工事写真の撮り方は撮影箇所一覧表の撮影頻度で決まる|写真管理基準

  • 工事写真って毎日全部撮るもの?
  • 黒板には何を書けばいい?
  • 埋め戻した後に撮り忘れに気づいたら?
  • 明るさ補正やトリミングはダメ?
  • スマホの最高画質で撮っていい?
  • 土木と建築で基準は違うの?

上記の様な悩みを解決します。

国交省の写真管理基準(案)令和8年3月版では、工事写真の撮り方は撮影箇所一覧表の「撮影頻度」に基づいて決まります。毎日全部を撮るのではなく、着手前は1回、工事施工中の進捗は月1回〔月末〕、不可視部分の施工は適宜、というように工種ごとに頻度と撮るタイミングが書かれています。ここでは、小黒板の項目、省略してよい写真、編集禁止の線引きまでを基準の文言に沿って整理します。

なお、写真管理基準(案)は土木工事の工事写真に適用される基準で、公共建築の工事には営繕工事写真撮影要領という別の要領があります。工事写真の解説記事は写真アプリや台帳ソフトの紹介で終わるものが多く、基準の版や条番号、土木と営繕の違いまで示したものは少ないんですよね。今回は撮影頻度の読み方に加えて、「撮らなくてよい写真」が基準に書かれていることや、画素数を上げすぎない理由まで、施工管理の目線でまとめました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、公共工事の写真管理を初めて任された方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

工事写真の撮り方は撮影箇所一覧表から決まる

「何を撮ればいいのか一覧で知りたい」「毎日全部撮るの?」という疑問への答えは、基準の中にそのまま書かれています。まず、写真管理基準(案)がどの工事に使われるものかを確認しておきます。

この写真管理基準は、土木工事施工管理基準に定める土木工事の工事写真による管理(デジタルカメラを使用した撮影~提出)に適用する。また、写真を映像と読み替えることも可とする。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」1-1 適用範囲

そのうえで、撮り方の根っこになるのが次の一文です。

工事写真は、撮影箇所一覧表に示す「撮影頻度」に基づき撮影するものとする。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-1

つまり、何をどれくらい撮るかを現場ごとに一から考えるのではなく、基準の後ろに付いている撮影箇所一覧表を、自分の工事の工種に当てはめて読むのが基本です。一覧表を開いたら、次の3つを工種の行ごとに拾っていきます。

  • 撮影項目:その工種で何を撮るか(例:全景又は代表部分写真、法長、巻出し厚)
  • 撮影頻度:どのくらいの単位で撮るか(例:1回、月1回、200mに1回)
  • 〔 〕の中:いつ撮るか(例:〔着手前〕〔月末〕〔掘削後〕)

ちなみに、写真管理基準(案)令和8年3月版には「工事写真の目的」を述べた条文はありません。1-1の適用範囲から始まり、すぐに分類と撮影方法の話に入ります。目的論より先に「一覧表どおりに撮る」が置かれている、と捉えておくと読みやすいです。ただ、基準の中身から工事写真の役割は読み取れます。1-2の分類には品質管理写真と出来形管理写真が並び、3では撮影頻度に基づいて撮った写真原本を監督職員に提出するとされています(写真管理基準(案)令和8年3月版 1-2・3)。つまり工事写真は、施工の状況や品質、出来形を、発注者側が後から確かめるための記録として扱われている、と読めます。不可視となる出来形部分を特に注意して撮るよう求めている2-7(2)も、完成後に見えなくなる部分を確かめられるようにしておくためだと僕は考えています。

ベテランの「撮れるときに全部撮っとけ」という教えも、気持ちはよく分かります。ただ、提出の対象として基準が書いているのは「撮影頻度に基づいて撮影した写真原本」です(同基準 3 整理提出)。僕の考えでは、全部撮る前に一覧表で撮るべき箇所と時期を決めておく方が、撮り漏れはむしろ減ります。

写真の9分類と、撮影頻度の読み方

写真の種類(着手前・施工状況・品質・出来形…)が分からない、という声はよく聞きます。写真管理基準(案)令和8年3月版の1-2では、工事写真を9つに分類しています。

