- D種接地工事とは?
- 接地抵抗値は?
- 法規について知りたい
- 施工方法は?
- 注意点は?
上記の様な悩みを解決します。
D種接地工事は接地工事の中で、頻繁に採用される接地工事です。電気工事をする上で必須の知識ですので、覚えておきましょう。
この記事ではD種接地工事とは?といったところから、接地抵抗値、法規、施工方法、注意点について解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
D種接地工事とは?
D種接地工事とは、結論「300V以下の低圧用機器に接地を施す工事のこと」です。
まず接地とは、電気機器と大地を電気的に接続することと言えます。電気機器と大地を電気的に接続することで、電気機器を利用する人の安全性を確保します。
接地工事にはA種からD種までの4種類があり、D種接地工事はその一種類です。
機器のボルト数によって4種類の接地工事の中から適切な接地を選ぶ必要がありますが、その中で頻繁に使用されるのがD種接地工事です。
D種接地工事は300V以下の電気機器に対して使用されます。
建物内で使用する機器の多くが100Vもしくは200Vですので、D種接地工事は頻繁に使われるという訳です。具体的には下記の様な機器に対して施されます。
D種接地工事が施される電気機器の具体例
- 電気温水器
- エアコン
- 溶接機
- 自動販売機
- 電動機
- その他
D種接地工事の接地抵抗値
D種接地工事の接地抵抗値は「100Ω以下」です。
A種とC種が10Ω以下ということを考えると、多少高いと言えます。なお地絡が生じた場合に0.5秒以内に自動的で電路を遮断する装置を施設するときは500Ω以下と決められています。
要するに遮断器付なら500Ωでも問題はありません。
とは言え遮断器が必要なタイミングはそこまで多くはありませんから、100Ω以下という認識で大丈夫かと思います。
D種接地工事の法規
一 接地抵抗値は、10Ω以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線であること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において可とう性を必要とする部分は、3種クロロプレンキャブタイヤケーブル、3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、4種クロロプレンキャブタイヤケーブル若しくは4種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルの1心又は多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm2以上のものであること。
三 接地極及び接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合は、前号ハの場合、及び発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所において、接地極を第19条第2項第一号の規定に準じて施設する場合を除き、次により施設すること。
イ 接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること。
ロ 接地極を鉄柱その他の金属体に近接して施設する場合は、次のいずれかによること
(イ) 接地極を鉄柱その他の金属体の底面から30cm以上の深さに埋設すること。
(ロ) 接地極を地中でその金属体から1m以上離して埋設すること。
ハ 接地線には、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)又は通信用ケーブル以外のケーブルを使用すること。ただし、接地線を鉄柱その他の金属体に沿って施設する場合以外の場合には、接地線の地表上60cmを超える部分については、この限りでない。
ニ 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。
四 接地線は、避雷針用地線を施設してある支持物に施設しないこと。
4 D種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、100Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
二 接地線は、第3項第二号の規定に準じること。
5 C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす。
6 D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100Ω以下である場合は、D種接地工事を施したものとみなす。
D種接地工事の施工方法
D種設置工事の施工方法
- 接地極打設
- 接地線引き出し
- 電気機器の設置
- 電気機器と接地線を接続
電気設備の技術基準の解釈第17条
- イ 接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること。
- ロ 接地極を鉄柱その他の金属体に近接して施設する場合は、次のいずれかによること。
- (イ) 接地極を鉄柱その他の金属体の底面から30cm以上の深さに埋設すること。
- (ロ) 接地極を地中でその金属体から1m以上離して埋設すること。
つまり、接地極打設においては75cm以上の深さに埋設し、金属体が近くにある場合は30cm以上深く打ち込み、1m以上離して施工することが求められます。
接地極と接地線を接続し、接地線と電気機器を接続することによって、D種の接地工事が完了します。
加えて、D種接地工事は100Ω以下の抵抗値でなければなりません。
接地極を打設しても一発で100Ω以下の数字が出ることはありませんから、接地抵抗値を測定し、100Ω以下になるまで接地極を埋め込んでいきます。
抵抗値は土壌が含む水分量だったり他の環境要因によって変化するので「何本打ち込めば規定の抵抗値が出るのか?」というのは分かりません。
あらかじめ余裕を持った接地極を用意することが大切です。
D種接地工事の際の注意点
D種接地工事の際の注意点は「季節で抵抗値が変化すること」です。
繰り返しになりますが、抵抗値は環境要因で変化します。周囲の環境は季節によって変化します。夏なら夏で、冬なら冬で違った環境です。
もし春に接地極を打設して問題ない値だったとしても、冬には問題のある値になったりします。
よって、接地極打設のタイミングで、ある程度余裕を持った数字を見た方がいいでしょう。
確かに99ΩならばD種接地工事の規定はクリアしています。ただ、季節によって微妙に抵抗値が変化すると100Ωを超えてしまうことが想定されます。
ギリギリの値ではなく、季節変化でも問題が無い抵抗値が出るまで接地極を打設しましょう。
D種接地工事に関する情報まとめ
D種接地工事に関する情報まとめ
- D種接地工事とは:300V以下の低圧用機器に接地を施す工事のこと
- 接地抵抗値は:100Ω以下
- 法規:上章参照
- 施工方法:接地極打設→接地線引き出し→機器の設置→機器と接地線を接続
- 注意点:季節で抵抗値が変化すること
以上がD種接地工事に関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたと思います。
D種接地工事は4種類ある接地工事の中の一つです。そもそも接地とは?といったところの理解が弱ければ、D種接地工事に対する理解も弱くなります。接地について強く理解しておきましょう。
下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。