- 防水工事ってどんな種類があるの?
- アスファルト・シート・ウレタン・FRPはどう違う?
- 屋上とバルコニーで使う工法は同じ?
- 何年もつの?コストはどう違う?
- 改修工事だとどれを選ぶべき?
- 施工管理で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
「防水工事」は建物のライフサイクルで 必ず複数回手を入れる工事 ですが、いざ工法選定となると「アスファルトとウレタンとシートとFRP、結局どれを選べばいいの?」と悩みがちな世界。各工法の特徴とコスト・耐用年数を比較で整理しておけば、設計事務所との打ち合わせも、改修工事の見積評価もスムーズになります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
防水工事の種類とは?
防水工事の種類とは、結論「水の侵入を防ぐ目的で建物の屋根・床・地下などに施す工事の、材料・工法による分類」のことです。英語では waterproofing methods。
建築防水は大きく 「メンブレン系(膜状の防水材)」 と 「シーリング系(目地・取合い部の防水)」 に分かれます。一般に「防水工事」と言えば、メンブレン系の工事を指すことが多いです。
メンブレン防水の主要4工法
メンブレン防水の主要4工法は、アスファルト防水(アスファルトとアスファルトルーフィングを積層)、シート防水(合成ゴム・塩ビなどの防水シートを敷設)、ウレタン防水(液状ウレタン樹脂を塗布して膜をつくる)、FRP防水(液状ポリエステル樹脂とガラス繊維で硬質膜をつくる)、というラインナップ。
これに加えて、シーリング工事(コーキング) や モルタル防水(地下RC内側) などの補助的な防水もあります。
4大工法の比較
各工法の特徴を、現場で判断する軸ごとにまとめます。
比較表
| 工法 | 耐用年数 | コスト(屋上) | 工期 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| アスファルト防水 | 15〜25年 | 6,000〜9,000 円/m² | 中 | 最も歴史長く信頼性高 | 屋上、地下 |
| シート防水(塩ビ) | 10〜15年 | 5,000〜8,000 円/m² | 短 | 機械的固定、複雑形状に弱い | 屋上 |
| シート防水(ゴム) | 10〜15年 | 4,500〜6,500 円/m² | 短 | 軽量、低コスト | 屋上 |
| ウレタン防水 | 10〜13年 | 4,500〜7,500 円/m² | 中 | 複雑形状OK、塗膜厚管理が肝 | バルコニー、屋上、改修 |
| FRP防水 | 10〜12年 | 5,500〜7,500 円/m² | 短 | 硬く耐摩耗、振動に弱い | 駐車場、ベランダ |
※ コストは2026年時点の関東圏の目安値。下地状況・改修の有無で大きく変動します。
アスファルト防水
最も歴史が長く、信頼性で一歩抜けている工法です。
アスファルト防水の特徴
アスファルト防水は、熱工法(溶融アスファルト+ルーフィング)・常温工法(粘着シート)・トーチ工法(バーナー溶融)の3パターンに分かれ、多層防水で耐久性が高い(標準は4層)のが特徴。ルーフィング厚4mm×複数層で機械的にも強い反面、熱工法は煙・臭気で改修現場では選ばれにくい、というあたりの長短があります。
新築の屋上では今も第一選択になることが多い、堅実な工法。アスファルト防水の詳細はこちらに整理しています。

シート防水
合成ゴム系(EPDM) や 塩化ビニル系 のシートを、接着剤または機械的に固定して防水層をつくります。
シート防水のサブ工法
シート防水のサブ工法は3種類。接着工法(下地にシートを接着剤で貼り付け)、機械的固定工法=ディスク式(下地に金物でシートを固定)、熱風融着工法(塩ビシート用=シート同士を熱で融着)、という棲み分け。
工期が短く、改修工事で人気の工法。塩ビシートはこちらに、ゴムシートは別途記事に整理しています。


ウレタン防水
液状ウレタン樹脂を塗布して、現場で防水膜を形成する工法。
ウレタン防水の特徴
ウレタン防水は、複雑形状に追従できる(バルコニー・段差・配管立上り)のが最大の強み。改修工事の主流(既存防水層の上から塗れる)として広く使われており、塗膜厚管理が品質の鍵で不足するとピンホールが出やすい点には注意が必要。メーカー(田島ルーフィング、ダイフレックス、東和防水)の系統選定も必要になります。
塗膜厚の管理は、塗装と同じく DFT基準 で行います。詳しくはこちら。


FRP防水
ガラス繊維マット+ポリエステル樹脂 で硬質の防水膜をつくる工法。
FRP防水の特徴
FRP防水は、硬く耐摩耗性が高い(駐車場・歩行床に強い)のが最大の特徴。軽量で建物に負担が少ない一方、振動・衝撃には弱い(割れる)という弱点も。一般住宅のバルコニーで主流の工法です。
FRP防水の詳細はこちらに整理しています。

