スケルトンリフォームはどこまで壊せる?確認申請と法令の境目

  • スケルトンって、どこまで壊していいの
  • これ確認申請いるやつ?いらないやつ?
  • 木造2階建ての住宅なら確認申請いらないと思ってた
  • 内装を全部剥がしたら、それだけで大規模になるの
  • 解体してから現行法に合わないところが出てきたらどうなる
  • マンションの専有部分ってどこまで触れるんだっけ
  • 管理組合の決議、何分の何だったか毎回あやふや

上記の様な悩みを解決します。

スケルトンリフォームは、内外装材や設備をすべて撤去して構造躯体だけの状態に戻してから造り直す工事を指す呼び方で、建築基準法などに定義がある工事区分ではありません。どこまで壊していいかという感覚だけで語られがちですが、実際にやっていることは建築基準法上の大規模の修繕・大規模の模様替(主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替)に当たりうる工事です。今回は工事の範囲・区分所有建物での専有部分の扱い・管理組合決議の基本といった押さえどころを整理した上で、費用相場や施工事例が主役になりがちな他の記事では触れられていない確認申請の要否の判定と既存不適格の扱いまで、施工管理の目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、確認申請の要否があやふやなまま現場に入ってしまいそうな方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

スケルトンリフォームとは?法令に定義はない工事の呼び方

スケルトンリフォームとは、結論「内装の仕上げや下地、間仕切り、設備配管までいったん撤去して構造躯体だけの状態に戻し、そこから間取りも設備も組み直す工事」を指す業界の呼び方です。ここで最初に押さえておきたいのは、建築基準法にも施行令にも、この言葉の定義が置かれていないという事実です。

つまり、法令の側から見ると「スケルトンリフォームだから確認申請が要る/要らない」という判定は存在しません。判定の軸になるのは、その工事が建築基準法上のどの行為に当たるかです。具体的には、主要構造部の一種以上について過半の修繕または模様替を行う工事、いわゆる大規模の修繕・大規模の模様替に当たるかどうかで、扱いが変わります。

名前で考えると、次のようなズレが起きます。

  • スケルトンと呼んでいても、主要構造部にはほとんど手を付けていない工事がある
  • 逆に、部分的な改修のつもりでも主要構造部の過半に及べば大規模の修繕・模様替に当たりうる
  • 同じ呼び方でも、戸建てと区分所有建物ではかかってくる制限がまったく違う
  • 発注者と施工者の間で「スケルトン」が指す範囲そのものがずれていることがある

リフォームという言葉のくくりが広すぎるのも、混乱の元です。工事の呼び分けはこちらで整理しています。

あわせて読みたい
リフォームの種類とは?費用相場、規模別、リノベとの違いなど リフォームの種類って結局どう分かれてるの? 水回りとか内装とか、種類が多くて整理できない 表層・部分・全面って何が違う? 種類ごとの費用相場が知りたい リフォー...

リノベーションとの線引きはこちらが詳しいです。

あわせて読みたい
リノベーションとリフォームの違いとは?費用、工期、法律など リノベーションとリフォームの違いを施工管理目線で解説。原状回復か価値向上かという定義の差、費用・工期・自由度の比較、メリット・デメリットと選び方、建築基準法上の区分、2025年改正で確認申請が必要になるケースまで整理しました。

僕の整理では、この記事で確認したいのは「どこまで壊していいか」ではなく「どこまで壊すと法令上の手続きが発生するか」です。以降は、その境目を条文から順番に見ていきます。

どこまで壊せるかは「主要構造部の過半」で決まる

境目を決めているのは、主要構造部という用語の定義です。建築基準法第2条第5号は、主要構造部を「壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする」と定めています。

注目したいのは、後半の除外リストです。壁と床が主要構造部に挙がっているので「内装を全部剥がしたら主要構造部に手を付けたことになる」と受け取られがちですが、条文はそこから一定の部分を明示的に外しています。同号の除外を現場の作業に引き直すと、次のようになります。

  • 構造上重要でない間仕切壁を撤去しても、それだけで主要構造部に触れたことにはならない
  • 間柱や付け柱も、同じく除外されている側の部分
  • 最下階の床と揚げ床は除外されている。一方で上階の床は除外されていない
  • 小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段も除外されている

