鉄骨の図面やミルシートで出てくる「I形鋼」。H形鋼とよく似ていて、何が違うのか、なぜ最近あまり見ないのか、意外と説明しづらい鋼材です。
- I形鋼って結局なに?断面がIの形の鋼材?
- 規格や寸法表記(I 250×125…)はどう読むの?
- テーパーって何?なんで内側が斜めなの?
- H形鋼やIビームと何が違うの?
- なんで建築ではあまり使われないの?
- 図面でI形鋼が来たら、現場で何に注意すればいい?
上記の様な悩みを解決します。
I形鋼は、断面が「I」の形をした形鋼で、フランジの内側にテーパー(勾配)がついているのが最大の特徴です。今の建築ではH形鋼が主流ですが、その違いを押さえておくと、図面の読み方も鋼材選定の理屈もスッキリします。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
I形鋼とは?
I形鋼とは、結論「断面がアルファベットのI形をした形鋼」のことです。読み方は「アイがたこう」です。
上下に水平な板(フランジ)があり、それを垂直な板(ウェブ)でつないだ形をしています。見た目はH形鋼にそっくりですが、I形鋼はフランジの内側にテーパー(勾配)がついていて、根元が厚く先端が薄くなっています。この内側の勾配の有無が、後で説明するH形鋼との決定的な違いになります。
I形鋼はかつて鉄骨梁や橋桁に広く使われた歴史のある鋼材ですが、現在の建築ではフランジが平行なH形鋼に主役の座を譲っています。とはいえ、橋梁やクレーン関係、古い構造物の改修などで今も登場するため、施工管理として違いを理解しておく価値があります。
僕の整理では、I形鋼は「テーパー付きの古典的な鋼材で、今はH形鋼の親戚として押さえる」のがちょうどよい位置づけです。鋼材を構成するフランジ・ウェブという部位の呼び方は、こちらが参考になります。

I形鋼の規格(JIS G 3192)と表記の読み方
I形鋼の規格は、結論「JIS G 3192(熱間圧延形鋼の形状・寸法・質量)」で定められています。
JIS G 3192は、I形鋼だけでなくH形鋼・溝形鋼(C形鋼)・山形鋼(L形鋼)など熱間圧延でつくる形鋼全般の、外観・形状・寸法・質量・許容差を規定した規格です。図面で「I」の記号が使われていれば、このJISに沿ったI形鋼を指します。
サイズの表記は、次の順番で読みます。
- 種類記号:I(I形鋼を表す)
- 高さ H:背の高さ(ウェブ方向の寸法、mm)
- 辺の幅 B:フランジの幅(mm)
- ウェブ厚 t1:垂直板の厚み(mm)
- フランジ厚 t2:水平板の厚み(mm)
たとえば「I 250×125×7.5/12.5」なら、高さ250mm・フランジ幅125mm・ウェブ厚7.5mm・フランジ厚12.5mmのI形鋼、という意味になります。ミルシート(鋼材検査証明書)でも同じ表記で材料が特定できるので、図面の指定と納品材が一致しているかを照合できます。ミルシートの見方そのものは、別記事で解説しています。

I形鋼の寸法・サイズ・重量
I形鋼の寸法・重量は、結論「JIS規格表のサイズ一覧から、高さ・幅・板厚・単位重量を読む」のが基本です。
I形鋼は高さ100mm程度の小さいものから、500mmを超える大きいものまで規格化されています。同じ高さでもフランジ幅や板厚の組み合わせで複数の規格があり、それぞれに1mあたりの単位質量(kg/m)が決められています。鋼材の数量や重量を拾うときは、この単位質量に長さを掛けて算出します。
寸法・重量を扱うときのポイントを挙げます。
- 高さ H とフランジ幅 B:H に対して B が狭め(H形鋼よりフランジが狭い傾向)
- ウェブ厚 t1・フランジ厚 t2:同じ呼び寸法でもH形鋼より厚く、重くなりがち
- 単位質量(kg/m):規格表の値に部材長を掛けて総重量を算出
- 断面性能:断面二次モーメントや断面係数で曲げに対する強さを評価する
断面の強さを表す断面二次モーメントの考え方を押さえておくと、なぜI形やH形が梁に使われるのか(背を高くして効率よく曲げに抵抗する)が腑に落ちます。

