施工管理の女性が法律で就けない業務|妊娠中かどうかで変わる範囲

労働基準法と女性労働基準規則では、妊娠中でも産後1年以内でもない女性が就けないのは、重量物や有害物を扱う業務と、坑内の人力掘削・発破などの業務です。足場の組立てなどの制限は、妊娠中の女性と、申し出た産後1年以内の女性についての規定です。国土交通省などの実行計画(令和7年3月)では、建設業で働く女性は約88万人、そのうち技術者は3.4%とされています。

  • 施工管理をしている女性って、実際どのくらいいるの?
  • 建設業の女性って、ほとんど事務職なんじゃない?
  • 「女性は足場に上がれない」って先輩に言われたけど本当?
  • トンネルの現場には女性は入れないって聞いた
  • 重い資材は何キロまでなら持っていいの?
  • 妊娠したら、現場の仕事はどうなるんだろう
  • 残業や夜の作業は、妊娠中でも断れないの?
  • 現場のトイレが男女共用だったらどうしよう
  • 国は女性を増やすって言っているけど、目標の数字はあるの?
  • 未経験から入るなら、何を確かめて会社を選べばいい?

上記の様な悩みを解決します。

施工管理の女性については、「女性も活躍できる」という話と「女性には無理な作業がある」という話が同時に流れてきて、どちらを信じればいいのか迷うテーマです。女性向けの施工管理の記事を読んでも、割合やきつさの話は並んでいるのに、どの作業が誰に禁止されているのかを条文の号で分けたものはなかなか見つからないんですよね。今回は女性の人数・就けない作業・妊娠と出産・現場のトイレ・国の目標といった基本を押さえた上で、「足場の組立てや高さ5m以上の業務の制限は妊娠中・産後の女性の規定」「坑内でも技術上の管理の業務は除かれている範囲がある」といった、条文の主語まで読まないと分からない線引きを、施工管理の目線で整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、これから施工管理を目指す女性や、現場に出始めて自分の働き方が気になっている方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

建設業で働く女性は約88万人。令和7年3月の実行計画では、そのうち技術者は3.4%

令和7年3月14日の実行計画では、建設業で働く女性は約88万人、そのうち技術者は3.4%、技能者は13.6%とされています。建設業全体の割合と比べると、技術者・技能者の割合はどちらも低い、というのが計画の書き方です。

計画の本文は次のとおりです。「建設業に従事する女性約 88 万人のうち、技術者・技能者の割合は、それぞれ、技術者 3.4%、技能者 13.6%と、建設業全体の技術者・技能者の割合(技術者 7.9%、技能者 62.9%)に比べ低く」(国土交通省ほか「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」令和7年3月14日 p.3)。約88万人が何年の値かは、この本文には書かれていません。

「技術者」は施工管理だけの人数ではない

この3.4%を「施工管理の女性の割合」と読むのは早すぎます。令和7年の計画の本文には技術者の定義が見当たらず(当サイトが2026年10月10日に本文を検索した範囲)、前の令和2年の計画の脚注には、技術者を「労働力調査(基本集計 第 II-5 表 産業,職業別就業者数 建設業)における「専門的・技術的職業従事者」のうち「技術者」の数」と書いています(「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」令和2年1月16日 p.1脚注)。

つまり統計の職業区分としての「技術者」で、施工管理の仕事だけを数えた人数とは書かれていません。この記事で使った資料の範囲では、施工管理の仕事に就く女性だけを数えた人数は確認できていません。施工管理という仕事の中身そのものは、施工管理の仕事内容の解説で工程・品質・安全の管理に分けて整理しています。

資格試験の合格者数は、試験機関が女性の人数を出している

施工管理に近い数字としては、施工管理技術検定の指定試験機関(全国建設研修センター)が、女性の合格者数を発表しています。資格・年度・回ごとに数字の出し方が違うので、そのまま並べます。

資格・年度・回 発表されている女性の数字 同じ発表の合格者数
1級土木 令和7年度 第二次検定 女性の合格者数 1,009人(令和6年度 1,143人) 9,603人
1級管工事 令和7年度 第一次検定 女性の合格者 1,126人(12.2%) 9,224人
1級管工事 令和7年度 第二次検定 女性の合格者の割合 6.9% 4,360人
2級土木 令和8年度 第一次検定(前期) 女性の合格者 1,260名(18.7%) 6,723名

