- コンクリートの圧縮強度って結局なに?
- N/mm²って単位の意味が分からない
- 呼び強度・設計基準強度と何が違うの?
- 試験ってどうやってるの?
- 試験成績表のどこを見て合否を判断するの?
- 1週強度が低いと不合格なの?
- 強度が足りなかったら現場はどうなる?
上記の様な悩みを解決します。
コンクリートの圧縮強度は、RC造の現場で品質管理の中心になる数値です。打設のたびにテストピースを採って試験に出し、後日「圧縮強度試験成績表」が現場に回ってきますが、この成績表のどこを見て合否を判断するのかが分からないまま「たぶん大丈夫」で流している若手は多いです。今回は定義・単位・試験方法といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「成績表の合否の見方」「1週強度が低いときの考え方」「型枠脱型との関係」など、現場で本当に必要になるポイントまで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
コンクリートの圧縮強度とは?
コンクリートの圧縮強度とは、結論「コンクリートが押しつぶされる力にどこまで耐えられるかを表した数値」のことです。
単位はN/mm²(ニュートン毎平方ミリメートル)で表します。円柱状の試験体を試験機で上下から押しつぶし、壊れたときの最大荷重(N)を試験体の断面積(mm²)で割って求めます。つまり「1mm²あたり何Nの力に耐えたか」という数値で、値が大きいほど強いコンクリートということになります。
なぜ圧縮強度ばかりが話題になるかというと、コンクリートは構造設計上「圧縮力だけを受け持つ材料」として扱われるからです。コンクリートは押す力にはめっぽう強い反面、引っ張る力には圧縮の1/10程度しか耐えられません。だからこそ引張側を鉄筋に肩代わりさせたのが鉄筋コンクリートで、コンクリート自体の性能は圧縮強度で代表させて管理します。
単位でつまずく人が多いので補足しておくと、N/mm²は昔の単位kgf/cm²でいうとおよそ10倍の関係です。たとえば呼び強度24N/mm²は約240kgf/cm²で、ベテランが「240(にひゃくよんじゅう)のコンクリート」と言っていたらこのことです。

僕の感覚だと、圧縮強度はまず「N/mm²=押しつぶしに耐えた1mm²あたりの力」と一言で握っておけば十分です。単位の意味を曖昧にしたまま成績表の数字だけ眺めている人は多いですが、ここが腑に落ちると後述の合否判定が一気に読めるようになります。
コンクリートの圧縮強度に出てくる用語の違い
圧縮強度の話で混乱する一番の原因は、似た言葉が何種類も出てくることです。代表的な4つを整理しておきます。
| 用語 | 意味 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 設計基準強度(Fc) | 構造設計で前提にした強度 | 構造計算上「これだけは欲しい」最低ライン |
| 耐久設計基準強度(Fd) | 耐久性から決まる強度 | 何年もつかで決まる最低ライン |
| 品質基準強度(Fq) | FcとFdの大きい方 | 設計が最終的に求める強度 |
| 呼び強度 | 生コンを発注するときの強度 | 工場に「これでください」と注文する値 |
ポイントは、設計が求める「設計基準強度(Fc)」に対して、現場で実際に注文する「呼び強度」は一段高く設定されることです。気温が低いと強度が出にくいぶんを上乗せする「構造体強度補正値」を足すためで、夏と冬で呼び強度が変わるのはこのためです。そして圧縮強度試験で測る「圧縮強度」は、出来上がったコンクリートが本当にそこへ届いたかを確かめる実測値、という位置づけになります。
この呼び強度・調合管理強度・補正値あたりの関係はそれ単体で1記事になるボリュームなので、深掘りしたい人はこちらが参考になります。

設計基準強度Fcそのものの考え方はこちらで整理しています。

個人的には、この4語を「設計が決めるFc → 補正を足した呼び強度で発注 → 圧縮強度試験で答え合わせ」という一本の流れで覚えると、成績表を見たときに迷わなくなると思います。
コンクリートの圧縮強度試験の方法
圧縮強度試験は、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に沿って行われます。現場から試験室までの流れは、大きく次の手順です。
- フレッシュコンクリートの試験(スランプ・空気量・温度・塩化物などで品質を確認)
- 供試体(テストピース)の作製(φ100×200mmの円柱を採取、JIS A 1132)
- 供試体の養生(温度と湿度を管理して硬化させる)
- 載荷試験(試験機で押しつぶし、最大荷重を測定)
- 圧縮強度の計算(最大荷重 ÷ 断面積)
打設のたびに採るテストピースは、この載荷試験にかけるための「コンクリートの分身」です。1回の試験につき3本採るのは、3本の平均で評価する決まりだからで、1本だけの値で合否を決めないようにしてバラつきをならしています。
フレッシュ試験の代表であるスランプ試験については、こちらで詳しく書いています。

