- バリって結局なに?かえりと同じ?
- なんでわざわざ取らなきゃダメなの?
- バリ取らないと何が起きる?
- バリの種類っていくつあるの?
- 「バリなきこと」ってどこまでやればいいの?
- 結局どんな工具を使うの?ヤスリ?砥石?グラインダー?
- 鉄骨の孔あけやガス切断のあとのバリってどう取る?
- 配管を切ったあとの内側のバリ、どうする?
- ねじ切りや塩ビ管も面取りいるの?
- グラインダー使うのに資格いる?
上記の様な悩みを解決します。
バリ取りは、製造業だけでなく建設現場でも日常的に発生する作業です。鉄骨の孔あけや配管の切断・ねじ切りをすれば必ずバリが出るので、施工管理として「どこまで取るか」「どの工具で取るか」を職人に指示する場面が出てきます。今回はバリの意味・種類・必要性・工具という基本を押さえた上で、検索しても情報が少ない「鉄骨」と「配管」という建設現場の素材でのバリ取り施工方法まで、現場目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、現場に入りたての方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
バリ取りとは?
バリ取りとは、結論「加工のときに生じた突起やギザギザ(バリ)を取り除く作業」のことです。
バリとは、金属やプラスチックなどを切ったり削ったり穴を開けたりした際に、本来の形状からはみ出してできる出っ張り・かえりのことです。日本語では「かえり」とも呼ばれます。切削・せん断・鋳造・成形など、ほぼすべての加工で多かれ少なかれ発生し、図面にはない意図しない形状なので、品質・安全の観点から除去するのが基本になります。
建設現場で言えば、鉄骨にドリルで孔を開ければ孔の縁にバリが出ますし、配管をパイプカッターで切れば切り口の内側にかえりが残ります。製造業の部品加工に限った話ではなく、金属を扱う以上どの現場でも避けて通れない作業です。図面に「バリなきこと」と書かれていれば、それはバリ取りを必須で指示している、という意味になります。
バリの種類
バリの種類は、結論「どの加工で生じたか」で分類されます。加工方法によって出方が違うので、整理しておくと現場での予測が効きます。代表的なものは次の通りです。
- 切削バリ:ドリル・フライスなど切削加工で、刃が材料を抜ける際に残る突起
- 研削バリ:研削(といしで削る)加工で生じるバリ
- せん断バリ:プレスやせん断、切断で材料が引きちぎられる際に生じるバリ
- 鋳造バリ:鋳造で型の合わせ目(パーティングライン)にできるバリ
- 成形バリ:プラスチックの射出成形などで型の隙間にできるバリ
- 塑性変形バリ:鍛造・転造で材料が押し出されてできるバリ(フラッシュバリ)
建設現場でよく出会うのは、鉄骨の孔あけや切断で出る切削バリ・せん断バリ、グラインダー作業で出る研削バリあたりです。バリの大きさは「高さ」と「根元の厚み」で表現され、根元が厚いバリほど除去に手間がかかります。
僕の整理では、種類を全部暗記する必要はなく、「自分が扱う加工(孔あけ・切断・研削)でどんなバリが出るか」だけ押さえておけば現場では十分です。
バリ取りの必要性
バリ取りが必要な理由は、結論「精度・機能・安全のすべてに悪影響が出るから」です。バリを残すと、具体的には次のような不具合につながります。
- 組付け精度の低下:接合面にバリが挟まると部材が密着せず、寸法や姿勢がずれる。計測誤差の原因にもなる
- 故障・摩耗の原因:バリが脱落して異物になったり、流体の流れを妨げたり、他の部材を傷つけたりする
- 怪我のリスク:金属のバリはカミソリのように鋭く、作業者やエンドユーザーが触れて怪我をする。労災や賠償につながった例もある
ここで現場でよく問題になるのが「バリなきこと」という図面指示です。これは「バリがない状態にせよ」という意味ですが、どこまで取れば合格かが数値で示されていないため、職人ごとに「経験でなんとなく」判断しているのが実情です。近年は、トラブルを避けるため「バリなきこと」をやめて、面取り寸法(例:C0.2程度)など定量的な指示に切り替える動きも広がっています。現場目線で言えば、曖昧な指示のままだと人によって仕上がりがブレるので、迷ったら発注者・元請に許容範囲を確認するのが安全です。
バリ取りの方法と工具
バリ取りの方法は、結論「機械的に削り取る方法」が基本です。刃物・ヤスリ・ブラシ・砥石などを当ててバリを削り取る機械的方法が中心で、手作業が現場では最も多くなります。このほか、バレル研磨やショットブラストのように砥粒をぶつけて除去する砥粒加工や、炎で焼く・薬品で溶かす・電解研磨といった熱的・化学的・電気化学的方法もありますが、これらは主に工場向けや特殊用途です。建設現場で実際に使うのは、ほぼ機械的な手作業なので、よく使う工具を整理します。
- 金ヤスリ・棒砥石(スティック砥石):角や縁の小さなバリを手で削る。仕上げ向き
