重力式ダムとは?構造、特徴、施工方法、アーチ式との違いなど

  • 重力式ダムって結局どういう仕組みで水を支えてるの?
  • なんで断面が三角形なの?
  • アーチ式と何が違う、どっちが優れてる?
  • 内部コンクリートと外部コンクリートの違いは?
  • RCD工法ってよく聞くけど何のこと?
  • 施工方法は何種類あって、今の主流は?
  • 土木施工管理技士の試験でどこが問われる?
  • ダム現場に配属されたけど何から勉強すれば…
  • コンクリート打設量が桁違いだけどどう打つの?
  • ダムの温度応力(ひび割れ)対策って何?
  • 施工管理として現場で何を管理すればいい?

上記の様な悩みを解決します。

重力式ダムは、日本のコンクリートダムの約9割を占める最もメジャーな型式です。「水の重さをコンクリートの重さで押さえ込むダム」とざっくり理解されがちですが、構造の理屈・使うコンクリート・施工方法・施工管理のポイントを押さえないと、現場でも試験でも芯を食った理解になりません。今回は定義・構造・特徴といった基本を押さえた上で、土木の施工管理目線で「RCD・ELCM・柱状ブロックの使い分け」「温度応力(ひび割れ)対策」「施工管理として何を管理するか」「試験での問われ方」まで、現場で動く話を中心に網羅的に整理しました。

なるべく分かりやすい表現でまとめていくので、ダム現場が初めての方や試験勉強中の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

重力式ダムとは?

重力式ダムとは、結論「コンクリート堤体そのものの重さ(重力)で水圧に抵抗する型式のダム」のことです。正式には重力式コンクリートダムと呼びます。

水を貯めると、堤体の上流面には水深に比例した水圧がかかります。この水圧を、堤体が下流側に倒れたり滑ったりしないように「コンクリートの自重」で押さえ込むのが重力式の考え方です。アーチ式のように水圧を両岸の岩盤に逃がすのではなく、自分の体重だけで踏ん張る、いわば「力ずく」の型式と捉えると分かりやすいです。

日本国内に建設されたコンクリートダムは約1,200基あり、そのうちの約92%が重力式です。世界全体ではダムの約7割が土や岩を使ったフィルダムで、残り3割のコンクリートダムの大半が重力式という構成になっています。

なぜこれほど重力式が多いかというと、理由は大きく2つあります。1つは設計・施工が比較的シンプルで安定していること。もう1つは、アーチ式ほど強固な岩盤を必要とせず、ある程度の地盤条件があれば建設できる適応力の広さです。日本は地形・地盤が多様なので、条件を選ばない重力式が結果的に主流になっています。

ダムの型式全体を整理したい場合は、対になるアーチ式の解説も合わせて読むと違いが立体的に見えてきます。

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個人的には、重力式ダムは「ダムの基本形」として最初に理解しておくべき型式だと考えています。重力式の理屈が分かると、アーチ式・中空重力式・バットレスといった他の型式が「重力式のどこをどう変えたものか」として整理でき、ダム全体の見通しが一気に良くなるからです。

重力式ダムの構造(なぜ三角形断面なのか)

重力式ダムの基本断面は三角形です。横から見ると、上流面はほぼ垂直、下流面が斜めに広がる直角三角形に近い形になっています。

なぜ三角形かというと、水圧の性質に理由があります。水圧は水面からの深さに比例して大きくなり、底に近いほど強くかかります。つまり堤体は「下にいくほど大きな力を受ける」ので、下にいくほど断面を厚くした三角形にするのが、材料を無駄なく使って安定させる理想形になります。上が薄く下が太い形は、水圧の分布にそのまま対応した合理的な形状なのです。

