型枠とは?外す時期を勘で決めてはいけない理由と存置期間の基準

型枠とは、コンクリートを打ち込むときに、固まるまで決めた形と寸法を保つための仮設の枠です。コンクリートに接するせき板と、締め付けて形を保つ金物、下から支える支保工で組み立てます。いつ外せるかは部位や気温、コンクリートの強度で決まり、せき板と支保工では基準が別です。外す時期を勘や前回の現場の感覚で決めると基準を外しかねないため、公共建築工事標準仕様書に沿って整理します。

  • 型枠って結局コンパネのこと?それとも枠全体のこと?
  • 型枠と型枠支保工、何が違うのか説明できない
  • せき板、セパ、フォームタイ、端太…用語が多すぎて打合せについていけない
  • 木の型枠と鋼製の型枠って、どう使い分けてるの?
  • 型枠用の合板って、ホームセンターの合板と何が違う?
  • 打設の前に、施工管理として型枠の何を見ればいいの?
  • 「スラブの支保工、いつ外せる?」と聞かれて答えられなかった
  • 冬だと型枠を外すまで長く待たないといけないの?
  • 側面の型枠とスラブ下の支柱、同じ日に外していい?
  • 組立図や作業主任者って、どんなときに必要になる?

上記の様な悩みを解決します。

型枠は、RC造の躯体をつくるうえで欠かせない仮設の枠です。毎日のように現場で目にするのに、部材の呼び名が多く、しかも「いつ外していいか」を聞かれると職人さんの経験に頼りがちな工種なんですよね。今回は型枠の役割・構成部材・材料といった基本を押さえた上で、型枠工事会社の紹介記事や用語集では出典つきではあまり見かけない「せき板と支柱の存置期間を公共建築工事標準仕様書の表で読む方法」と「型枠支保工に労働安全衛生規則がかかる範囲」まで、施工管理の目線で掘り下げます。根拠には仕様書・規格・条文の番号を添えているので、図書と突き合わせながら読めるはずですよ。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、RC造の現場に配属されたばかりの方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

型枠とは、固まる前のコンクリートを決めた形に保つ仮設の枠

型枠とは、生コンクリートを打ち込んでから固まるまでの間、決めた形と寸法を保つための仮設の枠です。コンクリートは流し込んだ瞬間はドロドロの液体に近い状態なので、それを受け止めて柱・梁・壁・スラブの形に成形するのが型枠の仕事になります。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、型枠に求める性能を次のように書いています。

「(2) 型枠は、作業荷重、コンクリートの自重及び側圧、打込み時の振動及び衝撃並びに水平荷重等の外力に耐え、6.2.5 に定める構造体コンクリートの仕上りを得られるものとする。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.1)

「(3) 型枠は、有害な水漏れがなく、取り外しに当たり、コンクリートに損傷を与えないものとする。」(同 6.8.1)

この2つを読むと、型枠の役割は大きく4つに分けて考えると整理しやすいです。

  • 形と寸法を保つ:構造体コンクリートの仕上りを得られること
  • 力に耐える:作業荷重、コンクリートの自重と側圧、打込み時の振動・衝撃、水平荷重を受け止めること
  • 漏らさない:有害な水漏れがないこと
  • きれいに外れる:取り外しのときにコンクリートを傷めないこと

型枠が「はらむ」「崩れる」というトラブルは、2つ目の「力に耐える」が足りなかったときに起きます。打ち込まれたコンクリートは、固まるまでの間、型枠を外側へ押し広げる圧力をかけます。仕様書の文言にある「側圧」がそれで、この圧力を受け止める締付けや押さえが弱いと、型枠が外へふくらんだり、継ぎ目から崩れたりします。側圧の大きさの求め方はここでは扱いませんが、「型枠は液体の圧力を受け止める容器でもある」と捉えておくと、締付け金物や支保工がなぜ必要かがつながってきます。

もう1つ押さえておきたいのが、型枠と型枠支保工の関係です。仕様書では型枠は「せき板」と「支保工」から成るものとして扱われ、そのうちスラブや桁の型枠を下から支える仮設の設備が型枠支保工です。型枠支保工には労働安全衛生規則の規定がかかるので、型枠全体の話とは別に、この記事の後半で詳しく見ていきます。支保工そのものの材料や組立ての流れは、型枠支保工の基本をまとめた記事で整理しています。