分類 何を写すか(基準の分類名)
1 着手前及び完成写真(既済部分写真等含む)
2 施工状況写真
3 安全管理写真
4 使用材料写真
5 品質管理写真
6 出来形管理写真
7 災害写真
8 事故写真
9 その他(公害、環境、補償等)

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」1-2

撮影箇所一覧表は、この分類と工種ごとに撮影頻度を並べたものです。全体に共通する行から、代表的なものを抜き出すと次のとおりです。

区分 撮影項目 撮影頻度〔時期〕
着手前 全景又は代表部分写真 着手前1回〔着手前〕
完成 全景又は代表部分写真 施工完了後1回〔完成後〕
工事施工中 全景又は代表部分の工事進捗状況 月1回〔月末〕
工事施工中 施工中の写真 適宜〔施工中〕
品質管理・出来形管理 不可視部分の施工 適宜

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」撮影箇所一覧表

「月1回の進捗写真って何を撮るの?」の答えは、この表の工事施工中の行です。撮るのは全景又は代表部分の工事進捗状況で、頻度は月1回、時期は〔月末〕と書かれています。

ここで引っかかりやすいのが「適宜」という言葉です。何となく「好きなときに好きなだけ」と読んでしまいがちですが、基準には定義があります。

適宜とは、設計図書の仕様が写真により確認できる必要最小限の箇所や枚数のことをいう。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」撮影箇所一覧表

つまり適宜は「自由に」ではなく「仕様が確認できる最小限」という意味です。不可視部分の施工が適宜とされているのは、撮る枚数を減らしてよいという話ではなく、仕様が写真で確認できるところまでは必ず押さえる、という読み方になります。

品質管理写真の例:コンクリートの試験

「コンクリートの試験の写真、どこまで撮ればいい?」という疑問も、一覧表の工種の行を見れば答えが出ます。工種「セメント・コンクリート(転圧コンクリート・コンクリートダム・覆工コンクリート・吹付けコンクリートを除く)(施工)」の行には、次のように書かれています。

撮影項目 撮影頻度〔時期〕・摘要
塩化物総量規制 コンクリートの種類毎に1回〔試験実施中〕
スランプ試験 コンクリートの種類毎に1回〔試験実施中〕
空気量測定 品質に変化が見られた場合〔試験実施中〕
コンクリートの圧縮強度試験 摘要:圧縮強度試験に使用したコンクリートの供試体が、当該現場の供試体であることが確認できるもの

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」撮影箇所一覧表(品質管理)

この頻度は、上の工種の行に書かれている値です。吹付けコンクリートやダム、覆工コンクリートは除かれているので、それらの工事では該当する工種の行を別に確認してください。圧縮強度試験は頻度よりも摘要の中身が大事で、「その現場の供試体だと分かること」が写真に求められています。

出来形管理写真の例:掘削工と盛土工

出来形管理写真も同じ読み方です。第1編共通編の例を挙げます。

工種 撮影項目 撮影頻度〔時期〕
掘削工 土質等の判別 地質が変わる毎に1回〔掘削中〕
掘削工 法長 200m又は1施工箇所に1回〔掘削後〕
盛土工 巻出し厚 200mに1回〔巻出し時〕

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」撮影箇所一覧表(出来形管理)

同じ掘削工でも、土質の判別は〔掘削中〕、法長は〔掘削後〕と時期が違います。〔 〕を読み飛ばすと、掘削が終わってから「土質の写真が無い」と気づくことになります。実務だと、頻度の数字より〔 〕の時期を工程表に書き込んでおく方が、撮り忘れの防止には効きます。

小黒板に書く項目と、文字が読める写し方

「黒板に何を書けばいい?」「字が読めないと言われた」という悩みは、写真管理基準(案)の2-2に答えがあります。

写真撮影にあたっては、以下の項目のうち必要事項を記載した小黒板を文字が判読できるよう被写体とともに写しこむものとする。① 工事名 ② 工種等 ③ 測点(位置) ④ 設計寸法 ⑤ 実測寸法 ⑥ 略図

