- 原位置試験ってなに?
- 室内試験と何が違うの?
- どんな試験があるの?
- N値ってどの試験で測るの?
- 試験結果は設計でどう使うの?
- 施工管理として何を確認すればいい?
上記の様な悩みを解決します。
原位置試験とは、結論「地盤を採取せず、現地(原位置)でそのまま地盤の性質を測定する試験」のことです。サンプルを実験室に持ち帰って分析する「室内試験」と対比される言葉で、「地盤を動かさずに、地盤がそこにある状態で性質を直接測る」のがポイント。代表的なのが標準貫入試験(SPT)でN値を求める試験ですが、他にもスウェーデン式サウンディング、平板載荷試験、現場透水試験など、目的に応じてたくさんの試験があります。施工管理として地盤調査報告書を読み解くときに、「どの試験で何が分かるのか」を理解しておくと、設計者・地盤調査会社との議論がスムーズになります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
原位置試験とは?
原位置試験とは、結論「地盤調査において、現地(地盤がある場所=原位置)でそのまま地盤の物理的・力学的性質を測定する試験」のことです。
英語では「in-situ test(インサイチュー試験)」。「in situ」はラテン語で「その場で」という意味で、地盤を動かさずにそのままの状態で測定することを指しています。
地盤調査の試験は大きく「原位置試験」と「室内試験」の2種類に分かれます。
| 区分 | 概要 | 例 |
|---|---|---|
| 原位置試験 | 現地で直接測定 | 標準貫入試験、スウェーデン式サウンディング、平板載荷試験 |
| 室内試験 | サンプルを採取して実験室で分析 | 一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、含水比試験、粒度試験 |
両者は補完関係で、地盤調査では両方を組み合わせて実施するのが一般的。
原位置試験のメリット
- 地盤を撹乱せずに測定できる:本来の地盤強度・性質を反映した結果が得られる
- 広範囲・深さ方向の連続データが得られる:N値プロファイルなど
- 調査と同時にサンプル採取もできる(標準貫入試験など)
原位置試験のデメリット
- 試験結果の解釈に経験が必要:N値が直接「強度」を意味するわけではない
- 天候・地下水位の影響を受ける
- 誤差要因が多い:ハンマー打撃エネルギーのバラツキなど
地盤調査の話は、地盤の解説と標準貫入試験の解説も合わせて読むと理解が深まります。


主な原位置試験の種類
代表的な原位置試験を整理します。
①標準貫入試験(SPT:Standard Penetration Test)
最もメジャーな原位置試験。N値を測る試験です。
- 試験方法:63.5kgのハンマーを76cm自由落下させ、サンプラーを地盤に30cm打ち込むのに必要な打撃回数をN値として記録
- 得られる情報:N値、試料採取(撹乱試料)
- 適用地盤:砂質土・粘性土
- JIS規格:JIS A 1219
- 深さ方向:1mごとに連続実施
N値から、
- 砂質土の相対密度・内部摩擦角
- 粘性土の一軸圧縮強さ・コンシステンシー
- 支持地盤の判定(N値50以上で支持層と判定することが多い)
を推定できます。ボーリング調査と組み合わせて実施するのが基本パターン。
②スウェーデン式サウンディング試験(SWS)
戸建て住宅の地盤調査で最もよく使われる試験。
- 試験方法:先端にスクリューポイント付きロッドに100kgまで段階的に荷重をかけ、貫入できなければ回転貫入させて、25cm貫入に要する半回転数を測定
- 得られる情報:荷重Wsw、半回転数Nsw、換算N値
- 適用地盤:砂質土・粘性土(軟弱地盤に強い)
- JIS規格:JIS A 1221
- 深さ方向:通常10m程度まで
戸建て住宅の地盤調査の標準試験として広く採用。試験機が小型で狭い宅地でも実施可能なのが大きなメリット。
③平板載荷試験
地盤の支持力を直接測る試験。
- 試験方法:直径30cm程度の鋼製平板を地表に置き、段階的に荷重をかけて沈下量を測定
- 得られる情報:地盤の極限支持力、地盤反力係数
- 適用地盤:浅い基礎の支持層検討
- JIS規格:JGS 1521
- コスト:高(大型機材が必要)
「この地盤に直接基礎を置いたら何kN/m²まで持つか」を直接測れる試験で、直接基礎の支持力検討に使われます。直接基礎の解説(https://seko-kanri.com/dokuritsu-kiso/)も参考に。
④オランダ式二重管コーン貫入試験(CPT)
連続的に地盤強度を測れる試験。
- 試験方法:コーン状の先端を地盤に貫入させて、貫入抵抗を連続測定
- 得られる情報:コーン貫入抵抗qc、周面摩擦fs
- 適用地盤:砂質土・粘性土(連続データ取得に強い)
- 特徴:N値より連続的なデータが得られる
ヨーロッパで広く使われている試験で、日本でも液状化判定や軟弱地盤調査で使われます。
⑤現場透水試験
地盤の透水係数を測る試験。
- 試験方法:ボーリング孔に水を入れて(または抜いて)水位変化を測定
- 得られる情報:透水係数k
- 適用地盤:地下水処理(ディープウェル、釜場排水)の検討用
- 方法の種類:単孔式・チューブテスト・揚水試験など
