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トンネル工法とは?種類、NATM・シールド・開削の違い、選定など

  • トンネル工法って何種類あるの?
  • NATMとシールドの違いは?
  • 都市部と山岳部で工法は変わる?
  • どうやって工法を選んでいるの?
  • 工事費用はどれくらい違う?
  • 施工管理として何を押さえるべき?

上記の様な悩みを解決します。

「トンネル工法」と一括りに言っても、山岳トンネルのNATM、都市鉄道のシールド、住宅地下のオープンカット、下水道の推進、ロックトンネルのTBMと、目的・地質・規模が違えば工法も全く別物。施工管理として大切なのは「この現場ではなぜその工法か」を地質と規模とコストから読み解けることだと思います。

この記事では、5つの主要工法を比較しながら、選定の判断軸と施工管理上の注意点まで整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

トンネル工法とは?

トンネル工法とは、結論「地中に空洞を掘り進めて、そこを構造物として安定的に維持する一連の手順」のことです。

ポイントは「掘る方法」と「支える方法」がセットになっていること。掘削方式(人力・機械)と支保方式(吹付コンクリート・セグメント・覆工)の組み合わせで工法名が決まります。

地中の状態と目的に合わせて適切な工法を選ぶ」のがトンネル設計の核心。山岳と都市部、長距離と短距離、軟弱地盤と岩盤、それぞれに最適解が違います。

シールド工法・NATM・推進工法は個別にもまとめているので、本記事はハブ記事として全体像を整理する位置づけです。

トンネル工法の主な5種類

実務でよく使われる5つの工法を比較表で整理します。

工法 代表用途 適用地質 距離 1m当たり工事費目安
NATM 山岳道路・鉄道 中硬岩〜軟岩 数km〜数十km 50万〜150万円
シールド 都市鉄道・下水 沖積層〜砂質土 1km〜十数km 200万〜500万円
開削(オープンカット) 浅い地下構造 浅い軟弱地盤 数百m〜数km 100万〜300万円
推進 下水・通信管路 砂質土〜粘性土 100m〜数km 50万〜200万円
TBM 長大トンネル 硬岩 10km〜数十km 100万〜300万円

それぞれの特徴を順に見ていきます。

1. NATM(New Austrian Tunneling Method)

山岳トンネルの主流工法。地山自体の強度を活かす(地山アーチ)という思想で、ロックボルトと吹付コンクリートで掘削後に即座に地山を安定させます。

主な施工サイクル

  1. 削孔・装薬(または機械掘削)
  2. 発破・ずり出し
  3. 吹付コンクリート(一次支保)
  4. ロックボルト打設
  5. 鋼製支保工建込
  6. 二次覆工コンクリート

NATMの詳細はこちらで深掘りしています。

2. シールド工法

都市鉄道・下水管路の主流。シールドマシンと呼ばれる円筒状の掘削機で前面を保持しながら掘削し、後方でセグメント(プレキャストコンクリートのリング)を組み立ててトンネルを構築。

特徴 内容
対応地質 沖積層〜洪積層の軟弱地盤
規模 直径3m〜15m級
適用 地下鉄、共同溝、下水幹線

直径15m級の超大径シールドも実用化されており、東京外環道や中央環状線で使われました。

シールド工法の詳細はこちらで。

3. 開削(オープンカット)工法

地表から穴を掘って施工する単純明快な工法。地下鉄駅、地下街、地下駐車場など、深さ20m程度までの浅い構造物で採用されます。

工程 内容
1. 土留め設置 シートパイル・親杭横矢板・SMW等
2. 掘削 ステージごとに切梁支保
3. 構造物築造 床版・側壁・頂版
4. 埋め戻し

土留めの種類はこちらで。

4. 推進工法

下水道・通信ケーブルなどの管路を、地中で専用の管を押し進める工法。発進立坑から到達立坑まで管をジャッキで押す動きです。

種類 適用
泥水式 砂質土〜粘性土
泥土圧式 軟弱地盤
小口径推進 給水・通信・ガス(φ150〜700)

推進工法の詳細はこちらで。

5. TBM(Tunnel Boring Machine)工法

硬岩の長大トンネルで使う工法。大型のディスクカッタを回転させて岩盤を破砕しながら掘り進めます。シールドが軟弱地盤なら、TBMは硬岩用、と覚えると区別しやすい。

長大水路トンネル、山岳道路の長大トンネル、海底トンネルの一部で採用されます。

トンネル工法の選定基準

「どの工法を使うか」は地質×規模×コスト×期間×周辺環境の5要素で決まります。

1. 地質条件(最大の決定要因)

