- 気密測定って結局なにを測ってるの?
- C値ってなんの数値?どう計算するの?
- 高気密って数字でいうとどれくらい?
- そもそも法律で義務なの?
- 測定って何をどうやるの?目張りはどこまで?
- いつやるのが正解?中間?完成後?
- 費用はいくらで、誰が払うの?
- C値が目標に届かなかったらどうするの?
上記の様な悩みを解決します。
気密測定は、高気密高断熱の住宅づくりで欠かせない試験ですが、いざ施工管理として段取りを任されると「いつ・どこまで・C値が出なかったらどうする」と一気に不安になるテーマです。今回は気密測定の定義・C値の計算方法・試験の流れ・判定基準・費用といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「測定の立会いで何を見るか」「C値が出ない時の漏気箇所と再施工」「24時間換気との関係」まで、現場で動く話に踏み込んで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
気密測定とは?
気密測定とは、結論「建物にどれくらいの隙間があるかを実際に測り、C値という数値で気密性能を評価する試験」のことです。
家は図面どおりに作っても、部材のつなぎ目やサッシ・コンセント周りなどに目に見えない小さな隙間が必ず生まれます。その隙間の合計がどれくらいあるのかは、断熱材の性能カタログを見ても分かりません。実際に建った家を機械で測って初めて分かる、というのが気密測定です。
隙間が多いと、計画していない場所から空気が出入りして、冷暖房が効きにくくなったり、24時間換気が設計どおりに働かなくなったりします。逆に隙間が少なければ、夏涼しく冬暖かい、エネルギー効率の良い家になります。気密測定は、その「隙間の量」を見える化する作業だと考えてください。
C値そのものの詳しい中身はこちらが参考になります。

僕の感覚だと、気密測定は「断熱・換気がちゃんと機能する土台が整っているかを確かめる健康診断」のようなものです。断熱材をどれだけ良いものにしても、隙間だらけでは性能が出ません。その前提を数値で確認するのが気密測定、という位置づけで捉えると腹落ちします。
C値(相当隙間面積)とは|計算方法
C値とは「相当隙間面積」のことで、建物全体の隙間を床面積1㎡あたりに換算した数値です。単位は cm²/m²(平方センチメートル毎平方メートル)で表します。
計算式はシンプルで、次のとおりです。
C値(cm²/m²)= 建物全体の総相当隙間面積(cm²)÷ 実質延べ床面積(m²)
たとえば延べ床面積100㎡の家で、隙間の合計が50cm²なら、C値は50÷100=0.5になります。数値が小さいほど隙間が少なく、気密性能が高いことを意味します。
| C値 | 気密性能のイメージ |
|---|---|
| 0.5以下 | 高気密住宅の実務的な目標水準 |
| 1.0以下 | 一般に「高気密」と評価される目安 |
| 2.0前後 | かつての寒冷地向け省エネ基準の水準 |
| 5.0以上 | 隙間が多く、計画換気が機能しにくい |
C値は計算で予測することもできますが、それはあくまで設計上の目安です。実際にどれだけ隙間があるかは、建った後に気密測定をして確かめるしかありません。ここが「設計値」と「実測値」の決定的な違いです。
僕の整理では、C値は「気密性能の通知表の点数」で、気密測定は「その点数をつけるテスト」という関係です。点数(C値)だけ覚えても、どう測ってどう改善するかを知らないと、現場では動けません。
気密測定の試験の流れ(目張り・ブロワードア法)
気密測定は、専用の機械を使って室内外に圧力差を作り、隙間から出入りする空気の量から隙間面積を逆算する、という方法で行います。一般にブロワードア法(送風機を使う方法)と呼ばれ、JISでも測定方法が定められています。
現場での大まかな流れは次のとおりです。
- 換気口・換気扇など、計画上必要な開口を目張りでふさぐ
- 専用の送風機(気密測定器)を窓や戸に取り付ける
- 室内の空気を強制的に出し入れして室内外に圧力差を作る
- そのときの通気量を測定し、総相当隙間面積を算出する
- 床面積で割り戻してC値を出す
ポイントは最初の「目張り」です。換気口や換気扇は、暮らしの中でわざと空気を通すために付いている開口なので、これを隙間としてカウントすると正しい評価になりません。そこで測定時はこれらを一時的にふさぎ、「施工上できてしまった意図しない隙間」だけを測れるようにします。逆に言えば、目張りの範囲を間違えると数値が大きくぶれるので、ここは測定業者と事前にすり合わせておく部分です。
なお、送風機で減圧する方法(室内の空気を抜く)と加圧する方法(室内に空気を入れる)があり、住宅では減圧法が一般的です。
僕としては、施工管理が流れを理解しておく一番の意味は「目張りの線引き」を業者任せにしないことだと感じます。どこをふさいでどこを測るのかを把握していれば、測定結果を見て「この数字は妥当か」を自分で判断できるようになります。
C値の判定基準と省エネ基準の現状
C値の判定でよく聞くのが「1.0以下なら高気密」という目安です。実務では、高気密高断熱をうたう会社の多くがさらに厳しく0.5前後を目標に設定しています。数値が小さいほど良い、というのは一貫しています。
ただし、ここで施工管理として正しく押さえておきたいのが「C値は今の省エネ基準で義務化されている数値ではない」という点です。かつては省エネ基準の中に気密性能の基準値がありましたが、現在の制度ではC値の達成は法的な義務ではなく、各社が自主的な目標として設定しているのが実情です。
2025年からの省エネ基準適合義務化でも、中心になるのは断熱性能(UA値)や一次エネルギー消費量で、C値は必須項目ではありません。つまり「気密測定をしなくても法的に家は建つ」けれど、「性能の高い家を狙うなら自主的にやる」という位置づけです。
UA値や省エネ基準の枠組みはこちらが参考になります。

