入りガラスが防火、と役割はきれいに分かれています。まず「網入り=防火枠」と頭に置いておくと、ここから先の話が一本の線でつながります。
ガラスを納めるサッシとセットで理解しておくと、現場での指定意図が読みやすくなります。

網入りガラスの種類
網入りガラスの種類は、結論「ワイヤーの入り方で3タイプ」あり、そのうち防火設備に使えるのは2つだけです。ここを取り違えると、防火が必要な開口部に使えないガラスを発注してしまうので要注意です。代表的な3タイプは次の通りです。
- ヒシワイヤ:金網を斜めの菱形に封入。防火設備用として認定
- クロスワイヤ:金網を縦横の格子状に封入。防火設備用として認定
- プロテックス(線入り):ワイヤーが縦方向のみ。飛散防止用で、防火設備には認定されていない
ヒシワイヤとクロスワイヤは「建設省告示1360号」に規定される防火設備用ガラスとして、延焼のおそれのある場所で使われます。一方、縦線だけのプロテックス(線入りガラス)は見た目が似ていても防火設備の認定がなく、主に飛散防止や意匠、防煙垂れ壁などに使われます。実務だと、この「線入りは防火設備ではない」を知らずに延焼ラインへ発注してしまうミスが起きがちなので、図面が防火指定なら必ずヒシかクロスを選ぶ、と覚えておくと安全です。
網入りガラスが使われる場所
網入りガラスが指定される場所は、結論「建築基準法で延焼のおそれのある部分」です。ここが法的根拠で、費用案内ばかりの他サイトが触れないポイントになります。
具体的には、防火地域・準防火地域にある建物の外壁の開口部のうち、隣地境界線や道路中心線から一定距離内にある「延焼のおそれのある部分」には、防火設備が求められます。この防火設備用ガラスとして、告示1360号に適合する網入りガラス(ヒシ・クロス)がよく使われるわけです。飲食店やガソリンスタンドなど火を扱う店舗で見かけるのも同じ理由です。
もう一つの用途が防煙垂れ壁です。火災時の煙の流れをせき止めるために天井から下げる壁で、透明な線入りガラス(プロテックス)が使われることが多いです。視界を遮らずに煙をガードできるためですね。防煙垂れ壁の役割はこちらで詳しく整理しています。

延焼のおそれのある部分や防火規定は、建築基準法の改正でも動きがあるので、最新の枠組みも押さえておくと安心です。

網入りガラスは防犯ではない
繰り返しになりますが、結論「網入りガラスに防犯性はほとんど期待できません」。金網が入っているので侵入を防げそうに見えますが、この網はあくまで火災時の割れ落ちを防ぐためのもので、防犯目的ではないからです。
理由はシンプルで、封入されている網自体には強度がなく、ガラスを割ってしまえば網は簡単に切り取れてしまうからです。むしろ防犯を求めるなら、2枚のガラスを中間膜で貼り合わせた合わせガラス(防犯ガラス)が正解になります。現場目線で言えば、施主から「防犯のために網入りにしたい」と相談されることは珍しくありませんが、それは役割の誤解なので、防火なら網入り、防犯なら合わせ、と正しく仕分けて案内できると信頼につながります。この「網入り=防火であって防犯ではない」は、ガラス選びで最も多い勘違いなので、施工管理として必ず押さえておきたいところです。
網入りガラスのデメリット(熱割れ・錆割れ)
網入りガラスの弱点は、結論「熱割れ」と「錆割れ」の2つです。防火のために入れた金網が、皮肉にもこの2つの原因になっています。施主から「勝手にヒビが入った」とクレームが来やすいのがこのガラスなので、メカニズムを説明できると強いです。
熱割れは、ガラス面の温度差によって起きるヒビです。日射で温まった部分と、サッシの陰で冷たいままの部分との間に膨張差が生まれ、その応力でガラスが割れます。網入りガラスは金網の分だけ熱がこもりやすく、通常のガラスより熱割れが起きやすい傾向があります。とくにLow-Eガラスや複層ガラスと組み合わせると熱がこもりやすくなり、熱割れリスクがさらに上がる点は要注意です。
錆割れは、ガラスの小口(切断面)から入った水分で内部の金網が錆び、その錆が膨張してガラスを内側から押し割る現象です。網に沿って点々とヒビが走っていたら、まず錆割れを疑います。対策と勘どころは次の通りです。
- 小口処理を確実にする:切断面の防錆処理・シーリングで水分の侵入を防ぐ
- 水がたまる納まりを避ける:下辺に水が滞留しない排水経路を確保する
- 熱割れ対策:濃色フィルムの後貼りや、局所的な日射差が出る納まりを避ける
- 複層化の際は熱割れ検討をする:Low-Eや複層との組合せは慎重に判断する
正直なところ、網入りガラスのヒビは「施工不良」ではなく素材特性で起きることが多いので、原因を切り分けて説明できるかどうかが、無用なクレームを防ぐ分かれ目になります。
網入りガラスの施工管理での注意点
施工管理として押さえたいのは、結論「防火認定の有無」と「図面表記の読み違い」です。見た目が似ているガラスが多いぶん、種類の取り違えが致命傷になります。押さえる注意点は次の通りです。
- 防火指定はヒシ/クロスを選ぶ:線入り(プロテックス)は防火設備ではない
- 図面表記を確認する:建具表の「網入り」「線入り」「型板」の記号を混同しない
- 撤去・普通ガラスへの交換に注意:延焼ラインの窓を無認定ガラスに替えると法不適合になる
- 交換費用は割高:金網入りで加工が難しく、一般ガラスより高くなる
- 錆割れ・熱割れは素材特性:施工不良と切り分けて記録・説明する
ガラス種類は建具表に集約されるので、拾い出し・発注は建具表の見方とあわせて確認するのが確実です。

網入りガラスに関する情報まとめ
- 網入りガラスとは:金網を封入した防火用ガラス(線入り・ワイヤーガラスとも呼ぶ)
- 種類:ヒシワイヤ・クロスワイヤ(防火設備/告示1360号)、プロテックス(線入り・防火設備ではない)
- 使われる場所:延焼のおそれのある部分の開口部、防煙垂れ壁
- 防犯性:ほぼ期待できない(防犯なら合わせガラス)
- デメリット:熱割れ(温度差)と錆割れ(小口からの水分で金網が錆びる)
- 注意点:防火はヒシ/クロス、図面表記の混同と無認定への交換に注意
以上が網入りガラスに関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。網入りガラスは「防火のためのガラスで、防犯ではない」「網に沿ったヒビは熱割れか錆割れ」という2点さえ腹落ちすれば、指定意図もクレーム対応も一気に見通しがよくなります。僕としては、この2点を説明できる施工管理は施主対応で確実に信頼される、と感じます。窓まわりはサッシや建具表とセットで固めておくのがおすすめです。



