- 1級の安全管理、対策を事項ごとに2つ、合計4つも書くのがきつい
- 2級の例文は見つかるけど、1級の安全管理の例文が少ない
- 高さ10m以上の作業場への揚重なんて、電気屋はあまりやらない気がする
- 屋外で夜間に限られる工事の例文が見たい。道路の照明とか?
- 墜落2つにするか、飛来落下2つにするか、1つずつにするか迷う
- 事項も理由も対策も重複しないって、どこまで違えばいいの
- ヘルメットと安全帯の話を抜くと、対策が4つも出てこない
- 手元の例文は「あなたがとった対策」の過去形。今の形にどう直すの
- 令和5年度までは感電の小問もあった。あれはどこに行ったの
- 例文を覚えて本番で使ってもいいのか分からない
上記の様な悩みを解決します。
答えを先に置くと、令和7年度の問題1で書くのは、予測した事項と理由の組が2つと、各事項に付ける対策が2つずつで、埋めるマスは事項2・理由2・対策4の計8つです。この記事では、問A(高さ10m以上の揚重)と問B(屋外で夜間に限られる作業)の例文を1本ずつ、令和5年度までの形の例文を1本、合わせて3本を並べます。
1級の安全管理の例文は、見つけても事項ごとの対策が1つしか書かれていなかったり、令和7年度の場面の条件とは関係の薄い現場だったりして、8つのマスがどう埋まっているのかを確かめにくいんですよね。今回は出題の数と年度といった基本を押さえた上で、ほかの解説ではまず見かけない「8マスを横に並べて重なりを点検した表」と、「令和5年度の1−1・1−2・1−3がそれぞれ令和7年度のどこへ移るか」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、2級は取ったものの1級の第二次検定で安全管理の答案が1本も手元に無い、という方にも使いやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
令和7年度の問題1が求めた数:事項2つ・理由2つ・対策は事項ごとに2つ
「予測した事項」と言われても、何をいくつ書けば答えたことになるのか。令和7年度の問題1は、問A・問Bのどちらも、予測した事項とその理由を「2つ具体的に記述しなさい。」とし、続けて対策を「その事項ごとに2つ具体的に記述しなさい。」と数まで指定しています(令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。事項1に対策2つ、事項2に対策2つなので、対策は答案全体で4つ、事項と理由を足すと埋めるマスは8つです。
同じ問題1の冒頭には、条件が2つ付いています。1つ目は「解答する記述については,墜落災害2項目,飛来落下災害2項目,墜落災害及び飛来落下災害各1項目のいずれでもよいものとするが,事項とその理由及び対策の内容は重複しないこと。」、2つ目は「なお,保護帽の着用のみ又は要求性能墜落制止用器具(安全帯)の着用のみの記述については配点しない。」です(令和7年度 同 問題1)。場面は、問Aが「高さ10m以上の作業場への揚重作業を伴う電気工事」、問Bが「屋外における作業時間が夜間に限られる電気工事」で、どちらも「あなたの電気工事の経験を踏まえ」という書き出しから始まります(令和7年度 同 問題1)。
令和5年度までの問題1にあった工事名や工期を書く欄は、令和7年度の問題1にはありません。問題文が(1)〜(6)のような記入項目を置かず、問Aか問Bの場面を選ばせる形になっています(令和7年度 同 問題1)。例文の現場をどう想定するかという迷いは、ここから生まれます。この記事の例文1・2は、場面そのものは問題文に合わせ、その中身だけを架空の工事で埋めました。
安全管理が問題1の主題になった年度と、そうでない年度も確かめておきます。問題冊子を年度順に開くと、次のとおりです。
- 令和2年度:問題1の1−2が墜落災害、1−3が感電災害(令和2年度 1級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題 問題1)
- 令和3年度:1−2が墜落災害又は飛来落下災害で、1−3は工程管理(令和3年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)
