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重力式ダムとは?特徴、構造、施工方法、アーチ式との違いなど

  • 重力式ダムってどんなダム?
  • なぜ日本のダムは重力式が多いの?
  • アーチ式やロックフィル式と何が違う?
  • 構造はどうやって水を止めてるの?
  • RCC工法って聞いたけど何?
  • 施工で気を付けるポイントは?

上記の様な悩みを解決します。

重力式ダムとは、結論「コンクリートの自重(重力)で水圧に抵抗する形式のダム」のことです。日本国内で最も採用件数が多いダム形式で、堤体断面が三角形に近い形をしています。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

重力式ダムとは?

重力式ダムとは、ダム堤体(コンクリートのかたまり)の自重で、貯水池からの水圧を「滑る」「転倒する」方向に抵抗させる形式のダムです。英語ではGravity Dam。

ダムには「アーチ式」「ロックフィル式」「中空重力式」などの形式がありますが、その中で最もシンプルな構造原理を持つのがこの重力式。「重い物を置いとけば動かない」という、ある意味で当たり前の力学を使った形式ですね。

日本国内のダムでは件数ベースで最も多く、約半数以上が重力式(ロックフィルとほぼ同程度)です。代表例として、富山の黒部ダムは「アーチ式」ですが、宮ヶ瀬ダム(神奈川)・徳山ダム(岐阜)・滝沢ダム(埼玉)などが重力式の代表例。

ダムの種類記事も併せて読むと、他形式との比較がよりクリアに整理できます。

重力式ダムの構造原理

重力式ダムが水圧に抵抗する力学的な仕組みを整理します。

ダム上流側に貯水された水は、堤体に「水平方向に押す力(水圧)」を加えます。この水圧で堤体には2種類の崩壊モードが想定されます。

  • 滑動(かつどう):堤体がそのまま下流側に滑り出す動き
  • 転倒(てんとう):堤体が下流側に倒れる動き

重力式ダムは、堤体自重(重力)でこれら2つの動きに抵抗します。

滑動への抵抗:堤体重量 × 摩擦係数 > 水圧の水平成分
転倒への抵抗:堤体重量 × 重心の水平距離 > 水圧 × 圧力中心の高さ

要するに「重ければ滑らない・倒れない」というシンプルな原理。だから堤体は三角形(または台形)の大きな塊として作られます。

堤体の断面形状は、上流面はほぼ垂直、下流面は1:0.7〜1:0.8程度の勾配が一般的。これは構造解析と経済性の最適解として、長年の実績から定着している形です。

重力式ダムの種類(細分類)

重力式ダムの中にも、施工材料・工法による細分類があります。

種類 工法 特徴
在来コンクリート重力式 在来工法(柱状ブロック工法) 1mリフトずつ柱状に打設
RCC(ローラーコンパクテッドコンクリート)重力式 RCC工法 振動ローラーで締固め、施工高速化
台形CSG(セメント混合材)ダム CSG工法 現地材料+セメントで台形断面
中空重力式 部分的に中空構造 コンクリート量削減、戦後一時期に多用

在来コンクリート重力式は、伝統的な工法。1リフト1〜1.5m程度の高さで、柱状にブロック分割して打設します。打継目に止水板を入れ、リフトごとに養生し、外周冷却で温度応力を制御します。歴史ある黒部ダム・佐久間ダム・宮ヶ瀬ダムなどはこの工法。

RCC(Roller Compacted Concrete)重力式は、貧配合のコンクリートをブルドーザで敷きならし、振動ローラーで締固める工法。ダンプとブルドーザという土工機械でコンクリートを大量・高速に打設できるのが強み。1990年代以降に普及し、川治ダム改修・浦山ダム・徳山ダムなどで採用されています。

台形CSGダムは、セメント・現地土砂・水を混合した「CSG材」で台形断面のダムを作る、比較的新しい工法。コスト削減と環境負荷低減を狙ったもので、信濃川水系の大山ダム等で採用されています。

中空重力式は、コンクリートを節約するため部分的に内部を空洞にした形式。戦後の資材難時期に採用されましたが、近年はあまり使われません。

重力式ダムの施工方法

代表的な在来工法とRCC工法、それぞれの施工フローを概観します。

在来コンクリート重力式の場合

  1. 基礎掘削・基礎処理:堤体下の岩盤まで掘削し、グラウチング(セメントミルク注入)で岩盤の緩みを補強。
  2. ブロック分割:堤体を5〜15m間隔で縦継目(コンタクションジョイント)で区切る。
  3. 柱状打設:1リフト1〜1.5mで、ブロックごとに順次コンクリート打設。リフト面には水分散布、打継目処理を実施。
  4. 温度応力制御:パイプクーリング(堤体内の水管に冷水循環)で水和熱を除去。
  5. 継目グラウチング:縦継目に後詰めでセメントミルクを注入し、堤体を一体化。
  6. 附属設備設置:取水設備、放流設備、ゲート、管理用通路を設置。