堤体の安定はどう考えるか

重力式ダムの安定計算は、堤体が壊れる3つのモードに対して成り立つかをチェックする考え方が基本です。

検討項目 内容 効いている力
転倒(転び) 下流側につんのめって倒れないか 自重 vs 水圧の回転モーメント
滑動(すべり) 基礎面で下流側に滑り出さないか 自重による摩擦 vs 水平水圧
基礎地盤の支持力 堤体の重さに地盤が耐えられるか 堤体自重 vs 地盤の支持力
堤体内応力 コンクリート内部に過大な応力が出ないか 自重・水圧・揚圧力の合成

ここで意外と重要なのが「揚圧力(ようあつりょく)」です。堤体の底面には、上流側から浸透してきた水が下から堤体を持ち上げようとする力が働きます。この揚圧力が大きいと滑動・転倒に不利になるため、基礎にグラウチング(注入)を行って遮水したり、堤体内に排水孔を設けて揚圧力を下げる対策が取られます。

実務だと、重力式ダムの構造で外せないのはこの「揚圧力をどう抑えるか」の発想です。三角形断面と自重の話だけ覚えて揚圧力を飛ばすと、試験でも現場でも片手落ちになります。基礎処理(カーテングラウチング・コンソリデーショングラウチング)が重力式ダムの安定に直結している、という因果まで押さえておくのがおすすめです。

重力式ダムに使うコンクリート(内部・外部と温度応力対策)

重力式ダムのコンクリートは、堤体の場所によって配合を使い分けるのが大きな特徴です。

基本は外部コンクリートと内部コンクリートの2種類です。

区分 使う場所 重視する性能 配合の傾向
外部コンクリート 上流面・下流面・天端など外気や水に触れる部分 水密性・耐久性・凍害抵抗 強度高め・単位セメント量多め
内部コンクリート 堤体内部の大部分 重量と発熱の小ささ 強度より重さ重視・単位セメント量少なめ

外側は水や気温変化にさらされるので、傷みにくい強度の高いコンクリートを使います。一方、内部は「重ければいい」ので、強度を欲張らず、後述の発熱を抑えるためにセメント量を絞った配合にします。同じダムでも一枚岩のコンクリートではない、というのが現場感覚として大事なポイントです。

ダム最大の敵は「温度応力(温度ひび割れ)」

ダムコンクリートで施工管理が最も神経を使うのが温度応力です。

コンクリートはセメントが水と反応する時に熱(水和熱)を出します。ダムは打設量が桁違いに多いマスコンクリートなので、内部に熱がこもって温度が大きく上がります。すると、熱い内部と冷えやすい表面で温度差が生まれ、収縮の差からひび割れが発生します。これが温度ひび割れで、放置すると止水性・耐久性に直結します。

主な対策は次の通りです。

  • 低発熱型セメントの採用:中庸熱・低熱ポルトランドセメント、フライアッシュ混和などで発熱そのものを抑える
  • プレクーリング:練混ぜ前に骨材や練混ぜ水を冷却し、打込み温度を下げる
  • パイプクーリング:堤体内に通水パイプを埋設し、水を流して内部を冷やす
  • リフト高・打設間隔の管理:1回の打設高さ(リフト)や次のリフトまでの間隔を調整して放熱させる
  • 打設時期の調整:気温の低い時期・時間帯に打つ

ダム用セメントの考え方は、低発熱セメントの解説も参考になります。

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現場目線で言えば、ダムの施工管理は「いかに発熱と温度差を抑えるか」との戦いです。プレクーリングとパイプクーリングはどちらか一方ではなく、規模や時期に応じて組み合わせるのが普通で、温度計測(埋設温度計)の管理がそのまま品質管理の中心になります。普通の建築コンクリートの感覚で入ると、この温度管理の重たさに最初は面食らうはずです。

養生やコンクリート打設の基本も、合わせて押さえておくと理解が深まります。

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重力式ダムの特徴・メリット・デメリット

重力式ダムのメリットとデメリットを整理します。

区分 内容
メリット 設計・施工が比較的シンプルで信頼性が高い
メリット 強固でない岩盤でも建設できる(適応地盤が広い)
メリット 越流(天端からの放流)に強く、洪水吐の設計自由度が高い
メリット 維持管理がしやすく長寿命
デメリット コンクリート使用量が膨大でコスト・工期がかかる
デメリット 堤体が重いので基礎地盤に相応の支持力が必要
デメリット 大量打設による温度応力対策が必須