- 令和5年度:1−2が墜落災害、1−3が感電災害で、令和2年度と同じ組合せ(令和5年度 同 第二次検定問題 問題1)
- 令和6年度:問題1は工程管理で、安全は問題3の作業選択式(令和6年度 同 第二次検定問題 問題1・問題3)
- 令和7年度:問題1が問A・問Bとも墜落災害又は飛来落下災害で、感電は問題2(令和7年度 同 第二次検定問題 問題1・問題2)
令和元年度と令和4年度の問題1は工程管理と品質管理で、安全は問題2に別に立てられていました(令和元年度 1級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題 問題1・問題2、令和4年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1・問題2)。令和6年度の問題1で聞かれた工程管理の書き方は、1級電気の工程管理の経験記述を扱った記事で別に整理しています。
何行くらいに収めればいいのかについては、問題冊子からは答えが出ません。各年度の注意事項に「解答用紙は,別紙(両面)になっています。」とある通り、解答欄の罫線は冊子に載っていないからです(令和7年度 同 注意事項)。さらに令和7年度は「試験問題は,6問題です。全問解答してください。」なので(令和7年度 同 注意事項)、問題1だけに時間を使うわけにもいきません。僕はこの記事の例文を、1マスを1〜2文で言い切る長さにそろえました。
例文1:問A 高さ10m以上の作業場へ揚重する電気工事(墜落1・飛来落下1)
1本目は問Aの例文です。以下の工事は架空の設定で、実在の建物・会社とは関係ありません。場面は、工場の屋上(作業場の高さは10m以上)に太陽光発電設備を設置する電気工事で、太陽電池モジュール・架台の部材・ケーブルを移動式クレーンで屋上へ揚重します。揚重なんて電気屋はあまりやらない、と感じる方もいると思いますが、屋上に載る受変電設備や太陽光設備、屋上の照明や空調用の電源工事では、電気の材料そのものを上へ上げる場面が出てきます。
この例文では、墜落を1つ、飛来落下を1つ選びました。揚重を伴う場面には「上で荷を受ける人」と「下で荷の近くにいる人」の両方がいるので、被災する人の位置を上下に分けると、2つの事項が自然に別物になるからです。
事項1(墜落):屋上で吊り荷を受け取る作業者の、端部からの墜落
予測した事項:屋上で吊り荷を受け取る作業者が、荷を引き寄せようとして屋上の端部に近づき、端部から墜落する危険がある。
その理由:クレーンの吊り荷は屋上の外側から端部を越えて降りてくるため、受け取る作業者は荷に手を伸ばして端部の方へ寄りやすく、揚重の間は荷の動きに目を取られて足元の端部を見ていないからである。
とるべき対策の1つ目:荷の着地位置を端部から離れた屋上の内側に決めて図面に書き込み、着地位置と端部の間に仮設の手すりを設けて、荷受けの作業者が端部側へ出られない区画にする。
とるべき対策の2つ目:吊り荷には介錯ロープを付け、作業者は荷に手を触れずにロープで着地位置へ誘導し、荷が屋上面に降りて吊りワイヤが緩むまで荷に近づかないことを作業手順書に定め、揚重を始める前に職長が荷受けの作業者と読み合わせる。
事項2(飛来落下):吊り荷からの部材の落下と、地上の作業者への激突
予測した事項:揚重中の吊り荷から架台の部材や金具が抜け落ち、地上で次の荷の準備をしている作業者に当たる危険がある。
その理由:架台の部材は長さのそろわない形鋼を束ねて吊るため、吊り上げや旋回の揺れで束の中の部材がずれやすく、一方で地上では次の荷の玉掛けを急ぐ作業者が、吊り荷の旋回範囲のすぐそばにいるからである。
とるべき対策の1つ目:部材は長さごとに束ね直して両端を縛り、ボルトなどの小物は蓋付きの容器に入れてから吊り、束の中に小物を差し込んだまま上げない。
とるべき対策の2つ目:吊り荷の旋回範囲の下をバリケードで囲って立入禁止にし、合図者を1人に決めて、合図者が区画の中に人がいないことを見てから巻上げの合図を出す。