出典:全国建設研修センター 各検定の実施結果の発表資料(2026年10月10日確認)。括弧内の%は合格者に占める女性の割合で、女性の受検者の中での合格率ではありません。

建築については、建設業振興基金の令和6年度1級建築施工管理技術検定 第一次検定の実施結果の資料に女性の記載がありませんでした(令和7年度の建築の資料は未確認)。また、上の発表資料と国土交通省の合格者数のページの範囲では、女性の受検者数は出ていません。合格者の数字は「女性がどれだけ資格に挑んで受かっているか」を見る手がかりの1つで、施工管理として働く女性の人数とは別物と考えてください。

危険有害業務の制限で、妊娠中でも産後1年以内でもない女性が対象になるのは重量物と有害物の2つ

労働基準法第64条の3と女性労働基準規則の範囲では、妊娠中でも産後1年以内でもない女性に就業制限がかかる危険有害業務は、重量物を取り扱う業務と、有害物を発散する場所の業務の2つです。足場の組立て等の制限は、妊娠中の女性と、申し出た産後1年以内の女性についての規定で、高さ5m以上の場所の業務の制限は、妊娠中の女性だけの規定です。

条文は「妊産婦」を先に決め、それ以外の女性には一部だけを準用する

労働基準法はまず妊産婦を対象に書いています。「使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。」(労働基準法 第64条の3第1項)。

そのうえで、妊産婦以外の女性への広げ方を省令に任せています。「前項の規定は、同項に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる。」(同 第64条の3第2項)。

この準用の範囲を決めているのが女性労働基準規則第3条です。「法第六十四条の三第二項の規定により同条第一項の規定を準用する者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性以外の女性とし、これらの者を就かせてはならない業務は、前条第一項第一号及び第十八号に掲げる業務とする。」(女性労働基準規則 第3条)。第1号が重量物の取扱い、第18号が有害物を発散する場所の業務です。

重量物の重さは年齢で分かれていて、満十八歳以上の欄は、断続作業が三十キログラム、継続作業が二十キログラムです。条文は「次の表の上欄に掲げる年齢の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる重量以上の重量物を取り扱う業務」(女性労働基準規則 第2条第1項第1号)なので、断続作業なら30キログラム以上、継続作業なら20キログラム以上の重量物を取り扱う業務が対象になります。

建設現場に関係しそうな号を、誰が対象かで並べる

女性労働基準規則第2条第1項は、妊娠中の女性を就かせてはならない業務を号ごとに並べています。産後1年を経過しない女性については、第2条第2項が「前項第一号から第十二号まで及び第十五号から第二十四号までに掲げる業務とする。ただし、同項第二号から第十二号まで、第十五号から第十七号まで及び第十九号から第二十三号までに掲げる業務については、産後一年を経過しない女性が当該業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合に限る。」としています。これを建設現場に関係しそうな号に当てはめると、次のようになります。

号 条文の業務 妊娠中の女性 産後1年を経過しない女性 それ以外の女性
第1号 重量物を取り扱う業務(満十八歳以上は断続作業30kg以上・継続作業20kg以上) 対象 対象 対象(第3条)
第6号 「クレーン、デリツク又は揚貨装置の玉掛けの業務(二人以上の者によつて行う玉掛けの業務における補助作業の業務を除く。)」 対象 申し出た場合に対象 準用なし
第7号 「動力により駆動される土木建築用機械又は船舶荷扱用機械の運転の業務」 対象 申し出た場合に対象 準用なし
第13号 「土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが五メートル以上の地穴における業務」 対象 第2項に含まれない 準用なし
第14号 「高さが五メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」 対象 第2項に含まれない 準用なし
第15号 「足場の組立て、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く。)」 対象 申し出た場合に対象 準用なし
第18号 有害物を発散する場所の業務(物質と場所の区分ごとに定めあり) 対象 対象 対象(第3条)

出典:労働基準法・女性労働基準規則(e-Gov法令検索・2026年10月10日確認)。「対象」は、使用者がその女性を就かせてはならない業務という意味です。

表で見ると、高さ5m以上の場所の業務(第14号)と深さ5m以上の地穴などの業務(第13号)は、妊娠中の女性だけの規定です。足場の組立て、解体又は変更の業務(第15号)は、妊娠中の女性と、申し出た産後1年以内の女性の規定で、どちらも地上又は床上における補助作業の業務は除かれています。