重力式の一番の強みは「地盤を選びにくい安定感」です。アーチ式は岩盤が強固な峡谷でないと造れませんが、重力式はある程度の地盤があれば成立します。日本のように地形・地質がバラバラな国で主流になっているのは、この汎用性ゆえです。

基礎地盤に求められる条件

「重力式は地盤を選ばない」とはいえ、無条件ではありません。堤体自重が大きいぶん、その重さを受け止める支持力と、滑動に抵抗する摩擦・せん断強度が基礎岩盤に求められます。地盤が弱い場合は、その部分を掘削して良好な岩盤まで到達させたり、グラウチングで地盤を改良してから堤体を載せます。

僕の整理では、重力式は「地盤を選ばないのではなく、地盤を整えれば成立する型式」と捉えるのが正確です。アーチ式が天然の強固な岩盤を前提にするのに対し、重力式は基礎処理で条件を作り込める柔軟さがある、という違いとして理解しておくと、なぜ重力式が日本で多いのかが腑に落ちます。

重力式ダムの施工方法(RCD・ELCM・柱状ブロックの使い分け)

重力式ダムの施工方法は、大きく3つに整理できます。ここは競合記事でも触れられないことが多く、施工管理として一番差がつく部分なので丁寧に押さえます。

工法 概要 コンクリートの硬さ 主な用途・規模
柱状ブロック工法 縦・横の継目で区画(ブロック)に分け、ブロックごとに打設 軟らかめ(有スランプ) 古くからの標準工法・複雑形状部
RCD工法 超硬練りコンクリートをブルドーザで敷均し、振動ローラで転圧 超硬練り(ゼロスランプ) 大規模重力式ダムの主流
ELCM(拡張レヤ工法) 面状に大きく区画して有スランプコンクリートをバイブで締固め 軟らかめ(有スランプ) 中小規模の重力式ダム

柱状ブロック工法

最も歴史のある工法で、堤体を縦継目・横継目で柱状のブロックに分割し、ブロック単位でコンクリートを打ち上げていきます。1リフト(1回の打設高さ)は0.75〜2m程度が標準です。ケーブルクレーンでバケットを運んで打設するイメージで、形状が複雑な部分や継目処理が必要な箇所に向きますが、ブロックごとなので工期がかかります。

RCD工法(現在の主流)

RCD工法は、超硬練り(ゼロスランプに近い)のコンクリートをダンプで運び、ブルドーザで敷き均し、振動ローラで転圧して締め固める工法です。道路の路盤を造るような「面で一気に仕上げる」進め方なので、施工速度が速く、温度上昇も抑えやすいのが特徴です。

1970年代後半に導入され、従来の柱状工法で約10年かかったダム本体施工を半分以下の工期に短縮できることから、1980年代以降の大規模重力式ダムで主流になりました。現在、コンクリートダム施工法の中心がこのRCDです。

ELCM(拡張レヤ工法)

ELCMは、柱状ブロック工法とRCD工法の中間的な工法です。打設部分をできるだけ大きなブロック(レヤ)に分け、軟らかめの有スランプコンクリートをケーブルクレーンやダンプで運び、バイブレータで締め固めます。1979年に試験採用されて以来、中小規模の重力式ダムで広く使われています。RCDほどの規模はないが柱状より効率化したい、という現場にはまる工法です。

工法の使い分けの判断軸

  • 規模が大きく工期短縮が至上命題:RCD工法
  • 中小規模で合理化したい:ELCM(拡張レヤ工法)
  • 形状が複雑・継目処理が要る部分:柱状ブロック工法

