ダムの種類とは?重力式・アーチ式・ロックフィル等の違いなど

  • ダムの種類って結局どう分けるの?
  • 重力式とアーチ式って何が違う?
  • ロックフィルとアースの違いが曖昧
  • どの地盤でどの形式が選ばれるの?
  • 中空重力式やバットレスって何のためにある?
  • ロックフィルの「コア」って何?
  • 各形式の施工方法も知っておきたい
  • 試験で「この地形ならどの形式」が問われるけど自信がない

上記の様な悩みを解決します。

ダムの種類は、堤体の材料と水圧の支え方で分類されます。趣味のダム巡り視点だと「形がきれい」で終わりますが、施工管理や土木施工管理技士の試験では「どの地盤・地形でどの形式が選ばれ、どう造るのか」まで押さえないと使いものになりません。今回は重力式・アーチ式・ロックフィル・アースフィルといった主要形式の違いを整理した上で、現役の土木目線で「形式の選び方」「各形式の施工方法と施工管理のポイント」まで踏み込んで解説します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ダムの種類とは?

ダムの種類は、結論「コンクリートで造るコンクリートダム」と「岩や土で造るフィルダム」の2つに大きく分かれます。

この2大分類を頭に入れた上で、それぞれが水圧をどう支えるかで細かい形式に枝分かれする、という構造で覚えると一気に整理できます。コンクリートダムは堤体自身の重さやアーチの形で水圧を支え、フィルダムは岩や土を盛り立てた巨大な堤体の重さで支えます。

その前に、そもそも「ダム」と「堰(せき)」の境目を押さえておきましょう。日本ではダムの定義は河川法で「基礎地盤から堤頂までの高さ(堤高)が15メートル以上」のものとされ、15メートル未満は堰(せき)として区別されます。試験でも頻出のラインなので、15メートルという数字は覚えておいて損はありません。

もう一つの分類軸が、洪水時に水をどこから流すかによる越流型と非越流型です。堤体そのものの上から水を越流させられるのが越流型(重力式が代表)、堤体の上から越流させられず別に洪水吐(こうずいばき)が必要なのが非越流型(フィルダムが代表)です。ロックフィルダムが堤体上に洪水吐を設置できないのは、土や岩を盛った堤体の上を水が流れると洗掘されて崩壊につながるからで、ここは形式選定にも効いてくる重要な性質です。

主要形式の全体像を、メリット・デメリットとあわせて一覧にしておきます。

形式 支え方 必要な地盤 コンクリート量 主なメリット 主なデメリット
重力式コンクリート 堤体の重さ 強固な岩盤 多い 構造が単純・安全性高い コンクリート量が多くコスト大
中空重力式 堤体の重さ(内部空洞) 強固な岩盤 やや少ない コンクリート節約 構造複雑・現在ほぼ造らない
アーチ式 両岸・底の岩盤に分散 非常に強固な両岸岩盤 少ない 薄く経済的 地盤条件が限られる
ロックフィル 堤体(岩石)の重さ 軟弱地盤でも可 不要 地盤を選ばない・現地材料 底面積が広い・越流不可
アースフィル 堤体(土)の重さ 軟弱地盤でも可 不要 最も安価・小規模向き 大規模に不向き・浸食に弱い

僕の整理では、まず「コンクリート系=硬い岩盤が要る/フィル系=地盤を選ばない」の対比を軸に置くと、後の細かい形式の話が迷子になりません。河川そのものに関わる工事の全体像はこちらも参考になります。

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コンクリートダムの種類

コンクリートダムは、重力式・中空重力式・アーチ式・重力アーチ式・マルチプルアーチ式の系統に分かれます。

ここはコンクリートの固化作用で堤体を一体化させる形式群で、強固な岩盤が前提になります。順に整理します。

重力式コンクリートダムは、水圧をダム堤体自身の重さで支える、日本で最も一般的なコンクリートダムです。横から見ると三角形をしているのは、水圧などの外力に重さで抵抗するため、下に向かって断面を厚くしているからです。構造がシンプルで設計の自由度が高く、堤体上から越流させられるのが大きな強みですが、その分コンクリート量が多くコストがかさみます。

中空重力式コンクリートダムは、重力式の堤体内部を空洞にしてコンクリート量を節約した形式です。コンクリートが高価で人件費が安かった時代に生まれた背景があり、いまはコンクリートが安く人件費が高いため、ほとんど新設されません。国内に十数基しかない、いわば時代を映す形式です。国際的にはバットレスダム(扶壁=バットレスで遮水壁を支える形式)の一種として扱われます。バットレスダムも凍害対策の手間やコストから現在はほぼ造られていません。