RCC工法の場合

  1. 基礎掘削・基礎処理:在来工法と同じ。
  2. 大型機械配置:RCC専用の大型ベルトコンベヤ、ブルドーザ、振動ローラーを配置。
  3. 層状打設:30cm程度の層厚でブルドーザで敷きならし、振動ローラーで締固め。
  4. 層間処理:層間(リフト間)はモルタルなどで一体化を図る。
  5. 温度管理:水和熱発生量がRCCは在来より少ないが、依然として温度管理は重要。

メリット・デメリット:在来は高品質・実績豊富だが工期・コストが大きい。RCCは工期・コスト面で優位だが、品質管理の難しさ(特に層間接着)が課題。最近の大規模ダムでは両方を組み合わせるハイブリッド工法も使われます。

コンクリートコンクリート打設の基本を押さえておくと、ダムでのコンクリート工事のイメージが掴みやすくなります。

重力式ダムが日本で多い理由

「なぜ日本のダムは重力式が多いのか」を整理しておくと、形式選定の感覚が掴めます。

1. 地形・地質条件

アーチ式ダムは「両岸に堅固な岩盤があり、谷幅が狭い」という条件が必要ですが、日本の山間部はこういう地形が限定的。一方、重力式は「比較的広い谷でも、底面に岩盤があれば施工可能」という汎用性があります。

2. 安全性の高さ

重力式は構造がシンプルで、地震・豪雨など極端な状況下でも挙動が予測しやすい。地震多発国の日本にとって、安全性確保のしやすさは重要な選定基準です。

3. 施工技術の蓄積

日本のダム建設業者・コンサルタントは重力式の施工実績を多数持ち、技術が成熟しています。「実績がある=失敗リスクが低い」という意味で、発注者も重力式を選びやすいのです。

4. 維持管理の容易さ

重力式は構造が単純なので、維持管理(点検・補修・改修)が比較的しやすい。50〜100年単位で運用するダムでは、維持管理性が建設費以上に重要、という観点でも重力式は強いです。

逆にアーチ式が日本に少ないのは、上記1の地形条件が限定されることが大きいです。アーチ式は両岸に強い岩盤があれば、コンクリート量が少なくて済むので経済的なのですが、適地が限られる訳ですね。

重力式ダムの注意点

最後に、施工管理として重力式ダム工事に関わる際の5つの注意点。

1. 基礎処理の徹底

ダムは堤体自重を岩盤に伝える構造です。岩盤に緩み・割れ目があると、滑動・漏水のリスクが激増。コンソリデーショングラウチング(基礎全面注入)・カーテングラウチング(止水ライン注入)など、基礎処理を徹底します。

2. 温度応力管理

ダムのコンクリートは大量打設のため、水和熱で内部温度が大きく上昇します。冷却(パイプクーリング・低発熱セメント・打設ピッチ調整)で温度応力管理を行わないと、温度ひび割れが発生します。

3. 継目処理

縦継目(コンタクションジョイント)への止水板設置、後の継目グラウチングが堤体一体化のキーポイント。施工が雑だと、ここから漏水します。

4. 管理用通路・付属設備の納まり

ダム堤体内には、管理用通路(インスペクションギャラリー)、計測機器、取水設備、放流設備など多くの付属設備が組み込まれます。これらのコンクリート内納まりは、設計段階から3次元的に整理しておく必要があります。

5. 検査・記録の徹底

ダムは50〜100年単位で運用される構造物。施工中の品質試験データ、コンクリ配合データ、温度計測記録などが、将来の維持管理の基礎資料になります。施工要領書施工体制台帳で記録の体系を整え、後代に残せる形で保管することが重要です。

重力式ダムに関する情報まとめ

  • 重力式ダムとは:コンクリート堤体の自重で水圧に抵抗する形式のダム
  • 構造原理:堤体重量で滑動・転倒に抵抗。三角形に近い断面形状
  • 種類(細分):在来コンクリ/RCC/台形CSG/中空重力式
  • 主な工法:在来は柱状打設+パイプクーリング、RCCは振動ローラー締固めで高速施工
  • 日本で多い理由:地形・地質適性、安全性、技術蓄積、維持管理容易性
  • 注意点:基礎処理徹底、温度応力管理、継目処理、付属設備納まり、検査記録

以上が重力式ダムに関する情報のまとめです。

重力式ダムは「重さで止める」というシンプルな原理ながら、施工は土木工事の中でも特殊性が高い領域です。基礎処理・温度管理・継目処理など、ダム特有の管理項目を押さえておけば、ダム工事の現場でも臆せず仕事ができるはずです。合わせてダムの種類アーチダムコンクリートコンクリート打設施工要領書あたりも読んでおくと、ダム関連の知識が立体的に組み上がります。

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