- 支点反力ってなに?
- 公式はどう書くの?
- 単純梁と片持ち梁で計算が違うってホント?
- 分布荷重の場合はどう扱うの?
- 反力の数って何個ずつあるんだっけ?
- 現場で支点反力を意識する場面はある?
上記の様な悩みを解決します。
支点反力は、構造力学の問題を解くスタートラインに立つ概念です。ここでつまずくと、内力・断面力・たわみといった次のステップにすべて影響が出てしまうので、最初に「公式とつり合い式の使い方」を腹落ちさせておくのがコスパが良いんですね。施工管理の立場でも、足場の脚部・仮設のジャッキ・部材吊り上げ時のスリングなど、支点反力の考え方が活きる場面は意外と多いです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
支点反力とは?
支点反力とは、結論「外力を受けた部材が動かない(つり合っている)ようにするために、支点に発生する力のこと」です。
英語では reaction force(リアクションフォース)、または support reaction。建築構造の文脈では単に「反力」と呼ばれることもよくあります。
部材は外から力を受けると、本来であれば動いたり倒れたりするはずです。それが動かずに止まっているのは、支点(柱脚・梁端部・ピンや沓など)が「外から押された分と同じだけ部材を押し返している」からです。この押し返しの力が支点反力です。
支点反力の特徴は、外から見える「外力」のひとつとして扱われる点です。重力で建物に作用する固定荷重や積載荷重と同じく、計算上は外力の仲間として整理されます。一方で、部材の中で発生する内力(軸力・せん断力・曲げモーメント)とは別物として扱う必要があります。
[talk words=’構造力学の問題を解くときは、まず最初に外力を全部書き出して、つぎに支点に発生する反力を未知数として置く。その未知数を、つり合い式から計算で求めるのが基本ルートですよ。’ name=”” avatarimg=”https://seko-kanri.com/wp-content/uploads/2020/02/c-run.png” avatarsize=70 avatarbdcolor=#d0d0d0 avatarbdwidth=1 bdcolor=#d0d0d0]
支点の種類と発生する反力の数
支点反力の数は、支点の種類によって変わります。代表的な3種類を整理します。
| 支点の種類 | 反力の数 | 反力の方向 | 図記号の典型 |
|---|---|---|---|
| ローラー支点 | 1個 | 鉛直方向のみ(または接面に垂直方向) | ○や△に車輪 |
| ピン支点 | 2個 | 水平方向と鉛直方向 | △に黒丸/三角形 |
| 固定支点 | 3個 | 水平・鉛直・回転(モーメント) | 壁や床に直接埋まった図 |
ローラー支点は接面方向には自由に動けるため、反力は接面に垂直な1方向だけに発生します。ピン支点は回転は自由ですが移動はできないので、水平と鉛直の2方向に反力が出ます。固定支点は移動も回転も拘束するので、水平・鉛直・モーメントの3つの反力が発生します。
「反力の数=拘束されている自由度の数」と覚えると一気に整理しやすくなります。ローラーは1自由度拘束、ピンは2自由度拘束、固定は3自由度拘束です。
支点の種類ごとの違いについては、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

支点反力の公式(つり合い式)
支点反力を求める基本ルールは、平面構造であれば以下の3つのつり合い式です。
支点反力を求める3つの基本式(平面の場合)
平面の場合の3つの基本式は、水平方向のつり合い ΣH = 0、鉛直方向のつり合い ΣV = 0、モーメントのつり合い ΣM = 0、というかたち。
ΣH(シグマH)とは「水平方向の力をすべて足すとゼロ」、ΣVは「鉛直方向の力をすべて足すとゼロ」、ΣMは「ある点まわりのモーメントをすべて足すとゼロ」という意味です。
この3つの式を立てれば、平面構造の場合は最大3つの未知数(反力)を計算で求めることができます。逆に言えば、未知数が4つ以上ある問題(不静定構造)はこの3式だけでは解けません。その場合は影響線や固定法、剛性マトリクス法などの別の解法を組み合わせる必要があります。
不静定構造の入り口になる影響線については、こちらが詳しいです。