- ディスクグラインダー:鉄骨の切断面や孔のバリを一気に削る。現場の主力工具
- バリ取りバー(電動の刃物ツール):縁に沿ってバリを切り取る
- ワイヤーブラシ・カップブラシ:サビ・スケールと一緒にバリ・かえりをならす
- リーマー・面取り器:配管の内側・端部のバリを取る専用工具
使い分けの目安は、大きなバリや切断面はグラインダー、細かい仕上げはヤスリや砥石、配管の内バリはリーマー、と覚えておくと現場で迷いません。
鉄骨のバリ取り(施工方法)
鉄骨のバリ取りで押さえるべきは、結論「孔あけ・切断・開先加工で出るバリを、塗装や組立の前に処理する」ことです。製造業の記事では触れられない、建設現場ならではの場面を整理します。
孔あけ(ボルト孔)では、ドリルやせん断(ポンチ)で孔を開けると、孔の縁、特に裏面(刃の抜け側)にバリが残ります。これを残すと、添え板やガセットプレートが密着せず、ボルトの締め付けや摩擦接合面に悪影響が出ます。高力ボルトの摩擦接合面は特に重要で、バリやかえりは除去して密着を確保します。
ガス切断(溶断)では、切断面にノロ(スラグ)やザラついた凹凸が残ります。これは厳密にはバリとは別物ですが、現場では同じように「切断面の処理」としてグラインダーで仕上げます。切断面が荒いまま開先として使うと、溶接の品質に影響するため、開先加工とあわせて整えます。開先や継手の考え方は次の記事が参考になります。


塗装前の処理も重要です。鉄骨のエッジやバリが尖っていると、その部分は塗膜が薄くなって付きにくく、早期の発錆・塗膜剥離の起点になります。だから防錆塗装の前に、エッジのバリをグラインダーやサンダーでならして塗料が乗りやすい状態を作ります。鉄骨塗装の流れは次の記事にまとまっています。

正直なところ、鉄骨のバリ取りは「見た目を整える作業」ではなく、ボルト接合・溶接・塗装という後工程の品質を担保するための前処理だと捉えると、なぜやるのかが腑に落ちます。
配管のバリ取り(施工方法)
配管のバリ取りで最重要なのは、結論「切断とねじ切りで出る内外のバリを取り、流体の流れと接合の確実性を守る」ことです。ここも建設・設備現場ならではの話で、競合の製造業記事では空白になっている領域です。
金属管(鋼管など)を切断すると、切り口の内側に「かえり(内バリ)」が出ます。これを残したまま使うと、管の内径が狭まって流体の抵抗になり、給水なら流量低下、排水なら詰まりや乱流の原因になります。だからパイプリーマーや面取り器で内バリを削り、内径を元通りに通します。外側のバリも、継手にきちんと差し込むために面取りしておきます。
ねじ切り(ねじ込み継手用)でも、ねじを切った端部にバリが出ます。バリが残るとシールテープやシール材が噛みにくく、ねじ込み継手の気密が確保できずに漏水につながります。ねじ込み継手の施工は次の記事が詳しいです。

樹脂管(塩ビ管など)も面取りが必要です。塩ビ管を切断したら、接着接合の前に面取り器やヤスリで端部を面取りします。面取りせずに差し込むと、継手内の接着剤を端部がかき取ってしまい、接着不良や漏れの原因になります。面取りは「やってもやらなくてもいい仕上げ」ではなく、接合品質を左右する正規の工程です。
配管の塗装やSGPなど素材ごとの扱いも合わせて押さえておくと、現場での判断が早くなります。

実務だと、配管のバリ取り・面取りを省くと、水を流して初めて漏れや流量不足が発覚する、という後戻りになりがちです。切ったら面取り、をルーティンにしておくのが結局いちばん早いです。
バリ取りの注意点と必要な資格
バリ取り作業の注意点は、結論「自分が怪我をしないこと」と「製品(母材)を傷つけないこと」の2つです。
まず安全面です。バリ自体が鋭利なので、素手で触ると手を切ります。さらにグラインダーや砥石を使う作業では、火花・粉じん・砥石の破損といった危険が伴います。防護メガネ・防じんマスク・革手袋などの保護具を着け、作業環境を整えてから行います。
母材を傷つけない配慮も必要です。グラインダーを当てすぎると、バリだけでなく母材まで削って寸法を狂わせたり、傷を付けたりします。素材の強度に合った工具と力加減を選び、必要以上に削らないのが基本です。
資格についても触れておきます。研削といし(グラインダーの砥石やディスク)を使う作業や砥石の取り替えには、労働安全衛生法に基づく「研削といし取替試運転作業者」の特別教育が必要です。18歳以上であれば登録教習機関などで1日程度の学科・実技で取得できます。現場でグラインダーを扱う以上、関わる作業者が受講済みかを確認しておくのは施工管理の役割です。僕の考えでは、バリ取りは「誰でもできる簡単な作業」と軽視されがちですが、工具の危険性と後工程への影響を考えると、安全と品質の両面でちゃんと管理すべき工程です。
バリ取りに関するよくある質問
Q1:「バリなきこと」とはどこまでやればいいのですか?