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-2

ポイントは2つあります。1つは、6項目を毎回すべて書くのではなく「必要事項を記載」と書かれていること。もう1つは、項目を書くだけでなく「文字が判読できるよう」写しこむことまでが求められていることです。字が読めない写真は、項目を書いていても要件を満たしていない、と考えておく必要があります。

被写体の都合でどうしても小黒板が読めない場合の扱いも、同じ2-2に書かれています。

小黒板の判読が困難となる場合は、「デジタル写真管理情報基準」に規定する写真情報(写真管理項目-施工管理値)に必要事項を記入し、整理する。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-2

あわせて2-2には、「特殊な場合で監督職員が指示するものは、指示した項目を指示した頻度で撮影するものとする」という一文もあります。一覧表に無いものでも、監督職員から指示があればその項目と頻度が優先されるということです。

土木と営繕で、黒板の項目は違う

検索してみると、黒板の項目が記事によって違って見えることがあります。これは、土木の写真管理基準(案)と、公共建築の営繕工事写真撮影要領で項目が違うためです。

項目の順 土木:写真管理基準(案)令和8年3月 2-2 営繕:営繕工事写真撮影要領 令和5年版
① 工事名 工事名
② 工種等 工事種目
③ 測点(位置) 撮影部位
④ 設計寸法 寸法、規格、表示マーク
⑤ 実測寸法 撮影時期
⑥ 略図 施工状況
⑦ (なし) 立会者名、受注者名
⑧ (なし) その他

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-2/国土交通省 官庁営繕部「営繕工事写真撮影要領 令和5年版」

土木は6項目で、測点(位置)や設計寸法・実測寸法といった「寸法を確かめる」項目が中心です。営繕は8項目で、撮影時期や立会者名、受注者名が入っています。同じ「工事写真の黒板」でも、どちらの基準で撮るかによって書く欄が変わります。

スケールの当て方や寄り引きの距離を数値で覚えるより先に、基準が何を求めているかを押さえておくと迷いません。基準が求めているのは、黒板の文字と、出来形の寸法が写真で判読できることです。書き方の具体例や電子化した黒板の作り方は、電子黒板の制度と使い方をまとめた記事で扱っています。個人的には、撮った直後に画面を拡大して黒板の数字が読めるかを確かめる、この一手間がいちばん確実だと思っています。

見えなくなる部分の写真と、撮らなくてよい写真

鉄筋・型枠・埋設配管のように、施工が進むと隠れてしまう部分は、写真管理の中でいちばん気を使うところです。写真管理基準(案)令和8年3月版の2-7(2)には、次のように書かれています。

不可視となる出来形部分については、出来形寸法(上墨寸法含む)が確認できるよう、特に注意して撮影するものとする。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-7(2)

ここで求められているのは「撮ること」だけでなく、出来形寸法が写真から確認できることです。上墨寸法まで含めて書かれているので、隠れる前に寸法が読める状態で押さえておく、というのが基準の要求です。

一方で、基準には「撮らなくてよい写真」もはっきり書かれています。写真の枚数を考えるうえでは大事な条文です。

(2)出来形管理写真について、完成後測定可能な部分については、出来形管理状況のわかる写真を工種ごとに1回撮影し、後は撮影を省略する。(3)監督職員または現場技術員が臨場して段階確認した箇所は、出来形管理写真の撮影を省略する。臨場時の状況写真は不要。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-4

整理すると、2-4と2-7で写真を減らせる・変えられる場面は次のとおりです。

  • 完成後に測定できる部分の出来形管理写真は、工種ごとに1回撮影したら後は省略(2-4(2))
  • 監督職員または現場技術員が臨場して段階確認した箇所は、出来形管理写真を省略(2-4(3))
  • その臨場時の状況写真は不要(2-4(3))
  • 公的機関で実施された品質証明書を保管整備できる場合は、品質管理写真を省略できる(2-4(1)の要旨)
  • 撮影項目・撮影頻度等が工事内容に合わない場合は、監督職員の指示で追加・削減する(2-7(1)の要旨)

「段階確認に監督員が来たときも写真が要る?」という疑問には、2-4(3)がそのまま答えています。臨場して段階確認した箇所は出来形管理写真の撮影を省略し、臨場時の状況写真も要りません。ただし省略できるのは「臨場して段階確認した箇所」なので、臨場が無かった箇所は、2-4(2)など別の省略条件に当たらない限り、一覧表どおりに撮ることになります。