読み返すと、事項1は屋上の作業者、事項2は地上の作業者と、被災する人の立ち位置が上下で分かれています。理由も、事項1は「荷が端部を越えて降りてくる」という受け取り側の事情、事項2は「束ねた部材が揺れでずれる」という荷そのものの事情で、揚重作業のどの瞬間を見ているかが違います。
対策の配り方にも決まりを置きました。各事項の1つ目は手すり・束ね方のように「モノの置き方で危険の元を減らす」対策、2つ目は介錯ロープの手順・合図者のように「人の動きと順番を決める」対策です。性質の違う2つを組にしておくと、同じ事項の中で対策が言い換えになる事故を避けやすくなります。どこまで具体的に書くかは、誰が(職長・合図者)、いつ(揚重を始める前・巻上げの前)、何を(読み合わせる・人がいないのを見る)の3つが1文に入っているかで見ています。
例文2:問B 屋外で作業時間が夜間に限られる電気工事(墜落2)
2本目は問Bの例文です。これも架空の設定で、実在の道路・施設とは関係ありません。場面は、交通量の多い市道で道路照明の灯具をLED灯具へ交換し、あわせて道路をまたぐ歩道橋の照明器具も交換する電気工事です。昼間は交通を止められないため、作業できるのは夜間の車線規制の時間に限られます。
例文1と違う組合せを見せるため、こちらは墜落を2つ選びました。墜落を2つにすると事項が似やすくなるので、作業する場所(高所作業車の作業床と、歩道橋の上)と、理由の軸(時間の制約と、暗さ)の両方を分けています。
事項1(墜落):高所作業車の作業床から身を乗り出しての墜落
予測した事項:高所作業車の作業床で灯具を交換する作業者が、灯具に手を伸ばして作業床の手すりから身を乗り出し、墜落する危険がある。
その理由:規制時間内に割り当ての本数を終えようとして、灯具ごとに車両を寄せ直しブームを据え直す手間を省き、作業床が灯具から離れた位置のまま手を伸ばしてしまうからである。
とるべき対策の1つ目:昼間の下見で、灯具ごとに高所作業車を止める位置とブームを伸ばす向きを決めて一覧にし、夜間はその一覧どおりに車両を据えて、作業床が灯具の真下に来てから作業に入る。
とるべき対策の2つ目:一晩で交換する本数を規制時間から逆算して前もって割り当て、終わらなかった灯具は翌夜に回すことを発注者と打ち合わせておき、職長は規制解除の前に作業を打ち切る時刻を決めて作業者に伝える。
事項2(墜落):歩道橋の上での、高欄の外側への墜落
予測した事項:歩道橋の上で照明器具を交換する作業者が、脚立の上で体の向きを変えたときに、高欄を越えて外側へ墜落する危険がある。
その理由:交換する器具を消灯するため歩道橋の上が周りの道路より暗くなり、屋外で手元を照らす設備も無いので、脚立と高欄との離れが作業者に見えにくいからである。
とるべき対策の1つ目:歩道橋の上に投光器を置いて作業位置と高欄を照らし、脚立は使わずに手すり付きの可搬式作業台を高欄から離して据える。
とるべき対策の2つ目:高欄側の器具を交換するときは2人1組とし、1人は作業台の下で足元と高欄の間を照らしながら見張って、作業者が高欄側へ体を向けたら声を掛けて手を止めさせる。
夜間作業の理由は「暗いから」だけでいいのか、という迷いに対して、この例文は2つの答え方を分けて見せています。事項2の理由は暗さそのものですが、事項1の理由は暗さではなく「時間が限られていること」で、時間に追われると何の手順を省くのか(車両の据え直し)まで書きました。問Bの場面の語は「屋外」「作業時間が夜間に限られる」なので、夜の暗さと時間の短さを1つずつ別の事項に持たせると、2つの理由が重なりにくくなります。
対策も、事項1の2つ目は「手を伸ばしたくなる原因(本数の焦り)」を先に取り除く対策にしてあります。身を乗り出すなと注意するだけの対策より、身を乗り出さずに済む段取りを書いた方が、「具体的に」という指定に応えやすいと僕は考えています。
例文3:令和5年度までの形(1−1・1−2・1−3)と、令和7年度の形への移し方
