- シールド工法ってどんな工法?
- 土圧式と泥水式って何が違うの?
- 地盤によって工法を選ぶの?
- 推進工法と何が違う?
- セグメントって工場製作?
- 大深度地下も対応できる?
上記の様な悩みを解決します。
シールド工法は、地下鉄・下水道・電力管路など地下インフラのトンネル工事で主流の工法です。「土圧式と泥水式のどちらを選ぶか」が施工計画の最重要判断で、地盤調査結果から逆算する必要があります。施工管理者として工法選定のロジックを整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
シールド工法とは?
シールド工法とは、結論「シールドマシンと呼ばれる円筒状の掘削機を地中で前進させながら、後方でセグメントを組み立ててトンネルを構築する工法」のことです。
英語では「Shield Tunneling Method」。
シールド工法の基本仕様
- 円筒状のシールドマシンで掘削
- マシン内で地山の崩落を防ぐ(チャンバー方式 or 機械式)
- 後方でセグメント(プレキャストコンクリート or 鋼製の覆工材)を組み立て
- 直径φ2〜15mまで対応
- 長距離掘進(数km級)が可能
- 市街地・地下水位の高い場所でも施工可
「掘削機で掘りながらセグメントで覆って一体のトンネルを作る」工法で、地下インフラの基幹技術です。
推進工法との比較はこちら(口径と距離で住み分け)。

土圧式・泥水式の根本的な違い
施工管理者として最重要なのが、「土圧式と泥水式の根本的な違い」を理解することです。両者は切羽(掘削先端)の支保方式が決定的に違います。
土圧式シールドの仕組み
- 掘削した土砂をチャンバー内に保持
- その土砂自体が切羽の地山を押さえる支保になる
- スクリューコンベアで連続排土
- 泥水処理プラントが不要
泥水式シールドの仕組み
- 泥水(ベントナイト溶液)を切羽に圧入
- 泥水圧で切羽の崩落を防ぐ
- 掘削土砂は泥水と一緒に流体輸送して排出
- 泥水処理プラント(沈澱・脱水)が必須
両者の比較表
| 項目 | 土圧式 | 泥水式 |
|---|---|---|
| 切羽支保 | 掘削土砂で押さえる | 泥水で押さえる |
| 排土 | スクリューコンベア | 流体輸送 |
| 処理施設 | シンプル | 泥水処理プラント必須 |
| 環境負荷 | 小(土を埋め戻し可) | 中(泥水処理が必要) |
| 適性地盤 | 砂質土・粘土 | 砂礫・玉石まじり地盤 |
| コスト | 安い | 高い |
| 国内シェア | 圧倒的 | 大型・特殊 |
「国内の中小〜中規模シールドは土圧式、超大型・特殊地盤は泥水式」という大まかな住み分けです。
地盤別の工法選定
施工管理者として、地盤調査結果からどの工法を選ぶかの判断軸を整理します。
地盤別の工法選定フロー
| 地盤 | 推奨工法 | 理由 |
|---|---|---|
| 砂質土(締まった) | 土圧式 | 土砂自体が切羽支保になる |
| 粘性土 | 土圧式 | 粘土の自立性が高い |
| 砂礫・玉石まじり | 泥水式 | 土圧式だとスクリューが詰まる |
| 砂質土+地下水位高 | 土圧式(高水圧対応) or 泥水式 | 状況次第 |
| 軟弱粘土+地下水高 | 泥水式 | 安定液で支持 |
| 大深度(30m超) | 泥水式 | 高水圧に対応 |
| 大口径(φ8m超) | 泥水式 | 切羽の自立確保 |
判断の実務感覚
- 標準的な砂質土・粘土なら土圧式で問題ない
- 玉石・転石が混じる地盤なら泥水式を真剣に検討
- 直径φ8m超 or 大深度なら泥水式
地盤調査結果(N値・土質柱状図・地下水位)を着工前に必ず確認する必要があります。
地盤の話はこちら。

セグメントとシールドマシン
シールド工法の構造的な要素を整理します。
シールドマシンの主要部分
- カッターヘッド:先端の掘削刃
- シールド本体(外殻):地山を支持
- チャンバー:掘削土砂を保持(土圧式)
- スクリューコンベア:排土(土圧式)
- 泥水循環装置:泥水管理(泥水式)
- エレクター:セグメント組立装置
- 推進ジャッキ:シールド前進
- テールシール:止水
セグメントの種類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| RCセグメント | 鉄筋コンクリート、最普及 | 一般的なシールドトンネル |
| 鋼製セグメント | 高強度、コスト高 | 大型、特殊用途 |
| 鋳鉄セグメント | 古典的 | 過去の地下鉄等 |
| 合成セグメント | 鋼+RC | 大規模・最先端 |
セグメントは1リング当たり5〜8分割で工場製作され、現場でエレクターで組み立てます。
コンクリートセグメントの話

施工管理の要点
シールド工法の施工管理で押さえるべきポイントを整理します。
1. 工法選定の妥当性検証
地盤調査結果から、土圧式 or 泥水式の選定が妥当か再確認。選定ミスは取り返しがつかない(マシンの作り直しに発展)。
2. 立坑の精度
発進立坑・到達立坑の位置精度・垂直精度が、その後の掘進精度に直結。シートパイル等で土留め。
シートパイルの話はこちら。

3. 掘進方向の制御
レーザー測量で設計線形からのズレをリアルタイム制御。
4. セグメント組立精度
1リングの組立精度が±5mm以内を確保。
5. 裏込め注入
セグメント外周の空隙にグラウト注入して、地山との一体化と地表沈下抑制。
6. 沈下監視
地表面に変位計測機を設置し、トンネル掘進による地表沈下をモニタリング。沈下量2cmを超えたら一時停止等の判断基準を事前設定。
7. 出水・湧水対応
特に泥水式では泥水圧の管理失敗で噴発(地表への噴出)事故が発生する可能性。緊急停止手順の周知が必須。
シールド工法に関する情報まとめ
- シールド工法とは:シールドマシンで掘進+セグメント覆工する地下トンネル工法
- 土圧式vs泥水式の違い:切羽支保が掘削土砂か泥水か、処理施設の規模、コスト
- 地盤別選定:砂質土・粘土→土圧式、玉石まじり→泥水式、大深度・大口径→泥水式
- マシン構造:カッター+本体+チャンバー+エレクター+推進ジャッキ
- セグメント:RCセグメントが普及、1リング5〜8分割
- 施工管理の7要点:工法選定検証/立坑精度/掘進方向制御/組立精度/裏込め注入/沈下監視/出水対応
シールド工法は「巨大マシンで掘るだけ」ではなく、地盤調査からの工法選定が成否を決める繊細な工種です。「この地盤で、土圧式 or 泥水式のどちらか、その理由は何か」を明文化できると、地下インフラ工事の話が深まります。
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