- 保護メガネとゴーグル、結局どっちを買えばいいの
- 「JIS T8147」と書いてある物と書いていない物、何が違う
- 安全書類の保護具欄に、規格をどう書けばいいのか分からない
- ゴーグルは曇るから、現場で結局外されるんだよな
- 眼鏡をかけている職人にはどうすればいい?
- ヘルメットのあごひもと干渉して浮いてしまう
- 溶接のときは何番の遮光レンズを選べばいいの
- 通気孔ありと無気孔、どっちが正解なの
- 法令上、これは義務なのか努力義務なのか
- 880円のゴーグルと5,000円のゴーグル、何が違うのか
上記の様な悩みを解決します。
保護ゴーグルは、独立した保護具の種類ではありません。JIS T8147という「保護めがね」の規格の中にあるゴグル形という一形式で、めがねタイプと同じ規格の同じ土俵に乗っています。ところが検索して出てくるのは商品一覧ばかりで、規格の記号をどう読むのか、法令上どこまで求められるのかまで下りている説明はほとんど見当たりません。
今回は、種類・形式・記号・レンズ材質・価格といった基本を押さえた上で、通販サイトの比較記事では触れられない「ゴグル形だけに課される品質要求」「保護具を人数分そろえろと書いてある条文」「同じ型番でもレンズ材質で値段が2.5倍変わる仕組み」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、保護具の発注や安全書類の作成をこれから任される方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
保護ゴーグルとは?保護めがねの一形式で、規格はJIS T8147
結論から言うと、保護ゴーグルは「保護めがね」という大きな枠の中のゴグル形であって、ゴーグル専用の規格があるわけではありません。
JIS T8147の適用範囲は、めがねタイプと共通です。「保護めがねにはJIS規格があり、(JIST8147)があり、浮遊粉じん、薬液飛まつ、飛来物などから作業者の目を保護するために用いる保護めがね並びに交換用のレンズ及びアイピースについて規定されています。」と説明されています(野口酸素「オススメ保護めがね、ゴーグル」2026年9月確認)。守る対象が粉じん・薬液の飛まつ・飛来物の3つだという点は、後の選定でそのまま効いてきます。
そのうえで、形式ごとに問われる品質が違います。日本保護眼鏡工業会は「主な規格としてはJIS T8147「保護めがね」JIS T8141「遮光保護具」があり、両規格では保護めがねの種類、形式、品質が規定されています。」としたうえで、「特に重要な品質として耐衝撃性能(レンズが割れてはならない)、スペクタクル形めがねの把持性(レンズが外れてはならない)、ゴグル形めがねのヘッドバンド及びヘッドバンド取付部強度(切断、外れ等があってはならない)があります。」と示しています(日本保護眼鏡工業会「法令・規格」2026年9月確認)。
ここが読み飛ばされやすいところです。ゴグル形に固有の要求はレンズではなくヘッドバンドで、切れないこと・取付部から外れないことが規格の側で問われています。伸びきったゴムバンドのまま使い続けているゴーグルは、レンズが無傷でも規格が前提にしている状態から外れているという理解になります。
- 保護ゴーグルはJIS T8147のゴグル形。めがねタイプと同じ規格の中にある
- 規格が想定している危険は浮遊粉じん・薬液飛まつ・飛来物の3つ
- スペクタクル形で問われるのはレンズの把持性(外れないこと)
- ゴグル形で問われるのはヘッドバンドと取付部の強度(切れない・外れない)
足元の保護具も同じで、形ではなく規格で位置づけが決まります。安全靴の区分の考え方はこちらで整理しています。

僕の感覚だと、この「ゴーグルはめがねの一形式」という前提を共有できていないせいで、現場の会話が噛み合わなくなります。めがねとゴーグルを別物として比べるのではなく、同じ規格の中でどちらの形式を選ぶかという話に置き換えると、判断の軸がはっきりします。
JIS T8147の種類・形式・記号|H・A・S・X・1・2の読み方
次は表記の読み方です。結論、製品に書かれた記号は左から順に「保護めがねであること」「種類」「付属条件」を表しています。