正直なところ、現場では「ダム全体をどれか1工法で」ではなく、本体大ボリュームはRCD、洪水吐や複雑形状部は柱状、というように部位で併用するケースも多いです。だからこそ施工管理としては3工法の特徴を全部押さえておくと、施工計画の議論についていけるようになります。

施工管理として押さえる品質管理ポイント

ダム現場に配属された時、施工管理として何を管理するのかを実務目線で整理します。一般のコンクリート工事と共通する部分もありますが、ダム特有の重点があります。

管理項目 具体的に見るところ
温度管理 打込み温度、内部温度(埋設温度計)、内外温度差
打継ぎ処理 レイタンス除去、グリーンカット、打継面の清掃・湿潤
骨材・配合管理 骨材の品質・含水率、外部/内部の配合切替、スランプ
リフト・打設間隔 リフト高、次リフトまでの養生・放熱時間
基礎処理 グラウチングの効果確認、揚圧力・漏水の計測
出来形・品質試験 コア採取による強度確認、堤体形状の出来形管理

特にダムで重いのが温度管理と打継ぎ処理です。マスコンクリートゆえに温度ひび割れのリスクが常にあり、埋設温度計のデータを追いながらクーリングをコントロールします。また、ダムは何層も積み上げるので、層と層の打継面の処理(古いコンクリート表面のレイタンスを除去するグリーンカット)が止水性に直結します。

養生の基本は別記事でも整理しています。

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僕の考えでは、ダムの品質管理の本質は「データで温度と一体性を担保し続けること」です。建築のように1日で打ち切る世界ではなく、数ヶ月〜数年かけて積み上げる構造物なので、計測値の管理と記録がそのまま品質になります。配属直後はまず温度計測と打継ぎ処理の流れを覚えると、現場の会話に入りやすいはずです。

重力式ダムとアーチ式ダムの違い

重力式とアーチ式は、水圧の「逃がし方」が根本的に違います。

比較項目 重力式ダム アーチ式ダム
水圧への抵抗 堤体の自重で押さえ込む アーチ形状で両岸の岩盤に伝える
断面形状 三角形・厚い 薄くスレンダー
コンクリート量 多い 少ない
必要な岩盤条件 ある程度でよい(基礎処理で対応可) 両岸が非常に強固であることが必須
適した地形 幅の広い谷でも可 幅が狭く岩盤の硬い峡谷
建設コスト 材料費は高いが設計はシンプル 材料費は安いが設計・地質調査が高度

ざっくり言うと、重力式は「重さで耐える・地盤を選びにくい・コンクリート多い」、アーチ式は「形で耐える・強固な岩盤が必須・コンクリート少ない」という対比です。

では使い分けは誰が決めるのか。これはダムサイト(建設地点)の地形・地質調査の結果で決まります。両岸が硬い岩盤の狭い峡谷ならアーチ式が経済的、谷が広かったり岩盤がそこまで強固でなければ重力式、という具合に、自然条件が型式を選ばせるのが基本です。設計者が好みで選ぶわけではなく、地質が型式を決めると理解しておくと正確です。

アーチ式の詳細はこちらで解説しています。

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実務だと、「重力式とアーチ式どっちが優れているか」という問いはあまり意味がなく、「その地点の地形・地質にどちらが合うか」が全てです。コンクリートが安く手に入る現代では、岩盤条件にうるさいアーチ式より、汎用性の高い重力式が選ばれやすい傾向にある、という背景も押さえておくと理解が深まります。

その他の型式との違い(中空重力式・バットレス・フィル)

重力式の派生・対比となる型式も整理しておくと、混乱しなくなります。

型式 特徴 重力式との関係
中空重力式 形は重力式だが内部を空洞にしてコンクリート量を節約 重力式のコスト削減版(材料高・人件費安の時代に建設)
バットレス式 水圧を支える壁を扶壁(バットレス)で支える鉄筋コンクリート構造 コンクリートを大幅節約。大正〜昭和初期に少数建設
重力式アーチ 重力式の安定感とアーチのスレンダーさを併せ持つ 中間型。岩盤がアーチほど強くない谷で採用
フィルダム 土や岩を盛り立てて造る(アース・ロックフィル) コンクリートでなく材料が根本的に違う。底面積が広く軟弱地盤でも可

