HPケーブルとは?屋外使用、AEとの違い、サイズ(外径)、許容電流等

  • HPケーブルってなに?
  • どんな用途があるの?
  • 屋外使用は可能なの?
  • AEケーブルとの違いって?
  • HPケーブルの色は?
  • HPケーブルのサイズ(外径)を知りたい

上記のような悩みを解決します。

HPケーブルは似たようなケーブルが多く、明確な区別がついていない人が多いです。ただ、明確な区別をしておかなければ、設備事故に繋がってしまいます。

この記事を読んで、正しくて正確な情報を抑えましょう。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

HPケーブルとは?

HPケーブルとは、結論「警報用で、耐熱性がある、ケーブルのこと」です。

そもそも「HP」とはなんぞやってところですが、「Heat Protection」の略称になります。直訳すると「火から守る」といった感じでしょうか。

要は耐熱性のあるケーブルであり、火災が発生した際も断線せず、機器に対して電源供給を行うことのできるケーブルとなっています。

似たようなケーブルでFPケーブルがありますよね。

大まかな違いとしては使用される負荷が異なりますね。誘導灯や非常灯など、様々な種類負荷に対して電源供給するのがFPケーブルです。対して、HPケーブルの負荷は限定的です。

あとは太さも異なりますね。

HPケーブルはいわゆる「信号線」と呼ばれるものですので、かなり細い電線です。具体的には「0.9mmと1.2mm」のケーブルがあります。

対してFPケーブルは325sqとか150sqとかですからね。太さも供給する電気の大きさも異なります。

 

HPケーブルの用途

HPケーブルは結論、非常放送設備とR型の感知器への配線に使用されます。

火災が発生すると『館内で火災が発生しましたので、避難お願いします。』というアナウンスが流れる訳ですが、このスピーカーに対する配線にHPケーブルは採用されるんです。

通常の業務放送に関しては耐火性能が求められないAEケーブルが使用されます。非常時に動かなくていい設備にわざわざ耐火性能のあるケーブルを使用する必要はありませんからね。

また、火災を検出する感知器にはP型とR型があるのですが、この内「R型」の感知器に関する電源供給をHPケーブルは担います。

R型の感知器とは、要はデジタル型の感知器でして、火災の詳細な情報まで取得できるのが大きな特徴です。

P型の感知器では「だいたいこの辺で火災が発生した」と検出するのに対して、R型の感知器ではピンポイントで「ここで火災が発生した」という信号を送ることが可能になります。

火災の際「どこで火災が発生したか?」は重要な情報ですから、現場では重宝されます。

 

HPケーブルは屋外でも使える?

結論から言うと、HPケーブルは「基本は屋内使用だが、配管なら屋外でも使用可能」です。

HPケーブルに耐候性はありません。直射日光に含まれる紫外線に晒されると、ケーブルが劣化し、使いものになら無くなってしまいます。

よって、基本的にHPケーブルは屋内使用です。

ただオール配管の場合(HPケーブルが露出しない場合)は、屋外でも使用可能になります。

要は紫外線に晒されることがアウトな訳で、紫外線に晒されなければ問題はありません。配管の中にHPケーブルが収まるなら、紫外線が当たらず、屋外でも正常に動作します。

たまに許容温度の問題で屋外使用がアウトになる場合があります。

配管の中に電線を敷設すれば、紫外線の影響は受けないものの、配管内の温度が非常に高くなります。夏は配管が直射日光を浴び、配管内の温度が高くなり、ケーブルが劣化するパターンです。

今回のHPケーブルに関しては、そもそも耐熱性能を備えているケーブルですので、なんの問題もありません。

屋外ならオール配管、それ以外は基本的に屋内使用で覚えておきましょう。

 

HPケーブルとAEケーブルの違い

HPケーブルとAEケーブルの大きな違いは、結論「耐熱性があるか?ないか?」です。

先ほども解説した通り、HPケーブルには耐熱性があります。対して、AEケーブルには耐熱性がありません。ここが大きな違いですね。

利用用途の特徴をもう一度おさらいしてみましょう。

HPケーブルとAEケーブルの用途

  • HPケーブル=耐熱性アリ=非常放送、R型感知器に採用
  • AEケーブル=耐熱性ナシ=業務放送、P型感知器に採用

HPケーブルには耐熱性があるので、火災時にも機器に対して通常通り電源供給をすることができます。そこで非常放送設備やR型感知器に対する配線に使われるんです。

対して、AEケーブルに耐熱性はありませんので、非常放送設備には採用されません。

火災になってアナウンスを流さなければならないのに、ケーブルに耐熱性が無いからスピーカーに電源供給できなかった。。。なんて話になりませんよね。

基本的にAEケーブルは業務放送のみに使用されます。

加えてP型の感知器というのは、電線が切断された時にも警報を発信します。よって火災によってケーブルが切断されたとしても中央監視盤に信号を伝えることができますので、AEケーブルでもOKという訳です。

 

HPケーブルの色

HPケーブルの色は、結論「シース(外皮)は灰色とクリーム色、絶縁体は青赤白」です。

ケーブル全体を覆うシースは灰色とクリーム色の2種類があります。イメージとしては灰色の方がメジャーな気がします。

3相(RST)の区別がしやすいように別々の色になっている訳ですね。

中の電線を覆う絶縁体は、青赤白の3種類です。

基本的なRSTの色分け

  • R:赤
  • S:白
  • T:青

基本的にはRSTそれぞれ上記の色分けですので、赤白青のAEケーブルを注文すれば問題ありません。

ただ、現場によってRSTの色分けが違う可能性もあります。

きっちりチェックすることが大事ですし、現場の色分けが違う場合は、適したケーブルを発注するようにしましょう。

 

HPケーブルのサイズ(外径)

サイズ 線心数 絶縁体厚さ シース厚さ 仕上り外径
0.9mm 2 0.4mm 1.0mm 3.7×5.4
0.9mm 3 0.4mm 1.0mm 3.7×7.1
1.2mm 2 0.4mm 1.0mm 4.0×6.0
1.2mm 3 0.4mm 1.0mm 4.0×8.0
平形の場合です。ケーブルサイズの外径は電線管サイズの選定に役立ちます。具体的な選定方法に関しては下記記事を参考にしてみてください。

 

HPケーブルに関する情報まとめ

HPケーブルに関する情報のまとめ

  • HPケーブルとは:警報用で、耐熱性がある、ケーブルのこと
  • HPケーブルの用途:非常放送設備とR型の感知器への配線
  • HPケーブルの屋外使用:基本は屋内使用だが、配管なら屋外でも使用可能
  • HPケーブルとAEケーブルの違い:耐熱性があるか?ないか?
  • HPケーブルの色:シース(外皮)は灰色とクリーム色、絶縁体は青赤白
  • HPケーブルのサイズ:上図参照

以上がHPケーブルに関する情報のまとめです。

一通りHPケーブルに関する情報は理解できたと思います。

似たようなケーブルとしては、FPケーブルやAEケーブルがあります。当記事でも軽く説明しましたが、もっと詳細な情報を抑えておきましょう。

それでは!