型枠を構成する部材:せき板・支保工・締付け金物

型枠の部材は、公共建築工事標準仕様書の言葉で言うと「せき板」と「支保工」の2つに分かれ、そこに、向かい合うせき板どうしを締め付ける「型枠締付け金物」が加わります。仕様書の書き出しはこの1文です。

「(1) 型枠は、せき板と支保工から構成する。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.1)

せき板

せき板は、コンクリートに直接触れて面をつくる板です。柱や壁の側面、梁の側面と底、スラブの底など、コンクリートの形そのものを決める部分にあたります。合板のせき板は、現場ではコンパネと呼ばれることもあります。材料の決まりは次の章で見ていきます。

支保工

支保工は、せき板とその上のコンクリートを支える部材の集まりです。労働安全衛生法施行令は、型枠支保工を次のように定義しています。

「型枠支保工(支柱、はり、つなぎ、筋かい等の部材により構成され、建設物におけるスラブ、桁等のコンクリートの打設に用いる型枠を支持する仮設の設備をいう。以下同じ。)」(労働安全衛生法施行令 第6条第14号)

つまり支柱・はり・つなぎ・筋かいといった部材で、スラブや桁の型枠を下から受けるのが支保工です。せき板の外側から押さえる角材や鋼管を、現場では端太(バタ角)と呼ぶこともあります。

型枠締付け金物とコーン

向かい合うせき板どうしを固定し、側圧で開かないようにするのが型枠締付け金物です。仕様書は締付けの方法をこう定めています。

「(6) 型枠締付けの方法は、ボルト式とする。ただし、排水桝の類は、番線式とすることができる。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.2)

ここで注意したいのが呼び名です。現場で耳にする「セパレーター(セパ)」や「フォームタイ」は、公共建築工事標準仕様書の6章8節には出てこない言葉で、仕様書側の用語は「型枠締付け金物」と「コーン」です。セパレーターは、型枠締付け金物のうち、向かい合うせき板の間に入れて壁や柱の厚みを保つ役目を持つ部材の現場での呼び名です。フォームタイは、せき板の外側で端太を押さえて締め付ける側の部材の現場での呼び名です。打合せで飛び交う言葉と、仕様書や特記の言葉がずれていることを知っておくと、図書を読むときに迷いにくくなります。

コーンは、締付け金物の端に付けておき、型枠を外したあとに取り外してくぼみを残す部材です。仕様書では、コーンを使う箇所が次のとおり決められています。

「(9) 型枠締付け金物にコーンを使用する箇所は、次による。 (ア) 直接土に接する面(基礎及び地下室のない場合の基礎梁を除く。) (イ) 防水下地 (ウ) 打放し仕上げ面(表 6.2.4 のA種及びB種の場合) (エ) 直に塗装、壁紙張り等の厚さの薄い仕上げをする面 (オ) 断熱材を打ち込んだ面(断熱材を損傷するおそれのない場合を除く。) (カ) 保守点検等のために出入りするダクトスペース等の床上高さ2m以下の見え掛り部」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.3)

型枠を外したあとの金物の始末も、仕様書に書かれています。仕上げがない箇所は「型枠締付け金物の頭を除去し、その跡に表 18.3.1[鉄鋼面の錆止め塗料の種別]のAs 種の錆止め塗料を塗り付ける。」とされ、コーンを使った場合は「コーンを取り外して保水剤又は防水剤入りモルタルを充填するなどの措置を講ずる。」とされています(同 6.8.5)。個人的には、脱型後のこの後始末まで含めて「締付け金物の管理」だと考えておくと、仕上げ工程での手戻りを防ぎやすいと思っています。

型枠の種類と材料:合板・デッキプレート・断熱材兼用など

型枠の種類は、せき板に何を使うかで分けて考えると整理しやすいです。公共建築工事標準仕様書では、せき板の材料は特記によるとしたうえで、特記がない場合の決まりを置いています。

合板のせき板と、型枠用合板のJAS

もっとも条文が細かいのが合板です。

「(2) せき板の材料として合板を用いる場合は、(ア)又は(イ)とし、厚さは、特記による。特記がなければ、厚さは 12mm とする。ただし、MCR工法の場合のせき板の材料は(イ)とする。 なお、合板に用いる樹種は、広葉樹、針葉樹又はこれらを複合したものとする。 (ア) JAS 0233(合板)による表面加工コンクリート型枠用合板 (イ) JAS 0233 による(ア)以外のコンクリート型枠用合板で板面の品質B-C」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.2)