そのうえで、大規模の修繕は「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう」(同法第2条第14号)、大規模の模様替は「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう」(同法第2条第15号)と定義されています。条件が2つ重なっている点が肝で、主要構造部であることと、その一種以上について過半に及ぶことの両方が揃って初めて該当します。

ここで気をつけたいのが、過半をどう数えるかです。面積で見るのか、本数で見るのか、長さで見るのかは条文が書いていません。ですから記事や社内資料の数え方を鵜呑みにせず、具体の工事については所管の特定行政庁や指定確認検査機関の判断を取りに行くのが確実です。同じ理由で、この記事では「床の張り替えは該当する」「間仕切りの撤去は該当しない」といった名指しの断定はしません。

なお、耐火建築物の定義の中に出てくる特定主要構造部(同法第2条第9号の2イ)は別の話です。大規模の修繕・模様替の判定に使うのは、あくまで第2条第5号の主要構造部のほうです。用語が似ているので、資料を読むときに取り違えないようにしておきます。

僕の考えでは、この順番を先に固めておくだけで見積り段階の会話がだいぶ変わります。解体範囲の図に主要構造部と除外部分の色分けを入れておくと、設計者とも施主とも同じ絵を見ながら話せます。

確認申請が要るかは2段階で判定する

確認申請の要否は、1段階では決まりません。工事の側と建物の側、2つの条件を順番に見ます。

1段階目は、前章の判定です。その工事が主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替に当たるかどうかを確定させます。当たらないのであれば、そもそも大規模の修繕・模様替ではないので、この先の判定には進みません。

2段階目は、建物の側です。建築基準法第6条第1項は、確認申請が必要になる建築物を3つの号に分けています。第1号は「別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの」、第2号は「前号に掲げる建築物を除くほか、二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物」、第3号は前2号に当たらない建築物のうち、都市計画区域、準都市計画区域、準景観地区、または都道府県知事が指定する区域内にあるものです。

ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。同項の柱書は、建築をしようとする場合に続けて「これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合」と書き、そのあとに「第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合」と並べています。「これらの建築物の」が受けているのは第1号と第2号だけで、第3号については条文上、建築しようとする場合しか確認の対象になっていません。したがって、大規模の修繕・模様替で確認申請の要否を考えるときに見るのは、第1号か第2号に当たるかどうかです。

判定の手順にすると、次の流れになります。

  • 工事が主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替に当たるかを見る
  • 当たるなら、その建物が第6条第1項第1号または第2号に当たるかを見る
  • どちらにも当たらず第3号の建築物であれば、大規模の修繕・模様替は条文上の確認対象に入っていない
  • 用途を変更して第1号の特殊建築物にする場合は、第87条第1項が第6条の規定を準用する別ルートになる(ただし同項は「当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く」としている)

確認が要る工事だった場合、着工のタイミングにも縛りがかかります。同法第6条第8項は「第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない」と定めています。交付を待たずに解体に入ってしまうと、工事そのものが条文に反することになります。

もうひとつ、現場でよく誤解されているのが10㎡以内の扱いです。同法第6条第2項は「前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない」と定めています。ここに並んでいるのは増築・改築・移転の3つだけで、大規模の修繕と大規模の模様替は入っていません。小さい工事だから確認は要らない、という感覚は大規模の修繕・模様替には通用しないということです。僕はここが一番危ないと思っています。

なお、確認・検査の対象となる建築物の規模の見直しについて、国土交通省の改正法制度説明資料は「建築確認・検査の対象となる建築物の規模の見直し等は、施行日(令和7年4月1日)以後に工事に着手するものについて適用されます」としています。基準日は契約でも設計でもなく、工事に着手する日です。

第1号から第3号への再編そのもの、いわゆる新2号・新3号や4号特例の中身は、この記事では繰り返しません。制度そのものの中身はこちらにまとめています。

あわせて読みたい
4号特例廃止とは?2025年改正と施工管理の実務対応を解説 4号特例廃止(縮小)とは何かを施工管理向けに解説。2025年改正での新2号・新3号への再編、建築確認・検査・審査期間7→35日の変化、提出図書、現場の工程・検査対応まで現場目線で整理しました。

