- 建築基準法20条って何が書かれているの?
- 第1号〜第4号って何を分けているの?
- 構造計算ルートとの関係を整理したい
- 2025年の改正で何が変わったの?
- 施工管理として何に気を付ければいい?
上記の様な悩みを解決します。
建築基準法20条とは、結論「建築物が地震・風・荷重などに対して安全であるよう、構造耐力の確保を義務付けている法律の中核条文」のことです。建物の規模や用途に応じて第1号〜第4号の区分が定められていて、それぞれで求められる構造計算の精度が違います。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
建築基準法20条とは?
建築基準法20条は「構造耐力」に関する規定で、建築物が自重・積載荷重・積雪・風圧・土圧・水圧・地震その他の振動・衝撃に対して安全な構造でなければならないことを定めています。
条文の構造はざっくりこんな並びです。
- 第1項:すべての建築物は、構造耐力上安全な構造でなければならない(総則)
- 第1項各号(第1号〜第4号):建物の規模・用途に応じて、満たすべき構造計算・仕様規定の内容を区分
- 第2項:政令で定める基準に適合させる旨の規定(細則は施行令へ委任)
ざっくり言うと「建物が地震や荷重で壊れないように、規模ごとに必要な計算と確認をやってください」というのが20条のメッセージ、と言えばイメージしやすいですね。
20条と構造計算ルートの関係
20条で定められた区分(号)と、実務で使われる「構造計算ルート1〜3」は別物ですが、内容としては連動しています。号で「どこまで厳密に検討するか」が決まり、その中でルート1〜3を選ぶ、というイメージです。
詳しい計算ルートの分け方は構造計算ルートの記事にまとめているので、合わせて読んでみてください。
建築基準法20条の構造(第1号〜第4号)
20条の核心は、建築物を規模・用途で4つの号に区分し、それぞれに必要な構造設計の方法を定めている点です。改正前の旧体系では以下のように整理されていました。
| 号区分 | 対象建築物の例 | 求められる構造設計 |
|---|---|---|
| 第1号 | 高さ60m超の超高層建築物 | 時刻歴応答解析+大臣認定 |
| 第2号 | 高さ60m以下の大規模建築(一定規模超のRC造・S造、大規模木造など) | 保有水平耐力計算、限界耐力計算など(ルート2・3相当) |
| 第3号 | 中規模建築(一定規模を超えるもの) | 許容応力度等計算、保有水平耐力計算等 |
| 第4号 | 小規模建築(木造2階建て以下、延べ床200㎡以下等) | 仕様規定で可(旧4号特例で確認申請審査が一部省略) |
保有水平耐力や限界耐力計算の中身は別の記事に譲るとして、ここでは「20条が建物の規模で構造設計のレベルを区分けしている」というところを押さえてください。
号区分はあくまで「最低ライン」
注意したいのは、号区分はあくまで「これ以上のレベルで構造設計しなさい」という下限を定めたもので、実務ではより上位のルートを採用するケースも珍しくありません。たとえば本来は許容応力度計算で済む規模の建物でも、構造形式(ピロティ階を持つ等)の事情でルート3を選ぶ、というのは普通にあります。
建築基準法20条 2025年4月改正の影響
ここが最近の最大の論点で、施工管理者として絶対に押さえておきたい部分です。2025年4月1日施行の改正で、いわゆる「4号特例」の見直しが行われました。
4号特例とは何だったのか
旧4号特例とは、20条第1項第4号に該当する小規模建築(特に木造2階建て以下の住宅など)について、確認申請時の構造関係資料の審査を省略できる、という運用でした。趣旨は「小規模建物の確認申請を簡略化する」ことだったのですが、構造関係の専門家以外が手がける住宅でも審査が省略されてしまうため、品質確保上の課題が指摘されていました。
改正内容の概要
