- 下水道工事って種類があるの?
- 開削と推進ってどっちが安い?
- 古い管はどうやって直す?
- 合流式・分流式って何が違う?
- 道路を掘るときの規制は?
- 施工管理で何を見る?
上記の様な悩みを解決します。
下水道工事は、「開削工法」「推進工法」「管更生工法」の3つを土被り・道路条件・管種で使い分ける土木の基本工種です。施工管理者として「3工法の選定マトリクス+合流式と分流式の処理場側への影響+通水試験・水密試験での合否判定」を押さえると、自治体・道路管理者との協議が早く回ります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
下水道工事とは?
下水道工事とは、結論「生活排水・雨水を処理場まで運ぶための地下管路を新設・更新する土木工事」のことです。
英語では「Sewerage Construction」または「Sewer Pipe Construction」。
下水道工事の基本ポイント
- 目的:排水・雨水の処理場への搬送
- 管種:塩ビ管、ヒューム管、レジン管、鋼管
- 管径:φ150〜φ3,000以上
- 施工方法:開削/推進/管更生の3つ
- 発注者:市町村・国・上下水道局
「地中の排水動脈を作る・更新する」のが下水道工事の本質です。
3つの工法の使い分け
下水道工事の3工法は土被りと道路条件で使い分けます。
3工法の比較
| 項目 | 開削工法 | 推進工法 | 管更生工法 |
|---|---|---|---|
| 概要 | 地表を掘って管を敷設 | 立坑から管を地中に推進 | 既設管の内側を補修 |
| 主な用途 | 浅い管(土被り3m以下) | 深い管・道路下 | 既設管の更新 |
| 道路通行 | 規制大 | 規制小 | 規制小 |
| コスト/m | 安い | 高い | 中 |
| 主な記事 | — | 推進工法 | — |
選定の実務感覚
- 新規管・郊外・浅い土被り → 開削
- 既設道路の交通量大・深い管 → 推進
- 既設管の老朽化更新(道路掘削回避) → 管更生
「道路掘削の規制度合い×土被り深さ×新規 or 既設」で工法が自動的に絞られます。
推進工法の話はこちらで。

開削工法の流れ
最も基本的な開削工法の施工フロー。
開削工法の標準手順
- 路面切断・舗装撤去
- 掘削(バックホウ)
- 土留め設置(鋼矢板・親杭横矢板)
- 管布設(管基礎砕石→塩ビ管 or ヒューム管→管周りに砂)
- 埋戻し(層別転圧)
- 路盤復旧
- 舗装復旧
土留めの選定
- 土被り浅い:親杭横矢板
- 土被り深い・地下水あり:鋼矢板(シートパイル)
- 都市部・近接構造物:鋼矢板+切梁
土留め関連の話はこちら。



合流式と分流式
下水道の方式は合流式と分流式の2種類があります。
合流式 vs 分流式
| 項目 | 合流式 | 分流式 |
|---|---|---|
| 排水 | 生活排水+雨水を1本の管で運ぶ | 生活排水と雨水を別の管で運ぶ |
| 管路 | 1系統 | 2系統 |
| 処理場 | すべての水を処理 | 生活排水のみ処理、雨水は河川へ |
| 大雨時 | 未処理水が溢れる(CSO問題) | 処理場負荷一定 |
| 主な採用 | 古い都市部 | 新規造成地・現代の標準 |
現代は分流式が主流
- 大雨時の未処理水の海洋・河川流出(CSO)問題
- 環境負荷軽減で新規エリアは分流式が原則
- 既設の合流式エリアでは、雨天時貯留池や高度処理施設で対応
「合流式の改良+分流式への段階的移行」が、現代日本の下水道整備の主軸です。
管更生工法の概要
既設管の老朽化更新で道路を掘りたくない場合に選ばれるのが管更生です。
主な管更生工法
| 工法 | 概要 |
|---|---|
| 反転工法 | 樹脂含浸ライナーを既設管内に反転(裏返し)挿入し、温水・蒸気・光で硬化(インシチュフォーム等) |
| 形成工法 | 工場で予め成型した熱可塑性樹脂管を既設管内に挿入後、加熱で既設管に密着させる |
| 製管工法(SPR等) | 既設管内で帯板やプロファイルを螺旋状に巻き、新管を現場で組み立てる |
| 挿入工法(Sliplining) | 既設管より小径の新管をそのまま挿入、隙間を裏込めグラウト |
| モルタルライニング | 既設管の内面にモルタルを吹付・コテ仕上げで補強 |
管更生のメリット
- 道路掘削不要で交通規制最小
- 施工期間短縮
- 既設管が完全閉塞していないことが前提
老朽化更新時代の主役になりつつある工法群です。
施工管理の主なポイント
下水道工事の施工管理で押さえるべきチェック項目。
下水道工事施工管理ポイント
- 設計図書の管路ルート・管径・勾配確認
- 道路占用許可・掘削申請
- 試掘:他埋設物(ガス・電力・通信)の事前確認
- 土留めの設計妥当性
- 管基礎の確認:砕石厚・転圧度
- 管接続の水密性
- マンホール設置位置
- 通水試験:水を流して詰まりなし確認
- 水密試験:規定圧での漏水なし確認
- 路盤・舗装復旧の品質確認
- 完成図書整備:竣工図・台帳
「試掘」が最大の事故予防
下水道工事の最大のリスクは地中の他埋設物(ガス・電力・通信ケーブル)の損傷です。着工前に必ず試掘で位置確認+埋設物管理者への立会要請を徹底するのが、ガス漏れ・停電などの大事故予防の絶対ルールです。地中インフラの大半が情報共有不足のため、台帳と現実の不一致は当たり前と思っておく方が安全です。
下水道工事に関する情報まとめ
- 下水道工事とは:生活排水・雨水を処理場へ運ぶ地下管路の新設・更新工事
- 3工法:開削(標準)/推進(深部・交通量大)/管更生(既設更新)
- 方式:合流式(古い都市部)/分流式(新規・現代の標準)
- 開削の流れ:路面切断→掘削→土留め→管布設→埋戻し→舗装復旧
- 土留め選定:浅い→親杭横矢板、深い・地下水あり→鋼矢板+切梁
- 管更生:反転(インシチュフォーム等)/形成/製管(SPR)/挿入(Sliplining)/モルタルライニング、老朽化更新の主役
- 施工管理:試掘での他埋設物確認+通水試験+水密試験
- 絶対ルール:着工前試掘+埋設物管理者立会で他インフラ損傷予防
下水道工事は「地中の排水動脈」を扱う土木の基本工種で、3工法の使い分け+他インフラとの取り合いが成功の鍵です。施工管理者として「工法選定のロジック+試掘の徹底+通水・水密試験」を押さえると、自治体・道路管理者・地元住民すべてとの調整がスムーズになります。
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