厚さ12mmはあくまで「特記がなければ」の値で、設計図書に特記があればそちらが優先します。ここは数字だけ覚えると取り違えやすいところです。

型枠用の合板がほかの合板とどう違うのかは、合板の日本農林規格(JAS 0233)で用途として区別されています。農林水産省の新旧対照表に載っている改正後の規格(JAS 0233-1:2024)では、次のように定義されています。

「3.2 コンクリート型枠用合板 合板のうち,コンクリートを打ち込み,所定の形に成形するための型枠として使用するもの(表面加工コンクリート型枠用合板を含む。)」(合板の日本農林規格 JAS 0233-1:2024 3.2)

「3.3 表面加工コンクリート型枠用合板 コンクリート型枠用合板のうち,表面又は表裏面に塗装又はオーバーレイを施したもの」(同 3.3)

3.3の「表面加工コンクリート型枠用合板」は、この改正で新設された用語です(新旧対照表)。同じ規格の中では、曲げ剛性の基準も表示厚さごとに定められていて、表示厚さ12mmの長さ方向スパン用は曲げヤング係数7.0(GPa)以上とされています(同 表10)。また、この規格は構造用合板も同じ枠組みで扱っています。構造用合板との違いを知りたい方は、構造用合板の規格と用途をまとめた記事で見比べてみてください。

デッキプレート・断熱材兼用・金属製の型枠

合板以外のせき板として、仕様書が名前を挙げているのは床型枠用鋼製デッキプレートと、断熱材を兼用した型枠材の2つです。デッキプレートは、スラブのせき板に使う場合に「上面が平たんなものとし、製造所の仕様等の資料を監督職員に提出する。」とされています(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.2(3))。断熱材を兼用した型枠材は「せき板に断熱材を兼用した型枠材を使用する場合は、特記による。」です(同 6.8.2(4))。

取り外さずに躯体側へ残すせき板を、現場では打込み型枠と呼ぶことがあります。仕様書では、断熱材兼用の型枠材は特記によるとされ(6.8.2(4))、コーンを使う箇所にも「断熱材を打ち込んだ面」が挙がっています(6.8.3(9)(オ))。

なお、鋼製やアルミなどの金属製型枠という種類もありますが、公共建築工事標準仕様書の6章8節には「金属製型枠」「鋼製型枠」という語は出てきません。金属製の型枠を使う場合は、特記や監督職員の承諾の扱いを図書で確認するのが筋です。

打放し・化粧の型枠と転用

せき板の材料は特記によるとしたうえで、特記がなければ、コンクリート打放し仕上げの場合は「表 6.2.4 の表面の仕上り程度に見合ったものとする。」とされています(6.8.2(1))。仕上り面がそのまま見える分、せき板の選び方とコーンの扱いが仕上がりを左右します。打放しの考え方は打放しコンクリートの解説、模様や質感をつける型枠は化粧コンクリートの解説にまとめています。

型枠の転用(再使用)については、仕様書の書き方はシンプルです。

「(8) 型枠は、支障のない限り、再使用することができる。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.2)

何回まで使えるかの回数は書かれていません。僕は、転用の可否は回数ではなく、毎回「支障がないか」を見て決めるものだと考えています。

型枠工事の流れと、施工管理が確認するところ

型枠工事は、施工図をもとに加工し、墨に合わせて建て込み、締め付けて組み上げ、打設前の確認を経てコンクリートを打ち、固まったら外す、という流れで進みます。仕様書の出発点は「(1) 型枠は、施工図等に従って加工し、組み立てる。」(6.8.3)の1文です。

ざっくりの流れは次のとおりです。

  • 加工:施工図等に従って、せき板などを部位に合わせて加工する
  • 墨出し・建て込み:墨に合わせて柱・壁・梁の型枠を立てる
  • 締付け・支保工の組立て:型枠締付け金物で固め、スラブや梁の下に支保工を組む
  • 打設前の確認:組立状態を確認して監督職員に報告する
  • コンクリート打設:打設中も型枠と支保工の異状を見る
  • 取外し(脱型):存置期間を守って外し、締付け金物の跡を処理する

建て込みの段取りや他職との絡みは型枠建て込みの記事、打設当日の流れはコンクリート打設の記事に分けています。ここでは、施工管理が確認する根拠になる条文だけを拾っておきます。

組み始める前と組んでいる最中

型枠を組み始めるタイミングにも決まりがあります。仕様書は「(2) 配筋、型枠の組立又はこれらに伴う資材の運搬、集積等は、これらの荷重を受けるコンクリートが有害な影響を受けない材齢に達してから開始する。」(6.8.3)としています。下の階のスラブを打ったばかりのところに資材を積み上げない、という話です。

