- シックハウス対策って何をすればいいの?
- 建築基準法では何が規制されてる?
- F☆☆☆☆にしておけば大丈夫?
- 換気設備は必ず要る?
- 天井裏の制限って何?
- 確認申請で何を出すの?
- 完了検査で何を見られる?
- リフォームでも適用されるの?
上記の様な悩みを解決します。
シックハウス対策は、2003年7月に施行されてから20年以上経つ規定です。「内装をF☆☆☆☆にして24時間換気を付けておけばOK」という理解が現場に定着していますが、実はそれだけでは足りません。特に天井裏等の制限と、受入検査記録の作成は、抜けたまま完了検査を迎えて慌てるケースが少なくないところです。今回は建築基準法の条文構成に沿って規制の全体像を押さえた上で、施工管理として何を確認し、どの書類を残すのかまで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
シックハウス対策とは?
シックハウス対策とは、結論「建材や家具から発散する化学物質による室内空気汚染を防ぐために、建築基準法などで定められた一連の措置」のことです。
新築や改修をした建物で、目・鼻・喉の刺激、頭痛、めまい、吐き気といった症状が出る状態をシックハウス症候群と呼びます。気密性が高くなった住宅で、建材の接着剤や塗料から出る化学物質が室内にこもることが主な原因と考えられています。
これに対応するため、建築基準法第28条の2(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)を根拠に、平成15年(2003年)7月1日から規制が施行されました。なお条文の見出しは平成18年の改正で現在の形になっており、資料によっては旧見出しの「居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置」で書かれていることがあります。適用されるのは同日以降に着工された建築物で、同年6月以前に確認済証の交付を受けたものも含まれます。逆に、それ以前に着工された建物には適用されていません。
施工管理として押さえるべき規制の柱は3本です。
- 内装の仕上げに使う建材の制限(ホルムアルデヒド発散建築材料の面積制限)
- 機械換気設備の設置義務(居室を有する全ての建築物)
- 天井裏等の制限(下地材の等級、気密層、または換気による3択)
そして重要なのが、シックハウス対策は「設計で決めて終わり」ではないという点です。使用建築材料表による確認申請時の明示、そして中間検査・完了検査での受入検査の記録まで、施工段階の書類が制度に組み込まれています。ここが現場の仕事になります。
なお、建築確認等の手続きを必要としないリフォームでも、建築基準法に適合する必要があります。確認申請が不要だから規制も掛からない、という理解は誤りです。
僕の感覚だと、シックハウス対策は「知っているのに書類が足りない」で止まるケースが一番多い規定です。F☆☆☆☆を選んでいること自体は皆やっているのに、それを証明する記録が残っていない。ここに手が回るかどうかが実務の分かれ目になります。
建築基準法のシックハウス規制の対象物質
建築基準法第28条の2で制限を受ける化学物質は3つです。それぞれ規制の性格が違うので、混ぜないで覚えておく必要があります。
| 物質 | 規制内容 | 対象範囲 |
|---|---|---|
| 石綿(アスベスト) | 添加した建材の使用禁止 | すべての建築物 |
| クロルピリホス | 添加した建材の使用禁止 | 居室を有する建築物 |
| ホルムアルデヒド | 使用は可。ただし3種類の制限を受ける | 居室を有する建築物 |
一番厳しいのが石綿です。居室があるかどうかに関係なく、すべての建築物で使用が禁止されています。クロルピリホスはシロアリ駆除剤に使われていた有機リン系の薬剤で、こちらは居室を有する建築物に対する禁止です。つまり居室のない倉庫などには規制が掛かりません。
アスベストの扱いはこちらで詳しく整理しています。

