- ABRアンカーボルトって何?
- ABMと何が違うの?
- 規格はJIS B 1220で合ってる?
- 寸法のラインナップは?
- 施工方法は?
- 曲げ加工はNGって本当?
- ABRとABM、どっちを選ぶ?
上記の様な悩みを解決します。
ABRアンカーボルトは構造用アンカーボルトの代表的な規格の1つで、鉄骨柱脚の固定では必ず登場します。ABMとセットで「JIS B 1220」に統合されている部材なので、両者の違いと使い分けを理解しておくと現場で迷いません。アンカーボルト全般の話とは切り分けて、ここではABRの「規格・選び方・実務上の注意点」に絞って整理します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ABRアンカーボルトとは?
ABRアンカーボルトとは、結論「JIS B 1220で規格化された、転造ねじによる構造用両ねじアンカーボルト」のことです。ABRは Anchor Bolt for Round(または Anchor Bolt R-type)の略で、「転造(Rolling)でねじを作っているアンカー」を表すんですね。
鉄骨建物の柱脚を基礎コンクリートに固定する標準部材で、両端にねじが切られた直線の丸鋼に、ナット・座金がセットになって流通しています。中規模の鉄骨造ではほぼこれが採用されるので、施工管理として一度は触れる定番アンカーです。
アンカーボルト全般・選定の話はこちらに整理しています。

ABRとABMの違い
ABR・ABMの2種類が同じJIS B 1220に統合されていて、ここを混同すると発注ミスや構造性能不足を起こします。違いを整理しておきましょう。
| 観点 | ABR(転造ねじ) | ABM(切削ねじ) |
|---|---|---|
| ねじの作り方 | 圧力をかけて転がして整形 | 削って作る |
| 適用サイズ | M16〜M48 | M24〜M100 |
| ねじピッチ | 並目ねじ | 細目ねじ |
| 伸び性能 | ABMより小 | 約2倍の伸び |
| 価格 | やや安い | やや高い |
| 主な用途 | 中規模〜大規模S造 | 大規模・超高層・重要施設 |
設計時の使い分けは「ABRが標準」で、中小規模S造の柱脚やコスト重視の現場で選ばれます。一方の「ABMは大規模・超高層、地震時の塑性変形性能を要求される構造、重量機械の据付」で出番が来る、という整理。
ABMの細目ねじは、ねじ部の有効断面積(Ae)を軸部断面積(Ab)に近づけることで「ボルト全体が均等に伸びる」性能を持たせています。地震時のエネルギー吸収が必要な部位では、この粘り性能の差が効いてくるわけです。僕としても、ここの違いは「構造設計者がABM指定にしてきたら、絶対にABRで代用しない」という鉄則として持っておくべきポイントだと思っています。
ABRの規格と寸法
JIS B 1220 で定められたABRの代表的なサイズはこちら。
| 呼び径 | ねじピッチ | 有効断面積 |
|---|---|---|
| M16 | 2.0 | 157 mm² |
| M20 | 2.5 | 245 mm² |
| M24 | 3.0 | 353 mm² |
| M30 | 3.5 | 561 mm² |
| M36 | 4.0 | 817 mm² |
| M42 | 4.5 | 1,121 mm² |
| M48 | 5.0 | 1,473 mm² |
- ボルト全長:呼び径(d)の25倍以上
- ねじ部長:3d以上
- ナット高さ:0.8d
- 座金の厚さ:サイズ別に規定
材質はSNR400B・SNR490Bが炭素鋼の標準で、ステンレスはSUS304A(M24〜M48)が用意されています。発注時にはサイズと材質を一緒に指定するのがルールですね。
ABRの施工方法
先付け(コンクリート打設前)の標準的な手順を整理します。
- アンカーフレーム(テンプレート)の組立
- ABRをフレームに位置決め、本数・通り・高さを確認
- 配筋との干渉確認
- レベル・通り・出を最終測定
- コンクリート打設
- 養生後、ナットで鉄骨柱脚と接合
最重要管理項目は「フレームの精度」。打設の振動でズレると、後から鉄骨柱が乗らない事故に直結します。建方の鉄骨屋さんから「アンカーが◯mmズレてる、合わない」と連絡が来るのは、ほぼここの段取りの失敗が原因なので、打設前のフレーム固定と最終測量は本当に丁寧にやりたいところ。
施工管理の全体像はアンカーボルト記事も参考に。

打設中はコールドジョイント・ジャンカ対策も並行で進めます。

ABRに関する重要な注意点
ABRを扱うときに絶対外せない点が4つあります。
注意点①:曲げ加工は絶対NG
ABRは転造で作られているため、後から曲げると応力集中で破断します。「現場で少し曲げて納める」という鉄筋系の感覚で扱うと、後から破断事故になります。曲げが必要な場合は別途熱間加工が必要で、加工後の品質保証も別物の世界。図面通りに発注して、現場では絶対に曲げない、というのが鉄則です。
注意点②:ねじ部の保護
打設前にねじ部にビニールテープやキャップを巻いて、コンクリートが付着しないようにします。付着したまま固まると、ナットが噛まなくなって最悪アンカー全数アウト、ということもあります。
注意点③:突出長さの管理
ベースプレートの厚み+ナット高さ+座金厚さ+ねじ込み代を計算して、突出長さを決めます。
必要突出長さ = ベースプレート厚 + ナット高さ + 座金厚 + 余裕(10mm程度)
短いとナットが噛まないし、長すぎるとねじ山が露出して見栄えが悪い。発注時のサイズ選定で確実に決めておきましょう。
注意点④:防錆処理
屋外用や腐食環境では、溶融亜鉛めっきまたはステンレスを選定します。亜鉛めっき品はナットも対応品でないと噛みが悪くなるので、ボルト・ナット・座金で一式そろえる、というのが基本動作です。
ABRの代替・関連製品
ABR以外のアンカーボルト規格も並べておきます。
ABMが切削ねじでJIS B 1220に統合されている関連品。後施工アンカーには金属拡張式や化学的接着式があって、施工途中で追加する場合や、コア抜き後の機械据付などで使われます。木造住宅用ではHD金物(ホールダウン)が引抜抵抗金物として知られています。
機械的・化学的な後施工アンカーはこちらにも整理しています。

ABRアンカーボルトに関する情報まとめ
- ABRアンカーボルトとは:JIS B 1220で規格化された転造ねじの構造用両ねじアンカー
- ABMとの違い:ABRは転造・M16〜M48・並目、ABMは切削・M24〜M100・細目
- 規格寸法:M16〜M48、ボルト全長は呼び径の25倍以上、ねじ部長3d以上
- 施工方法:アンカーフレームで位置決め、打設、養生後ナットで接合
- 注意点:曲げ加工厳禁/ねじ部保護/突出長さ管理/防錆処理
- 関連製品:ABM、後施工アンカー、HD金物
以上がABRアンカーボルトに関する情報のまとめです。
ABRは中規模S造の柱脚で「標準的に出てくる」規格ですが、転造ねじゆえに「曲げ厳禁」「ねじ部保護必須」など扱いに作法があります。アンカーボルト全般の話と合わせて理解しておくと、施工管理として鉄骨建方の最初の関門をスムーズに乗り越えられるはず。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。
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