組立て中に見ておきたいのは、支柱と仮設物との関係です。

「(4) 支柱は、垂直に立て、上下階の支柱は、可能な限り平面上の同一位置とする。また、地盤に支柱を立てる場合は、地盤を十分締め固めるとともに、剛性のある板を敷くなど支柱が沈下しないよう必要な措置を講ずる。」(同 6.8.3)

「(5) 型枠は、足場、遣方等の仮設物と連結させない。」(同 6.8.3)

足場と型枠がつながっていると、足場の揺れが型枠に伝わったり、逆に打設中の型枠の動きが足場に伝わったりすることが考えられます。見た目では分かりにくいので、建て込みの段階で目で追っておきたいところです。

打設の前と打設中

打設前の確認は、仕様書では監督職員への報告とセットになっています。

「(10) コンクリートの打込みに先立ち、型枠の組立状態を確認し、監督職員に報告する。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.3)

打設中については、労働安全衛生規則が事業者に点検を求めています。「その日の作業を開始する前に、当該作業に係る型わく支保工について点検し、異状を認めたときは、補修すること。」と「作業中に型わく支保工に異状が認められた際における作業中止のための措置をあらかじめ講じておくこと。」の2つです(労働安全衛生規則 第244条)。打設中に支保工に異状が出たとき作業を止めるための措置を、打設前に決めておくということですね。

どの順番で建て込むか、どこで型枠を分けるかといった細かい段取りは、型枠大工さんとの打合せで詰めることになります。型枠大工の仕事の中身は大工の種類と仕事を整理した記事で触れています。

型枠はいつ外せるか:せき板と支保工の存置期間

型枠を外してよい時期は、公共建築工事標準仕様書の表6.8.2(せき板)と表6.8.3(支柱)で決まっていて、部位・セメントの種類・存置期間中の平均気温によって日数が変わります。日数ではなく、コンクリートの圧縮強度で決める方法も同じ表に並んでいます。経験や勘で「そろそろ外せる」と決めるものではなく、表のどの欄に当たるかを確かめて決めるものです。なお、ここで示すのは公共建築工事標準仕様書の基準です。仕様書自身が材料や一部の存置期間を「特記による」としているので、担当する現場で使う基準は、その工事の設計図書(特記仕様書)で確かめてください。

仕様書の書き出しはこうです。

「(1) 型枠の取外しは、型枠の最小存置期間の経過後に行う。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.4)

「(2) 型枠の存置期間は、次による。 (ア) 最小存置期間は、表 6.8.2 及び表 6.8.3 により、コンクリートの材齢又はコンクリートの圧縮強度により定める。寒冷のため強度の発現が遅れるおそれのある場合は、コンクリートの圧縮強度により存置期間を定める。ただし、セメントの種類が普通エコセメントの場合の最小存置期間は、特記による。」(同 6.8.4)

せき板の最小存置期間(基礎・梁側・柱・壁)

側面のせき板は表6.8.2で決まります。対象の施工箇所は基礎、梁側、柱、壁です。

存置期間中の平均気温 早強ポルトランドセメント 普通ポルトランドセメント、高炉セメントA種、シリカセメントA種、フライアッシュセメントA種 高炉セメントB種、シリカセメントB種、フライアッシュセメントB種 中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント
コンクリートの材齢による場合(日)15℃以上 2 3 5 6
〃 5℃以上 3 5 7 8
〃 0℃以上 5 8 10 12
コンクリートの圧縮強度による場合 圧縮強度が 5N/mm2 以上となるまで。(全セメント共通) 〃 〃 〃

出典:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 表6.8.2 せき板の最小存置期間(p.53)。原本では、圧縮強度による場合の欄は全セメント共通の1マスです。

支柱の最小存置期間(スラブ下・梁下)

スラブ下と梁下の支柱は表6.8.3で決まります。せき板とは表が別で、日数の水準も違います。

存置期間中の平均気温 スラブ下:早強ポルトランドセメント スラブ下:普通ポルトランドセメント、高炉セメントA種、シリカセメントA種、フライアッシュセメントA種 スラブ下:中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメントB種、シリカセメントB種、フライアッシュセメントB種 梁下:左記の全てのセメント
コンクリートの材齢による場合(日)15℃以上 8 17 28 28
〃 5℃以上 12 25 28 28
〃 0℃以上 15 28 28 28
コンクリートの圧縮強度による場合 圧縮強度が設計基準強度(Fc)の85%以上又は12N/mm2以上であり、かつ、施工中の荷重及び外力について、構造計算により安全であることが確認されるまで。(スラブ下・全セメント共通) 〃 〃 圧縮強度が設計基準強度(Fc)以上であり、かつ、施工中の荷重及び外力について、構造計算により安全であることが確認されるまで。