建築基準法2025年改正と省エネ義務化の全体像はこちらが参考になります。

正直なところ、施主から「気密測定やってますか?」と聞かれて答えに詰まらないためにも、施工管理は「義務ではないが、性能を担保するために実施している」という会社のスタンスを言語化できるようにしておくと強いです。
気密測定のタイミングと施工管理の段取り
気密測定のタイミングは、大きく分けて中間時と完成時の2回があります。施工管理として段取りを組むうえで、この使い分けは必ず押さえておきたいところです。
| タイミング | 目的 | 手直しのしやすさ |
|---|---|---|
| 中間気密測定 | 構造的・是正困難な隙間を仕上げ前に見つける | しやすい(壁を閉じる前) |
| 完成気密測定 | 最終的な実性能を確認・記録する | しにくい(仕上げ後) |
施工管理として最も重要なのは中間気密測定です。理由は、内外装の仕上げに入る前であれば、隙間が見つかっても手直しがしやすいからです。壁の中(断熱・気密層)を閉じてしまった後では、原因箇所にたどり着くのに壁を壊す羽目になります。
段取りとしては、気密工事(防湿シートや気密テープの施工)が終わり、断熱が完了したタイミングで中間測定を入れ、仕上げ工事の前に手直しの余地を残しておくのが基本形です。完成測定は、引き渡し前に「この家のC値はいくつでした」と記録・説明するために行います。
施工管理が立会いで見るべきは、目張りの範囲が適切か、測定中に異常な漏気音がないか、そして出た数値が会社の目標値に対してどうか、の3点です。数値だけ受け取るのではなく、現場の状態とセットで確認するのがポイントです。
僕の考えでは、気密測定は「完成後の答え合わせ」ではなく「中間での軌道修正」に本当の価値があります。中間で一度測っておけば、完成測定で目標を外して慌てる、という事態をかなり防げます。
気密測定の費用相場
気密測定の費用は、1棟1回あたりおおむね5万円前後が目安です。条件によっては4〜10万円程度の幅があります。
費用が変動する主な要因は次のとおりです。
- 建物の規模(延べ床面積が大きいほど高くなる傾向)
- 測定回数(中間+完成の2回なら単純に費用も増える)
- 測定業者の所在地(遠方からの出張だと出張費が乗る)
- 全棟標準で測定している会社か、スポット依頼かの違い
気密測定ができる業者はまだ限られているため、地域によっては出張費の影響が大きくなります。一方で、全棟標準で気密測定を行っている会社は、1棟あたりのコストを抑えられているケースが多いです。
費用負担は会社や契約によって扱いが異なりますが、性能をうたう会社では標準仕様(建築費に含む)としていることが多いです。施工管理としては、見積りのどこに測定費が入っているか、2回測定の場合の扱いはどうかを把握しておくと、施主への説明で迷いません。