そして規制が一番複雑なのがホルムアルデヒドです。合板や接着剤に広く使われているため使用そのものは禁止されておらず、代わりに内装仕上げの面積制限、換気設備の設置、天井裏等の制限という3つの制限がかかります。この3つはすべてに適合させる必要があり、どれか1つでは足りません。
もう1つ押さえておきたいのが、規制の対象になる建材は限定列挙されているという点です。平成14年国土交通省告示第1113号、1114号、1115号で列挙された建材(告示対象建築材料)だけが規制対象で、それ以外の建材はホルムアルデヒドの発散がほとんど認められないことから、規制を受けずに使えます。
規制の枠組みを整理すると、次のようになります。
- 石綿:全建築物で使用禁止(告示で定めるものを除く)
- クロルピリホス:居室を有する建築物で使用禁止
- ホルムアルデヒド:内装仕上げの面積制限+換気設備+天井裏等の3点セットで規制
- 対象建材:告示で限定列挙されたものだけ
- 等級の証明:JIS認証、JAS認定、または国土交通大臣認定によって明らかにする
現場目線で言えば、この「限定列挙」の考え方が意外と効いてきます。告示対象建築材料以外の建材にはF☆☆☆☆の表示をする必要がなく、そもそも大臣認定を受けられません。表示がない建材を見つけて「規制違反ではないか」と騒ぐ前に、それが告示対象建築材料なのかを確認する順番が大事です。
内装仕上げの制限とF☆☆☆☆の見方
ホルムアルデヒド発散建築材料は、発散量によって等級が分かれています。この等級をどう扱うかが内装仕上げの制限です。
| 区分 | 表示 | 内装仕上げでの扱い |
|---|---|---|
| 第一種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 表示区分なし(F☆☆未満) | 内装仕上げに使用禁止 |
| 第二種ホルムアルデヒド発散建築材料 | F☆☆ | 面積制限あり |
| 第三種ホルムアルデヒド発散建築材料 | F☆☆☆ | 面積制限あり |
| 規制対象外建築材料 | F☆☆☆☆ | 面積制限なし |
星が多いほど発散量が少なく、F☆☆☆☆が最も少ない等級です。F☆☆☆☆は規制対象外建築材料として扱われるため、居室の内装仕上げにも天井裏等にも、制限を受けずに使えます。
F☆☆やF☆☆☆を使う場合は、居室の種類と換気回数に応じて使用面積が制限されます。制限の考え方は「使用面積に係数を掛けた値が居室の床面積以下であること」というもので、実務上は次のように床面積の何倍まで使えるかで整理すると分かりやすいです。
| 居室の種類 | 換気回数 | F☆☆の上限 | F☆☆☆の上限 |
|---|---|---|---|
| 住宅等の居室 | 0.5回/h以上0.7回/h未満 | 床面積の約0.36倍 | 床面積の2倍 |
| 住宅等の居室 | 0.7回/h以上 | 床面積の約0.83倍 | 床面積の5倍 |
| その他の居室 | 0.3回/h以上0.5回/h未満 | 床面積の約0.33倍 | 床面積の2倍 |
| その他の居室 | 0.5回/h以上0.7回/h未満 | 床面積の約0.71倍 | 床面積の4倍 |
| その他の居室 | 0.7回/h以上 | 床面積の約1.14倍 | 床面積の約6.7倍 |
倍率は令第20条の7の表に定める係数(N値)の逆数から換算した目安です。実際の検討では、条文どおり「第二種の使用面積×N2+第三種の使用面積×N3が居室の床面積以下」で計算してください。
実務では、面積を数える手間を省くために内装をすべてF☆☆☆☆で組むのが標準になっています。ビニルクロス、複合フローリング、化粧合板、パーティクルボードといった告示対象建築材料はほぼF☆☆☆☆が流通しているので、あえて等級を落とす理由がありません。ちなみに石膏ボードそのものは告示対象建築材料ではないため、等級表示の対象外です。
主要な内装材の記事も併せて見ておくと、材料側の選択肢が把握しやすくなります。


もう1つ見落としやすいのが、造り付け家具の扱いです。告示対象建築材料を使用した造り付けの家具、キッチン・キャビネット等の製品も規制の対象になります。壁と床はF☆☆☆☆で組んだのに、造作家具の芯材が等級不明のまま、というのは起こり得るパターンです。