では、埋め戻した後に撮り忘れに気づいた場合はどうするか。ここまで見てきた2-4・2-7の条文には、撮り忘れたときの扱いを定めた手順がありません。後から撮った写真で埋め合わせられるかどうかを自分で判断せず、気づいた時点で監督職員に相談してください。

正直なところ、基準に救済の手順が書かれていない以上、撮り忘れないための段取りがいちばん大事です。不可視部分の「適宜」と〔 〕の時期を、着手前に工程表へ落としておくことが大事になります。

写真の編集禁止と、電子小黒板の線引き

「明るさを直したりトリミングしたらダメ?」「電子小黒板は改ざんにならない?」という2つの疑問は、写真管理基準(案)令和8年3月版の2-5でまとめて扱われています。

写真の信憑性を考慮し、写真編集は認めない。ただし、『デジタル工事写真の小黒板情報電子化についての一部改定について』(令和5年3月15日 国技建管第6号)に基づく小黒板情報の電子的記入は、これに当たらない。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-5 写真の編集等

原則は「写真編集は認めない」で、例外は小黒板情報の電子的記入だけです。デジタル写真管理情報基準 令和5年3月版の6にも「写真の信憑性を考慮し、写真編集は認めない。」と同じ趣旨が書かれています。

明るさ補正やトリミングがこの「写真編集」に入るかどうかについては、基準に個別の例示はありません。ここは僕が「可」とも「不可」とも言い切れない部分です。原則が「編集は認めない」である以上、手を加えたくなったら、加工する前に監督職員に確認してください。

電子小黒板が認められる条件

電子小黒板については、令和5年3月15日の国技建管第6号「デジタル工事写真の小黒板情報電子化についての一部改定について」で要件が示されています。この通知は「令和 5 年 4 月 1 日以降に入札手続きを行う工事から適用する。」とされ、目的は次のように書かれています。

被写体画像の撮影と同時に工事写真における小黒板の記載情報の電子的記入および、工事写真の信憑性確認を行うことにより、現場撮影の省力化、写真整理の効率化、工事写真の改ざん防止を図る。

出典:国土交通省 国技建管第6号(令和5年3月15日)

同じ通知で示されている要件をまとめると、次のとおりです。

項目 通知に書かれている内容
使う機器・ソフト 写真管理基準「2-2 撮影方法」の項目を電子的記入でき、かつ信憑性確認(改ざん検知機能)を有するもの
改ざん検知の技術 「電子政府における調達のための参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)」に記載している技術
電子化しない場合 小黒板情報電子化を実施しない工事写真は、監督職員の承諾を得る
納品時 改ざん検知機能を搭載したソフト等で信憑性確認を行い、その結果を併せて監督職員へ提出

出典:国土交通省 国技建管第6号(令和5年3月15日)

公共建築(営繕)では、令和5年3月1日の国営建技第14号「デジタル工事写真の小黒板情報電子化について」があり、「受注者が監督職員へ小黒板情報電子化の実施を選定する旨を申し出、承諾を得るものとする」とされています。土木と営繕で、手続きの入り方が違う点は押さえておきたいところです。

電子小黒板の機能や制度の経緯は電子黒板の解説で、アプリごとの違いは電子小黒板アプリの比較記事で整理しています。現場目線で言えば、電子小黒板は「編集」ではなく「撮影と同時の記入」として扱われている、と捉えておくと、撮った後に黒板を足すような使い方を避けるべき理由もつかみやすいと思います。

画素数・ファイル形式・提出のルール

「スマホの最高画質で撮っていい?」という疑問には、写真管理基準(案)令和8年3月版の2-6が答えています。

(1)写真はカラーとする。(2)有効画素数は小黒板の文字が判読できることを指標とする。(100万画素程度~300万画素程度=1,200×900程度~2,000×1,500程度)

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」2-6

画素数は「高いほどいい」ではなく、小黒板の文字が判読できることが指標です。目安は100万画素程度から300万画素程度とされています。上げすぎない理由は、デジタル写真管理情報基準 令和5年3月版の解説に書かれています。

