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金物工法とは?特徴、在来工法との違い、メリット、注意点など

  • 金物工法ってなに?
  • 在来工法と何が違うの?
  • ピン工法って金物工法と同じ?
  • メリットとデメリットは?
  • ホールダウン金物との関係は?
  • 施工管理で見るべきポイントは?

上記の様な悩みを解決します。

「金物工法」は最近の木造2階建て・3階建て住宅で急速に普及している接合方法で、柱と梁・梁と梁の接合部を金物で連結する工法です。プレカット工場の進化と耐震基準の強化が背景にあり、ハウスメーカー系の住宅では今や主流とも言える工法になっています。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

金物工法とは?

金物工法とは、結論「木造軸組構造の接合部を、専用の金物で連結する工法」のことです。英語で表記する場合は metal connector method など。

伝統的な木造の在来工法(在来軸組工法)では、柱・梁を仕口・継手という木材同士の加工で連結してきました。これに対して金物工法は、金属の専用金物(クランプ・ボルト・ビス・ピン)を介して接合するため、見た目も施工方法も大きく違います。

金物工法の代表的な接合金物

代表的な接合金物は、ホールダウン金物(柱頭柱脚の引き抜き対応)、メタルプレート(梁同士の連結)、スリットドリフトピン(柱・梁の貫通ピン接合)、山形プレート・かど金物(隅角部)、羽子板ボルト(梁の端部)、ホゾパイプ+ドリフトピン(プレカット用)、というあたり。

これらを組み合わせて、柱・梁すべての接合部を金物で連結するのが金物工法の基本構成です。

在来工法との違い

金物工法と在来工法の違いを表で整理します。

項目 在来工法 金物工法
接合方法 仕口・継手(木材加工) 金物+ボルト・ピン
木材の欠損 大きい(30〜50%) 小さい(10〜20%)
施工難易度 大工の腕に依存 プレカット+現場組立
耐震性 仕口の精度次第 金物のスペック通り
乾燥収縮への追従 強い(木同士の応力分散) 弱い(緩み発生)
意匠性 木材露出で美観◎ 金物が目立つことあり
コスト 標準 標準〜やや高い

「木をどれだけ削るか」が一番大きな違い。在来工法は仕口(ほぞ・蟻継ぎ等)で木同士を組み合わせるため、柱・梁の断面を30〜50%欠損させるのが普通でした。これが地震時に応力集中の原因になっていた、というのが従来の課題。

金物工法では金物用のスリットや穴を開けるだけで済むので、柱・梁の断面欠損が10〜20%に収まり、構造耐力が向上します。

金物工法のバリエーション

金物工法と一口に言っても、メーカーごとにいくつかのバリエーションがあります。

ピン工法(ドリフトピン工法)

ピン工法は柱と梁をスリットで切り欠き、内部にメタルプレートを差し込み、外側からドリフトピンを打ち込む接合方式。

ピン工法の特徴

ピン工法の特徴は、金物がほぼ見えない(外観は在来とほぼ同じ)、スリット加工が必要なのでプレカット必須、大手ハウスメーカーで採用多数(住友林業のBF構法、ミサワ等)、接合部の引張・せん断強度が高い、というあたり。

代表的な商品が「メタルジョイント」「テックワン」「BPシリーズ」など。

金物現し工法(パネル工法)

接合金物が外側から見えるタイプで、コストを抑えやすい。

金物現し工法の特徴

金物現し工法の特徴は、山形プレート・かすがい・羽子板ボルト等を併用、中小工務店・建売住宅で採用多い、在来工法に金物を追加した位置付け、工事費は最も安い、というあたり。

実態として日本の木造住宅は「在来工法+必要金物の追加」で建てられているケースがほとんどで、ピン工法のような完全金物工法は大手系列に集中しています。

CLT・LVLとの組み合わせ

CLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)といったエンジニアード木材は、金物工法でないと接合が成立しません。

CLT工法の特徴

CLT工法の特徴は、パネル同士をビス・金物で接合、6〜10階建ても可能(中高層木造)、海外では一般化・日本でも増加中、接合部設計は構造設計者次第、というあたり。

CLTを使った中高層木造ビルは2020年代に急速に普及していて、林野庁・国交省も補助金で後押ししています。

金物工法のメリット・デメリット

施工管理視点で金物工法を選ぶ判断軸として、メリット・デメリットを整理します。

金物工法の主なメリット

主なメリットは、構造耐力の向上(木材断面欠損の減少で耐震性UP)、品質の安定(プレカット+金物で大工の技量依存度が低い)、施工スピード(現場での加工が少なく組立だけで済む)、構造計算の確実性(金物のスペックが計算式に直接入る)、耐震等級3対応の確実性(等級3を狙う住宅で採用されやすい)、というあたり。