僕の感覚だと、費用は「2回測るか1回か」で印象が変わる部分です。中間1回でも軌道修正の効果は大きいので、コストと品質のバランスをどう取るかは、会社の方針として説明できるようにしておくといいです。
C値が出ない時の漏気箇所と再施工
ここが、施主向けの解説記事ではほとんど語られない、施工管理にとっての本丸です。気密測定で目標のC値が出なかったとき、どこが漏れていて、どう直すのか。これを知らないと、測定は「数字を見るだけ」で終わってしまいます。
気密測定中に漏気が多い場合、原因になりやすい箇所はだいたい決まっています。
- コンセント・スイッチボックスまわり(壁を貫通する開口)
- サッシまわり(枠と躯体の取り合い、シール不良)
- 配管・配線の貫通部(給排水・電気の壁・床貫通)
- 換気ダクトの取り合い部
- 天井点検口・床下点検口のフタまわり
- 防湿シートの重ね・留め付け不良、テープの剥がれ
漏気箇所は、減圧した状態で手をかざすと空気の流れを感じたり、線香や発煙器の煙のなびきで特定したりできます。気密測定の専門業者は、測定だけでなくこうした漏気箇所探しのアドバイスまでしてくれることが多いので、立会いの場で一緒に確認しておくと現場の知見が一気に増えます。
見つかった隙間は、気密テープやコーキング、専用の気密パッキンで処理します。コンセントボックスには気密型のカバーを使う、貫通部は気密テープとシールで二重に止める、といった対策が定番です。
ここで中間測定の価値が効いてきます。仕上げ前なら、漏気箇所を見つけて手直ししても工期への影響は最小限です。逆に完成後に発覚すると、内装をめくる大ごとになり、工期が伸びます。
結露との関係でも気密は重要で、隙間からの漏気は内部結露の原因にもなります。
内部結露の仕組みはこちらが参考になります。

結露対策の全体像はこちらが参考になります。

僕としては、C値が出ない時に大事なのは「犯人を1か所に決めつけない」ことだと感じます。気密は複数の小さな漏れの合計なので、コンセント・サッシ・貫通部をひととおり潰す前提で動くと、結果的に早く目標値に近づきます。
気密測定と24時間換気・換気計画の関係
気密測定をなぜやるのか、その答えの半分は「換気計画を機能させるため」です。ここも施工管理として理解しておきたい論点です。
現在の住宅には24時間換気の設置が義務付けられていて、給気と排気を計画的に行うことで、室内の空気を常に入れ替えています。この計画換気は、家の隙間が少ない(気密性が高い)ことを前提に成り立っています。
隙間が多い家だと、空気は設計した給気口からではなく、あちこちの隙間から好き勝手に出入りしてしまいます。すると、せっかく付けた換気システムが「設計どおりの経路で空気を動かせない」状態になり、換気不足の部屋や、逆に冷気が入りすぎる場所ができてしまいます。とくに排気でひっぱる第三種換気は、気密が悪いと給気口以外からの空気の引き込みが増え、計画が崩れやすいです。
24時間換気の種類と仕組みはこちらが参考になります。