ミドリ安全が公開しているJIS T8147の抜粋では、記号の意味が次のように示されています。「H=保護めがねの記号 / A,B,C=種類の記号 / S=サイドシールド付き / X=ヘッドバンド式 / K=交換用レンズ及びアイピース / 1=一眼式の略号 / 2=二眼式の略号」(ミドリ安全「保護めがねの種類」2026年9月確認)。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| H | 保護めがねであることを示す記号 |
| A・B・C | 種類の記号 |
| S | サイドシールド付き |
| X | ヘッドバンド式 |
| K | 交換用レンズ及びアイピース |
| 1 | 一眼式の略号 |
| 2 | 二眼式の略号 |
ゴーグルを買うときに見るのはXです。ヘッドバンド式であることが記号として表に出るので、つるで耳に掛けるタイプとは表記の段階で分かれます。Kが付いていればレンズだけを買い足せるということなので、傷が入りやすい作業ではここを見て本体を選ぶと、後の消耗品が続きます。
レンズそのものの性能も、数値で決まっています。ミドリ安全は光学的特性として「JIS規格ではどのような経線においても、屈折力が0±0.12m-1であることと規定しております。」「中心から直径40mmの範囲において、どのような二経線間においても屈折力の差が0.12m-1以下であることと規定しております。」「平行度とは、レンズに対して直角に入った光がレンズを通過してずれる角度をいいます。」としたうえでJIS規格では0.16cm/m以下、透明度は「視感透過率が85%以上」と示しています(ミドリ安全「保護めがねのJIS規格」2026年9月確認)。
耐衝撃性はもっと具体的です。「直径約22mmの鋼球を1.27~1.3mの高さから自由落下させ、この衝撃によりレンズが割れたり、亀裂が入ったりしないこと。また、レンズが枠から飛び出さないことなどを規定しております。」とされています(同)。22mmの鋼球というのは、現場でいえばボルトの頭ほどの大きさです。それが1.3mから落ちても割れない、というのが規格の下限だと分かると、レンズに小さな欠けがある物を使い続ける判断はしにくくなります。
安全書類に保護具の規格を書く欄がある現場では、この「JIS T8147」という表記が製品ページにあるかどうかが実質的な分かれ目になります。実務だと、発注前にカタログの型番ページを開いて規格名の記載を確認する、それだけで後の差し戻しがほぼ消えます。
スペクタクル形とゴグル形の使い分け|密着と通気は両立しない
3つ目が形式の選定です。結論、粉じんと薬液の飛沫が主な危険ならゴグル形、視界と通気を優先するならスペクタクル形で、この2つは同時に取れません。
メーカー側の説明が明快です。山本光学は「保護ゴーグルは保護めがねに比べ、顔との隙間が少ないため、密着性が高く、より粉じんなどが入り込みにくい特長があります。細かな粉じん・液体・飛沫が眼に入るのを防ぎたい現場作業に適しています。」とし、対象作業を「浮遊粉じん、薬液飛沫、飛来物等の発生する作業」としています(山本光学「保護ゴーグル」2026年9月確認)。
その裏返しも明示されています。「保護めがねのゴグル形(ゴーグル)は、粉塵などの侵入率は低いが、反対に、スぺクタル形(めがねタイプ)よりも通気性が悪く、曇りやすい。」(野口酸素、2026年9月確認)。密着させるほど曇るという構造なので、防曇の性能はゴグル形を選んだ時点で必ず一緒に決める項目になります。
併用する保護具でも結論が変わります。ミスミは選定の要点として「薬品飛沫には、眼に侵入しにくいゴーグルタイプが最適です。」「視力矯正用メガネや防じんマスクを併用する場合は、ゴーグルタイプが最適です。」と挙げています(ミスミ「防じんメガネの種類と特長」2026年9月確認)。防じんマスクを着ける作業でゴーグルが選ばれるのは、密着性の問題であると同時に、マスクとの干渉が少ないからでもあります。
- 飛来物が中心で視界と通気を取りたい作業はスペクタクル形
- 浮遊粉じん・薬液の飛沫が中心の作業はゴグル形
- 防じんマスクや視力矯正用の眼鏡を併用するならゴグル形