改正全体の流れはこちらが参考になります。

あわせて読みたい
建築基準法2025改正とは?4号特例、省エネ義務、合理化など 建築基準法2025年改正を施工管理目線で解説。4号特例の縮小(新2号・新3号)、省エネ基準適合義務化、構造規制の合理化に加え、確認申請のリードタイム、大規模修繕・改修への波及、経過措置、施主への説明まで現場の実務に翻訳して整理しました。

よく当たるのが、木造2階建ての戸建住宅です。階数が二以上あるので第6条第1項第2号の「二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物」に当たり、その建物で主要構造部の一種以上について過半の修繕・模様替を行うなら、確認申請の対象になります。木造2階建てだから要らない、という覚え方はここで通用しなくなります。

そして確認申請が挟まると、そのぶん着工までの期間と、設計・申請にかかる手間が工程と見積りに乗ってきます。この記事では出典の取れない金額と期間の目安は扱いませんが、戸建ての工事範囲と費用感はこちらにまとめています。

あわせて読みたい
戸建リノベとは?費用相場、坪単価、予算別、確認申請、耐震補強など 戸建リノベの費用相場を坪単価と予算別で整理し、施工側の目線で解説。壁が抜けない理由、2025年4月から大規模の修繕・模様替に確認申請が必要になった話、解体後の追加・石綿調査・仮住まいという実費、建て替えとの分岐点までまとめました。

解体して現行法に合わない部分が出てきたときの扱い

スケルトンまで解体すると、今の基準に合っていない部分が出てくることがあります。ここで効いてくるのが既存不適格の考え方です。

建築基準法第3条第2項は、規定の施行または適用の際に現に存する建築物などがその規定に適合していない場合について、「当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない」と定めています。建てた当時は適法だった建物を、後からできた基準でさかのぼって違反にはしない、という仕組みです。

ただし、この保護は外れることがあります。同法第3条第3項第3号は、適用しないとする第2項の対象から「工事の着手がこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の後である増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替に係る建築物又はその敷地」を除いています。つまり、大規模の修繕・模様替に当たる工事をすると、既存不適格として見逃されていた部分に現行の規定がかかってくる構造になっています。

とはいえ、全部を直さなければいけないという話でもありません。同法第86条の7に緩和が置かれていて、しかも第1項と第3項で効き方が逆になっています。

第1項は、第20条を含む規定の適用を受けない建築物について増築等(増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替)をする場合の規定で、対象を建物の部分に限っていない代わりに「政令で定める範囲内において」という枠が付きます。第3項は、第28条から第37条までの衛生・避難関係の一部について、枠が付かない代わりに対象が限定されていて、「当該増築等をする部分以外の部分に対しては、これらの規定は、適用しない」という形で効きます。範囲の枠がある代わりに建物全体が見られるのが第1項、枠がない代わりに工事をしない部分だけが対象になるのが第3項、という整理です。

なお第1項の「政令で定める範囲」の中身は、この記事では扱いません。条件が細かく、範囲を間違えて伝えると設計判断がまるごとずれるためです。範囲の当てはめは設計者と特定行政庁の確認事項として残してください。

解体後に確認する順番は、次のとおりです。

  • どの部分が既存不適格のまま残っているのかを特定する
  • その工事が大規模の修繕・模様替に当たるのかを確定させる
  • 第86条の7の緩和が効く範囲かどうかを設計者と突き合わせる
  • 特定行政庁または指定確認検査機関に事前相談し、判断の内容を書面で残す

構造の補強が絡む場合は、耐震側の検討と一体で考えることになります。耐震側の判断材料はこちらが詳しいです。

あわせて読みたい
耐震リフォームとは?費用、工法、補助金、評点1.0の意味など 耐震リフォームって、結局どこまでやれば安心なの? 費用はいくら?見積が高いのか安いのか判断できない 「評点1.0」ってなに?耐震等級2や3とは違う話なの? 工法がい...