「女性は足場に上がれない」は、条文の上では妊産婦の話

ここから言えるのは、「女性は足場に上がれない」という言い方は、労働基準法と女性労働基準規則の条文の上では妊産婦についての規定に当たる、ということです。しかも条文の語は「足場の組立て、解体又は変更の業務」で、足場に上がること一般を書いたものではありません。

ただ、条文が決めているのは使用者が就かせてはならない範囲です。会社の決まりや現場の判断がそれより広く定めているかどうかは、条文からは分かりません。また、ここで見たのは労働基準法と女性労働基準規則の範囲で、他の法令まで含めて女性だけの制限を数え上げたものではありません。坑内の業務は、妊産婦以外の満十八歳以上の女性にも別の制限があるので、次の見出しで見ます。

トンネルの坑内は、妊娠中や申し出た産後1年以内でなければ、技術上の管理の業務は制限から除かれている

トンネルの坑内では、妊娠中の女性と、坑内の業務に従事しない旨を申し出た産後1年以内の女性は、坑内で行われるすべての業務が制限の対象です。それ以外の満十八歳以上の女性は、人力や動力による掘削、発破などの業務が対象で、計画の作成や工程管理などの技術上の管理の業務は除かれています。

第64条の2は、女性を2つに分けて書いている

「使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。」(労働基準法 第64条の2)とあり、第1号は「妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性」に「坑内で行われるすべての業務」、第2号は「前号に掲げる女性以外の満十八歳以上の女性」に「坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの」を定めています。

第1号の「すべての業務」には、施工管理の仕事も含まれます。妊娠中であれば、坑内での仕事は管理の業務であっても就かせてはならない側に入る、ということです。

第2号の範囲は、女性労働基準規則第1条の4つ

第2号の省令で定める業務は、女性労働基準規則第1条が次のように並べています。

  • 第1号「人力により行われる土石、岩石若しくは鉱物(以下「鉱物等」という。)の掘削又は掘採の業務」
  • 第2号「動力により行われる鉱物等の掘削又は掘採の業務(遠隔操作により行うものを除く。)」
  • 第3号「発破による鉱物等の掘削又は掘採の業務」
  • 第4号「ずり、資材等の運搬若しくは覆工のコンクリートの打設等鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務(鉱物等の掘削又は掘採に係る計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、保安管理その他の技術上の管理の業務並びに鉱物等の掘削又は掘採の業務に従事する者及び鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務に従事する者の技術上の指導監督の業務を除く。)」

出典:女性労働基準規則 第1条(e-Gov法令検索・2026年10月10日確認)。

第4号の括弧書きは、掘削に「付随して行われる業務」から、計画の作成・工程管理・品質管理・安全管理・保安管理その他の技術上の管理の業務と、技術上の指導監督の業務を除くものです。妊娠中でも申し出た産後1年以内でもない満十八歳以上の女性にとって、トンネルの施工管理のうち技術上の管理に当たる業務は、この第1条の範囲から外れています。

一方で、第1号から第3号の掘削・発破そのものは、遠隔操作による動力掘削を除いて対象のままです。「女性もトンネルで何でもできる」とまでは条文から言えません。僕は、坑内の担当になったときは、自分の仕事が第4号の括弧書きの「技術上の管理の業務」に当たるのか、掘削そのものに手を出す場面が無いのかを、配属の前に上司と確かめておくのがよいと考えています。

なお、実行計画には業界団体の取組として「現場における労働法制の影響などに関する整理(女性技能者の坑内労働など)(業界団体)」という項目があります(実行計画 p.11)。坑内の扱いは、計画の上でも整理の対象に挙がっている論点です。

産前の休業、軽い業務への転換、残業や深夜の免除は、本人の請求で動く

妊娠・出産に関する労働基準法の決まりのうち、産前の休業、軽い業務への転換、時間外・休日・深夜の労働の免除は、本人が請求したときに使用者の義務になります。請求が無くても就業させてはならない主なものは、産後8週間(ただし書きあり)と、妊娠中の危険有害業務(前の見出しの表)です。