アーチ式コンクリートダムは、上流側へアーチ状に張り出し、水圧を両岸や底の岩盤に分散させて支える形式です。アーチの力で外力を逃がせるため堤体を薄くでき、コンクリート量が少なくて済むのが最大の利点です。薄いのに崩れないのは、水圧を圧縮力としてアーチ全体で受け、両岸の固い岩盤へ伝えているからです。その代わり、両岸の岩盤が非常に強固なV字谷のような地形でないと採用できません。黒部ダムが代表例で、アーチダムの構造や重力式との違いはこちらで詳しく整理しています。

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このほか、アーチ式に重力式の作用も持たせた重力アーチ式、複数のアーチを連ねたマルチプルアーチ式(香川県の豊稔池ダムが日本唯一の5連アーチで重要文化財)などがあります。

僕の感覚だと、コンクリートダムは「重力式=重さで支える三角形」「アーチ式=形で支える薄い曲面」の2つを軸に押さえ、中空重力・バットレスは『コンクリートを節約したかった時代の形式』と歴史込みで覚えると、試験でも引っかかりません。

フィルダムの種類

フィルダムは、土や岩石を盛り立てて造るダムで、アースフィルダムとロックフィルダムに大別されます。

コンクリートで固めるのではなく、材料を物理的に締め固めて一体化させるのがフィルダムの本質です。堤体の傾斜が緩く底面積が広いぶん重量が分散されるため、コンクリートダムでは無理な軟弱地盤でも建設できるのが最大の強みです。

アースフィルダムは、粘土や土砂などの土質材料を主材とする、最も歴史の古いダム形式です。ため池の延長線上にある形式で、小規模・農業用に多く使われます。堤体全体が同じ材料の均一型と、内部に遮水のためのゾーンを設けたゾーン型に分かれます。

ロックフィルダムは、主に岩石を盛り立てて造る形式で、堤体内部に水を遮る遮水壁(コア)を持つのが基本構造です。ここで出てくる「コア」とは、水を通さない粘土質の遮水層のことで、ロックフィルダムの心臓部にあたります。コアと外側の岩(ロック)の間には、粒度差による吸い出しを防ぐためのトランジション(フィルター)層を設けます。コアの位置によって呼び名が変わるので、ここは試験でもよく問われます。

  • 中央遮水ゾーン型(センターコア型):堤体中央に鉛直に遮水層を設ける。重心が中央で最も安定するが、雨天時はコアを盛れず工期が天候に左右されやすい
  • 傾斜遮水ゾーン型:遮水層を上流側に斜めに設ける。雨天時もフィル部の盛立を進められ工期短縮できるが、重心が偏り施工例は少なめ
  • 表面遮水(フェイシング)型:堤体上流面をアスファルトやコンクリートで遮水する。コアを内部に持たないタイプ

中央遮水と傾斜遮水の違いは「遮水層が真ん中に立っているか、斜めに寝ているか」で、安定性を取るなら中央、工期を取るなら傾斜、という関係です。

僕の考えでは、フィルダムは「アース=土・小規模・古い/ロック=岩・大規模・コアで遮水」の対比をベースに、ロックフィルのコア位置(中央・傾斜・表面)を枝として覚えるのが、いちばん頭に残ります。盛立に使う材料の品質管理は、生コンのスランプ管理とは別軸の土質試験が中心になります。

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複合ダム・地下ダム・砂防ダムなどその他の形式

主要2系統のほかに、複合ダム・地下ダム・砂防ダムといった派生形式があります。

複合ダム(コンバインダム)は、地盤の強度が左右や上下流で異なる場合に、2種類以上の形式を組み合わせて造るダムです。重力式コンクリートダムとロックフィルダムの組み合わせが一般的で、地盤の良い側はコンクリート、悪い側はフィルというように、1つの河川を最適な形式で渡す発想です。地盤条件が場所によって大きく変わる現場で選ばれます。

地下ダムは、地表ではなく地中に止水壁を設けて地下水を貯めるダムです。沖縄県や鹿児島県の島嶼部のように、地下水がすぐ海へ流出してしまう地域で、隙間の多い石灰岩層に水を溜めるために造られます。見た目の堤体がない、特殊なダムです。

砂防ダム(砂防堰堤)は、水を貯めることより土砂の流出を抑えることが主目的のダムです。一般的な貯水ダムとは目的が異なるため「ダムの形式分類」とは別枠で扱われることが多いですが、土木の現場では頻出の構造物です。役割や効果はこちらで詳しく解説しています。

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正直なところ、複合ダムは「地盤に合わせた合わせ技」、地下ダムは「島の水源確保」、砂防ダムは「水ではなく土砂を止める」と、それぞれ目的の違いで覚えると混同しません。