養生で押さえておきたいのは、養生のやり方が1種類ではないことです。試験室で20℃の水中に置く「標準養生」、現場の気温に追従させる「現場水中養生」、現場で水分の出入りを止める「現場封かん養生」があり、どれで養生したかによって成績表の意味が変わります。ここが次の判定基準に直結するので、養生の種類は必ず確認するクセをつけておくと安心です。
コンクリートの圧縮強度試験成績表の判定基準
ここが現場監督として一番押さえたい部分で、結論から言うと「養生の種類によって見るべき合格ラインが変わる」のが判定基準のキモです。回ってきた成績表は、次の2つの観点で読みます。
まず材料としての生コンが規格品だったかを見るのが、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の受入れ基準です。判定の数字はシンプルで、1回の試験結果が呼び強度の85%以上、かつ3回の平均が呼び強度以上であれば合格です。「85%」が出てくるのは、1回くらいは多少下振れしても、平均で呼び強度を超えていればよしとする考え方からきています。
次に、実際の構造物が設計どおりの強度に達したかを見るのが、JASS5や建築基準法に基づく構造体強度の判定です。養生別に合格ラインが分かれます。
- 標準養生:材齢28日で「設計基準強度+構造体強度補正値」以上
- 現場水中養生:材齢28日で設計基準強度以上
- 現場封かん養生:材齢28日で設計基準強度の7/10以上、かつ材齢91日で設計基準強度以上
成績表を受け取ったら、まず「養生は何か」「材齢は何日か」「呼び強度・設計基準強度はいくつか」を確認し、上の基準に照らして合否を見ます。もし1週時点などで数字が低くても、それは早期の参考値であって最終判定ではないことが多いです。万一28日強度が基準を割った場合は、現場の自己判断で抱え込まず、構造体からのコア抜き試験や再養生条件の確認などを含めて、上長・設計・生コン工場と早い段階で共有するのが鉄則になります。強度不足は工程にもコストにも響くので、「数字が怪しい」と感じた時点で報告できるかどうかが若手の差になります。
現場目線で言えば、成績表は「合否欄だけ見て安心」ではなく、養生・材齢・基準値の3点をセットで読むのが正解です。ここを自分で説明できるようになると、上司から「強度どうだった?」と聞かれても根拠つきで即答できます。
材齢28日強度と1週強度の関係
圧縮強度は「材齢28日」を基準に判定しますが、現場では1週強度や3日強度も測ります。これは焦って測っているのではなく、目的が違うからです。
なぜ28日かというと、セメントが水と反応して強度を出す(水和反応)のに時間がかかり、おおむね28日でほぼ設計上の強度に達するとされているためです。一方で、28日まで何も分からないと工程が組めないので、途中の強度も確認します。
- 1週強度(材齢7日):4週(28日)強度を早めに推定し、合否の見込みを先読みするため
- 3日・14日強度:型枠(せき板)の取り外し、支保工の解体など、工程判断の根拠にするため
つまり1週強度は「最終判定」ではなく「答え合わせの中間チェック」です。1週で低めに出ても、温度や養生条件によっては28日でしっかり伸びることもあるので、数字が低い=即不合格と早合点しないことが大事です。ただし明らかに伸びが鈍いときは、後で慌てないよう早めに工場と要因を共有しておくと安全です。
冬場に強度が出にくいのも、この水和反応が温度に左右されるからです。気温が低いと反応がゆっくりになり、同じ材齢でも強度が伸びにくい。だから寒い時期は呼び強度に補正を足し、養生でも保温する。型枠脱型の可否を強度で判断する現場では、この季節差を読めるかどうかが工程管理の精度に直結します。
基礎まわりの強度の考え方はこちらでも触れています。

コンクリートの圧縮強度の目安・費用・非破壊試験
最後に、現場でよく聞かれる「目安・費用・別の測り方」をまとめておきます。
一般的な建物で使われる圧縮強度は、おおむね18〜24N/mm²の範囲が多いです。戸建住宅や中小規模の建築ならこのあたりが標準で、高層や特殊な構造になると30N/mm²以上、超高層ではFc60といった高強度コンクリートも使われます。
高強度側の話はこちらで整理しています。

費用については、テストピースを採って試験する場合、第三者の立場で試験する公的機関や採取試験機関(代行試験業者)に依頼するのが原則です。載荷試験そのものは1本あたり1200〜1300円程度が目安ですが、採取・運搬・養生まで含めると地域や業者で変わるので、「コンクリート試験+地域名」で確認するのが早いです。なぜ自社ではなく第三者かというと、試験は公正な立場の者が行うべきという考え方があるからです。
すでに固まった既存構造物の強度を、壊さずに推定したいときは非破壊試験を使います。代表的なのがコンクリート表面を打撃して反発の度合いから推定するリバウンドハンマー(シュミットハンマー)で、ほかに超音波を使う方法もあります。これらは手軽で現場で使える反面、テストピースを直接つぶす載荷試験ほどの精度はないので、あくまで「目安・スクリーニング」と位置づけるのが実務感覚です。
コンクリートの圧縮強度に関する情報まとめ
- コンクリートの圧縮強度とは:押しつぶす力に耐える数値。単位はN/mm²(旧単位kgf/cm²の約10倍)
- 用語の違い:設計が求めるFc → 補正を足した呼び強度で発注 → 圧縮強度試験で答え合わせ
- 試験方法:JIS A 1108に基づき、フレッシュ試験→供試体作製→養生→載荷→計算の流れ
- 判定基準:JIS A 5308は「1回85%以上・3回平均で呼び強度以上」、構造体は養生別に材齢28日で判定
- 材齢:28日が基準。1週強度は先読み、3日・14日は型枠脱型など工程判断に使う
- 目安・費用:一般建物で18〜24N/mm²、試験は1本1200〜1300円程度を第三者機関へ
以上がコンクリートの圧縮強度に関する情報のまとめです。成績表は合否欄だけでなく「養生・材齢・基準値」の3点で読む、これさえ身につければ現場で強度の話に詰まることはなくなります。コンクリートの基礎知識を広げたい人は、こちらも合わせて読んでみてください。