最後の1本は、旧形式、つまり令和5年度までの問題1の形に合わせた例文です。令和5年度の問題1は、1−1で「経験した電気工事について,次の事項を記述しなさい。」と工事概要を書かせ、1−2で墜落災害について「あなたが予測した事項とその理由を2項目あげ,これらの労働災害を防止するために,あなたがとった対策を項目ごとに2つ具体的に記述しなさい。」、1−3で感電災害の「作業内容とその理由をあげ,あなたがとった対策を具体的に記述しなさい。」と続く形でした(令和5年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。1−2の直下には「保護帽の単なる着用のみの記述」「要求性能墜落制止用器具の単なる着用のみの記述」の2行が、配点しない記述として並んでいます(令和5年度 同 問題1)。
以下は架空の工事で、工事名や場所は伏せ字にしてあります。例文1と同じく屋上の太陽光発電設備の工事にして、あとで令和7年度の形へ移す様子を追えるようにしました。まず1−1です。
- (1) 工事名:◯◯工場 太陽光発電設備設置工事
- (2) 工事場所:◯◯県◯◯市
- (3) 電気工事の概要:請負金額(概略の額)◯千万円。工場屋上への太陽光発電設備の設置、パワーコンディショナの据付け、既設受変電設備への連系
- (4) 工期:令和◯年◯月着工、令和◯年◯月竣工
- (5) この電気工事でのあなたの立場:一次下請の電気設備会社で、現場代理人として従事
- (6) あなたが担当した業務の内容:工程・安全・品質の管理と、工場側の設備担当者との調整
続いて1−2の1項目目です。屋上で吊り荷を受け取る作業者が、端部から墜落する危険があると予測した。クレーンで揚重した架台やモジュールを、屋上の端部の近くで受け取る作業があったためである。対策として、荷の着地位置を屋上の内側に決め、端部との間に仮設の手すりを設けた。また、荷は介錯ロープで誘導させ、荷が降りきるまで近づかないよう指示した。
1−2の2項目目です。屋上のトップライト(明かり取りの窓)を作業者が踏み抜いて墜落する危険があると予測した。モジュールの配置を確かめるため、作業者が屋上を歩き回る必要があったためである。対策として、トップライトの上に踏み抜き防止の養生を掛け、周りをバーで囲った。また、朝礼で屋上の平面図にトップライトの位置を示して周知した。
最後に1−3です。感電災害の危険があると予測した作業内容は、パワーコンディショナの出力を既設の受変電設備へ接続する作業である。接続先の盤の中に、工場の操業のため停電できない回路が残っていたためである。対策として、接続の前に停電する範囲を工場の設備担当者と確認し、停電させた回路を検電してから作業させた。停電できない回路の充電部は絶縁用防護具で覆った。1−3は作業内容・理由・対策の個数が問題文に書かれていないので(令和5年度 同 問題1)、例文では作業内容1つ・対策2つにしています。
小問ごとの行き先:1−1は理由の文へ、1−2は組み替え、1−3は問題2へ
この例文を令和7年度の問Aの形へ移したものが例文1です。語尾を「とった」から「とるべき」に変えるのは前提として、1級ならではの移し方は小問ごとに違います。
1−1の工事名・請負金額・工期は、令和7年度の答案には書く場所がありません(令和7年度 同 問題1)。ただ、1−1の(3)に書いていた屋上での設置工事という場面の情報まで消してしまうと、事項と理由が宙に浮きます。例文1では、その場面を理由の文の中に入れ、「吊り荷は屋上の外側から端部を越えて降りてくる」と、場面から危険が生まれる筋道として書き直しました。
1−2は、数の骨格(2項目・対策は項目ごとに2つ)がそのまま残る一方、令和5年度は墜落災害だけだったのに対し、令和7年度は飛来落下災害も選べます(令和5年度・令和7年度 同 問題1)。例文3の2項目目のトップライトの踏み抜きは、屋上の作業ではあっても揚重とは結び付きが薄いので、問Aに移すときは外し、揚重に直接つながる飛来落下(例文1の事項2)に入れ替えました。問Aの場面の語に答えていない事項を残すより、場面の語から出てくる事項に替えた方が、読み手に「問Aを選んだ答案」として伝わると考えたからです。