特に「品質の安定」は金物工法最大の強み。在来工法は仕口の精度によって耐力が30%以上変動することもあるが、金物工法は金物の認定値(メーカー試験データ)通りの性能が出る、というロジックです。

耐震金物の話はこちらでも触れています。

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金物工法のデメリット

デメリットは、イニシャルコストが在来工法より5〜10%高い、金物の腐食・乾燥収縮による緩みのメンテナンスが課題、リフォーム時の改造が難しい(金物の位置で軸組が固定)、結露・防錆対策が必要(特に外周部)、メーカー特有の専用金物に依存しやすい、というあたり。

特に「乾燥収縮による緩み」が気になる現場で、新築引渡し後数年で金物のボルトが緩み、増し締めメンテが必要になるケースもあります。木造住宅を扱うリフォーム会社では「金物締め直し」という追加メニューを提供している例もあります。

ホールダウン金物との関係

「金物工法」と聞くと最初に思い浮かぶのがホールダウン金物(HD金物)ですが、これは金物工法に限らず全ての木造軸組住宅で使う金物です。

ホールダウン金物の役割

ホールダウン金物の役割は、柱頭・柱脚の引き抜き力に抵抗、基礎側はアンカーボルトで連結、柱側は専用ボルト・ビスで連結、引き抜き耐力25〜40kN程度、というあたり。

2000年に建築基準法施行令の改正で「N値計算」と「ホールダウン金物の設置」が義務化されてから、木造住宅の必須部品になっています。

つまり「金物工法 ⊃ ホールダウン金物の使用 ⊃ 在来工法でも一部使用」という関係。「金物工法でないと金物は使わない」という誤解は典型的な間違いです。

施工管理での注意点

金物工法を採用した現場で、施工管理として見るべきポイントを5つ。

金物工法の施工管理ポイント

施工管理ポイントは5つ。①金物の納入仕様確認(プレカット図と現物のズレ・欠品確認)、②ピン・ボルトの締め付けトルク(規定値=メーカー指示通りか)、③金物の防錆塗装(屋外側で塗装ハガレ・打痕がないか)、④梁の架け順序(金物工法は組立順序が重要、片側だけ先組はNG)、⑤金物まわりの隙間(木材乾燥後に隙間が出ていないかの引渡前検査)、というあたり。

特に④の「組立順序」は要注意。金物工法では梁を両側から同時に建て込むのが原則で、片側だけ先に固定すると金物に変な応力がかかってボルト折損の原因になります。プレカット図に組立順番が記載されているので、必ず守る必要があります。

金物工法で起きがちなトラブル

現場で実際に出る失敗パターン。

金物工法のあるある失敗

あるある失敗は5パターン。①プレカット図と現場の合わない(柱・梁のスリット加工位置の誤差で金物が入らない)、②ホールダウン金物のアンカー位置ズレ(基礎工事のミスで柱中心と合わない)、③乾燥収縮でボルト緩み(含水率20%以上の生木使用で1年後に緩む)、④金物の打痕・キズ(現場荷揚げ時の取扱いで防錆塗装が剥がれる)、⑤耐力金物と化粧金物の取り違え(見た目が似ているが耐力値が違う製品の誤使用)、というあたり。

特に②のアンカー位置ズレはとても深刻。基礎工事のアンカーセット段階で1〜2cmズレただけで、上棟時にホールダウン金物が柱中心と合わず、ナット締めができないという最悪パターンになります。基礎打設前のアンカーセット検査がここで効いてきます。

金物工法に関する情報まとめ

  • 金物工法とは:木造軸組の接合部を金物で連結する工法
  • 在来工法との違い:木材欠損が小さく耐震性UP、品質が安定
  • 主なバリエーション:ピン工法/金物現し工法/CLT工法
  • メリット:構造耐力向上、品質安定、施工スピード、計算確実性
  • デメリット:コスト増、乾燥収縮緩み、リフォーム制約、防錆要
  • ホールダウン金物:金物工法に限らず全木造で必須
  • 施工管理ポイント:仕様確認、締付トルク、防錆、組立順序、隙間検査
  • 頻発トラブル:プレカット精度、アンカーズレ、ボルト緩み

以上が金物工法に関する情報のまとめです。

一通り金物工法の基礎知識は理解できたと思います。「金物工法は木材欠損を減らして耐震性を上げる」「ピン工法は外観が在来と変わらない」「ホールダウンは金物工法限定ではない」を押さえれば、木造住宅の施工図を見たときに何を見るべきか分かるようになります。

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