内装工事全体の流れはこちらで整理しています。

正直なところ、内装仕上げの制限は「全部F☆☆☆☆」で機械的に処理してしまうのが最も安全です。ただ、なぜそれで良いのかを理解していないと、F☆☆☆の材料を使いたいという要望が出た時に判断ができません。仕組みは押さえておくべきです。
換気設備の義務付け
内装をすべてF☆☆☆☆にした場合でも、機械換気設備の設置は免除されません。ここは勘違いされやすいポイントです。
理由は、規制されているのが建材だけではないからです。居住者が持ち込む家具、カーテン、日用品からもホルムアルデヒドが発散されるため、建材の等級とは無関係に、居室を有するすべての建築物に機械換気設備の設置が原則として義務付けられています(令第20条の8)。
必要な換気回数は居室の種類で決まります。
| 居室の種類 | 必要な換気回数 |
|---|---|
| 住宅等の居室 | 0.5回/h以上 |
| その他の居室 | 0.3回/h以上 |
住宅の0.5回/hというのが、いわゆる24時間換気システムの根拠です。1時間で室容積の半分の空気が入れ替わる能力を持つ換気設備を、常時運転する前提で設置します。
24時間換気の考え方と種別の違いはこちらで整理しています。

換気回数から必要換気量を計算する手順はこちらが参考になります。

施工管理として気を付けたいのは、設計上の性能が現場で出るかどうかです。カタログ風量が出ていても、ダクトの曲がりが多い、長さが想定を超えている、給気口が家具で塞がれている、といった状態では実効換気量が落ちます。
確認しておきたい項目を挙げると、次のようになります。
- 換気設備の方式(第一種・第二種・第三種)と居室ごとの経路
- ダクトの径・長さ・曲がり数が設計条件の範囲内か
- 給気口の位置が家具やカーテンで塞がれない配置になっているか
- 常時運転が前提であることを、引渡し時に施主へ説明したか
- スイッチに「切らないでください」の表示があるか
換気方式の使い分けはこちらも参考になります。

実務だと、換気設備は「付けた」だけでは意味がなく、「回り続ける」ことが前提の設備です。電気代を気にして施主がスイッチを切ってしまうと、法令上の措置が機能しません。引渡し説明で必ず触れておく項目だと思っています。
天井裏等の制限
3つの制限のうち、現場で一番忘れられやすいのがこれです。
天井裏、小屋裏、床裏、壁の内部といった、居室に直接面していない空間についても規制があります。根拠は平成15年国土交通省告示第274号第1第三号です。
なぜ天井裏まで規制されるのかというと、これらの空間は居室と完全に切り離されているわけではないからです。点検口の隙間、配線・配管の貫通部、間仕切り壁の上部などを通じて、天井裏の空気は居室に流れ込みます。天井裏の下地材が高濃度のホルムアルデヒドを発散していれば、それが居室の空気を汚すことになります。
対応方法は3つの選択肢から選べます。
| 選択肢 | 内容 | 実務での使いやすさ |
|---|---|---|
| ①下地材の等級を上げる | 天井裏等の下地材をF☆☆☆以上にする | 最も一般的 |
| ②居室と分離する | 気密層または通気止めを設けて居室と縁を切る | 気密施工が前提 |
| ③換気する | 居室の空気圧が天井裏等の空気圧以上になるよう換気設備を設ける | 換気計画の変更が必要 |
実務では①がほぼ標準です。告示が対象としているのは「下地材、断熱材その他これらに類する面材」なので、天井裏側の構造用合板や断熱材の面材をF☆☆☆以上で統一しておけば、それだけでクリアできます。無垢の野縁や野縁受けはそもそも告示対象建築材料ではないため、等級表示自体がありません。③は「天井裏も換気する」と説明されることが多いのですが、告示の実体は居室側を正圧に保って天井裏の空気が居室へ流れ込まないようにする、という要求です。第一種換気で給気を優位にするなど、換気計画そのものの設計が必要になります。
②を選ぶ場合は、気密層または通気止めが実際に機能しているかが問われます。間仕切り壁の上端に通気止めを入れる、天井面に気密シートを連続させる、といった施工が必要で、配線・配管の貫通部の処理まで含めて計画しないと成立しません。