1−3の感電は、令和7年度の問題1には入れる場所がありません。問A・問Bとも「作業者に墜落災害又は飛来落下災害が発生する危険性」を予測させる設問だからです(令和7年度 同 問題1)。感電は問題2で「全停電のできない施設における電気設備の改修工事において,施工中,作業者に感電災害が発生する危険性があると,あなたが予測した作業内容とその理由について,具体的に記述しなさい。」と別に聞かれています(令和7年度 同 問題2)。例文3の1−3の材料は、停電できない回路が残る盤での作業なので、問題1ではなく問題2の準備に回すのが筋です。
例文を覚えて本番で使ってもいいのか、という点も触れておきます。令和元〜7年度の問題冊子(令和元・2年度は実地試験、令和3年度以降は第二次検定)には、どの年度も問題1の解答例は載っていません(令和元〜7年度 各問題冊子)。この記事の3本も公式の解答例ではなく、架空の工事で組んだものです。令和7年度の問題文は「あなたの電気工事の経験を踏まえ」で始まるので、覚えるなら文面ではなく骨組みにとどめ、中身は自分の工事の材料に入れ替える前提で使ってください。形式そのものが令和6年度でどう変わったかは、1級電気の経験記述の形式の変わり方を追った記事にまとめています。
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【PR】対策4つを自分の現場で埋め切るなら
例文の場面を自分の工事に置き換え、事項・理由・対策の8マスを重ならずに埋める作業は、問題冊子に解答例が載っていないぶん、手元の記録を見ながら自分で組み立てることになります。第二次検定の準備の進め方を広く比べておきたいなら、施工管理技士の受験対策講座も候補に入ります。
- 対策が事項ごとに2つそろわず、4つ目で手が止まる
- 令和5年度までの過去形の答案しか手元に無く、今の形に移せているか判断しにくい
- 問Aと問Bのどちらを選ぶか、自分の経験だけでは決めきれない
対策4つを重ねない配り方:例文の8マスを横に並べて点検する
事項も理由も対策も重複しないとは、どこまで違えばいいのか。まず条件文そのものが年度で違います。令和5年度の1−2は「ただし,対策の内容は重複しないこと。」で、重ねてはいけないのは対策だけでした(令和5年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。令和7年度は「事項とその理由及び対策の内容は重複しないこと。」で、事項と理由も対象に入っています(令和7年度 同 問題1)。
そこで例文1と例文2の8マスを、1つの表に並べてみました。表の中身は例文を短く言い直したもので、どちらも架空の工事です。
| マス | 例文1(問A・墜落1+飛来落下1) | 例文2(問B・墜落2) |
|---|---|---|
| 事項1 | 屋上で荷を受ける作業者の、端部からの墜落 | 作業床から身を乗り出した作業者の墜落 |
| 理由1 | 荷が端部を越えて降りてくる | 時間に追われ、車両の据え直しを省く |
| 対策1−1 | 着地位置を内側に決め、仮設の手すりで区画 | 灯具ごとの停車位置とブームの向きを一覧化 |
| 対策1−2 | 介錯ロープで誘導し、降りきるまで近づかない | 一晩の本数を割り当て、打ち切り時刻を決める |
| 事項2 | 吊り荷から抜けた部材が地上の作業者に当たる | 歩道橋の上で、高欄の外側へ墜落 |
| 理由2 | 束ねた部材が揺れでずれ、地上に人がいる | 消灯で暗くなり、高欄との離れが見えない |
| 対策2−1 | 長さごとに束ね直し、小物は容器に入れる | 投光器で照らし、作業台を高欄から離す |
| 対策2−2 | 旋回範囲を立入禁止にし、合図者が確認 | 2人1組で、1人が照らしながら見張る |
点検は表を縦に読んでやります。僕が使っている見方は次の3つです。
- 同じ名詞が2つのマスに出ていないか(手すり・照明・立入禁止など)
- 同じ人物が、同じ時点で、同じことを確かめていないか
- 理由の2つが、場面の同じ語から出ていないか(問Bなら「夜間」ばかりになっていないか)
例文1は、手すりが対策1−1だけ、立入禁止が対策2−2だけに出ていて、確かめる人も職長と合図者で分かれています。例文2は、照らす話が対策2−1と対策2−2に続けて出てきますが、2−1は設備を置くこと、2−2は人が見張ることで、同じ事項の中で役目が分かれています。理由は「時間」と「暗さ」で、問Bの場面の語を1つずつ受け持たせました。
