- CLT建築って何のこと?
- どんな構造なの?
- 強度はどれくらい?
- 価格は他工法と比べてどう?
- メリットとデメリットは?
- どんな建物に向いてる?
- 法令上はどう扱われてる?
上記の様な悩みを解決します。
CLT建築は2010年代後半から急速に注目を集めている新世代の木造工法です。中大規模木造を可能にする技術として国産材活用・カーボンニュートラルとも紐づき、政策的にも後押しされています。意味と特徴を押さえておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
CLT建築とは?
CLT建築とは、結論「Cross Laminated Timber(直交集成板)を主要構造材として使った中大規模木造建築」のことです。
CLTはひき板(ラミナ)を繊維方向が互いに直交するように積層接着した厚板パネル。寸法は厚み90〜210mm、幅2〜3m、長さ12m超まで対応可能で、これを壁・床・屋根の構造体として使います。2014年にJAS規格(日本農林規格)が制定され、2016年には建築基準法告示で構造設計法が整備されて、日本でも本格的な普及がスタート。
僕としては、CLTは「木造の規模上限を解放する工法」だと捉えていて、政策面のカーボンニュートラル方針や国産材活用とも合致するので、今後ますます存在感が増していくテーマだなと感じます。
新工法全般の動向はこちらも参考になります。

CLT建築の構造的な特徴
CLTパネルの特徴を整理します。
- 直交積層で面内・面外ともに高剛性
- 幅3m・長さ12mの大判パネルを工場製作
- CNC加工で開口・配管経路まで作り込み済み
- 同強度のRCの約1/5の重量
- 表しで使えば木の質感がそのまま意匠
工場で完全プレファブして現場では「組み立てるだけ」で躯体が立ち上がる、というのがCLTの最大の魅力です。軽量で基礎も軽くできるため、地盤改良コストも削減できるのが派生メリット。
CLTの強度と価格
CLTの強度はラミナの等級(M30A、M60Bなど)で決まります。日本国内のJAS規格では、曲げ強度(縦継手なし)18〜24 N/mm²、圧縮強度(繊維方向)18〜25 N/mm²、せん断強度3〜5 N/mm² が代表値。
参考としてSN材(建築構造用鋼材)の降伏点が235〜355 N/mm²なので、強度密度(強度÷比重)で見ると鋼に近い性能を出せるのがCLTの強み。国産材(スギ・ヒノキ)はラミナとして使えるため、林業の活性化と紐づいた政策的後押しがあります。
価格はCLTパネル単体で15万〜25万円/m³。比較として一般的な集成材が8〜15万円/m³、普通コンクリート1.5〜2万円/m³、鉄骨(H鋼)13〜18万円/m³。材料単価だけ見るとCLTは高めですが、施工性の良さ・工期短縮・基礎軽減を加味するとトータルで競争力が出てくる、というのが現在の状況。普及が進めば単価はさらに下がる見込みです。
CLT建築のメリット
実務での導入メリットを整理します。
- 工期短縮(RC造の半分で躯体完了の事例も)
- CO₂固定(成長時に吸収したCO₂を建材として固定)
- 軽量で耐震性向上(地震力=質量×加速度が小さい)
- 内装材を兼ねる(表し仕上げで仕上工事を圧縮)
- 5〜10階建ての中大規模木造が現実的に
特に「工期短縮」と「CO₂固定」は政策的・経済的なメリットの両輪になっていて、CLT普及の起爆剤になっています。新築工事全体の流れと合わせて押さえると、CLTのメリットが活きる場面が見えてきます。

CLT建築の課題と注意点
一方でデメリット・課題もあります。
- 国内製造拠点が限られ材料単価が高め
- 中規模以上では準耐火・耐火被覆が必須
- 設備配管・電気配線は工場段階で開口必須
- 法令整備が途上で大臣認定・個別評価のケースも
- 設計・施工に習熟した会社がまだ少ない
耐火被覆の話はこちらも参考に。

CLTパネル同士、CLTと柱・梁、CLTと基礎の接合部は、専用金物(ビスやドリフトピン、引きボルトなど)で接合します。接合金物の本数・配置・締付トルクが構造耐力を直接決めるため、施工管理として最重要のチェックポイント。接合金物の話はこちらも。

含水率の管理も大事で、CLTは木材なので含水率の変化で寸法が変わります。納入時の含水率(一般に12〜15%)を維持するため、現場保管時は雨ざらしを避け、シート養生で管理します。
CLT建築に関する注意点
施工管理として押さえたい3点をまとめます。
注意点①:設計段階で配管・配線を完全に詰める
CLTパネルは現場で穴あけが難しいため、工場段階で開口を作り込む必要があります。設計段階で電気・設備の納まりを完全に決めておくことが必須で、従来のRC・S造より前倒しで詳細設計を固める必要があります。
注意点②:接合金物の品質管理
接合部の品質がCLT建築の耐震性能を決めます。本数・配置・締付トルクを設計図書通りに、施工立会いで確認する習慣を。
注意点③:施工後の追加開口は禁忌
施工後の追加開口は構造耐力に直結するため、躯体検査の段階で「これ以上は穴あけ不可」と建築・設備で合意を取っておくと、後々のリフォームトラブルを防げます。僕としても、CLT建築は「設計時の決定がそのまま運用に効く」工法だなと感じていて、初期段階での協議の密度がすべてだと思います。
CLT建築に関する情報まとめ
- CLT建築とは:直交集成板を主要構造材とした中大規模木造
- 構造的特徴:直交積層で高剛性/大判プレファブ/軽量/木質感
- 強度:曲げ18〜24 N/mm²、繊維方向圧縮18〜25 N/mm²
- 価格:15〜25万円/m³、施工性で総コスト競争力
- メリット:工期短縮/CO₂固定/軽量・耐震/中規模木造化
- 課題:材料単価/耐火被覆/配管納まり/法令整備/経験者不足
以上がCLT建築に関する情報のまとめです。
CLTは「木造の上限を解放する」工法として政策的にも実務的にも注目度が上がっています。電気・設備サイドから関わる場合は、工場段階で開口・スリーブを作り込む必要があるため、従来工法より前倒しで詳細設計を固めるのがコツ。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。
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