出典:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 表6.8.3 支柱の最小存置期間(p.54)。原本では、スラブ下の中庸熱・低熱・高炉B種・シリカB種・フライアッシュB種の欄と梁下の欄は、3つの気温区分にまたがって28日の1マスです。

2つの表で、圧縮強度で確認する場合の供試体は「6.9.3(1)(イ)による工事現場における水中養生供試体又は封かん養生供試体の圧縮強度とする。」と注記されています。

表から読み取れる4つのこと

表を眺めるだけだと数字の羅列ですが、心の声に引きつけて読むと次の4点が見えてきます。

1つ目は、平均気温が低い区分ほど待つ日数が長くなることです。同じ普通ポルトランドセメントのせき板でも、平均気温15℃以上なら3日、0℃以上の区分では8日です。さらに仕様書は、寒冷のため強度の発現が遅れるおそれのある場合は圧縮強度で存置期間を定めるとしていて、寒中コンクリートでは「型枠の取外し時期は、6.8.4 のコンクリートの圧縮強度により決定する方法による。」(6.11.5)とされています。寒冷で強度の発現が遅れるおそれのある場合や寒中コンクリートでは、日数の欄ではなく強度の欄で判断する、と覚えておくと取り違えません。

2つ目は、側面と底では外せる時期がまったく違うことです。柱や壁の側面のせき板と、スラブ下・梁下の支柱は表が別で、同じセメント・同じ気温でも日数の水準が大きく違います。「側面を外した日に、ついでにスラブ下も」とはいきません。

3つ目は、スラブ下と梁下のせき板は支柱のあとに外すことです。

「(4) スラブ下及び梁下のせき板は、支柱を取外し後に取り外す。ただし、これにより難い場合は、監督職員と協議する。 なお、支柱の盛替えは行わない。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.4)

底のせき板だけ先に抜く(ただし、これにより難い場合は監督職員と協議する、とされています)、支柱を一度外して立て直す(盛替え)、といったやり方はこの条文で止められています。

4つ目は、強度で判断する場合の条件が部位で違うことです。スラブ下は「設計基準強度(Fc)の85%以上又は12N/mm2以上」のどちらかを満たし、かつ構造計算で安全が確認されることが条件です。梁下は「設計基準強度(Fc)以上」で、かつ構造計算による確認が要ります。圧縮強度試験で確認する場合は「6.9.3 によるコンクリートの試験結果及び関係法令等に基づく安全を確認するための資料により、監督職員の承諾を受ける。」(6.8.4(2)(イ))とされ、「現場打コンクリートの型わく及び支柱の取りはずしに関する基準」(昭和 46 年1月 29 日 建設省告示第 110 号)に基づいて計算で定める場合も、計算結果により監督職員の承諾を受けることになっています(6.8.4(2)(ウ))。

表の日数より長く置くべき場面

表の日数はあくまで最小存置期間です。仕様書は延長が必要な場面も書いています。

「(3) 片持梁、ひさし、長大スパンの梁、大型スラブ等の型枠を支持する支柱、施工荷重が大きく、コンクリートに支障が生じるおそれがある場合の支柱等は、必要に応じて、存置期間を延長する。」(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.8.4)

個人的には、所長に「スラブの支保工はいつ外せる?」と聞かれたときに即答すべきなのは日数そのものより、「セメントの種類」「存置期間中の平均気温」「片持ちや大型スラブに当たらないか」の3つを確認してから表を引きます、という手順だと考えています。日数は表を見れば出てきますが、どの欄を使うかを決めるのは施工管理の仕事だからです。なお、セメントの種類が普通エコセメントの場合は表ではなく特記によります。

型枠支保工は安衛則の対象:組立図・作業主任者・計画の届出

型枠のうち、スラブや桁の型枠を下から支える型枠支保工には、労働安全衛生規則の規定がかかります。組立図の作成、作業主任者の選任、条件によっては計画の届出まで求められるのが、せき板や締付け金物との大きな違いです。ここでは条文の骨組みだけ押さえて、細部は姉妹記事に送ります。