僕の考えでは、この工程は解体が終わってから動き出すと必ず遅れます。解体前の調査の段階で「ここは既存不適格の可能性がある」という当たりを付けておき、解体で見えた時点ですぐ設計者に渡せる体制にしておくのが現実的です。

マンションのスケルトンリフォーム|専有部分と決議の要件

区分所有建物になると、建築基準法とは別に建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の制限がかかります。ここを外すと、工事そのものが止まります。

まず区切りの定義です。区分所有法第2条第3項は専有部分を「区分所有権の目的たる建物の部分をいう」とし、同条第4項は共用部分を「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう」としています。加えて同法第4条第1項は「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする」と定めていて、廊下や階段室は初めから区分所有権の対象外です。さらに同条第2項により、規約で共用部分とすることもできます。だから図面だけでなく、その物件の規約を読まないと境目は確定しません。

工事の前に確認したいのは、次の点です。

  • 専有部分か共用部分かを、規約と竣工図の両方で確定させる
  • 廊下・階段室など構造上共用に供されるべき部分は区分所有権の目的にならない(第4条第1項)
  • 規約によって共用部分とされている部分がないかを確認する(第4条第2項)
  • 共用部分の変更に当たる工事なら、集会の決議が要る(第17条第1項)
  • 専有部分の使用に特別の影響を及ぼすなら、その所有者の承諾が要る(第17条第2項)

決議の要件は、ここ数年で形が変わっています。区分所有法第17条第1項は、共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)について、区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者が出席し、「出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三」以上の多数による決議で決する、と定めています。世の中の解説記事の多くが書いている「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」とは、母数の取り方が違います。出席者を母数にする形になったのがポイントです。

この四分の三という割合は規約で減らすことができ、その下限は二分の一を超える割合とされています(同項)。つまり、物件ごとの規約を見ないと必要な賛成数は確定しません。

いつからの話かというと、この規定は令和8年(2026年)4月1日施行の改正によるものです。附則(令和七年五月三十日法律第四十七号)第1条が「この法律は、令和八年四月一日から施行する」と定め、同附則第2条第3項は「この法律の施行の際現に効力を有する旧区分所有法の規定による規約で定められた事項で新区分所有法に抵触するものは、施行日からその効力を失う」としています。手元の管理規約が改正前に作られたものであれば、書いてある文言がそのまま生きているとは限らないということです。

一方で、共用部分の管理に関する事項について同法第18条第1項は「共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる」と定めています。変更に当たるのか管理に当たるのか、保存行為なのかで手続きの重さが変わるので、工事の内容をこの3つのどれとして整理するかを早い段階で管理組合と揃えておきたいところです。

配管を追いかけていたら止められた、というのも典型です。同法第6条第1項が「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定めているとおり、専有部分の工事であっても共同の利益に反する行為は許されません。専有部分から共用部分へ手が伸びた時点で、必要な手続きが切り替わると考えておくのが安全です。

マンション側の進め方はこちらで扱っています。

あわせて読みたい
マンションリノベとは?費用、できること、制約、後悔しないコツなど マンションのリノベって具体的に何ができるの? リフォームとリノベって何が違うの? フルリノベだと費用はいくらかかる? 間取りって自由に変えられる?壁は抜ける? ...

僕としては、区分所有建物の案件は見積り前に規約と総会の日程を押さえるところから始めたいです。決議が要る工事だと分かったときに、次の総会までの待ち時間が工程を決めてしまうからです。

確認が要る工事になったとき、現場でやること

確認申請が必要な工事だと確定したら、現場側にも条文で決まった作業がいくつか乗ってきます。

建築基準法第89条第1項は、第6条第1項の建築、大規模の修繕または大規模の模様替の工事の施工者に対し、「当該工事現場の見易い場所に、国土交通省令で定める様式によつて、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る同項の確認があつた旨の表示をしなければならない」と定めています。さらに同条第2項は「当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならない」としています。ここでいう設計図書は、同法第2条第12号が「工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう」としているものです。新築だけの話だと思われがちですが、条文は大規模の修繕・模様替も並べて書いています。

検査は、完了検査と中間検査の2種類を分けて考えます。

  • 工事現場の見やすい場所に、確認があった旨の表示を出す(第89条第1項)
  • 設計図書を工事現場に備えておく(第89条第2項)
  • 工事が完了したら、建築主事等の検査を申請する(第7条第1項)
  • 特定工程を含む場合は、その都度、中間検査を申請する(第7条の3第1項)