「バリがない状態にする」という指示ですが、明確な数値基準がないのが実情です。一般には、手で触ってかえりを感じない、組付けや接合に支障がない程度まで取れば合格とされます。ただし人によって判断がブレるため、近年は「C0.2の面取り」など定量的な指示に置き換える現場が増えています。曖昧なまま進めず、許容範囲を発注者・元請に確認するのが確実です。
Q2:配管の内バリは取らないとどうなりますか?
内バリを残すと、その分だけ管の内径が狭まり、流体の抵抗になります。給水管なら流量低下や圧力損失、排水管なら詰まりや乱流の原因になり、内バリに異物が引っかかって堆積することもあります。金属管を切ったらパイプリーマーや面取り器で内バリを除去し、内径を元通り通すのが基本です。通水・通気して初めて不具合が出ると後戻りが大きいので、切断時に必ず処理します。
Q3:塩ビ管にも面取りは必要ですか?
必要です。塩ビ管を切断したら、接着接合の前に面取り器やヤスリで端部を面取りします。面取りをしないと、継手に差し込む際に端部が継手内の接着剤をかき取ってしまい、接着剤が足りなくなって接着不良・漏れの原因になります。面取りは接合品質を確保するための正規の工程で、省略してよいものではありません。
Q4:バリ取りにグラインダーを使うのに資格はいりますか?
研削といし(砥石・ディスク)を取り替えたり試運転したりする作業には、「研削といし取替試運転作業者」の特別教育が必要です。グラインダー作業は火花・粉じん・砥石破損などの危険を伴うため、特別教育の受講に加え、保護メガネ・防じんマスク・手袋などの保護具を着用して作業します。施工管理としては、作業者が特別教育を修了しているかを確認しておきます。
Q5:鉄骨は塗装前にバリ取りが必要ですか?
必要です。鉄骨のエッジやバリが尖っていると、その部分は塗膜が薄くなって付着が弱く、早期の発錆や塗膜剥離の起点になります。そのため防錆塗装の前に、エッジのバリをグラインダーやサンダーでならして、塗料が均一に乗る状態を作ります。バリ取りは塗装の耐久性を左右する前処理として位置づけられます。
バリ取りに関する情報まとめ
- バリ取りとは:加工で生じた突起・かえり(バリ)を除去する作業。図面の「バリなきこと」は除去の指示
- バリの種類:切削・研削・せん断・鋳造・成形・塑性変形バリ。加工方法で出方が変わる
- 必要性:組付け精度の低下、故障・摩耗、怪我の防止のため。「バリなきこと」は数値指示への置き換えが進む
- 方法と工具:手作業の機械的除去が中心。ヤスリ・砥石・グラインダー・リーマー・面取り器を使い分ける
- 鉄骨のバリ取り:孔あけ・ガス切断・開先のバリを、ボルト接合・溶接・塗装の前に処理する
- 配管のバリ取り:切断の内外バリ、ねじ切りのバリ、樹脂管の面取り。流量・気密・接着品質を守る
- 注意点と資格:保護具で怪我を防ぎ、母材を傷つけない。グラインダー作業は研削といし取替試運転作業者が必要
以上がバリ取りに関する情報のまとめです。
バリ取りは単純な後始末に見えますが、鉄骨ならボルト接合・溶接・塗装の品質、配管なら流量・気密・接着の確実性を左右する、後工程を支える前処理です。バリの基礎を押さえた上で、鉄骨の孔あけ・切断、配管の切断・ねじ切りといった建設現場の素材ごとに「どこまで・どの工具で取るか」を理解しておくと、現場で職人に的確に指示できるようになります。配管溶接や継手、塗装といった関連工程と合わせて押さえておくと、バリ取りの位置づけがより明確になるはずです。