中空重力式やバットレス式は「コンクリートが高価だった時代に、いかに材料を減らすか」という発想から生まれた型式です。現在はコンクリートが安く手に入り、逆に複雑な型枠の手間(人件費)が高くつくため、ほとんど新設されず、シンプルな重力式が選ばれています。型式の流行り廃りには「コンクリートと人件費のコスト関係」という時代背景が効いている、と捉えると歴史も理解しやすいです。

砂防分野で使われる砂防ダム(砂防堰堤)も重力式の考え方が基本です。

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代表的な重力式ダム

日本の重力式ダムの代表例をいくつか挙げます。スケール感をつかむ材料として押さえておくとよいです。

ダム名 所在 特徴
宮ヶ瀬ダム 神奈川県 首都圏の水がめ。重力式の代表例として教材的によく登場
奥只見ダム 福島・新潟県 大規模な発電用重力式ダム
夕張シューパロダム 北海道 総貯水量が国内有数の巨大重力式ダム
八ッ場ダム 群馬県 比較的新しい多目的の重力式ダム

なお、黒部ダム(富山県)は知名度が抜群ですが型式はアーチ式(正確には重力式アーチ)なので、重力式の代表例として挙げると誤りになります。試験でも引っかけに使われやすいので、有名ダムの型式はセットで覚えておくのがおすすめです。

土木施工管理技士試験での重力式ダムの問われ方

ダムは1級・2級の土木施工管理技士試験で出題されるテーマです。重力式ダムで問われやすいポイントを整理しておきます。

  • 型式の分類と特徴:重力式・アーチ式・フィルダムの違い、それぞれが適した地盤・地形
  • 重力式の安定:自重で水圧に抵抗する原理、揚圧力と基礎処理の関係
  • 施工方法:RCD工法・柱状ブロック工法・ELCMの特徴と使い分け
  • 温度応力対策:プレクーリング・パイプクーリング・低発熱セメント・リフト管理
  • 基礎処理:グラウチング(カーテン・コンソリデーション)の目的
  • 打継ぎ処理:グリーンカットなど打継面処理の目的

試験対策としては、「重力式=自重で抵抗・地盤条件が広い」「アーチ式=形で抵抗・強固な岩盤必須」「RCD=大規模主流・転圧」というキーワードの紐付けを固めておくと、選択肢の正誤判断がしやすくなります。

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僕の感覚だと、ダム分野は範囲のわりに出題パターンが安定しているので、型式・施工方法・温度対策の3点を押さえれば得点源にしやすいです。丸暗記ではなく「なぜその工法・対策が要るのか」を理屈で繋いでおくと、ひねった問題にも対応できます。

ダム工事と施工管理のキャリア

最後に、ダム工事に関わることのキャリア的な意味にも触れておきます。重力式ダムの現場に配属されて「この専門性、潰しが効くのか?」と不安になる人もいるはずなので。

ダム工事は、マスコンクリートの温度管理・基礎処理・大型機械施工・長期工程管理など、土木の中でも難度の高い技術が集約された分野です。そこで身につく品質管理・工程管理の経験は、河川・道路・トンネルといった他の大型土木にも応用が利きます。大規模工事を回せる施工管理は需要が安定しており、インフラの維持・更新需要が続く中で価値が落ちにくいキャリアです。

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自分としては、ダム現場の経験は「大規模・長期・データ管理」という、若いうちに積みにくい経験がまとめて手に入る場だと考えています。目の前の温度計測が地味に感じる時期もあるかもしれませんが、その積み上げが後で効いてくる専門性になるはずです。