組立図を作り、そのとおりに組む

「(組立図) 第二百四十条 事業者は、型わく支保工を組み立てるときは、組立図を作成し、かつ、当該組立図により組み立てなければならない。」(労働安全衛生規則 第240条第1項)

主語は事業者です。組立図に載せる中身も決まっていて、「前項の組立図は、支柱、はり、つなぎ、筋かい等の部材の配置、接合の方法及び寸法が示されているものでなければならない。」(同 第240条第2項)とされています。

組立て・解体のときの措置

組立てと解体の作業そのものについては、第245条が事業者に3つの措置を求めています。

  • 作業区域に関係する作業従事者以外の者が立ち入ることを禁止し、見やすい箇所に表示するなどの方法をとる
  • 強風、大雨、大雪等の悪天候で危険が予想されるときは作業を行わせない
  • 材料、器具又は工具を上げ下ろしするときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させる

(労働安全衛生規則 第245条の要旨)

作業主任者の選任と職務

型枠支保工の組立て又は解体の作業は、作業主任者を選任すべき作業です(労働安全衛生法施行令 第6条第14号)。

「(型枠支保工の組立て等作業主任者の選任) 第二百四十六条 事業者は、令第六条第十四号の作業については、型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、型枠支保工の組立て等作業主任者を選任しなければならない。」(労働安全衛生規則 第246条)

選任された作業主任者に行わせる事項は第247条で、作業の方法を決定し作業を直接指揮すること、材料の欠点の有無並びに器具及び工具を点検し不良品を取り除くこと、作業中に要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること、の3つです(労働安全衛生規則 第247条)。技能講習の中身や誰が受けるべきかは、型枠支保工の組立て等作業主任者の記事で詳しく扱っています。

計画の届出がかかる条件

型枠支保工のうち、届出の対象になるのは支柱の高さで線が引かれています。労働安全衛生規則の別表第七には「十 型枠支保工(支柱の高さが三・五メートル以上のものに限る。)」とあり、届出書には打設しようとするコンクリート構造物の概要、構造・材質及び主要寸法、設置期間を記載し、組立図及び配置図を添えることになっています(労働安全衛生規則 第86条第1項・別表第七)。届出の期限は、労働安全衛生法第88条第1項の「その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。」によります。なお、安衛法第88条第1項のただし書により、法第28条の2第1項に規定する措置などを講じているものとして労働基準監督署長が認定した事業者は、この限りでないとされています。

「三・五メートル以上」なので、ちょうど3.5mの支柱も対象に入ります。支保工の材料・種類・組立ての注意点は、型枠支保工の記事で現場の目線からまとめています。

型枠の存置期間や支保工の法令は、仕様書と条文を行き来しないと全体がつながらない分野です。正直なところ、現場で断片的に覚えるより、資格の勉強で一度体系立てて押さえてしまったほうが早いと僕は感じています。

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型枠に関する情報まとめ

  • 型枠とは:固まる前のコンクリートを決めた形と寸法に保つ仮設の枠。側圧などの外力に耐え、漏らさず、きれいに外れることが求められる
  • 構成部材:せき板と支保工から成り、型枠締付け金物(ボルト式)とコーンで固める。セパレーター・フォームタイは仕様書の用語ではなく現場の呼び名
  • 種類と材料:合板は特記がなければ厚さ12mmでJAS 0233のコンクリート型枠用合板。デッキプレートや断熱材兼用もある。転用は「支障のない限り」
  • 型枠工事の流れ:加工→建て込み→締付け・支保工→打設前に組立状態を確認して報告→打設→脱型。足場とは連結させない
  • 存置期間:せき板は表6.8.2、支柱は表6.8.3。セメント・平均気温・部位で日数が変わり、寒冷時は圧縮強度で決める。スラブ下・梁下のせき板は支柱のあと
  • 型枠支保工と法令:組立図の作成(第240条)、組立て・解体の措置(第245条)、作業主任者の選任(第246条)と職務(第247条)、支柱の高さ3.5m以上は計画の届出

以上が型枠に関する情報のまとめです。

型枠は「組んで、打って、外す」だけの仮設に見えますが、外す時期には部位・セメント・気温ごとの基準があり、支保工には法令の線が引かれています。次に型枠の打合せに出るときは、その現場のセメントの種類と、スラブ下・梁下の支柱を外す予定日が表6.8.3のどの欄に当たるかを先に確かめておくと、所長や型枠大工さんとの会話がぐっと具体的になるはずです。

支保工の組み方と安全の細部は型枠支保工の解説、建て込みの段取りは型枠建て込みの解説からたどれます。

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