- 水の質量って何kg?
- 1リットルの水は何g?1m³は何kg?
- 質量と重量って何が違うの?
- 温度で水の質量は変わる?
- 建築のどんな場面で使う?
- 計算例が知りたい
上記の様な悩みを解決します。
「水1リットルは1kg」「水1m³は1トン」——施工管理の現場で何度も出てくる基本値ですが、改めて「なぜそうなるのか」「どんな条件下で成り立つのか」を聞かれると、即答できる人は意外と少ないもの。本記事では水の質量の基本値、密度・体積との関係、温度や圧力での変化、建築の場面での使い方までを、計算例を交えて整理していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
水の質量とは?
水の質量とは、結論「水が持っている物質の量で、純水4℃で 1リットル=1kg、1m³=1,000kg」のことです。
これがあらゆる単位系のベース値になっています。
水の質量の基本値(純水・4℃)
| 体積 | 質量 |
|---|---|
| 1 mL(1 cm³) | 1 g |
| 1 L | 1 kg |
| 1 m³(1,000 L) | 1,000 kg = 1 t |
| 1 km³ | 1,000,000,000 t(10億トン) |
→ 「1リットル=1kg」「1m³=1トン」は、純水・4℃の条件下での値。普段の建築現場(10〜25℃)でもほとんど誤差なくこの値が使えます。
なぜ「水=1」がベースになったのか
歴史的には、1795年のフランスで「キログラム」が定義されたときの基準が「最大密度の水1リットル分の質量」。その後 SI 単位系が整備されて、水を基準にした単位が世界共通になりました。
→ 結果として水は「単位の基準器」のような立ち位置で、密度の基準にも、比重の基準にも、温度の基準(0℃・100℃)にも使われています。
質量と重量の使い分け
「質量」と「重量」は厳密には別物。
| 用語 | 物理的な意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 質量 | 物体そのものの量(場所で変わらない) | kg、g、t |
| 重量 | 質量×重力加速度=力 | N、kN |
→ 普段「水の重さは1kg」と言ったときの「重さ」は、実は質量を指していることがほとんど。構造計算書で「水の重量9.8 kN/m³」と書いてあれば、それは「質量×重力加速度」の力としての表現、という違いです。
質量と重量の違いの詳細はこちらの記事も参考にしてください。

1リットル・1m³ の水の質量
実務でよく使う体積ごとの水の質量を整理します。
よく使う変換表
| 体積 | 質量(kg) | 質量(g) |
|---|---|---|
| 1 mL(1 cc) | 0.001 kg | 1 g |
| 10 mL | 0.01 kg | 10 g |
| 100 mL | 0.1 kg | 100 g |
| 1 L | 1 kg | 1,000 g |
| 10 L | 10 kg | 10,000 g |
| 100 L | 100 kg | — |
| 500 L | 500 kg | — |
| 1 m³(1,000 L) | 1,000 kg = 1 t | — |
| 10 m³ | 10,000 kg = 10 t | — |
| 100 m³ | 100,000 kg = 100 t | — |
→ 表をいちいち見なくても、「1L=1kg」「1m³=1t」さえ覚えていれば、桁を動かすだけで計算できます。
現場でよくある単位の関係
- 1リットル=1,000 mL = 1,000 cm³ = 1 kg
- 1m³=1,000 L = 1,000 kg = 1 t
- 1ガロン(米)=3.785 L ≒ 3.79 kg
→ 「ペットボトル500mL = 500g」のような家庭の感覚も、結局は水を基準にした密度1.0の物質の質量。日常感覚をそのまま建築の数量計算に持ち込んでOKです。
水の質量と密度
水の質量を理解するには、密度との関係を押さえる必要があります。
密度の式
密度 ρ = 質量 m / 体積 V
- 水の密度:ρ = 1,000 kg/m³(純水・4℃)
- 別の表現:1 g/cm³、1 g/mL、1 kg/L
→ 水は「どの単位でも『1』になる」という、計算する側にとってありがたい性質を持っています。
水の密度と温度の関係
実は水の密度は温度で少し変化します。
| 温度 | 密度(kg/m³) |
|---|---|
| 0℃(氷点) | 999.8 |
| 4℃ | 1,000(最大) |
| 10℃ | 999.7 |
| 20℃ | 998.2 |
| 30℃ | 995.6 |
| 50℃ | 988.0 |
| 100℃ | 958.4 |
→ 「水は4℃で最大密度」というのは中学校の理科でも出てくる話。氷より水のほうが重い、というのも4℃付近で密度が最大になる性質から来ています。
建築実務では「1,000 kg/m³」で十分
ただし、建築現場で扱う水温(5〜30℃)の範囲では、密度の変化は 0.5%以内。
→ 構造計算でも積算でも「水の密度 1,000 kg/m³」「水の質量 1 kg/L」で計算してまず問題ありません。シビアに温度補正するのは、化学プラントや精密計量の世界の話、という訳ですね。
水の単位体積重量との関係
構造計算では、力(kN)で表す「単位体積重量γ」を使います。
γ = ρ × g ÷ 1000 = 1,000 × 9.8 ÷ 1000 = 9.8 kN/m³ ≒ 10 kN/m³
→ 構造の世界では「水=10 kN/m³」がベース値。地下水圧・受水槽の設計で何度も出てくる数字です。
水の単位体積重量の詳細はこちらの記事も参考にしてください。