中間検査が必ず入るわけではない点には注意が必要です。同法第7条の3第1項は特定工程を含む場合の手続きで、第1号に挙がっているのは「階数が三以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程」、第2号は特定行政庁が指定する工程です。戸建てのスケルトンリフォームで中間検査が掛かるとすれば、第2号の指定に当たる場合ということになります。指定の内容は地域ごとに違うので、所管の特定行政庁の公表資料を見に行くのが早いです。

使用制限にも差があります。同法第7条の6第1項は、第6条第1項第1号または第2号の建築物の大規模の修繕・模様替などで避難施設等に関する工事を含むものについて、検査済証の交付を受けた後でなければ使用できないとしていますが、対象から「共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く」としています。戸建住宅は括弧書きで外れていて、共同住宅は外れていない、という読み方になります。

ただし同項にはただし書があり、「次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる」とされています(建築基準法第7条の6第1項ただし書)。検査済証の交付前でも仮に使用できる道があるということなので、交付前は一切使えないと決めつけずに工程を組めます。ただし各号の要件は、特定行政庁や指定確認検査機関の認定、検査の申請からの経過日数など条件が細かく、起算日の特例も付いています。該当しそうなときは、条文の各号を設計者と一緒に読んだうえで所管の特定行政庁または指定確認検査機関に確認してください。

現場の管理項目はこちらにまとめています。

あわせて読みたい
リフォームの施工管理とは?仕事内容、新築との違い、資格、きつい理由など リフォームの施工管理を経験者目線で解説。新築と何が違うのか、1日の流れと担当件数、きついと言われる理由、規模を問わず必要な石綿の事前調査、効く資格、向いている人とキャリアの選び方まで整理しました。

スケルトンリフォームに関する情報まとめ

  • スケルトンリフォームとは:構造躯体だけ残して造り直す工事の通称で、建築基準法に定義はない。判定は法令上どの行為に当たるかで行う
  • どこまで壊せるか:主要構造部(第2条第5号)の一種以上について過半の修繕・模様替に当たるかで決まる。間仕切壁や最下階の床などは条文で除外されている
  • 確認申請の要否:工事が大規模の修繕・模様替か、建物が第6条第1項第1号または第2号かの2段階。第3号建築物は条文上「建築」しか確認対象になっていない
  • 10㎡以内の適用除外:第6条第2項は増築・改築・移転が対象で、大規模の修繕・模様替には効かない
  • 既存不適格:大規模の修繕・模様替をすると第3条第2項の保護が外れる(第3条第3項第3号)。第86条の7第1項と第3項は効き方が逆
  • マンション:専有部分と共用部分を規約で確定し、共用部分の変更は出席者の四分の三以上の決議(第17条第1項・令和8年4月1日施行の規定)
  • 確認が要る工事の現場:表示と設計図書の備え置き(第89条)、完了検査(第7条)、特定工程があれば中間検査(第7条の3)

以上がスケルトンリフォームに関する情報のまとめです。

スケルトンリフォームは、壊す量の多さで語られがちですが、実務で効いてくるのは「主要構造部の過半か」と「その建物が第6条第1項の何号か」という2つの問いだけです。ここが先に決まっていれば、確認申請の有無も、既存不適格の検討をどこまで広げるかも、工程に織り込めます。区分所有建物なら、そこに規約と総会の日程が乗ります。解体してみないと分からない部分は確かに残りますが、判定の順番そのものは着工前に固められるものだと考えています。引き合いの段階でこの順番を回せる現場は、後から慌てずに済むはずです。

着工前にどこまでの図面が揃っているべきかは、設計側の段階の話ともつながります。判定の材料として、こちらもあわせてどうぞ。

あわせて読みたい
実施設計とは?基本設計との違いと現場監督が見落とす落とし穴 実施設計って要は詳細図のこと? 基本設計と実施設計の線引きがあいまいなまま打合せに出てる 実施設計図と施工図、どっちを誰が描くのか毎回もめる 見積り出せと言われ...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次