請求が要るものと、要らないもの

条文の書き方で分けると、次のようになります。

  • 産前の休業:「使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」(労働基準法 第65条第1項)=請求が要る
  • 産後の休業:「使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。」(同 第65条第2項)=請求が無くても就業させてはならない(ただし書きあり)
  • 軽い業務への転換:「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」(同 第65条第3項)=請求が要る
  • 残業・休日・深夜:第66条第1項〜第3項はいずれも「妊産婦が請求した場合においては」と書いている=請求が要る

第66条の中身は、第1項が「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。」、第2項が「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。」、第3項が「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」です(労働基準法 第66条)。

出産後と、毎月のことも請求で動く

出産後の子育てと、生理日の休暇も同じ形です。「生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」(労働基準法 第67条第1項)。「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」(同 第68条)。

妊娠中は、危険有害業務の制限が請求なしでかかる

妊娠中の女性については、前の見出しの表にある女性労働基準規則第2条第1項の業務が、請求が無くても就かせてはならない業務になります。産後1年以内は、第2条第2項のただし書きにある号について申し出が要ります。

僕は、施工管理の仕事で妊娠・出産を迎えるときに一番大事なのは、これらの多くが「請求した場合」の決まりだという点だと考えています。言わなければ動かない決まりなので、誰に、いつ、どう伝えるかを先に決めておくほうが、現場の段取りも組み直しやすくなります。

現場のトイレは、国の直轄工事で快適トイレが原則になっている

国土交通省の直轄工事では、平成28年度から快適トイレが原則化されています。令和8年2月27日の通知では、現場に男女がいる場合の男女別の明確な表示や、女性用トイレへのサニタリーボックスの設置が、必須の仕様に入っています。自治体工事や民間工事は、実行計画では取組を促す対象の書き方です。

原則化は平成28年度から。令和8年2月の通知で仕様を改めた

通知「快適トイレの導入について」(国技建管第10号 令和8年2月27日)は、経緯を「平成 26 年度より建設現場のトイレにこれまでのものに比べて質の良いトイレ(快適トイレ)を設置する試行を開始し、平成 28 年度より快適トイレの標準仕様を策定、直轄工事において快適トイレを原則化したところです。」と書いています。

この通知の適用時期は「本通知は、令和 8 年 4 月 1 日以降に入札契約手続きを開始する工事から適用する。なお、「快適トイレの導入について」(令和 2 年 3 月 24 日付け国技建管第 33 号)は、令和 8 年 3 月 31 日をもって廃止する。」です。原則化そのものは平成28年度からで、令和8年4月1日からというのは今回の通知の適用の話です。

必須の仕様に、女性が使うことを前提にした項目がある

通知の特記仕様書の記載例は「受注者は、現場に以下の(1)~(11)の仕様を満たす快適トイレを設置することを原則とする。」としています。(1)~(11)のうち、女性の利用に関わる項目は次のとおりです。

  • (7)現場に男女がいる場合に男女別の明確な表示
  • (8)周囲からトイレの入口が直接見えない工夫
  • (9)サニタリーボックス(女性用トイレに必ず設置)

推奨の項目(必須ではない)には(14)着替え台があります。費用は「57,000 円/基・月を上限に設計変更の対象とする」とされ、「快適トイレの手配が困難の場合は、監督職員と協議の上、本条項の対象外とする。」とも書かれています。別添2には「原則、全ての工事に適用するが、設置基数を現場毎に必要性を協議の上、決定する」「工事現場に新たにトイレを設置する場合に適用する。」とあります(いずれも同通知 別添1・別添2)。

女性トイレの置き方は「配慮事項」として書かれている

同じ通知の別紙「配慮事項」は、「建設現場で働く女性の活躍をサポートする取り組みとして、快適トイレを導入する際は、以下の(1)~(8)に配慮することとする。」として、「女性が現場にいる場合は、女性トイレを設置する事を標準とする」「あらかじめ、建設現場で働く女性の意見を聞く」「女性トイレと、男性トイレや喫煙所は隣接して設置せず、一定の距離を確保する」「男性トイレと女性トイレは入口を分ける等の動線の配慮をする」「混雑等を理由に、男性が女性トイレを使用することのないよう徹底する」などを挙げています。