- ゴグル形を選んだ時点で、防曇の仕様も同時に決める
危険源を作業ごとに洗い出す枠組みと合わせると、形式の選定が「好み」から外れます。洗い出しの進め方はこちらにまとめています。

現場目線で言えば、同じ班に1種類だけ配って終わりにするのが一番危ない配り方です。同じ人でも、はつりの最中と片付けの最中では目に届くものが変わります。工程ごとに掛け替える前提で2種類そろえるほうが、結果として着用率が上がります。
遮光が必要な作業はJIS T8141|遮光番号は作業条件で決まる
4つ目は光の話です。結論、溶接・切断・炉前は保護めがねの規格ではなく遮光保護具のJIS T8141で、透明のゴーグルは代わりになりません。
遮光保護具にも、保護めがねと同じように種類・形式・記号の体系があります。ミドリ安全が公開しているJIS T8141の抜粋では、スペクタクル形がA・B、フロント形がC、ゴグル形がDで整理されています(ミドリ安全「遮光めがねのJIS規格」2026年9月確認)。
| 種類 | 形式 | 記号 |
|---|---|---|
| ゴグル形 | 一眼形 | D-2 |
| ゴグル形 | 安全帽取付一眼形(ヘッドバンド) | D-2-H |
| ゴグル形 | 二眼形 | D-1 |
| ゴグル形 | 安全帽取付二眼(ヘッドバンド) | D-1-H |
| フロント形 | 安全帽取付固定形二眼形 | C-1-FH |
| フロント形 | 安全帽取付上下自在形二眼形 | C-1-JH |
保護めがねの記号がH・A・B・C・S・X・1・2だったのに対し、遮光側はA-1やD-2-Hという別の体系になっています。同じ「ゴーグル」でも、どちらの規格の製品かで表記そのものが変わるので、カタログを見るときは規格番号から先に確認する必要があります。
番号の決め方にも決まりがあります。ミドリ安全は「遮光度番号の大きいフィルタ(おおむね10以上)を使用する作業においては、必要な遮光度番号より小さい番号のものを2枚組み合わせて、それに相当させて使用するのが好ましい。」としたうえで、換算式を「N=(n1+n2)-1」、例として「10=(8+3)-1,10=(7+4)-1など」と示しています(同)。手持ちの在庫を組み合わせて必要な番号に届かせる、という運用ができるということです。
選定の根拠になる文書もはっきりしています。日本保護眼鏡工業会は、遮光保護具について「基発第773号通達 しゃ光保護具の使用について に基づき選択、使用する」としています(日本保護眼鏡工業会「法令・規格」2026年9月確認)。作業の種類とアセチレンや酸素の使用量から番号を引く表が通達側にあるので、遮光は「濃いほうが安全」ではなく、条件から引くものだと考えてください。
溶接まわりは条文でも名指しされています。アセチレン溶接装置の管理等について「当該作業を行う者に保護眼鏡及び保護手袋を着用させること。」(労働安全衛生規則 第312条、日本保護眼鏡工業会による抜粋、2026年9月確認)とされ、ガス集合溶接装置についても同じ内容が第313条に置かれています(同)。
正直なところ、遮光を透明レンズで代用している場面は今でも見かけます。まぶしさが我慢できるかどうかは判断材料になりません。番号は作業条件から引くものだ、という一点だけ現場で共有しておくと、この手の代用は止まります。
法令上の根拠|備える義務・使う義務・人数分という3本立て
ここが、通販サイトの解説記事ではまず触れられないところです。結論、条文は「事業者が備える」「労働者が使う」「人数と同数以上そろえる」の3つに分かれています。
まず備える側の義務です。「事業者は、著しく暑熱又は寒冷な場所における業務、多量の高熱物体、低温物体又は有害物を取り扱う業務、有害な光線にさらされる業務、ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所における業務、病原体による汚染のおそれの著しい業務その他有害な業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならない。」(労働安全衛生規則 第593条、安全衛生情報センター 2026年9月確認)。粉じんを発散する有害な場所という書きぶりなので、解体やはつりは正面から入ります。