気密の考え方と測定についてはこちらが参考になります。

現場で押さえるべきポイントを挙げると、次の通りです。
- 天井裏等の下地材の等級が、選んだ対応方法と整合しているか
- ②を選んだ場合、間仕切り壁上端の通気止めが全数入っているか
- 貫通部(電気配線・設備配管・ダクト)の気密処理が指定通りか
- ③を選んだ場合、換気経路に天井裏が組み込まれているか
- 設計図書に、どの選択肢で適合させるかが明示されているか
個人的には、天井裏等の制限は「設計図書でどの選択肢を採用しているかを最初に確認する」のが一番の対策だと思っています。ここが図面に書かれていないまま進むと、後から下地材の等級を証明できなくて困ることになります。
確認申請・検査で求められる書類
シックハウス対策は、書類で証明する制度です。施工管理の仕事はここに集中します。
確認申請時
使用建築材料表で、告示対象建築材料の種別(等級)を明示します。個々の商品名や、JIS認証かJAS認定かの区別までは特定する必要はありませんが、国土交通大臣の認定に係る建材を使う場合は、原則として認定書の写しを提出します。
確認申請の時点で使用建材が確定していない場合は、種別が明示されていれば足ります。ただしその場合、完了検査申請時等に当該認定材料の認定書の写しを提出する必要が出てきます。
中間検査・完了検査時
ここが実務の山場です。内装の仕上げに用いたすべての建築材料について、次の事項を具体的かつ詳細に記載した受入検査の記録が必要になります。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 種別(等級) | F☆☆☆☆、F☆☆☆などの区分 |
| 種類 | 建材の種類(合板、パーティクルボード等) |
| 数量 | 使用した数量 |
| 確認に要した表示または書類 | JIS・JASの表示、大臣認定書の写し等 |
| 工事監理の状況 | どのように確認したか |
つまり、材料が搬入されたその時点で、等級表示を確認して記録に残す作業が必要だということです。後からまとめて作ろうとすると、すでに施工されて表示が見えなくなっている材料の等級を追いかけることになります。
現場でやるべきことを整理すると、次のようになります。
- 搬入時に建材の等級表示を写真で記録する
- 納品書・出荷証明と等級を突き合わせて受入検査記録に記入する
- 大臣認定材料を使う場合は、認定書の写しを現場で保管する
- 造り付け家具・キッチン等の製品も、告示対象建材を使っていれば同様に記録する
- 施工前に、設計図書の使用建築材料表と実際の搬入材料を照合する
建築基準法の改正動向はこちらでも触れています。

現場目線で言えば、この受入検査記録は出来形管理の記録とまったく同じ性質を持っています。搬入したその場で押さえるか、後で泣くかの二択です。工程表に「内装材搬入日=等級記録日」と書き込んでおくくらいの扱いでいいと思っています。
法規を満たしても残るリスクとVOC対策
建築基準法の規制対象は、あくまでクロルピリホスとホルムアルデヒド、そして石綿だけです。室内空気を汚す化学物質はそれ以外にもあります。
厚生労働省は、室内空気中化学物質の室内濃度指針値を物質ごとに定めています。指針値は知見に応じて随時見直されており、直近では2025年1月にエチルベンゼンが3,800μg/m³から370μg/m³へ大幅に引き下げられました。以下は代表的な物質と、現行の指針値です。
| 物質 | 室内濃度指針値 | 主な発生源 |
|---|---|---|
| ホルムアルデヒド | 100μg/m³(0.08ppm) | 合板・壁紙などの接着剤 |
| トルエン | 260μg/m³(0.07ppm) | 塗料、接着剤、ラッカー |
| キシレン | 200μg/m³(0.05ppm) | 塗料、接着剤 |
| パラジクロロベンゼン | 240μg/m³ | 防虫剤、芳香剤 |
| エチルベンゼン | 370μg/m³(0.085ppm) | 塗料、接着剤 |
