作業主任者が要る作業はどれ?令第6条の一覧と選任・資格・罰則

  • 作業主任者って結局なに?職長や主任技術者とは別物?
  • うちの現場で選任が要る作業を一覧で見たい
  • 足場は5mから?掘削は2mから?鉄骨や木造は?
  • 地山と土止めって講習は別々に取るの?
  • 特別教育を受けた人に任せちゃダメなの?
  • 同じ作業に2人選んだら?掲示には何を書く?
  • 選任していなかったら罰則はある?

上記の様な悩みを解決します。

結論、現場の作業に作業主任者が要るかどうかは、労働安全衛生法施行令第6条の号と数値で決まります。選ぶのは事業者で、法第14条により免許を受けた者か技能講習修了者から選任し、作業の指揮を任せます。特別教育を受けただけでは務められません。

作業主任者の一覧はネットにたくさんありますが、名称だけが並んでいたり、令第6条の号番号と資格の講習名が別々の表に分かれていたりして、「自分の現場のこの作業が何号で、誰を選べばいいか」を1回で突き合わせられるものは意外と少ないです。この記事では、建設現場に関係する号を2m・5m・30mといった線つきで1つの表にまとめ、講習1つで名称が2つになるもの、同じ号の中で講習が分かれるものまで書き分けました。条文は、e-Govに掲載されている2026年10月1日施行の現行版で照合しています。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初めて選任の段取りをする人にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

作業主任者とは?第14条で作業の指揮を任される有資格者

作業主任者とは、結論「事業者が法第14条にもとづいて、免許または技能講習の資格を持つ人の中から選び、危険な作業で労働者の指揮を任せる人」のことです。

根っこにある条文は、労働安全衛生法第14条です(e-Gov掲載の現行版・2026年10月1日施行)。原文は次のとおりです。

「事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。」

一文が長いので、現場の言葉に置き直すとこうなります。対象は「管理が必要な危ない作業」のうち政令で名指しされたものだけ。選べるのは「免許を持つ人」か「登録された機関の技能講習を修了した人」だけ。そして選んだ人には、その作業に就く労働者の指揮をさせる。指揮のほかに何をさせるかは厚生労働省令に委ねられていて、その中身は作業ごとの記事で扱います。

名前が似ていて混乱しやすいのが、主任技術者と職長です。主任技術者は建設業法の制度で、労働安全衛生法の作業主任者とは法律そのものが違います。詳しくは主任技術者の解説に置いています。職長や安全衛生責任者も作業主任者とは別の制度なので、「職長を務めていることが作業主任者の資格になる」という扱いにはなりません。名前の整理は安全衛生責任者の記事と見比べると早いです。

選任の場面で混同しやすい3つの名前を並べておきます。

  • 作業主任者:労働安全衛生法第14条。政令で定める作業ごとに、免許または技能講習の資格者から選ぶ
  • 主任技術者:建設業法の制度。作業主任者とは根拠の法律が別
  • 職長・安全衛生責任者:作業主任者とは別の制度。務めていても作業主任者の資格にはならない

ひとつ付け加えると、e-Govには2027年4月1日以降に施行される改正版もすでに載っています。それらの版と照合した範囲では、作業主任者の条文(法第14条・施行令第6条・規則別表第一)の文言は現行版と同じでした。とはいえ「どの時点の条文で作られた一覧か」は、古い資料ほど確かめてから使うのが安全だと考えています。

選任が必要な作業の一覧|建設現場に関係する号と、高さ・規模の線

作業主任者を選ばなければならない作業は、労働安全衛生法施行令第6条に第1号から第23号まで(枝番を含む)並んでいます。資格と名称のほうは労働安全衛生規則の別表第一という表にあり、2つは号の番号でつながっています(いずれもe-Gov掲載の2026年10月1日施行版)。番号をキーにして横に読むのが早道です。

現場で使うときは、判定を次の順に進めると迷いにくいです。

  • 今日の作業が施行令第6条のどの号の文言に当たるかを探す
  • その号に高さ・規模の線(2m・5m・30mなど)があるなら、超えているかを確かめる
  • 規則別表第一で同じ号の行を探し、資格(免許か、どの技能講習か)と作業主任者の名称を読む
  • 号の中で行が分かれているもの(第4号・第17号・第18号・第21号)は、作業の中身でどの行かを決める