地質 適する工法
硬岩 NATM・TBM
中硬岩・軟岩 NATM
砂質土・粘性土(地下水あり) シールド・推進
浅い軟弱地盤 開削
互層地質(複合) NATM+補助工法

地質調査(ボーリング)の結果が工法選定の生命線で、ここの解釈を間違えると施工中に湧水・崩壊事故になります。

地質調査の話はこちらで。

2. トンネル規模・延長

  • 短い・浅い:開削
  • 中規模・市街地:シールド
  • 長大・山岳:NATM・TBM

延長10kmを超える場合はTBMが圧倒的に有利、1〜数kmならシールド、数百mなら開削のほうが安いというパターンが多い。

3. 周辺環境(市街地か山岳か)

市街地で開削すると道路を長期間通行止めにせざるを得ないので、シールドや推進で地下から施工する方が周辺影響が小さい。逆に山岳部は地表に建物がないのでNATMや開削が選びやすい。

4. 工事費・工期

イニシャルコスト(機材投資)はTBM・シールド > NATM > 推進 > 開削の順。1m当たり工事費は規模とリンクするので、「総コスト」で比較します。

5. 安全性・施工リスク

地下水が多い箇所での開削はボイリングヒービングのリスクが大きい。シールドや推進なら密閉工法なので地下水対応に強い、というような評価軸も入ります。

ボイリングの話はこちらで。

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トンネル工事の施工フロー(共通)

工法ごとに細部は違いますが、共通する大きな流れを整理します。

1. 事前調査

地質調査、地下水位調査、周辺埋設物調査、振動・騒音影響調査。ここで90%が決まると言って過言ではない。

2. 設計・工法決定

3次元での線形設計、覆工設計、補助工法(薬液注入など)の検討。

薬液注入の話はこちらで。

3. 仮設備設置

立坑、坑口設備、換気設備、排水設備、電力供給。トンネル工事の準備設備が大きいのが特徴。

4. 掘削・支保

工法に応じた掘削とリアルタイム支保。掘削進度は1日数m〜十数mが目安。

5. 覆工

二次覆工コンクリート、内装、設備(換気・照明・避難通路)の取付。

6. 試験・検査・引渡し

漏水試験、覆工コンクリート強度確認、避難設備動作確認、発注者検査。

トンネル工法における施工管理の注意点

1. 地下水対策は工法選定段階から

トンネル工事の事故の半分以上は地下水絡み。湧水量・水圧・含砂量を事前に把握し、補助工法(薬液注入・凍結工法)の準備を仕込んでおきます。

2. 切羽の安定確認は毎日のルーティン

掘削最先端(切羽)の地山状態を毎日記録するのは、トンネル工事の鉄則。地質日報を残し、当初想定との乖離を早期発見します。

3. 換気・粉塵管理は健康と安全の核心

トンネル内は酸素濃度・一酸化炭素・粉塵の管理が必須。労働安全衛生法に基づく作業環境測定を定期実施し、坑内濃度の推移を見ます。発破工法では発破直後の換気を必ず取り、煙が抜けてから入坑します。

4. 沈下・周辺影響のモニタリング

シールドや開削では地表沈下を高頻度で測定。市街地では事前家屋調査事後家屋調査で、家屋ヒビ割れ補償の判断材料を残します。

5. 換気・電気設備の本設計画

トンネルは完成後も換気・照明・通信が必要な構造物。仮設電気と本設電気の切替計画を初期段階で立てます。これは電気施工管理者の腕の見せ所部分。

6. 避難計画と防災設備

火災・浸水・崩落への避難計画が必須。避難通路の確保避難用坑口ガス検知・警報などの設備を計画段階で組み込みます。

7. 発破工法の管理

NATMで発破を使う場合、振動・騒音・飛石の管理が肝。隣接構造物への影響を発破試験で計測してから本掘削に入ります。

トンネル工法に関する情報まとめ

  • トンネル工法とは:地中に空洞を掘って構造物として維持する一連の手順
  • 5つの工法:NATM/シールド/開削/推進/TBM
  • 選定基準:地質×規模×周辺環境×工事費×安全性
  • 共通フロー:事前調査→設計→仮設→掘削支保→覆工→試験
  • 施工管理の注意点:地下水対策/切羽日報/換気管理/沈下モニタリング/本設電気/避難計画/発破管理

以上がトンネル工法に関する情報のまとめです。

トンネル工法は「地質を読む」「水を制す」「安全を担保する」の3点が施工管理のすべて。NATM・シールド・開削・推進・TBMはどれも数十年の歴史を持つ完成された工法ですが、現場ごとに地質と環境が違うので、教科書通りには行きません。地質調査の結果と工法のマッチング、これがトンネル施工管理の知性が問われる部分だと思います。

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