| TVOC(総揮発性有機化合物) | 400μg/m³(暫定目標値) | 複数のVOCの混合 |
TVOCの400μg/m³は暫定目標値であり、健康影響の閾値として定められた基準ではありません。個別のVOC指針値とは独立に扱われるべき、室内空気質の状態の目安という位置づけです。
つまり建築基準法の規制を満たしていても、トルエンやキシレンを多く含む塗料・接着剤を大量に使えば、室内空気は汚れ得るということです。特に竣工直前の塗装や接着剤の使用、フローリングの接着施工などは、引渡し直後の濃度に直結します。
法規の外側でできる対策を挙げると、次のようになります。
- 低VOCタイプの塗料・接着剤を選定する(F☆☆☆☆と別軸の性能)
- 塗装・接着工程の後に十分な換気期間を確保する工程を組む
- 竣工前に室内を高温にして換気するベイクアウトを検討する
- 引渡し前に室内空気中濃度の測定を行う(施主要望がある場合)
- 化学物質過敏症の懸念がある施主には、材料選定の段階から相談する
化学物質の発散が少ない自然素材系の仕上げを選ぶという選択肢もあります。


実務だと、法規適合と施主の満足は別物です。「基準法は守っています」と言っても、引渡し直後に匂いが気になると言われれば信頼は落ちます。塗装と接着の工程を工期のどこに置くか、その後に何日換気期間を取れるか。これは工程管理側の判断で改善できる部分なので、意識しておくと差が出ます。
シックハウス対策に関する情報まとめ
- 定義:建材や家具から発散する化学物質による室内空気汚染を防ぐための一連の措置
- 根拠:建築基準法第28条の2。平成15年(2003年)7月1日施行
- 対象物質:石綿(全建築物で禁止)、クロルピリホス(居室を有する建築物で禁止)、ホルムアルデヒド(制限付きで使用可)
- ホルムアルデヒド規制の3本柱:内装仕上げの面積制限、換気設備の設置、天井裏等の制限
- 等級:F☆☆☆☆は規制対象外で面積制限なし。F☆☆☆・F☆☆は換気回数に応じて面積制限
- 換気設備:内装をF☆☆☆☆にしても免除されない。住宅等の居室は0.5回/h以上
- 天井裏等:下地材をF☆☆☆以上/気密層・通気止めで分離/換気設備で換気の3択
- 対象範囲:告示で限定列挙された建材のみ。造り付け家具・キッチン等の製品も対象
- 書類:確認申請で使用建築材料表、中間・完了検査で受入検査の記録が必要
- 法規の外側:厚労省の室内濃度指針値、TVOC暫定目標値400μg/m³。低VOC材料と換気期間で対応
以上がシックハウス対策に関する情報のまとめです。
シックハウス対策は、内装をF☆☆☆☆にして換気設備を付ければ終わり、という理解で止まっている人が多い規定です。実際には天井裏等の制限という3本目の柱があり、さらに受入検査記録という施工段階の書類まで制度に組み込まれています。設計図書でどの選択肢を採用しているかを着工前に確認し、搬入時に等級を記録する。この2つを習慣にしてしまえば、完了検査で慌てることはなくなります。そして法規を満たした先に、塗装と接着の工程管理という実務の余地が残っていることも押さえておくと、引渡し後の評価が変わってきます。
シックハウス対策に関するよくある質問
Q1:内装をすべてF☆☆☆☆にすれば換気設備は不要ですか?
不要にはなりません。ホルムアルデヒドは建材だけでなく、居住者が持ち込む家具やカーテンからも発散されるため、内装仕上げの等級とは無関係に、居室を有するすべての建築物に機械換気設備の設置が原則として義務付けられています。住宅等の居室は0.5回/h以上、その他の居室は0.3回/h以上の換気回数が必要です。内装の等級を上げても免除される規定ではないので、セットで考えてください。なお免除は、平成15年国土交通省告示第273号に定める構造方法(常時開放された開口部の換気上有効な面積が床面積の15/10000以上ある居室、真壁造の住宅など)か、国土交通大臣の認定を受けた居室に限られます(令第20条の8第2項、第20条の9)。一般的な高気密住宅の居室で免除になることはまずありません。
Q2:F☆☆☆☆とF☆☆☆は何が違いますか?
