- ワイヤーストリッパーとは?
- ケーブルストリッパーとの違いって?
- 使い方について詳しく知りたい
- オススメの商品とメーカーは?
上記のような悩みを解決します。
現場で最も多く使われるケーブルはVVFケーブルですが、VVFケーブルの被覆を剥くにはワイヤーストリッパーが必要になります。現場にて頻繁に使用されますので、電気工事士や施工管理の方は基礎知識について理解しておきましょう。
この記事ではワイヤーストリッパーとは?といったところから、ケーブルストリッパーとの違い、使い方、オススメの商品とメーカーなどについて解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
ワイヤーストリッパーとは?
ワイヤーストリッパーとは、結論「ケーブルの被覆を剥く工具のこと」です。
ケーブルは心線と被覆から成っています。電線が流れる心線の部分が丸裸になってしまうと、人が触れて感電してしまうので、被覆がある訳です。基本的に電線やケーブルは被覆で保護されています。
ただ、ケーブルと機器だったり、ケーブルと端子だったりを接続する際には、心線を剥き出しにする必要があります。この「被覆を剥く」時に使うのがワイヤーストリッパーです。
ケーブルは3層構造になっています。
まず電気が通る心線があり、心線を覆う「絶縁物」があります。加えて、心線と絶縁物を覆う絶縁被覆があります。ワイヤーストリッパーでは「絶縁物」と「絶縁被覆」の両方を剥くのが仕事です。
最も一般的なのはVVFケーブルですが、VVFケーブル以外のケーブルを剥く際にもワイヤーストリッパーは必要になります。
ワイヤーストリッパーとケーブルストリッパーの違い
ワイヤーストリッパーとケーブルストリッパーの違いは、結論「用途」です。
まず前提として、ワイヤーストリッパーとケーブルストリッパーの役割や使用目的は「ケーブルの被覆を剥く」という点において同様です。
ワイヤーストリッパーは「ケーブルの被覆を剥く」のが役割ですし、ケーブルストリッパーも「ケーブルの被覆を剥く」のが役割と言えます。
違いとして、ケーブルストリッパーは「剥きにくいケーブルの被覆に切れ目を入れる」という役割があります。
太いCVケーブルなんかになってくると、ケーブルの被覆を剥くのが大変だったりします。その際、ケーブルストリッパーを使ってケーブルに切れ目を入れると、簡単に被覆が剥けるようになります。これがケーブルストリッパーの仕事です。
簡単なイメージとして、ケーブルストリッパーは太いケーブルに使い、ワイヤーストリッパーは細いケーブルに使います。
理由として「太いケーブルの被覆に切れ目を入れる」という役割は別の工具で大体可能だからです。
例えば、電工ナイフでも被覆に切れ目を入れることはできます。電工ナイフ自体「被覆に切れ目を入れる」という目的に特化している訳ではありませんから、ケーブルストリッパーの方が使いやすいのは事実です。
ただ電工ナイフは広い用途があり、誰の腰道具にも入っているものです。わざわざケーブルストリッパーを買って腰道具に入れるよりも、電工ナイフでやっちゃった方が楽ですし早いのも事実と言えます。
あまり腰道具にケーブルストリッパーを入れている人は見ませんし、そこまで利用頻度は高くないです。
対して、ワイヤーストリッパーを使ってVVFケーブルの被覆を剥くことは多くあります。ここまで利用頻度が多ければ腰道具に入れても問題無いかなと思います。ワイヤーストリッパーは電工ナイフでは代替できませんからね。
ワイヤーストリッパーの使い方
ワイヤーストリッパーの使い方
- ケーブルサイズの確認
- 絶縁被覆を剥く
- 絶縁物を剥く
大枠の流れは上記となります。
具体例として、VVFケーブルを剥く場合について考えてみましょう。
繰り返しになりますが、VVFケーブルは「心線」と「絶縁物」と「絶縁被覆」によって構成されています。最終的には心線を剥き出しの状態にしたい訳です。その為に「絶縁物」と「絶縁被覆」を剥く必要があります。
まずはケーブルサイズに合わせて、絶縁被覆を向きます。1.6mmか?2.0mmか?によって使う場所は異なるので、間違えないよう注意しましょう。
次に絶縁物を剥きます。絶縁物には2Cや3Cのパターンがありますので、そこに目盛りを当てて絶縁物を剥きます。
注意点としては、どれだけの長さを剥くのか?といったところです。
心線を差し込む先によって、剥く長さは異なります。接続先がワゴなのか?リングスリーブなのか?盤結なのか?ランプレセプタクルなのか?を確認しましょう。
被覆を剥く長さ(VVF)
絶縁被覆を剥く | 絶縁物を剥く長さ | |
ランプレセプタクル | 50mm | 30mm |
露出コンセント | 50mm | 40mm |
配線用遮断器(MCCB) | 50mm | 10mm |
端子台 | 50mm | 10mm |
埋め込みコンセント | 100mm | 10mm |