建設現場で出番の多い号(施行令第6条×規則別表第一)

下の表は、施行令第6条の号の文言と、規則別表第一の資格・名称を横一列に並べたものです(出典:労働安全衛生法施行令第6条、労働安全衛生規則別表第一。e-Gov掲載の2026年10月1日施行版)。作業の欄は号の文言をもとにしていて、除外の書き方などは条文で確認してください。

号 選任が要る作業(線がある場合はその数値) 作業主任者の名称 選べる人の資格
第2号 アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業 ガス溶接作業主任者 ガス溶接作業主任者免許
第8号の2 コンクリート破砕器を用いて行う破砕の作業 コンクリート破砕器作業主任者 コンクリート破砕器作業主任者技能講習
第9号 掘削面の高さが2メートル以上となる地山の掘削の作業(ずい道及びたて坑以外の坑の掘削と、第11号の作業を除く) 地山の掘削作業主任者 「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」
第10号 土止め支保工の切りばり又は腹起こしの取付け又は取り外しの作業(高さの線なし) 土止め支保工作業主任者 第9号と同じ技能講習
第10号の2 ずい道等の掘削の作業(掘削用機械で労働者が切羽に近接することなく行うものを除く)又はこれに伴うずり積み、ずい道支保工の組立て、ロックボルトの取付け若しくはコンクリート等の吹付けの作業 ずい道等の掘削等作業主任者 ずい道等の掘削等作業主任者技能講習
第10号の3 ずい道等の覆工(ずい道型枠支保工の組立て、移動若しくは解体又は当該組立て若しくは移動に伴うコンクリートの打設)の作業 ずい道等の覆工作業主任者 ずい道等の覆工作業主任者技能講習
第14号 型枠支保工の組立て又は解体の作業(高さの線なし) 型枠支保工の組立て等作業主任者 型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習
第15号 つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業 足場の組立て等作業主任者 足場の組立て等作業主任者技能講習
第15号の2 建築物の骨組み又は塔であって、金属製の部材により構成されるもの(高さが5メートル以上のものに限る)の組立て、解体又は変更の作業 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習
第15号の3 橋梁の上部構造であって、金属製の部材により構成されるもの(高さが5メートル以上のもの又は橋梁の支間が30メートル以上である部分に限る)の架設、解体又は変更の作業 鋼橋架設等作業主任者 鋼橋架設等作業主任者技能講習
第15号の4 軒の高さが5メートル以上の木造建築物の構造部材の組立て又はこれに伴う屋根下地若しくは外壁下地の取付けの作業 木造建築物の組立て等作業主任者 木造建築物の組立て等作業主任者技能講習
第15号の5 コンクリート造の工作物(高さが5メートル以上のものに限る)の解体又は破壊の作業 コンクリート造の工作物の解体等作業主任者 コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習
第16号 橋梁の上部構造であって、コンクリート造のもの(高さが5メートル以上のもの又は橋梁の支間が30メートル以上である部分に限る)の架設又は変更の作業 コンクリート橋架設等作業主任者 コンクリート橋架設等作業主任者技能講習
第18号 特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業(下の2行以外。試験研究のため取り扱う作業などを除く) 特定化学物質作業主任者 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習(金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習を除く)
第18号 金属をアーク溶接する作業、アークを用いて金属を溶断し、又はガウジングする作業その他の溶接ヒュームを製造し、又は取り扱う作業 金属アーク溶接等作業主任者 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習(金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習を含む)
第18号 特別有機溶剤等を製造し、又は取り扱う作業 特定化学物質作業主任者(特別有機溶剤等関係) 有機溶剤作業主任者技能講習
第21号 施行令別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業(下の行以外) 酸素欠乏危険作業主任者 酸素欠乏危険作業主任者技能講習又は酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習
第21号 施行令別表第六第3号の3、第9号又は第12号の酸素欠乏危険場所(第12号は厚生労働大臣が定める場所に限る)における作業 酸素欠乏危険作業主任者 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習
第22号 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において、有機溶剤(重量の5パーセントを超えて含有する混合物を含む)を製造し、又は取り扱う業務で省令で定めるものに係る作業 有機溶剤作業主任者 有機溶剤作業主任者技能講習
第23号 石綿若しくは石綿をその重量の0.1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く)など 石綿作業主任者 石綿作業主任者技能講習