ここまでが国の直轄工事の話です。実行計画は、トイレについて「直轄工事の現場において原則的に快適トイレを設置(国土交通省)」と並べて、「自治体工事、民間工事の現場におけるトイレ環境の改善に向けた取組促進(実態把握、現場の規模に応じた工夫事例の共有、働きかけ等)(国土交通省、業界団体)」と書いています(実行計画 p.9)。同じページには「小規模な現場や短期間の現場の場合、必ずしも快適トイレを設置することが現実的でない場合もあることから、現場の規模等に応じた検討が必要であること」ともあります。どの現場にも女性トイレがある、とは言えないということです。

法令の便所の決まりと、更衣室の扱い

便所の男女別については、労働安全衛生規則に「男性用と女性用に区別すること。」(第628条第1項第1号)とあり、ただし書きで「坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由がある場合で、適当な数の便所又は便器を備えたときは、この限りでない。」としています。第628条の2第1項は「同時に就業する労働者の数が常時十人以内である場合は、男性用と女性用に区別しない四方を壁等で囲まれた一個の便房により構成される便所(以下「独立個室型の便所」という。)を設けることで足りるものとする。」です(労働安全衛生規則・e-Gov法令検索・2026年10月10日確認)。

更衣室は、快適トイレの通知には規定がありません(着替え台が推奨の項目にあるだけです)。実行計画には「休憩や着替えのできる場所、更衣室も重要であること」とあり、取組として「現場の更衣室、休憩所、洗面所、シャワー設備、冷暖房機器など、技術者・技能者が快適に過ごせるよう配慮された環境整備の促進(工夫事例を含む手引きの作成、働きかけ)(国土交通省、業界団体)」が挙がっています(実行計画 p.9)。決まりというより、これから広げていく取組の位置づけです。

国と建設業の団体は、令和11年(度)までの4つの目標を出している

令和7年3月14日の「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」は、女性の技術者・技能者の人数、離職の割合、管理職の女性の割合、支援ネットワークへの加入の4つについて、令和11年または令和11年度までの目標を置いています。目標1〜3は「毎年増加」などの書き方で、到達する人数や割合の数値は書かれていません。目標4は全ての都道府県での加入を目指す書き方です。

計画の発行者は、国土交通省、(一社)日本建設業連合会、(一社)全国建設業協会、(一社)全国中小建設業協会、(一社)建設産業専門団体連合会、(一社)全国建設産業団体連合会、(一社)住宅生産団体連合会、建設産業女性定着支援ネットワークです(実行計画 表紙)。4つの目標は次のとおりです。

  • 目標1「令和 11 年までの間、「建設業における女性技術者・技能者の人数」を毎年増加させる」(p.4)
  • 目標2「令和 11 年までの間、「女性入職者に対する女性離職者の割合」を「建設業全体の入職者に対する離職者の割合」よりも、毎年上回らないようにする」(p.5)
  • 目標3「令和 11 年度までの間、「建設業の管理職に占める女性の割合」を毎年度増加させる」(p.5)
  • 目標4「令和 11 年度までに、都道府県単位で活動している団体の「建設産業女性定着支援ネットワーク」への加入を全ての都道府県で目指す」(p.6)

目標3・目標4の数字は、資料の時点を付けて読む

実行計画の時点では、建設業の管理職に占める女性の割合はR1年度7.9%、R5年度9.9%とグラフで示されています(課長相当職以上(役員含む)、出典は厚生労働省「雇用均等基本調査」)。ネットワークに団体登録のある都道府県の数は「令和6年 12 月時点」で「33 都府県/47 都道府県」です。

その後の国土交通省の参考資料集(令和8年4月3日)p.87には、管理職に占める女性の割合がR6年度9.6%、団体登録のある都道府県の数が38都府県(R7.12時点)と載っています。目標3は「毎年度増加させる」なので、年度ごとの数字を時点つきで追っていくことになります。

前の計画と、「けんせつ小町」

この計画には、前に2本の計画があります。実行計画は「平成 26 年8月に国土交通省と建設業5団体…共同で、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定し」、「令和2年1月には…「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画~働きつづけられる建設産業を目指して~」(以下、令和2年計画)を策定し」と経緯を書いています(実行計画 p.2)。

建設業で働く女性を指して「けんせつ小町」と呼ぶことがあります。日本建設業連合会の沿革欄には「2014年 10月28日 建設業で活躍する女性技術者・技能者の愛称を募集し、「けんせつ小町」と決定」とあり、ページ冒頭では「建設業で働くすべての女性の愛称です。」と説明しています(日本建設業連合会「けんせつ小町とは」・2026年10月10日確認)。