重なった見本も1つ置いておきます。例文2を書く途中で、事項1の対策の2つ目を「作業床の周りを投光器で照らし、灯具の位置を見やすくする」としていたとします(架空の書きかけです)。すると対策1−2と対策2−1がどちらも「投光器で照らす」になり、対策の内容が重なります。しかも事項1の理由が時間の制約なのに、対策は暗さに向いていて、理由と対策がかみ合っていません。直した版が今の例文2で、対策1−2を「一晩の本数を割り当て、打ち切り時刻を決める」に替え、事項1は最初から最後まで時間の制約の話でそろえました。
例文3(令和5年度の形)を令和7年度の条件で見直すと、気になるのは事項の並びです。令和5年度の1−2は墜落災害だけを聞いていたので(令和5年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)、例文3の2項目は「端部から墜落する危険」と「トップライト(明かり取りの窓)を作業者が踏み抜いて墜落する危険」で、どちらも同じ屋上での墜落です。令和5年度の条件文で重複を禁じていたのは対策だけだったので、この並びでも条件には沿っていました。令和7年度は事項も重複しないことの対象に入るので(令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)、墜落を2つ並べる答案では、例文2が作業床と歩道橋で場所を分けたように、何が違う事項なのかが1文目で読み取れるようにしておくと安心です。
着用のみ・附帯工事・感電:例文に入れなかったものと、その扱い
ヘルメットと安全帯の話を抜くと対策が4つ出てこない、という悩みには、年度ごとの但し書きの文言から入ります。安全管理が問題1で聞かれた4回分を並べると、配点しない記述の書き方は毎回少しずつ違います。
- 令和2年度:「また,保護帽の着用及び安全帯(要求性能墜落制止用器具)の着用のみの記述については配点しない。」(令和2年度 1級電気工事施工管理技術検定試験 実地試験問題 問題1)
- 令和3年度:「なお,保護帽の着用のみ又は安全帯(要求性能墜落制止用器具)の着用のみの記述については配点しない。」(令和3年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)
- 令和5年度:「なお,次のいずれか又は両方の記述については配点しない。」の後に「保護帽の単なる着用のみの記述」「要求性能墜落制止用器具の単なる着用のみの記述」の2行(令和5年度 同 第二次検定問題 問題1)
- 令和7年度:「なお,保護帽の着用のみ又は要求性能墜落制止用器具(安全帯)の着用のみの記述については配点しない。」(令和7年度 同 第二次検定問題 問題1)
どの年度も、名指しされているのは「着用のみ」の記述です。この記事の例文では、保護帽や墜落制止用器具を書きたくなるマスに、その代わりとなる設備や手順を置きました。例文1の事項1なら、器具を着けさせる代わりに、荷受けの作業者が端部へ出られない仮設の手すりと、荷に手を触れずに済む介錯ロープを書いています。例文2の事項2なら、高欄の外へ出ないように作業台の据え位置と見張りを書きました。着用の話を足さなくても4つがそろうのは、事項ごとに「モノの置き方」と「人の動き」を1つずつ出す配り方にしているからです。但し書きの読み方そのものは、1級電気の安全管理の経験記述の書き方をまとめた記事でもう少し詳しく扱っています。
電気工事に附帯する工事が主体になっていないか、という心配もあると思います。「ただし,解答は電気工事に附帯する工事を主体に記述しないこと。」という一文は、令和6年度の問題1(工程管理)の冒頭にあったもので、令和7年度の問題1には入っていません(令和6年度・令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)。それでも例文1は、揚重を扱いながらクレーンの運転そのものを事項にせず、太陽光設備の材料を受け取る電気の作業者と、その材料の束ね方を主役にしました。電気の作業者と電気設備の材料を事項の主役に据えておけば、令和6年度のような一文が付いた年度の条件文にも沿わせやすくなります。