単純梁と片持ち梁の支点反力
代表的な梁の形ごとに公式を整理しておきます。
①単純梁(ピン+ローラー):等分布荷重 w が梁全長 L に作用する場合
両端の支点反力はそれぞれ wL ÷ 2。
例えば長さ6mの単純梁に等分布荷重5kN/mが乗っている場合、両端の反力はそれぞれ 5 × 6 ÷ 2 = 15kN ずつになります。
②単純梁:中央に集中荷重 P が作用する場合
両端の支点反力はそれぞれ P ÷ 2。
長さ6mの単純梁の中央に20kNの集中荷重なら、両端の反力はそれぞれ20 ÷ 2 = 10kN です。
③片持ち梁(一端固定):先端に集中荷重 P が作用する場合
固定端の鉛直反力はP、固定端のモーメント反力はP × L、というかたち。
長さ3mの片持ち梁の先端に8kNの集中荷重なら、固定端には8kNの鉛直反力と、8 × 3 = 24kN・m の曲げモーメント反力が発生します。
④片持ち梁:等分布荷重 w が梁全長 L に作用する場合
固定端の鉛直反力は wL、固定端のモーメント反力は wL² ÷ 2、というかたち。
片持ち梁は支点が1つしかない(固定端のみ)ので、3つの反力すべてが固定端1か所に集中します。単純梁と片持ち梁では「反力が分かれるか/集中するか」がいちばんの違いです。
分布荷重の場合の扱い方
分布荷重が登場すると一気に難しく感じますが、実はコツを覚えれば一瞬で計算できます。
分布荷重を支点反力計算で扱うコツ
分布荷重を扱うコツとしては、分布荷重の合力を「集中荷重」に置き換える、合力の作用位置は分布荷重の重心、等分布の場合は分布範囲の中央が重心、三角形分布の場合は荷重の大きい側に寄った位置が重心(底辺の3分の1の位置)、というあたり。
例えば等分布荷重なら、長さLの区間に大きさwの荷重が分布している場合、合力=w × L、作用位置=区間中央、と置き換えれば、あとは集中荷重として通常通りつり合い式を立てるだけです。
三角形分布(風荷重・水圧などで出てくる)の場合は、合力=三角形の面積(底辺×高さ÷2)、作用位置=大きい側から3分の1の位置、と覚えておけばOKです。
水圧や風圧などの分布荷重を扱う場面では、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。

支点反力が施工管理で関わる場面
「支点反力って計算問題でしょ?」と感じるかもしれませんが、現場でも反力を意識する場面はかなり多いです。
現場で支点反力の発想が活きる場面
現場で支点反力の発想が活きる場面は、仮設足場の脚部にかかる荷重計算(支点反力=1脚あたりの負担荷重)、ジャッキアップ時のジャッキにかかる荷重(柱の自重+上部の積載分が支点反力として集中)、部材吊り上げ時のスリング張力(吊り点が支点、玉掛けワイヤーに反力が出る)、大型重機(クレーン)の脚部・アウトリガーへの荷重(地盤反力として地面が押し返している)、杭頭・基礎フーチングが上部建物から受ける荷重(建物全体の支点反力)、鉄骨建方時のジョイント仮ボルト本数の判断(接合部に出る一時的な反力に耐えられる本数を確保)、というあたり。
特に仮設・解体の場面では、設計時には想定していない一時的な支点配置になることが多いです。「この瞬間、どこを支点にしてどこに反力が集中するか」を頭の中で描けるかどうかで、安全管理の精度がだいぶ変わります。
[talk words=’現場で「ジャッキを移動するから一旦支点が変わるよ」と言われたとき、その変更で各部にどれくらいの反力が出るかをざっくり頭で計算できるかは、施工管理としての強みになりますよ。’ name=”” avatarimg=”https://seko-kanri.com/wp-content/uploads/2020/02/c-run.png” avatarsize=70 avatarbdcolor=#d0d0d0 avatarbdwidth=1 bdcolor=#d0d0d0]
杭基礎が上部建物から受ける支点反力(軸力)の考え方は、こちらが詳しいです。

支点反力に関する情報まとめ
- 支点反力とは:外力を受けた部材が動かないように支点に発生する力
- 支点の種類と数:ローラー1個、ピン2個、固定3個(拘束自由度=反力数)
- 公式:ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0 の3つのつり合い式
- 単純梁の例:等分布荷重w・スパンL → 両端反力 wL/2
- 片持ち梁の例:先端集中荷重P → 鉛直反力P+モーメント反力 P×L
- 分布荷重:合力を集中荷重に置き換えて計算
- 現場での扱い:仮設・ジャッキ・吊り上げ・建方ボルトの判断に活きる
以上が支点反力に関する情報のまとめです。
一通り支点反力の基礎知識は理解できたかなと思います。構造力学のテキストでつまずいたら「支点の種類→反力の数→3つのつり合い式」の順に手を動かしてみるとスムーズに整理できるはずですよ。
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