地下水処理計画で必須の試験。
⑥孔内載荷試験(プレッシャーメーター)
ボーリング孔の側壁を加圧して地盤の変形特性を測る試験。
- 試験方法:ボーリング孔内にゴム製のプローブを挿入し、加圧して側壁の変位を測定
- 得られる情報:地盤の変形係数、降伏圧
- 適用地盤:高層建物・橋梁などの大型構造物の支持地盤検討
⑦現場密度試験
土の現場密度を測る試験。盛土工事の品質管理で使われます。
- 試験方法:砂置換法、コアカッター法、RI法(放射線同位元素法)
- 得られる情報:湿潤密度、乾燥密度、間隙比
- 用途:盛土の締固め管理
⑧ベンダーエレメント試験
地盤の弾性波速度を測る試験。
- 試験方法:地盤に振動を与えてS波・P波の伝播速度を測定
- 得られる情報:せん断波速度Vs、ポアソン比
- 用途:耐震設計、液状化判定
最近は微動アレイ探査などの非破壊試験も普及してきています。
室内試験との使い分け
原位置試験と室内試験はどう使い分けるか。
試験の役割分担
| 知りたいこと | 主に使う試験 |
|---|---|
| 支持層の位置・N値 | 標準貫入試験(原位置) |
| 戸建て住宅の地盤強度 | スウェーデン式サウンディング(原位置) |
| 粘性土の一軸圧縮強さ | 一軸圧縮試験(室内) |
| 粘性土の圧密特性 | 圧密試験(室内) |
| 粒度・含水比 | 物理試験(室内) |
| 直接基礎の支持力 | 平板載荷試験(原位置) |
| 透水係数 | 現場透水試験(原位置) or 室内透水試験 |
| 液状化判定 | 標準貫入試験+粒度試験 |
実際の地盤調査では、ボーリング+標準貫入試験を主軸に、必要な室内試験を追加するのが一般的なパターン。
なぜ両方必要か
- 原位置試験:地盤を動かさずに「現状のまま」を測れる。広範囲・深さ方向の連続データに強い
- 室内試験:実験室で精密に測れる。粒度・コンシステンシー・三軸圧縮など細かい力学特性が分かる
両者を組み合わせることで、地盤の全体像と詳細特性が把握できる、というわけです。
原位置試験結果の活用
得られたデータが設計でどう使われるかを整理します。
①基礎形式の選定
- N値5以下:軟弱地盤、地盤改良 or 杭基礎が必要
- N値10〜30:浅い基礎で対応可能
- N値30以上:直接基礎の支持層に適する
- N値50以上:杭の支持層に適する
杭基礎の解説に基礎形式選定の詳細があります。

②地耐力の算定
平板載荷試験の結果や、N値からの推定値を使って地盤の許容支持力を算出。設計地耐力との照合で直接基礎の可否を判断します。
③杭の支持力計算
杭基礎の場合、先端支持力+周面摩擦力から支持力を算出。N値プロファイルから支持層の位置・周面摩擦の評価を行います。
④液状化判定
砂質地盤の液状化リスクを評価。N値+粒度+地下水位から液状化指数(PL値)を算出します。液状化対策の解説も参考に。
⑤地下水処理計画
現場透水試験の透水係数から、ディープウェル・釜場排水・地下連続壁などの工法選定。
施工管理のチェックポイント
施工管理として地盤調査報告書を読むときのポイント。
①試験項目の妥当性
- 建物規模に対して試験項目が十分か
- 支持層まで確実にボーリングが達しているか
- 必要な原位置試験・室内試験が実施されているか
②N値プロファイルの確認
- 支持層の深さ
- N値の連続性(急激な変化箇所はないか)
- 軟弱層の存在
③地下水位の確認
- 常時水位と最高水位
- 掘削時の地下水処理計画への影響
④報告書の信頼性
- JIS規格に準拠した試験方法か
- 適切な試験本数・深さか
- 第三者試験機関での実施か
⑤設計者との照合
- 原位置試験結果と設計地耐力が整合しているか
- 基礎形式の選定根拠が地盤調査結果に基づいているか
原位置試験に関する情報まとめ
- 原位置試験とは:現地で地盤の性質を直接測定する試験(in-situ test)
- 室内試験との違い:原位置は撹乱しない、室内は精密測定
- 主な試験:標準貫入試験(SPT)、スウェーデン式サウンディング(SWS)、平板載荷試験、CPT、現場透水試験、孔内載荷試験、現場密度試験
- JIS規格:標準貫入試験 JIS A 1219、SWS JIS A 1221 など
- 得られる情報:N値、地盤支持力、透水係数、変形係数、密度等
- 活用:基礎形式選定、地耐力算定、杭支持力、液状化判定、地下水処理
- 管理ポイント:試験項目の妥当性、N値プロファイル、地下水位、報告書信頼性、設計との照合
以上が原位置試験に関する情報のまとめです。
原位置試験は「地盤を動かさずに、そのままを測る」のがミソで、設計の出発点になる重要なデータが得られます。一方でN値はハンマー打撃エネルギーやサンプラー摩耗の影響でバラつきが出るため、N値だけで支持地盤を判定するのは危険。粒度や土質と組み合わせて初めて判断材料になる、というのが報告書を読むときの基本姿勢です。地盤調査会社が「N値=○○」と言ってきた時に、その試験条件まで遡って確認できると、設計者との議論が噛み合うようになります。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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