水の質量に影響する条件
純水と現場の水で値が少し変わる場面を整理します。
温度の影響(再掲)
純水で温度範囲5〜30℃なら、密度の変動は0.2%程度。建築実務では無視できる範囲。
含む溶質の影響
水に何かが溶けると、密度が上がります。
| 種類 | 密度(kg/m³) |
|---|---|
| 純水 | 1,000 |
| 水道水(カルキ等) | 1,000〜1,001 |
| 雨水(自然) | 999前後 |
| 海水(塩分3.5%) | 1,025〜1,030 |
| コンクリート練り水 | 1,000前後 |
→ 海水は塩分があるので約3%重い。塩害環境の水中工事では、海水で1,025 kg/m³を使うと安全側になります。
圧力の影響
水は実質的に非圧縮性。
- 大気圧 → 1,000 kg/m³
- 100気圧(深海1,000m) → 1,005 kg/m³(約0.5%増)
→ 建築の地下水位下の検討では「水は非圧縮」「水圧は深さ×単位体積重量で線形に増える」という前提で十分です。
コンクリートに含まれる水分の質量
「水セメント比」「単位水量」など、コンクリート配合設計で出てくる「水」も、質量で扱います。
例:単位水量 170 kg/m³ のコンクリート
→ 1m³のコンクリートに、水170 kg ≒ 170 L が含まれる、という意味。水セメント比の詳細はこちらの記事も参考にしてください。

建築での水の質量の使い方
水の質量・密度は、建築のあらゆる場面で登場します。
1. 受水槽・高架水槽の自重
設備計画で必須。
例:受水槽 4m × 3m × 2.5m = 30 m³ 満水時
W = 30 m³ × 1,000 kg/m³ = 30,000 kg = 30 t
→ この30 tがスラブや受水槽架台に作用するので、構造計算でスラブの設計荷重に反映する必要があります。
2. 地下水圧の計算
地下外壁・基礎の設計。
例:地下水位下 5m地点での水圧
p = 5 m × 10 kN/m³ = 50 kN/m² = 5 t/m²
→ 「水深1mあたり 1 t/m² = 10 kN/m²」という暗算ルールが使えます。
3. 浮力(揚圧力)の計算
地下構造物の浮き上がり防止。
例:地下倉庫の床面積 100m²、水深3mが床下に作用
F = 100 m² × 3 m × 10 kN/m³ = 3,000 kN = 300 t
→ この浮力に対抗できるだけの「自重 + 上載荷重」がないと、地震時に建物が浮き上がります。
4. プール・水槽の設計水位
水位上限の管理。
例:屋上プール 10m × 6m × 水深1.5m
W = 10 × 6 × 1.5 × 1,000 = 90,000 kg = 90 t
→ プール水だけで90 t。屋上構造に与える影響が大きく、構造設計の主要荷重項目になります。
5. コンクリート配合(単位水量)
JASS 5・JIS A 5308で上限が決まっている。
- 普通コンクリート:単位水量 185 kg/m³ 以下
- 高耐久コンクリート:単位水量 175 kg/m³ 以下
→ この上限は重量基準。1m³あたり何 kg の水が入るか、で品質管理しています。
6. 雨水量の積算
降雨時の浸入水量・排水計画。
例:屋根面積 1,000 m² に時間降雨量50mmが降った場合
V = 1,000 m² × 0.05 m = 50 m³ = 50 t
→ 雨水量も結局は「面積×深さ×水の密度」。豪雨時の排水ピットの容量検討に使います。
水の質量の計算例
応用的な計算パターンを整理します。
例1:屋上散水冷却の必要水量
夏場の屋上散水で、屋根面500m²に2mm/h散水する場合の1時間あたり質量。
V = 500 m² × 0.002 m = 1 m³
W = 1 × 1,000 = 1,000 kg = 1 t/時間
→ 1時間あたり1tの水を散布、と数値化できると、ポンプ容量・水道契約の概算に直結します。
例2:給湯タンクの蓄熱量
温水500Lで温度50℃→20℃に冷えるときの放出熱量。
質量 = 500 L × 1 kg/L = 500 kg
放出熱量 Q = m × c × ΔT = 500 × 4.18 × 30 = 62,700 kJ = 62.7 MJ
→ 設備設計の蓄熱計算では「水の質量×比熱×温度差」が基本式。質量が出発点になります。
例3:地下ピットの満水時重量
地下ピット 5m × 5m × 深さ2m に水が満水した場合。
V = 5 × 5 × 2 = 50 m³
W = 50 × 1,000 = 50,000 kg = 50 t
→ 排水ポンプ故障時のリスク想定に。50 t が床に作用すると、ピット壁・スラブの設計荷重が変わります。
例4:水中ポンプの揚水質量
口径65mm、揚程20m、流量100 L/分のポンプを30分稼働。
V = 100 L/min × 30 min = 3,000 L = 3 m³
W = 3,000 kg = 3 t
→ 「30分でこれだけの水を動かす」と数字で見ると、雨後の現場排水の段取りが具体化します。
体積から重さを求める計算はこちらの記事も参考にしてください。

水の質量に関する情報まとめ
- 水の質量とは:水が持つ物質の量で、純水4℃で 1L=1kg、1m³=1t
- 単位の関係:1mL=1g、1L=1kg、1m³=1t(純水・4℃)
- 密度との関係:水の密度=1,000 kg/m³(最大密度は4℃)
- 構造での単位体積重量:γ=9.8 kN/m³ ≒ 10 kN/m³
- 温度補正:通常の建築実務(5〜30℃)では無視可
- 海水:塩分により1,025 kg/m³(純水より約3%重い)
- 建築での使い場面:受水槽、地下水圧、浮力、プール、コンクリート配合、雨水量
以上が水の質量に関する情報のまとめです。一通り基礎知識は理解できたと思います。「水1m³=1トン」というシンプルな関係は、施工管理の暗算の出発点。受水槽の容量から地下浮力の計算まで、まずは水の質量を出してから他の値に展開していく——この感覚があれば、現場での数量チェックが一段速くなりますよ。
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