不要に有効画素数を大きくすると、ファイル容量が大きくなり、電子媒体が複数枚になるとともに、操作性も低くなる

出典:国土交通省「デジタル写真管理情報基準 令和5年3月」7 有効画素数【解説】

端末によっては、この目安を大きく超える画素数で撮れる設定になっていることもあります。最高画質のまま撮ると、容量が増えて電子媒体の枚数が増え、操作性も低くなる、というのが基準側の理由です。

形式と提出について、基準に書かれていることを並べます。

  • ファイル形式:「日本産業規格(JIS)に示されるJPEG、TIFFやSVG形式等」(デジタル写真管理情報基準 令和5年3月版 4)
  • 圧縮比:撮影モードによる圧縮比がある場合は「標準(BASIC、約1/16圧縮)」(同 4)
  • 写真管理ファイル:XML形式(XML1.0に準拠)(同 4)
  • 提出の仕方:撮影頻度に基づいて撮影した写真原本を電子媒体に格納し、監督職員に提出(写真管理基準(案)令和8年3月版 3)

提出については、写真管理基準(案)の3にこう書かれています。

撮影箇所一覧表の「撮影頻度」に基づいて撮影した写真原本を電子媒体に格納し、監督職員に提出するものとする。写真ファイルの整理及び電子媒体への格納方法(各種仕様)は「デジタル写真管理情報基準」に基づくものとする。

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」3 整理提出

月1回などの提出頻度は、この基準には書かれていません。デジタル写真管理情報基準の8でも、電子媒体で提出する写真原本は「写真管理基準に示される撮影頻度に基づくものとする」とされているだけです。いつ提出するかは基準に書かれていないので、監督職員に確認してください。

撮った写真を台帳に整理する道具の選び方は、現場写真アプリの記事にまとめています。僕の感覚だと、画素数は着工前に一度だけ端末の設定を確認しておけば、あとは気にしなくて済む項目です。

土木・公共建築・民間で、見る基準を分ける

「土木と建築で基準が違うの?」「民間工事でも国交省の基準どおり?」という疑問は、どの基準を見ればいいかの整理で解けます。同じ「工事写真」でも、見る基準は大きく3系統に分かれます。

工事の種類 見る基準 押さえておく点
土木工事 写真管理基準(案)令和8年3月(土木工事施工管理基準に定める土木工事の工事写真に適用) 撮影箇所一覧表の撮影頻度、小黒板6項目
公共建築(営繕) 営繕工事写真撮影要領 令和5年版(最終改定 令和5年3月1日 国営建技第13号) 原則デジタル写真、100万画素程度から300万画素程度、JPEG、編集禁止(電子的記入は除く)、黒板8項目
民間工事 契約図書・発注者の指示 国交省の基準は公共工事向け。どこまで準じるかは契約で決まる

出典:国土交通省「写真管理基準(案)令和8年3月」1-1/国土交通省 官庁営繕部「営繕工事写真撮影要領 令和5年版」

営繕工事写真撮影要領 令和5年版では、「工事写真は、原則デジタル写真とする。」「有効画素数は、100万画素程度から300万画素程度とする。」「ファイル形式は、JPEGとする。」とされ、大きさは「1,200×900ピクセル程度から2,000×1,500ピクセル程度」と書かれています。編集についても「工事写真の編集を行ってはならない。ただし、小黒板情報の電子的記入はこれにあたらない。」とあり、土木と同じ考え方です。

民間工事は、国交省の基準をそのまま守る義務があるかどうかを一律には言えません。写真の扱いは契約図書と発注者の指示で決まるので、まずはその工事の契約で何を求められているかを確認してください。

撮影計画を先に作れと言われた場合も、やることは一覧表を工種に当てはめる作業です。工事に出てくる工種を洗い出し、工種ごとの撮影項目・撮影頻度・〔 〕の時期を拾っていけば、それがそのまま撮影計画の骨組みになります。一覧表に載っていない工種については、写真管理基準(案)2-7(4)の要旨として、監督職員と協議することになっています。工種の洗い出しは施工計画書を作る段階で済んでいることが多いので、施工計画書の書き方とあわせて進めると二度手間になりません。