重力式ダムに関する情報まとめ

  • 定義:コンクリート堤体の自重(重力)で水圧に抵抗する型式。日本のコンクリートダムの約92%を占める
  • 構造:基本断面は三角形(下にいくほど厚い)。安定は転倒・滑動・支持力・揚圧力で検討
  • コンクリート:外部(強度・耐久重視)と内部(重さ重視・低発熱)を使い分け。最大の敵は温度ひび割れ
  • 温度対策:低発熱セメント・プレクーリング・パイプクーリング・リフト管理
  • メリット:施工がシンプル・地盤を選びにくい・越流に強い/デメリット:コンクリート量が膨大・温度対策必須
  • 施工方法:柱状ブロック工法・RCD工法(大規模の主流)・ELCM(中小規模)の3つ
  • 品質管理:温度管理と打継ぎ処理(グリーンカット)が特に重要
  • アーチ式との違い:重力式は自重で抵抗・地盤条件が広い、アーチ式は形で抵抗・強固な岩盤必須
  • 他型式:中空重力式・バットレスは材料節約型、フィルは土や岩で造る別系統
  • 試験:型式分類・安定原理・施工方法・温度対策・基礎処理が頻出

以上が重力式ダムに関する情報のまとめです。

一通り重力式ダムの基礎知識は網羅できたかなと思います。重力式ダムは「自重で水圧に耐える基本形」であり、構造の理屈・使うコンクリート・3つの施工方法・温度応力対策・施工管理のポイントを押さえれば、現場でも試験でも芯を食った理解ができます。アーチ式やフィルダムとの違い、RCD・ELCM・柱状ブロックの使い分けまでセットで掴んでおくと、ダム分野で迷わなくなるはずです。

重力式ダムに関するよくある質問

Q1:重力式ダムはなぜ断面が三角形なのですか?

水圧が水深に比例して深いほど大きくなるからです。堤体は下にいくほど大きな水圧を受けるので、下にいくほど断面を厚くした三角形にすると、材料を無駄なく使って効率的に安定させられます。上流面はほぼ垂直、下流面が斜めに広がる形が、水圧の分布にそのまま対応した合理的な形状になっています。

Q2:重力式ダムとアーチ式ダムはどちらが優れているのですか?

優劣ではなく「建設地点の地形・地質にどちらが合うか」で決まります。両岸が非常に強固な岩盤の狭い峡谷ならコンクリート量の少ないアーチ式が経済的ですが、谷が広かったり岩盤がそこまで強固でない場合は、地盤条件に幅のある重力式が選ばれます。現代はコンクリートが安く手に入るため、汎用性の高い重力式が採用されやすい傾向です。

Q3:RCD工法とは何ですか?

超硬練り(ゼロスランプに近い)のコンクリートをダンプで運び、ブルドーザで敷き均し、振動ローラで転圧して締め固める重力式ダムの施工方法です。面で一気に仕上げるため施工が速く、温度上昇も抑えやすいのが特徴で、従来の柱状ブロック工法より大幅に工期を短縮できます。1980年代以降の大規模重力式ダムの主流工法になっています。

Q4:ダムのコンクリートで温度応力が問題になるのはなぜですか?

ダムは打設量が桁違いに多いマスコンクリートだからです。セメントの水和熱で内部に熱がこもり、熱い内部と冷えやすい表面の温度差から収縮差が生じてひび割れ(温度ひび割れ)が発生します。これが止水性・耐久性に直結するため、低発熱セメント・プレクーリング・パイプクーリング・リフト高や打設間隔の管理といった温度対策が必須になります。

Q5:ダム現場に配属されたら、施工管理として何から覚えるべきですか?

まずは温度管理と打継ぎ処理の流れを押さえるのがおすすめです。ダムの品質管理は埋設温度計のデータを追いながらクーリングをコントロールすることと、層と層の打継面処理(グリーンカット)で堤体の一体性・止水性を保つことが中心になります。あわせて基礎処理(グラウチング)と揚圧力の考え方を理解しておくと、施工計画の議論についていけるようになります。

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