表を読むときに外したくないのは、第15号の線の位置です。施行令第15号で「高さが5メートル以上」が掛かっているのは「構造の足場」の部分で、つり足場と張出し足場には高さの条件が書かれていません。つまり「5m未満だから要らない」が通るのは、つり足場でも張出し足場でもない足場だけです。同じように第10号の土止め支保工と第14号の型枠支保工も、号の文言に高さの線がありません。

講習1つで名称が2つ、号1つで講習が2つ

表の中で、現場の段取りに直結する読み方が2つあります。

1つ目は、第9号と第10号です。規則別表第一では、どちらの行にも同じ「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習を修了した者」が書かれていて、名称だけが「地山の掘削作業主任者」と「土止め支保工作業主任者」に分かれています。講習は1つ、選任のときの名前は作業に合わせて2つ、という関係です。

2つ目は、第18号の中で講習が分かれていることです。溶接ヒュームが出る金属アーク溶接等の作業は「金属アーク溶接等作業主任者」で、特化物の技能講習のほか、科目をこの作業に限った限定技能講習の修了者も選べます。一方、それ以外の特定化学物質の作業では、規則別表第一がこの限定技能講習を除いています。限定講習だけの人は、溶接ヒューム以外の特化物の作業では選べないということです。

さらに見落としやすいのが、特別有機溶剤等の作業です。号としては第18号(特定化学物質)に入るのに、別表第一が求めているのは有機溶剤作業主任者技能講習です。特別有機溶剤等を扱う作業で「特化物の講習を取ったから大丈夫」と考えてしまうと、行を読み違えることになります。第21号の酸素欠乏も、場所によっては酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者でないと選べません。

建設現場ではあまり出てこない号

残りの号は、主に工場・林業・港湾などの作業です。名称と資格の種類だけ並べておきます(出典:同じく施行令第6条・規則別表第一、2026年10月1日施行版)。

号 作業の概要(数値は号の文言) 名称と資格
第1号 高圧室内作業(潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシャフトの内部において行う作業に限る) 高圧室内作業主任者(免許)
第3号 機械集材装置・運材索道の組立て、解体、変更、修理や集材・運材の作業(原動機の定格出力7.5キロワット超、支間の斜距離の合計350メートル以上、最大使用荷重200キログラム以上のいずれか) 林業架線作業主任者(免許)
第4号 ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの作業 ボイラー取扱作業主任者(伝熱面積の合計などで特級・一級・二級ボイラー技士免許の別が決まる。一部のボイラーのみならボイラー取扱技能講習でも可)
第5号 別表第二第一号又は第三号の放射線業務に係る作業(医療用などを除く) エックス線作業主任者(免許)
第5号の2 ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の作業 ガンマ線透過写真撮影作業主任者(免許)
第6号 木材加工用機械を5台以上(自動送材車式帯のこ盤を含む場合は3台以上)有する事業場での当該機械による作業 木材加工用機械作業主任者(技能講習)
第7号 動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場での当該機械による作業 プレス機械作業主任者(技能講習)
第8号 号に定める乾燥設備(内容積1立方メートル以上の危険物等の設備など)による物の加熱乾燥の作業 乾燥設備作業主任者(技能講習)
第11号 掘削面の高さが2メートル以上となる採石法第2条の岩石の採取のための掘削の作業 採石のための掘削作業主任者(技能講習)
第12号 高さが2メートル以上のはいのはい付け又ははい崩しの作業(荷役機械の運転者のみによるものを除く) はい作業主任者(技能講習)
第13号 船舶への荷の積み卸し・船舶内での荷の移動の作業(総トン数500トン未満の船舶で揚貨装置を用いないものなどを除く) 船内荷役作業主任者(技能講習)
第17号 第一種圧力容器(小型圧力容器などを除く)の取扱いの作業 第一種圧力容器取扱作業主任者(化学設備に係るものは化学設備関係の技能講習。それ以外はボイラー技士免許又は技能講習)
第19号 別表第四第一号から第十号までの鉛業務(遠隔操作の隔離室を除く)に係る作業 鉛作業主任者(技能講習)
第20号 別表第五第一号から第六号まで又は第八号の四アルキル鉛等業務に係る作業(遠隔操作の隔離室を除く。第六号はドラム缶その他の容器の積卸しに限る) 四アルキル鉛等作業主任者(特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習)