女性が施工管理を続けられる会社かは、現場の発注者・妊娠時の窓口・先輩の有無で確かめる

ここまでの条文と通知から、僕は、女性が施工管理を続けられる会社かどうかは、性別による向き不向きではなく、決まりがどこまで現場に届いているかで見るのがよいと考えています。確かめる点は次の3つです。

  • 担当する現場が国の直轄工事か、自治体工事・民間工事か(快適トイレの原則化は直轄工事の話)
  • 妊娠したとき、第65条第3項の軽易な業務への転換や第66条の請求を、誰にどう出せばよいか
  • 同じ部署に女性の先輩や管理職がいるか(目標3は管理職の女性の割合を毎年度増やす目標)

1つ目は、快適トイレの原則が、発注者によって違うからです。直轄工事なら通知の仕様がありますが、自治体工事や民間工事は実行計画の上では取組を促す段階なので、現場の実態を面接や見学で聞くのが確実です。2つ目は、前の見出しで見たとおり、妊娠・出産の決まりの多くが請求で動くからです。窓口がはっきりしている会社なら、請求そのものを出しやすくなります。3つ目は数字の裏付けというより、実際に続けている人がいるかどうかを見る材料です。

仕事のきつさは女性だけの話ではないので、この記事では扱っていません。工程・品質・安全の管理の中身と働ける時間の枠は、施工管理の仕事内容の記事で確かめてください。「現場監督」「施工管理」という呼び名の違いは現場監督とは何かの解説で整理しています。

未経験から入るなら、資格の入口を先に見ておく

未経験から施工管理を目指すなら、施工管理技術検定がどこから受けられるかを先に見ておくと、入社後の道筋が描きやすくなります。2級土木の受検の条件は2級土木施工管理技士の受験資格に、第一次検定に合格すると名乗れる称号は施工管理技士補の解説にまとめています。

いまの会社で続けるのが難しいと感じて職場を変えるなら、上の3つの点を求人や面接で聞ける形にしておくと、比べる軸がぶれにくくなります。転職サービスの選び方は施工管理向けの転職サービスの比較で整理しています。

施工管理と女性に関する情報まとめ

  • 人数と割合:令和7年3月の実行計画では建設業で働く女性は約88万人、技術者3.4%・技能者13.6%。「技術者」は統計の職業区分で、施工管理だけの人数ではない
  • 就けない作業:労働基準法第64条の3と女性労働基準規則の範囲では、妊娠中でも産後1年以内でもない女性への制限は重量物(第1号)と有害物(第18号)の2つ。足場の組立て等は妊娠中と申し出た産後1年以内、高さ5m以上は妊娠中の女性の規定
  • 坑内:妊娠中と申し出た産後1年以内はすべての坑内業務が対象。それ以外の満十八歳以上の女性は掘削・発破などが対象で、技術上の管理の業務は除かれている
  • 妊娠・出産:産前の休業、軽易な業務への転換、時間外・休日・深夜の免除は請求で動く。産後8週間は請求が無くても就業させてはならない(ただし書きあり)
  • トイレ:直轄工事では平成28年度から快適トイレが原則化。令和8年2月27日の通知で男女別の表示やサニタリーボックスが必須の仕様。自治体・民間工事は取組を促す段階
  • 国の目標:令和11年(度)までの4つの目標。管理職の女性の割合や加入都道府県の数は、資料の時点を付けて読む
  • 会社の確かめ方:現場の発注者、妊娠時の請求の窓口、女性の先輩や管理職の有無の3つ

以上が施工管理と女性に関する情報のまとめです。

「女性は足場に上がれない」「トンネルには入れない」という話は、条文で主語を確かめると、足場の組立て等の制限は妊娠中や産後の女性についての規定で、坑内も技術上の管理の業務は除かれている範囲がありました。逆に、妊娠・出産の守りは自分から請求しないと動かないものが多く、ここは知っておく意味があります。これから施工管理を目指す方は、この記事の表と3つの確かめ方を手元に置いて、面接で「担当する現場の発注者」と「妊娠したときの窓口」を聞いてみてください。それだけでも、会社の準備の度合いの一端は見えてくるはずです。

資格の入口を先に固めたい方は施工管理技士補の解説から読み進めてみてください。

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