- 日照時間ってなに?
- 気象庁の定義は?
- 日本の地域別の日照時間は?
- 日射時間と日照時間の違いは?
- 日影規制とは関係ある?
- 建築設計でどう使う?
上記の様な悩みを解決します。
日照時間は天気予報で何気なく耳にする数字ですが、建築設計では「ZEHの太陽光発電量シミュレーション」「パッシブデザインの日射取得計画」「採光計算」など、具体的な設計判断に直結する重要な気象データです。日影規制とは別物なのでセットで整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
日照時間とは?
日照時間とは、結論「直達日射量が一定以上ある時間(地面に直接日が当たっている時間)の合計」のことです。英語では sunshine duration または sunshine hours と書きます。
気象庁による定義では、直達日射量が0.12kW/m²(120W/m²)以上の時間の合計が日照時間。要は「人が見て『日が出ている』と感じる程度の強さで太陽光が地面に届いている時間」を測っているデータですね。地表面に直接届く太陽光(直達日射)が基準で、雲や霧で遮られた時間はカウントされません。
僕としては、日照時間は「建築設計の判断軸として使われる重要な気象データ」だと捉えていて、太陽光発電・ZEH・パッシブデザインを語るときの基礎ピースになるなと感じます。
似た言葉に「日射量」がありますが別物で、日照時間が「時間の長さ」、日射量は「エネルギー量(MJ/m²やkWh/m²)」を表します。同じ晴天時間でも、太陽高度や大気透過率で日射量は変わる、というのが両者の違い。建築設計で太陽光発電のシミュレーションをするなら主に日射量、日影規制や採光検討では日照時間(と太陽高度)を使う、という棲み分けです。
気象庁の日照時間の定義と測定
日照時間の正確な定義と測定方法を整理します。建築設計の数値の根拠になるので、要点を押さえておきましょう。
定義は「直達日射量が0.12kW/m²(120W/m²)以上の時間の合計」で、太陽が出ていても薄雲で日射が弱まると日照時間に含まれないルール。1時間あたりの日照時間は最大60分。測定機器は太陽追尾型直達日射計(現在の標準)で、太陽の位置を追って直達日射のみを計測します。
全国の気象台・特別地域気象観測所(約150地点)で連続測定されていて、気象庁ウェブサイトで月別・年別の統計が公開されています。平年値は1991〜2020年の30年平均。
実際の建築設計では気象庁データをそのまま使うのではなく、NEDOの「日射量データベース(METPV-20)」を使うことが多いです。これは斜面日射量・全天日射量を含めた詳細データで、太陽光発電シミュレーションの標準データソースですね。
日本の主要都市の日照時間
日本の主要都市の年間日照時間を整理しておきます。
| 都市 | 年間日照時間(h) |
|---|---|
| 那覇 | 約1,800 |
| 高松 | 約2,050 |
| 静岡 | 約2,150 |
| 東京 | 約1,930 |
| 名古屋 | 約2,150 |
| 大阪 | 約2,050 |
| 福岡 | 約1,890 |
| 仙台 | 約1,790 |
| 新潟 | 約1,640 |
| 札幌 | 約1,720 |
| 金沢 | 約1,650 |
- 太平洋側:年間日照時間が長い、冬の晴天日数が多い
- 日本海側:冬は雲が多く日照時間が短い
- 瀬戸内:通年で日照時間が長く晴天率が高い
- 北海道:夏は長いが冬は短い
太陽光発電・ZEHは、日照時間と日射量の両方を考慮した設計が必要。同じ太平洋側でも東京と静岡で年間日射量に差が出るので、シミュレーション結果は地域ごとに見るのが鉄則です。
パッシブデザインの考え方はこちらに詳しいです。

日照時間と日影規制の違い
日照時間と「日影規制(建築基準法第56条の2)」を混同するケースがあるので、整理しておきます。