第1号の高圧室内作業は、潜函工法などの圧気工法で建設現場にも関係しますが、出番の多い現場は限られるのでこちらに入れました。僕の感覚だと、「この工事で当たる号」を表から拾い出したメモが1枚あるだけで、協力会社に誰を出してもらうかの打ち合わせが一気に具体的になります。

作業主任者になれる人|免許か技能講習で、特別教育では足りない

作業主任者になれるのは、都道府県労働局長の免許を受けた人か、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した人だけです(労働安全衛生法第14条、e-Gov掲載の2026年10月1日施行版)。どちらが要るかは号ごとに決まっていて、規則別表第一を見ると、免許が求められているのは第1号の高圧室内、第2号のガス溶接、第3号の林業架線、第4号のボイラー、第5号のエックス線、第5号の2のガンマ線といった作業で、建設現場でよく出てくる足場・地山・型枠支保工・鉄骨などは技能講習です(第4号・第17号には免許と技能講習のどちらでもよい行もあります)。

技能講習は、労働安全衛生法第76条で「第十四条又は第六十一条第一項の技能講習」と位置づけられ、区分ごとに学科講習又は実技講習で行われます。修了した人には、講習を行った者が技能講習修了証を交付します(同条第2項)。部下や協力会社の人を選任するときに手元で確かめられるのは、この修了証に書かれた講習名です。

特別教育では作業主任者になれない理由

迷いやすいのが「特別教育を受けた人ではダメなのか」という点です。条文を並べると、答えははっきりしています。

条文 何を定めているか 誰が行う・誰を選ぶか 作業主任者との関係
労働安全衛生法第14条 作業主任者の選任 事業者が、免許を受けた者又は登録を受けた者が行う技能講習の修了者から選ぶ この条の資格者だけが作業主任者になれる
同法第59条第3項 特別の教育 事業者が、危険又は有害な業務で省令で定めるものに就かせるときに、その業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行う 第14条の資格(免許・技能講習)に含まれていない
同法第61条第1項 就業制限 クレーンの運転その他の政令で定める業務に、免許・技能講習修了などの資格を持つ人以外を就かせてはならない 業務に就ける人を限る規定で、作業主任者の選任とは別の条

(出典:労働安全衛生法第14条・第59条第3項・第61条第1項、e-Gov掲載の2026年10月1日施行版)

ポイントは、第14条が選べる人を「免許を受けた者」と「技能講習を修了した者」の2つに限っていて、第59条第3項の特別の教育がそこに入っていないことです。特別教育は事業者が自分の労働者に行う教育で、登録を受けた者が行う技能講習とは条文上の置き場所も行う主体も違います。

現場で取り違えやすい組み合わせを挙げておきます。

  • 足場:足場の特別教育を受けていても、それだけでは第15号の足場の組立て等作業主任者には選べない
  • 石綿:石綿の特別教育と、第23号で求められる石綿作業主任者技能講習は別物
  • ガス溶接:第2号のガス溶接作業主任者は免許が必要で、ガス溶接技能講習と名前が似ていても資格の種類が違う
  • 特別有機溶剤等:第18号の作業なのに、求められるのは有機溶剤作業主任者技能講習

若手に何から取らせるかを考えるときは、優先順位を一般論で決めるより、今後の現場で当たる号を先の表から拾って、その行の講習名を指名するほうが確実です。地山と土止めのように講習1つで2つの名称に対応するものもあるので、講習名で数えると取らせる数が想像より少なく済む場合もあります。僕としては、特別教育の受講歴と技能講習の修了歴を同じ名簿の別の列で管理しておくのがいちばん事故が少ないと思います。

選任の決まり|選び方・2人以上の分担・氏名と職務の掲示

作業主任者の選任は、規則別表第一の上欄(作業の区分)に応じて、中欄の資格を持つ人の中から行い、名称は下欄のとおりとされています(労働安全衛生規則第16条第1項、e-Gov掲載の2026年10月1日施行版)。選任する側は、法第14条で「事業者」とされています。

同じ場所で同じ作業に2人以上を選んだ場合の決まりもあります。規則第17条は、別表第一の一の作業を同一の場所で行う場合に、その作業の作業主任者を2人以上選任したときは、それぞれの職務の分担を定めなければならないとしています(労働安全衛生規則第17条)。広い掘削現場や足場の範囲が大きい現場で複数名を立てるなら、誰がどの範囲・どの工程を受け持つかを決めておくことになります。