第三種換気の仕組みはこちらが参考になります。

換気計算の考え方はこちらが参考になります。

僕の整理では、「気密測定=省エネのため」と思われがちですが、実務的には「換気を設計どおり動かすための前提確認」という側面が同じくらい大きいです。気密と換気はセットで考える、という意識を持っておくと、設備の納まりや給気口の位置の打合せでも視点がぶれません。
気密測定に関する情報まとめ
- 気密測定とは:建物の隙間量を実際に測り、C値で気密性能を評価する試験
- C値(相当隙間面積):総相当隙間面積÷実質延べ床面積。単位cm²/m²、小さいほど高気密
- 試験の流れ:換気口を目張り → 送風機で圧力差 → 通気量から隙間面積を算出(ブロワードア法)
- 判定の目安:1.0以下で高気密、実務目標は0.5前後。ただしC値は現行省エネ基準の義務項目ではない
- タイミング:中間(仕上げ前・手直ししやすい)と完成(実性能の記録)。施工管理は中間を重視
- 費用:1棟1回あたり5万円前後(条件で4〜10万円)
- C値が出ない時:コンセント・サッシ・貫通部などを点検し、気密テープ・コーキング・気密カバーで処理
- 換気との関係:計画換気(24時間換気)は気密が高いことが前提。気密と換気はセットで考える
以上が気密測定に関する情報のまとめです。
気密測定は、施主にとっては「性能の答え合わせ」ですが、施工管理にとっては「中間で軌道修正し、換気計画を機能させるための実務」です。C値という数値の意味、測定の流れ、漏気箇所の潰し方、そして換気とのつながりまでをセットで押さえておけば、現場で測定を任されても落ち着いて段取りが組めるはずです。数値を受け取るだけの立会いから、原因を一緒に潰せる立会いへ、ここが施工管理としての一段の差になります。
気密測定に関するよくある質問
Q1:気密測定は自分(DIY)でできますか?
C値を正しく出す気密測定は、専用の測定器と知識が必要なので、専門の業者に依頼するのが基本です。簡易的に隙間風を感じて確認することはできますが、数値として記録・比較できるC値を出すには専用機器が要ります。会社が対応していない場合でも、専門業者に直接依頼すること自体は可能です。
Q2:気密測定は中間と完成、どちらをやればいいですか?
理想は両方ですが、1回しかできない場合は中間気密測定をおすすめします。中間(仕上げ前)なら、隙間が見つかっても手直しがしやすく、目標C値を達成しやすいからです。完成測定は最終的な実性能を記録する意味が大きいので、施主への説明資料として重視されます。予算と相談しつつ、軌道修正できる中間を優先するのが実務的です。
Q3:C値はどれくらいを目標にすればいいですか?
一般には1.0以下で高気密とされますが、高気密高断熱をうたう住宅では0.5前後を目標にしているケースが多いです。数値が小さいほど隙間が少なく、冷暖房効率と計画換気の精度が上がります。ただしC値は現行の省エネ基準で義務化された数値ではないため、各社が自主的に目標を決めているのが実情です。
Q4:気密測定と配管の気密試験は同じものですか?
別物です。ここで解説している気密測定は「建物全体の隙間(C値)」を測る住宅性能の試験です。一方、配管の気密試験は、給排水管やガス管などが漏れていないかを圧力をかけて確かめる設備の検査で、目的も対象も違います。名前が似ているので混同しやすいですが、別の試験と覚えておきましょう。
気密試験(配管・建物の違い)はこちらが参考になります。

Q5:気密が悪いと具体的に何が困りますか?
冷暖房が効きにくくなって光熱費が上がるほか、24時間換気が設計どおりに働かなくなります。隙間からの空気の出入りが増えると、換気不足の部屋ができたり、壁の中に湿気が入って内部結露・カビの原因になったりします。気密は省エネだけでなく、換気と建物の耐久性にも関わる、という点を押さえておくと重要性が分かります。
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