日照時間(気象観測値)は気象台で測定された実測値で、地域全体の日照環境を示すデータ。設計時は気象庁・NEDOデータで参照します。
日影規制(建築基準法)は中高層建築物が周囲に落とす日影の時間規制。冬至日(12月22日前後)の8時〜16時または9時〜15時に基準が置かれていて、用途地域・建物高さで規制値が決まります。設計時は日影図を作成。
| 用途地域 | 5m〜10m範囲 | 10m超範囲 |
|---|---|---|
| 第一種低層住居 | 3時間以内 | 2時間以内 |
| 第二種中高層住居 | 4時間以内 | 2.5時間以内 |
| 商業以外の他地域 | 5時間以内 | 3時間以内 |
日影規制の対象建物は「用途地域+高さ条件」で決まって、低層住居地域では軒高7m超または地上3階以上、中高層住居地域では高さ10m超、というラインが目安。ここを超える計画では日影図が確認申請の必須書類になります。
建築設計での日照時間の活用
日照時間と日射量データが建築設計でどう使われるかを整理します。
- 太陽光発電の年間発電量シミュレーション
- ZEH認証取得(一次エネルギー消費量削減量計算)
- パッシブデザインの日射取得計画
- 採光計算(居室の採光面積要求)
- 日射熱取得率(η値)の評価
- ソーラー集熱・自然換気の計画
- 隣地配慮・日照シミュレーション
- ヒートアイランド対策(屋上緑化・クールルーフ)
冬は南面の窓を大きく取って日射熱を取得、夏は庇・ルーバーで日射遮蔽、というのがパッシブデザインの王道。太陽軌道シミュレーションで季節別の日射条件を確認します。
日照時間を扱うときの注意点
実務で日照時間データを使うときに気をつけたいポイントを整理します。
注意点①:観測地点との距離と日射量データの区別
気象台のデータは観測地点のもので、現場とはマイクロ気候で差が出る場合があります。都市部のヒートアイランドや山間の日照不足は別途確認が必要。日照時間は時間(h)、日射量はエネルギー(MJ/m²)、と単位が違うので太陽光発電シミュレーションは日射量を使う点にも注意。
注意点②:直達・散乱・全天と斜面日射量
直達日射量(太陽から直接)、散乱日射量(雲・大気で散乱)、全天日射量(直達+散乱)と種別があるので、用途でデータを使い分けます。屋根面(傾斜・方位)に届く日射量は水平面とは違うので、斜面日射量の換算式またはNEDOの斜面データを使うのが正解。
注意点③:気候変動と季節差
平年値は10年ごとに更新されるので、直近の温暖化・気象パターン変化を考慮するのが安全側。同じ年間日照時間でも夏型・冬型で意味が違うので、パッシブデザインは月別の日射量で評価するのが基本です。太陽光発電・ZEHの認証は補助金申請でシミュレーション結果が問われるので、データ出典・計算条件・前提条件を必ず明記する習慣をつけておくと、後の指摘対応がスムーズです。
日照時間に関する情報まとめ
- 日照時間とは:直達日射量120W/m²以上の時間の合計
- 日射量との違い:日照は「時間」、日射量は「エネルギー」
- 日本の年間日照時間:太平洋側1,900〜2,200h、日本海側1,600〜1,700h
- 日影規制との違い:日照時間は観測値、日影規制は法規
- 建築設計:太陽光発電/ZEH/パッシブ/採光/日照シミュ
- 注意点:観測地点距離/日射量との混同/斜面日射量/気候変動
以上が日照時間に関する情報のまとめです。
日照時間は天気予報の何気ない数字ですが、建築設計では太陽光発電・ZEH・パッシブデザインの計算根拠として欠かせない気象データです。施工管理者としても、施主に「この土地はZEH向きか」を聞かれたときに地域の年間日照時間と日射量の概算が頭に入っていれば、即答できる場面が増えます。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。
合わせて読みたい記事はこちら。