選んだあとに求められるのは、関係労働者への周知です(労働安全衛生規則第18条)。周知する中身は、作業主任者の「氏名」と「その者に行なわせる事項」の2つで、方法の例として条文に挙がっているのが「作業場の見やすい箇所に掲示する」ことです。

着工前の段取りに落とすと、確かめる順番は次のとおりです。

  • 工程表の作業を施行令第6条の号に当てはめ、選任が要る作業を洗い出す
  • 規則別表第一のその号の行で、資格(免許か、どの技能講習か)と名称を確かめる
  • 選ぶ人の免許証や技能講習修了証で、資格の名前がその行と一致しているかを見る
  • 同じ場所で同じ作業に2人以上立てるなら、職務の分担を決める(規則第17条)
  • 誰が作業主任者で何を任せたのかを、現場の掲示板などで作業する人に知らせる(規則第18条)

実務では、掲示板の作業主任者の欄と作業手順書の担当者欄を並べて、作業の名称と人の名前が食い違っていないかを見るのが手早い確かめ方です。とくに地山の掘削と土止め支保工は講習が同じなので、掲示の名称がどちらになっているかで「どの作業を任せたのか」が読み取れるようにしておくと、後から見た人が迷いません。

選任しなかったときの罰則|第119条の拘禁刑と罰金

作業主任者を選ばずに対象の作業をさせた場合の刑は、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(労働安全衛生法第119条第1号、e-Gov掲載の2026年10月1日施行版)。第119条の柱書きは「六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」となっていて、その第1号に違反の対象として第14条が挙がっています。

刑名にも注意が要ります。現行の条文は「拘禁刑」で、「懲役」と書いてある解説は表記が古いままです。また同じ第119条第1号には、特別教育の第59条第3項と就業制限の第61条第1項も並んでいます。

罰則が関わる3つの条を、もう一度並べておきます。

  • 第14条(作業主任者の選任):違反は第119条第1号
  • 第59条第3項(特別の教育):違反は同じく第119条第1号
  • 第61条第1項(就業制限):違反は同じく第119条第1号

作業主任者の選任と、特別教育、就業制限の3つが同じ号に並んでいるのを見ると、どれか1つだけ整えれば済むものではない、というのが条文から読み取れる姿勢だと僕は受け止めています。

作業ごとの詳しい記事|足場・地山・型枠・鉄骨・酸欠・有機溶剤ほか

この記事は一覧と選任の決まりに絞ったので、それぞれの作業主任者の職務や講習の受け方は個別の記事で扱っています。施行令第6条の号から逆引きできるように並べました。

第18号の特定化学物質については、特定化学物質作業主任者の記事にまとめています。安全衛生の規則全体の中で作業主任者がどこに位置するかを見たいときは、労働安全衛生規則の解説から入ると見通しが良くなります。

作業主任者に関する情報まとめ

  • 作業主任者とは:法第14条にもとづき、事業者が免許または技能講習の資格者から選び、作業の指揮を任せる人。主任技術者・職長とは別の制度
  • 選任が必要な作業:施行令第6条の第1号から第23号(枝番を含む)。建設現場では第9号の地山(2m以上)、第15号の足場(つり足場・張出し足場は高さ不問、それ以外は5m以上)、第15号の2〜第16号の鉄骨・橋梁・木造・解体(高さ・軒の高さ5m以上、橋梁は支間30m以上の部分も)などが当たる
  • 講習の読み方:第9号と第10号は同じ技能講習で名称が2つ。第18号は溶接ヒュームと特別有機溶剤等で求められる講習が分かれる
  • なれる人:免許を受けた人か技能講習を修了した人だけ。第59条第3項の特別教育では作業主任者になれない
  • 選任の決まり:別表第一の区分に応じて選び、2人以上なら職務の分担を定め(則第17条)、名前と任せる仕事を掲示などで知らせる(則第18条)
  • 罰則:第119条第1号で、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

以上が作業主任者に関する情報のまとめです。

作業主任者の判断は、名称を覚えることより「この作業は第何号で、線を越えているか」を条文の表で確かめる作業だと捉えると、現場でも迷わなくなります。着工前に工程表と施行令第6条の表を並べ、当たる号の行から講習名と人の名前を1対1で埋めておく。それが、掲示・名簿・協力会社への依頼のすべてを一度で揃える近道だというのが僕の見方です。

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