部位別の使い分け
「で、結局どこにどれを使えばいいのか?」を部位別に整理します。
屋上(陸屋根)
屋上の標準的な選択肢
屋上の標準的な選択肢は、新築・大規模改修ならアスファルト防水(熱工法 or 常温工法)、既存屋上の重ね改修ならシート防水(機械的固定)/ウレタン防水、複雑な配管立上りが多い屋上ならウレタン防水、という棲み分け。
新築でアスファルト、改修で既存防水層が残っているならシート機械固定 or ウレタン、というのが王道パターン。
バルコニー・ベランダ
バルコニーの標準的な選択肢
バルコニーの標準的な選択肢は、戸建住宅ならFRP防水(軽量・耐摩耗)、マンション共用バルコニーならウレタン防水(複雑形状追従)、歩行頻度の高いバルコニーならFRP防水+トップコート、というかたち。
特に戸建住宅のバルコニーは FRP一択 に近い状況。10年スパンでトップコートを塗り替えるのが標準サイクルです。
地下RC
地下の標準的な選択肢
地下の標準的な選択肢は、地下RC外周にアスファルト防水(地下水圧対応)、地下RC内側(断面修復)にモルタル防水・浸透性防水、という構成。
地下は水圧がかかるので、塗膜系では基本的に対応不可。アスファルト系の多層防水が選ばれます。
駐車場・屋上歩行床
駐車場の標準的な選択肢
駐車場の標準的な選択肢は、車両走行ありの屋上駐車場にFRP防水(耐摩耗)、歩行のみの屋上にウレタン防水(保護モルタル不要)、というかたち。
駐車場の防水は 耐摩耗 が最重要なので、FRPが第一選択。
工法選定の判断軸
施工管理者として 「現場で工法をどう選ぶか」 の判断軸を整理します。
判断軸①:新築 or 改修
新築 vs 改修の判断
新築では信頼性のアスファルト防水か軽量のFRP防水、改修で既存防水ありならシート防水(機械的固定)かウレタン防水(重ね塗り)、改修で既存防水なしなら新築と同じ工法を選ぶ、というのが基本の判断軸。
改修は 既存層をどうするか が論点。撤去すると工期が伸びるので、上から重ねられる工法を優先するのが原則。
判断軸②:建物が稼働中か
居住者・テナントが使い続けている建物の改修だと、騒音・煙・臭気の制約があります。
| 工法 | 騒音 | 煙・臭気 | 居住中改修への適性 |
|---|---|---|---|
| アスファルト(熱) | 低 | 高 | 不向き |
| アスファルト(常温) | 低 | 中 | 可 |
| シート(機械的) | 中(電動工具) | 低 | 可 |
| ウレタン | 低 | 中(溶剤) | 良好 |
| FRP | 中 | 中(樹脂臭) | 可 |
居住中改修なら ウレタンが第一候補。臭いも管理しやすく、騒音もほぼ出ません。
判断軸③:降雨・気温の制約
防水工事は 雨が降ると即中止 のものが多く、季節・地域の制約も判断軸に入ります。雨天・露の朝はウレタン・FRPが塗布不可(接着不良)、冬期5℃以下はウレタン・FRPが硬化不良のリスク、真夏高温はアスファルト熱工法の労務負担が大、というあたりが代表的な制約。
実務的には 3〜6月/9〜11月 が施工適期。雨季と真冬は避けるのが定石です。
施工管理視点の注意点
最後に、施工管理として防水工事で押さえておきたい注意点を5つ。
防水工事の施工管理5箇条
施工管理の5箇条は、①下地処理を妥協しない(防水層の品質の8割は下地で決まる)、②塗膜厚・シート重ね幅を必ず実測(写真で残す)、③入隅・出隅・配管立上りは重点チェック(水が回りやすい)、④試験貯水(水張り試験)を必ず実施(48時間の漏水確認)、⑤取合いシーリングは別工種扱いで防水と分けて管理する、という構成。
特に 試験貯水(48時間水張り) は、防水工事のフィニッシュとして欠かせません。立上り部の高さまで水を張り、48時間後の水位低下と階下漏水の有無を確認する。これをサボると、後の本雨で漏水→補修というルートが待っています。
僕が前にいた中規模オフィスビルの改修現場で、ウレタン塗装後の水張り試験で、配管立上り根元の見落としが1箇所あり、ここから階下にポタポタ漏れているのが2日目に発覚しました。仕上げ前で良かったケースですが、これがクロス施工後だったら数十万円の補修コースだったので、水張り試験の威力を改めて実感した出来事です。
シーリング工事・コーキング材の種類はこちらに整理しています。


防水工事の種類に関する情報まとめ
- メンブレン防水4工法:アスファルト/シート(塩ビ・ゴム)/ウレタン/FRP
- アスファルト:信頼性最高、新築屋上・地下の主力。耐用年数15〜25年
- シート:工期短、改修向き。機械的固定で重ね改修に強い。10〜15年
- ウレタン:複雑形状OK、改修主流。塗膜厚管理が品質の鍵。10〜13年
- FRP:硬く耐摩耗、戸建住宅バルコニー・駐車場で主流。10〜12年
- 部位別:屋上=アスファルトorシートorウレタン、バルコニー=FRPかウレタン、地下=アスファルト、駐車場=FRP
- 判断軸:新築or改修、稼働中か、降雨・気温
- 施工管理:下地処理、塗膜厚/シート重ね幅実測、入隅・配管立上り重点、水張り試験必須
以上が防水工事の種類に関する情報のまとめです。
一通り防水工事の選択肢は理解できたと思います。「新築はアスファルトorFRP、改修はウレタンorシート、地下はアスファルト」というデフォルト選択さえ頭に入れておけば、設計事務所との防水仕様協議も自分の意見を持って臨めるはずです。
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