感電の行き先は、例文3の小問ごとの行き先で見た通り、令和7年度は問題2です(令和7年度 同 問題2)。問題1の問A・問Bは墜落災害又は飛来落下災害の設問なので、例文1・2には感電の事項を1つも入れていません。令和5年度までの答案を持っている方は、1−3の材料を問題1の事項に混ぜず、問題2の準備に分けておくと、令和7年度と同じ分け方で出題されたときに、2つの問題の材料を取り合わずに済みます。
自分の現場の記録から、例文と同じ骨組みで書き直す手順
例文を読んだあとに残る課題は、自分の工事の材料で同じ8マスを埋めることです。例文の骨組みは「場面の条件 → 誰がどう被災しうるか → なぜその場面で起きるか → モノの置き方で減らす対策 → 人の動きと順番を決める対策」の順になっています。材料は、手元の作業手順書・KY活動の記録・揚重計画や夜間作業の計画書から拾います。
- 手順1:問A・問Bの場面の語(高さ10m以上・揚重/屋外・夜間・時間が限られる)に近い作業を、自分の記録から探して1つ選ぶ
- 手順2:その作業で、上にいる人・下にいる人・周りを通る人のうち誰が被災しうるかを2人分出し、事項の文にする
- 手順3:場面の語を1つずつ理由に割り当て、2つの理由が同じ語から出ないようにする
- 手順4:事項ごとに、モノの置き方の対策と、人の動きと順番の対策を1つずつ書く
- 手順5:8マスを表に並べ、同じ名詞・同じ人・同じ時点が2か所に出ていないかを縦に読む
墜落と飛来落下の配分は、手順2で出した2人の位置で決めるのが早いです。上で作業する人と下にいる人の両方が出てくるなら、例文1のように墜落1・飛来落下1。上で作業する人が別々の場所に2人いるなら、例文2のように墜落2。上下で作業が重なり、下にいる人が2か所で危険にさらされるなら飛来落下2、という分け方です。どの配分でもよいと問題文が書いている以上(令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 問題1)、どれが有利かではなく、自分の記録から重ならない8マスを作りやすいのはどれか、で選べば十分だと思います。
本番で問Aと問Bのどちらを選ぶかも、同じ物差しで決められます。手順1で両方の場面に近い作業が見つかったら、手順2の「2人分の事項」が先に出た方を選ぶと、途中で書き直す手間が減ります。
1級電気工事施工管理技士 安全管理の例文3本に関する情報まとめ
- 令和7年度の問題1の数:予測した事項と理由を2つ、対策は事項ごとに2つで、埋めるマスは8つ。安全が問題1の主題だったのは令和2・3・5・7年度
- 例文1(問A):屋上への揚重で、屋上の作業者の墜落と地上の作業者への飛来落下。被災する人を上下に分けた
- 例文2(問B):夜間の道路照明の交換で墜落を2つ。理由を「時間の制約」と「暗さ」に分けた
- 例文3(令和5年度までの形):1−1は理由の文へ、1−2は飛来落下を含めて組み替え、1−3の感電は令和7年度の問題2へ
- 重ねない配り方:令和7年度は事項と理由も重複の対象。8マスを表に並べ、同じ名詞・同じ人・同じ時点を縦に探す
- 入れなかったもの:着用のみの但し書きは4回とも文言が違う。附帯工事の一文は令和6年度の問題1にあり、令和7年度の問題1には無い。感電は問題2
- 自分の現場での書き直し:記録から場面を選び、被災しうる2人を出し、理由と対策を配る5つの手順
以上が1級電気工事施工管理技士の安全管理の例文3本に関する情報のまとめです。
例文3本は、文面を覚えるための見本というより、8マスの埋め方を確かめるための見本です。自分の工事で答案を組んだら、例文1・2と同じ形の8マスの表に書き写し、表を縦に読んで、同じ人・同じ時点・同じ場所が2回出ていないかを確かめてください。1つでも2回出ていれば、そこが令和7年度の「事項とその理由及び対策の内容は重複しないこと。」に引っかかりうるマスなので、まずはそこから書き直します。
点検の前提になる書き方は1級電気の安全管理の経験記述の書き方、形式が年度でどう動いたかは1級電気の経験記述の形式の変更点、工程管理の練習に移るなら1級電気の工程管理の経験記述で扱っています。