埋め込みスイッチ | 100mm | 10mm |
差し込みコネクタ | 100mm | 10mm |
リングスリーブ | 100mm | 30mm |
一般的によく出てくるパターンをまとめました。
最重要は絶縁物を剥く長さです。「絶縁物を剥く長さ」は「露出する心線の長さ」と同義です。どれくらいの長さを剥くべきなのかしっかり理解しましょう。
大枠の考え方としては「差し込むタイプか?」「輪っかを作るか?」によって、長さが異なります。
リングスリーブや差し込みスイッチなど、心線を差し込むタイプなら10mm程度で大丈夫です。対して、ランプレセプタクルや露出コンセントなんかでは、心線の先を丸めて輪っかを作らなければなりません。この場合は30mmくらい必要になります。
現場ではそこまで正確なミリ数を測ることは少ないです。
要するに問題なく対象物同士を電気的に接続することができれば良い訳ですから「1mm足りないから駄目」ということはありません。盤結で30箇所結線しなければならない時、いちいち正確に図っていたら、いくら時間があっても足りませんからね。
ワイヤーストリッパーを使用する上での注意点
ワイヤーストリッパーを使用する上での注意点は「力を入れすぎないこと」です。
絶縁被覆を剥く時も絶縁物を剥く時も、力を入れすぎると、一個下の階層まで傷付けてしまうことがありますので、注意が必要です。
例えば、絶縁物を剥く時に力を入れすぎると心線を傷付けてしまう可能性があります。心線は実際に電気が流れる大切な部分です。傷付けてしまうのは良くありません。
とはいえ、力を入れなければ被覆を剥くことはできませんから、それなりには力が必要です。
まとめると「適度な力を入れて剥く」ということが大切になります。
この辺の感覚はやってみて掴んでいくものです。絶縁物は剝けるけど、心線を傷付けない程度の力でやっていくようにしましょう。
ワイヤーストリッパーのオススメ商品とメーカー
ホーザン(HOZAN)
一般的なワイヤーストリッパーです。VVFケーブルを剥く用のものですね。「1.6×2C」「1.6×3C」「2.0×2C」「2.0×3C」それぞれに対応しています。
上の部分は絶縁物(シース)を剥く用のものでして、下の部分は絶縁被覆を剥く用のものです。先端で心線を掴んで輪っかを作ったりもできます。
また、スケール(目盛)も付いていますので、簡単な長さを測ることもできます。初心者の方でも使いやすいワイヤーストリッパーであると言えます。
VVFケーブルを剥く必要がある方はこちらの商品にしておきましょう。
こんな人にオススメ
- 照明器具の結線をする人
- 電気工事士2種の受験を考えている人
- コンセント増設の工事をする人
- 長さの感覚がまだない初心者の人
ビクター
中級者以上の方はこちらのワイヤーストリッパーをオススメします。この商品も「1.6×2C」「1.6×3C」「2.0×2C」「2.0×3C」それぞれに対応しています。
先ほどのワイヤーストリッパーと比較すると高価ですが、作業効率が全然違います。
「1.6×2C」でも「2.0×3C」でも同じ箇所でケーブルを剥く訳ですが、わざわざ長さによって位置を変える必要がありません。
実際に使ってみると分かりますが、スルッとケーブルを剥くことができます。作業効率が異なれば、その日の仕事を早く終わらせて帰ることができます。
こんな人にオススメ
- 作業効率を上げたい人
- 電気工事士の試験に合格するより現場でバリバリやりたい人
- 中級者以上
- VVFケーブルを頻繁に使用する現場にいる人
VESSEL(ベッセル)
絶縁物(シース)を剥く専用のワイヤーストリッパーです。
「0.5mm」「0.65mm」「0.8mm」「1.0mm」「1.3mm」「1.6mm」「2.0mm」それぞれのロッドがあり、幅広く対応しています。
ワイヤー切断用の刃も組み込まれていますので、ケーブルを切断することもできます。絶縁被覆を剥く必要が無く、絶縁物(シース)を剥くことの多い人にオススメです。
こんな人にオススメ
- 絶縁被覆を剥くことが無い人
- 絶縁物(シース)を剥くことが多い人
- 端末処理をする人が多い人
ワイヤーストリッパーに関する情報まとめ
ワイヤーストリッパーに関する情報まとめ
- ワイヤーストリッパーとは:ケーブルの被覆を剥く工具のこと
- ケーブルストリッパーとの違い:用途が異なる
- 使い方:ケーブルサイズの確認→絶縁被覆を剥く→絶縁物を剥く
- オススメの商品とメーカー:ホーザン、ビクター、ベッセル
以上がワイヤーストリッパーに関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたと思います。
ワイヤーストリッパー以外にも電気工事に使用する工具はいくつかあります。腰道具に入るような、基本的なものについては理解しておきましょう。
下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。