ホルムアルデヒドの発散量が違います。F☆☆☆☆は規制対象外建築材料として扱われ、居室の内装仕上げにも天井裏等にも面積制限なく使えます。一方F☆☆☆は第三種ホルムアルデヒド発散建築材料に分類され、居室の種類と換気回数に応じて使用面積が制限されます。たとえば住宅等の居室で換気回数0.5回/hなら、F☆☆☆は床面積の2倍までという計算になります。実務では面積計算の手間を避けるため、すべてF☆☆☆☆で組むのが標準です。
Q3:天井裏等の制限とは何ですか?
天井裏、小屋裏、床裏、壁内といった居室に面していない空間についても、ホルムアルデヒドの対策が必要という規定です。これらの空間は点検口や貫通部を通じて居室と空気がつながるためです。対応方法は①下地材をF☆☆☆以上にする、②気密層や通気止めで居室と分離する、③居室の空気圧が天井裏等以上になるよう換気設備を設ける、の3択です。実務では①が最も一般的で、天井裏側の下地をF☆☆☆以上に統一すれば済みます。注意したいのは、この3択のどれを採用するかが設計図書に書かれていないまま着工してしまうケースで、後から下地材の等級を証明できず完了検査で止まることがあります。着工前に図面で確認しておく項目です。
Q4:確認申請では何を提出しますか?
使用建築材料表で、告示対象建築材料の種別(等級)を明示します。個々の商品名や、JIS認証かJAS認定かの区別まで特定する必要はありませんが、国土交通大臣の認定を受けた建材を使う場合は原則として認定書の写しを添付します。申請時点で使用建材が確定していない場合は種別の明示のみで足りますが、その場合は完了検査申請時等に認定書の写しを提出することになります。
Q5:完了検査ではどんな記録が必要ですか?
内装の仕上げに用いたすべての建築材料について、種別(等級)、種類、数量、確認に要した表示または書類、その他の工事監理の状況を、具体的かつ詳細に記載した受入検査の記録が必要です。搬入時に等級表示を確認して記録に残す作業が前提になるので、後からまとめて作るのは困難です。搬入日に等級表示を写真で残し、納品書と突き合わせて記録する運用にしておくのが確実です。
Q6:リフォームでもシックハウス規制は適用されますか?
適用されます。国土交通省も、建築確認等の手続きを必要としないリフォームにおいても建築基準法に適合する必要があると明記しています。確認申請が不要だから規制も掛からない、という理解は誤りです。ただし、平成15年6月以前に着工された既存部分については当時の規制が適用されていないため、改修した部分について考えるという整理になります。
Q7:告示対象建築材料ではない建材にF☆☆☆☆の表示がないのは問題ですか?
問題ありません。規制の対象になるのは、平成14年国土交通省告示第1113号・1114号・1115号で限定列挙された建材だけです。それ以外の建材はホルムアルデヒドの発散がほとんど認められないことから規制を受けず、F☆☆☆☆等の表示をする必要もありません。また、これらの建材については国土交通大臣の認定も受けられません。表示がないことを見つけたら、まずその建材が告示対象建築材料に該当するかを確認してください。
Q8:法規を守っても匂いが気になると言われました。どうすればいいですか?
建築基準法が規制しているのは石綿・クロルピリホス・ホルムアルデヒドだけで、塗料や接着剤に含まれるトルエン、キシレンといった他のVOCは規制の対象外です。厚生労働省が室内濃度指針値を定めており、トルエンは260μg/m³、キシレンは200μg/m³、総揮発性有機化合物(TVOC)は暫定目標値として400μg/m³が示されています。対策としては、低VOCタイプの塗料・接着剤を選ぶ、塗装や接着の工程後に十分な換気期間を確保する、竣工前に換気を集中的に行う、といった工程側の工夫が有効です。
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