工事写真の撮り方に関する情報まとめ

  • 撮り方の決まり方:写真管理基準(案)令和8年3月版の2-1で、撮影箇所一覧表の「撮影頻度」に基づいて撮る
  • 写真の分類と頻度:9分類。着手前1回〔着手前〕、進捗は月1回〔月末〕、不可視部分の施工は適宜(設計図書の仕様が確認できる必要最小限)
  • 小黒板:土木は工事名・工種等・測点(位置)・設計寸法・実測寸法・略図のうち必要事項を、文字が判読できるよう写しこむ。営繕は8項目
  • 不可視部分と省略:不可視の出来形は寸法が確認できるよう特に注意。完成後に測れる部分は工種ごとに1回、段階確認の臨場箇所は出来形管理写真を省略
  • 編集と電子小黒板:写真編集は認めない。国技建管第6号に基づく小黒板情報の電子的記入だけは編集に当たらない
  • 画素数と提出:100万〜300万画素程度。JPEG・TIFF・SVG等。写真原本を電子媒体で監督職員に提出。提出頻度は基準に書かれていない
  • 見る基準:土木は写真管理基準(案)、公共建築は営繕工事写真撮影要領 令和5年版、民間は契約で決まる

以上が工事写真の撮り方に関する情報のまとめです。

工事写真は、カメラの腕よりも「どの基準の、どの行を見て撮るか」で出来が決まります。着工前に撮影箇所一覧表を自分の工種に当てはめ、〔 〕の時期と不可視部分の「適宜」を工程表に書き込んでおけば、撮り忘れも撮りすぎも減らせるはずです。電子小黒板を使うなら電子黒板の制度の整理も、撮影計画を組むなら施工計画書の記事も、あわせて読んでみてください。

工事写真の撮り方に関するよくある質問

Q1:工事写真は毎日すべて撮らないといけませんか?

写真管理基準(案)令和8年3月版の2-1では、工事写真は撮影箇所一覧表に示す「撮影頻度」に基づいて撮影するとされています。毎日すべてではなく、たとえば着手前は1回〔着手前〕、工事施工中の進捗は月1回〔月末〕というように、工種と撮影項目ごとに頻度と時期が決まっています。

Q2:一覧表にある「適宜」はどう読めばいいですか?

撮影箇所一覧表では、「適宜とは、設計図書の仕様が写真により確認できる必要最小限の箇所や枚数のことをいう。」と定義されています。好きなだけ撮ってよいという意味ではなく、仕様が写真で確認できるところまでは押さえる、という意味です。

Q3:監督員の段階確認に立ち会ってもらった箇所も写真は必要ですか?

写真管理基準(案)令和8年3月版の2-4(3)では、監督職員または現場技術員が臨場して段階確認した箇所は、出来形管理写真の撮影を省略するとされ、臨場時の状況写真も不要とされています。臨場が無かった箇所は、ほかの省略条件に当たらない限り、一覧表どおりに撮影します。

Q4:写真の明るさ補正やトリミングはしてもいいですか?

基準の原則は「写真の信憑性を考慮し、写真編集は認めない。」です(写真管理基準(案)令和8年3月版 2-5)。明るさ補正やトリミングが編集に当たるかの個別の例示は基準にないため、加工する前に監督職員に確認してください。小黒板情報の電子的記入は、国技建管第6号に基づくものであれば編集に当たらないとされています。

Q5:画素数はどのくらいに設定すればいいですか?

写真管理基準(案)令和8年3月版の2-6では、有効画素数は小黒板の文字が判読できることを指標とし、100万画素程度~300万画素程度(1,200×900程度~2,000×1,500程度)とされています。デジタル写真管理情報基準 令和5年3月版の解説では、不要に大きくするとファイル容量が増え、電子媒体が複数枚になり、操作性も低くなると説明されています。

Q6:民間工事でも国交省の写真管理基準に従う必要がありますか?

国交省の写真管理基準(案)や営繕工事写真撮影要領は公共工事向けの基準です。民間工事で写真をどう扱うかは、契約図書と発注者の指示で決まります。まずはその工事の契約で求められている内容を確認してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次