I形鋼の特徴
I形鋼の最大の特徴は、結論「フランジ内側のテーパー(勾配)」です。
フランジの内側に勾配がついていて、根元側が厚く、先端に向かって薄くなる形状をしています。このテーパーがあることで、垂直方向の荷重に対しては高い剛性を発揮します。また、同じ呼び寸法ならH形鋼より板厚が厚く、重量・剛性ともに大きくなる傾向があります。
I形鋼の特徴を整理します。
- テーパー付きフランジ:内側に勾配があり、根元が厚く先端が薄い
- 縦方向の荷重に強い:垂直荷重に対する剛性が高い
- フランジ幅が狭め:横方向(弱軸まわり)には相対的に弱い
- 重い:同サイズのH形鋼より板厚が厚く重量が出やすい
つまりI形鋼は「縦の力には強いが、フランジが狭くテーパーがあるぶん、横方向や接合面での扱いに癖がある」鋼材です。この癖が、現在の建築でH形鋼が選ばれる理由につながっていきます。
I形鋼とH形鋼・Iビームの違い
結論、I形鋼とH形鋼の最大の違いは「フランジ内側のテーパーの有無」で、Iビームは英語でのI形鋼の呼び名(基本的に同じもの)です。
H形鋼はフランジの内側が平行(テーパーなし)で、フランジ幅も広めです。一方のI形鋼はフランジ内側にテーパーがあり、幅は狭めです。この差が、剛性・接合・座屈のしやすさに効いてきます。なお「Iビーム(I-beam)」はI形鋼の英語呼称で、海外図面やカタログではこちらの表記が使われます。
両者の違いを整理すると、次のとおりです。
- フランジ内側:I形鋼はテーパーあり、H形鋼は平行
- フランジ幅:I形鋼は狭め、H形鋼は広め(横座屈に有利)
- 接合:H形鋼は平行面でボルト接合・溶接がしやすい。I形鋼はテーパー面でボルト座面が傾くため不利
- 主な使われ方:H形鋼が建築の柱・梁の主役、I形鋼は橋梁・クレーン等の特定用途
なぜ建築の主流がH形鋼に移ったかというと、平行なフランジは座金やプレートがそのまま密着し、高力ボルト接合がしやすいこと、フランジが広く横座屈に強いこと、断面性能の割に効率がよいことが理由です。I形鋼のテーパー面にボルトを締めるには傾きを吸収するテーパーワッシャーが必要で、施工性で見劣りします。
正直なところ、現場でI形鋼を新規採用する場面はかなり限られます。だからこそ「テーパーの有無」という一点を押さえておけば、図面でI指定とH指定を見分けたとき、接合や納まりで何に気をつけるべきかが即座に判断できます。鉄骨の種類全体の整理は、こちらが分かりやすいです。


I形鋼の用途と現場での扱い
結論、I形鋼の用途は「縦方向の荷重が支配的な、橋梁主桁やクレーンレールなどの特定部位」が中心です。
テーパー付きで縦荷重に強い特性を活かし、橋梁の主桁、クレーンの走行レールやガーダー、各種機械・車両の構造部材などに使われます。建築の一般的な柱・梁ではH形鋼が標準なので、施工管理がI形鋼に出会うのは、こうした土木・産業系の構造物や、古い建物の改修で既存材として残っているケースが多くなります。
現場での扱いで押さえておきたい点を挙げます。
- 図面でI指定が来たら、まずテーパーの有無を前提に接合方法を確認する
- 高力ボルト接合では、テーパー面に対応する座金(テーパーワッシャー)の要否を確認する
- 形鋼ファミリー(H・I・C・L)の中での役割を理解し、混同しない
- 既存改修では、現物の寸法を実測してJIS規格表と照合する
I形鋼は形鋼ファミリーの一員で、ほかにC形鋼(溝形鋼)やL形鋼(山形鋼)があります。それぞれ断面形状と得意な力の向きが違うので、合わせて整理しておくと図面を読む解像度が上がります。


僕の考えでは、I形鋼は「今あえて選ぶ鋼材」というより「H形鋼との違いを理解するための比較対象」として価値があります。テーパーと狭フランジという特徴を押さえておけば、なぜH形鋼が建築の標準になったのかまで一気に説明できるようになります。
I形鋼に関する情報まとめ
- I形鋼とは:断面がI形の形鋼。フランジ内側にテーパー(勾配)がある。読み方はアイがたこう
- 規格・表記:JIS G 3192で規定。I 高さ×幅×ウェブ厚/フランジ厚で表記する
- 寸法・重量:高さ・幅・板厚の組み合わせで規格化。単位質量×長さで重量を算出
- 特徴:テーパー付きフランジで縦荷重に強いが、フランジが狭く重め
- H形鋼・Iビームとの違い:H形鋼はフランジ平行で接合・横座屈に有利。Iビームは英語での同義
- 用途・扱い:橋梁主桁・クレーンレール等が中心。建築の主流はH形鋼
以上がI形鋼に関する情報のまとめです。
一通り、I形鋼の意味から規格・寸法・特徴、H形鋼やIビームとの違い、用途と現場での扱いまで整理できたかなと思います。I形鋼は「テーパー付きの古典的な形鋼」と捉え、平行フランジのH形鋼との違いを軸に理解すると、図面の見分けも選定の理屈もつながります。鉄骨の材料規格も合わせて押さえておくと、現場での判断がぶれません。