2025年4月以降、号区分が再編され、これまでの第4号建築物の多くが「新2号建築物」または「新3号建築物」に振り分けられました。具体的には以下のような実務上の変化が起きています。
- 木造2階建て住宅の多くが新2号建築物に再分類され、確認申請時に構造関係図書の提出と審査が原則必要に
- 大規模木造(CLT建築・木造非住宅大規模など)の規制対象範囲が拡大
- 確認申請の審査時間と必要図書が増加し、設計者の業務量が増える
詳細な改正内容は建築基準法改正2025の記事でまとめているので、最新の運用に合わせて確認してみてください。
改正に至った背景
2016年熊本地震で、旧基準で建てられた木造住宅の倒壊が問題視されたこと、また4号特例で審査が省略されていた住宅の構造的な品質ばらつきが指摘されてきたことが背景にあります。「小規模だから簡略化」から「規模に関わらず確認できる仕組みに」という方針転換、と捉えるとイメージしやすいかと思います。
建築基準法20条に関する施工管理上の注意点
施工管理として、20条そのものを直接適用するのは設計者の領域ですが、以下の点で実務に影響が出ます。
1. 確認申請のスケジュールを長めに見る
特に2025年4月以降に始まった案件では、木造住宅でも構造関係図書の審査が走るため、従来感覚で「確認申請は2週間で下りる」と組むと工程がずれます。設計者から「審査がいつ下りるか」を早めに把握して、地縄→着工までのスケジュールに余裕を持たせるのが鉄則です。
2. 着工後の構造変更が以前より重い
旧4号特例の頃は「現場でちょっと柱位置を動かす」程度の変更が比較的フレキシブルに対応されていましたが、改正後は構造関係資料の修正と再審査が必要になるケースが増えています。「現場で急に変える」のリスクが上がっているので、変更が見えた時点で早めに設計者へ相談する習慣が重要です。
3. 木造工事でも構造図書を読み込む必要が増える
新2号建物として確認申請を受けた木造案件では、許容応力度計算書や壁量計算書が確認申請に添付されています。これまで「木造は経験で組めばOK」だった現場でも、配置図・軸組図・基礎図・構造計算書のセットを丁寧に読み込む必要があります。
改正後に関わった木造2階建ての店舗併用住宅で、構造担当から「壁量計算上、ここの壁にスイッチボックスの開口を切ると耐力が落ちるので別の場所で」と連絡を受けたことがありました。改正前なら「現場で適当に」で済んだかもしれない箇所が、構造計算と紐付いて議論されるようになった、という変化を目の当たりにしました。
4. 確認済証・検査済証の管理がよりシビアに
号区分の判定や審査資料が複雑化したため、確認済証・中間検査・完了検査の証票管理が重要度を増しています。特に完了検査関連の手続きはミスなく進めたいところです。
5. 設計変更時の構造担当の負担増を理解する
設計変更が出るたびに構造担当が再計算を回す状況が以前より増えました。施工側として「変更を出すなら早めにまとめて」という配慮が、結果的に工程の安定につながります。
建築基準法20条に関する情報まとめ
- 建築基準法20条とは:建築物の構造耐力の確保を義務付ける条文
- 第1号〜第4号区分:建物の規模・用途で構造設計のレベルを区分
- 計算ルートとの関係:号区分が「下限ライン」、ルート1〜3が具体的な計算手法
- 2025年4月改正:旧4号特例の見直しで木造住宅も構造関係図書の審査が原則必要に
- 施工管理目線:確認申請スケジュール、構造変更の重さ、木造図書の読み込み
以上が建築基準法20条に関する情報のまとめです。
20条は「建物が壊れないように」という建築基準法の根本に関わる条文なので、ここの考え方を押さえておくと、構造担当・行政・建築主との会話の見通しが良くなります。最新の改正内容と合わせて、構造計算ルート・保有水平耐力・限界耐力計算・建築基準法改正2025あたりも読んでおくと、改正後の現場対応がぐっとスムーズになりますよ。