ダムの形式の選び方(地盤・地形・コスト)

ダムの形式は、ダムサイトの地形・地盤・規模・コスト・目的を総合して、最も適した形式が選ばれます。

ここが趣味のダム巡りサイトでは触れられない、施工管理・試験で本当に問われる部分です。「この地形ならどの形式か」を判断する大まかなフローを整理しておきます。

  • 両岸が固いV字谷で岩盤が非常に強い → アーチ式(堤体を薄くでき経済的)
  • 河床の岩盤がしっかりしているが両岸はそこまで強くない → 重力式コンクリート
  • 岩盤が深い・地盤がやや軟弱・現地に岩石が豊富 → ロックフィル
  • 小規模で土質材料が手に入りやすい・農業用 → アースフィル
  • 地盤の強度が場所で大きく違う → 複合ダム

判断の優先順位は、まず地盤・地形という動かせない自然条件で形式が絞られ、その中で経済性(コンクリート運搬距離、現地材料の有無)とコストを比較して決まる、という流れです。たとえば現地に良質な岩石が大量にあるならロックフィルが有利になりますし、セメント工場が近くアクセスが良ければコンクリートダムが現実的になります。

試験対策の観点では、「アーチ=強固な両岸岩盤が必須」「フィル=軟弱地盤でも可」「重力式=オールラウンドだがコンクリート量が多い」という対応関係を押さえておけば、地形条件から形式を選ぶ問題はかなり解けます。土木施工管理の仕事全体の中でダム工事がどう位置づくかは、こちらも参考になります。

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現場目線で言えば、形式選定は「好み」ではなく地盤調査の結果でほぼ決まります。ボーリングで岩盤の深さと強度を確認し、その自然条件に逆らわない形式を選ぶ、という順番が大前提です。

各形式の施工方法と施工管理のポイント

形式が違えば施工方法も全く異なり、品質管理で見るポイントも変わります。

ここも他サイトがほとんど触れない、造る側ならではの視点です。代表的な形式の施工方法と、施工管理で押さえるポイントを整理します。

コンクリートダムでは、近年はRCD工法(Roller Compacted Dam-concrete/硬練りコンクリートをブルドーザで敷き均し、振動ローラで締め固める工法)が主流です。従来の柱状ブロック工法に比べ、面状に連続して打設できるため施工が速く、コストも下げられます。施工管理では、打継ぎ面の処理、コンクリート温度(マスコンクリートの温度ひび割れ対策)、リフト高さの管理が要になります。

フィルダムでは、材料の盛立と締固めが品質の中心です。とくにロックフィルダムのコア(遮水ゾーン)は、含水比を管理しながら薄く敷き均して締め固める必要があり、雨が降るとコアが盛れず工程が止まります。施工管理では、各層の締固め度・含水比・遮水性の確認、コアとフィルの境界(トランジション層)の粒度管理が重要です。

施工管理で共通して効くのは、基礎処理(グラウチング)です。ダムは堤体本体だけでなく、その下の岩盤の止水も含めて初めて機能するため、岩盤の割れ目にセメントミルクを注入して止水するグラウト工事が、どの形式でも欠かせません。

実務だと、ダム工事は「堤体を造る前に基礎をどう仕上げるか」で品質の大半が決まります。形式ごとの違いに目が行きがちですが、基礎処理とコンクリート温度(または土の含水比)という地味な管理項目が、最後の安全性を左右する、というのが造る側の実感に近いところです。

ダムの種類に関する情報まとめ

  • ダムの種類:大きくコンクリートダムとフィルダムの2系統、堤高15m以上がダムの定義
  • コンクリートダム:重力式(重さで支える三角形)/中空重力・バットレス(節約型・現在はほぼ造らない)/アーチ式(形で支える薄い曲面、強固な両岸岩盤が必須)
  • フィルダム:アースフィル(土・小規模・古い)/ロックフィル(岩・大規模・コアで遮水、中央/傾斜/表面遮水)
  • その他:複合ダム(地盤に合わせた合わせ技)/地下ダム(島の水源)/砂防ダム(土砂を止める)
  • 選び方:地形・地盤で形式が絞られ、経済性とコストで決定。アーチ=強固な両岸、フィル=軟弱地盤でも可
  • 施工:コンクリート系はRCD工法と温度管理、フィル系は盛立・締固めとコア管理、共通で基礎グラウチングが要

以上がダムの種類に関する情報のまとめです。

一通り、ダムの形式の基礎知識は網羅できたかなと思います。形を眺めるだけでなく「どの地盤でどれを選び、どう造るか」まで理解しておくと、現場でも土木施工管理技士の試験でも一段強くなれます。関連する構造物もあわせてどうぞ。

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