化学物質については、2024年の改正で使用義務の条文が加わりました。「事業者は、化学物質又は化学物質を含有する製剤(皮膚若しくは眼に障害を与えるおそれ又は皮膚から吸収され、若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物として厚生労働大臣が定めるものに限る。以下「皮膚等障害化学物質等」という。)を製造し、又は取り扱う業務(中略)に労働者を従事させるときは、不浸透性の保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を使用させなければならない。」(同 第594条の2)。山本光学も「2024年4月1日より 化学物質を取り扱う事業所では、『保護めがねの着用が義務化 』されます!」と告知しています(山本光学、2026年9月確認)。
その外側は努力義務です。第594条の3では、皮膚等障害化学物質等に当たらない化学物質についても「保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を使用させるよう努めなければならない。」とされています(同 第594条の3)。義務と努力義務の線引きは、扱う物が厚生労働大臣の定めるものに当たるかどうかで決まるので、判断はSDSと告示側で行うことになります。
数量の根拠も条文にあります。「事業者は、第五百九十三条第一項、第五百九十四条第一項、第五百九十四条の二第一項及び前条第一項に規定する保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。」(同 第596条)。何個買えばいいのかという問いには、同時に就業する人数と同数以上、という答えが条文に書いてあります。
- 第593条:粉じんを発散する有害な場所などで、事業者が保護眼鏡を備える
- 第594条の2:皮膚等障害化学物質等を扱う業務では、使用させなければならない
- 第594条の3:それ以外の化学物質では、使用させるよう努める
- 第596条:同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持する
- 第597条:使用を命じられた労働者は、当該保護具を使用しなければならない
- 第598条:疾病感染のおそれがあるときは各人専用のものを備える
第598条は共用の可否に直結します。「事業者は、保護具又は器具の使用によつて、労働者に疾病感染のおそれがあるときは、各人専用のものを備え、又は疾病感染を予防する措置を講じなければならない。」(同 第598条)。ゴーグルは顔に密着させる保護具なので、持ち回りで使わせる運用にするなら、この条文への答えを先に用意しておく必要があります。
保護具の指定と使用の周知は、入場のタイミングで確実に渡しておきたい内容です。教育の組み立て方はこちらで整理しています。

個人的には、この3本立てを1枚にまとめて安全書類の裏に付けておくのが実務では効くと考えています。「なぜ着けるのか」を説明するより、「事業者が備え、労働者が使い、人数分そろえる」と条文の構造で示したほうが、話が早く終わります。
現場で外される理由を先に潰す|曇り・干渉・眼鏡併用
規格と法令を押さえても、外されたら意味がありません。結論、曇りは我慢ではなく仕様で潰します。
レンズの表面加工が価格差の中心です。山本光学の保護ゴーグルは、標準タイプ・高性能くもり止めタイプ・無気孔タイプ・有機溶剤対応・オートクレーブ対応・ゴム枠タイプ・ヒートレンズ・レスキューというカテゴリで分かれており、防曇についてはPAFという独自の防曇コーティングを「ふき取り耐久性 20倍!水洗い耐久性 10倍!」と説明しています(山本光学「保護ゴーグル」2026年9月確認)。防曇は加工の有無だけでなく、洗ったときにどれだけ持つかで差が出るということです。
レンズ材質の側も見ておきます。ミスミの材質別比較では、ポリカーボネートが「プラスチックの中で最も耐衝撃性が高い」一方で耐擦傷は×、表面硬化加工を足したペトロイドレンズは耐擦傷が◎、さらに曇止め加工を足したペトロイド-AFレンズは防曇性と耐衝撃性がともに◎と整理されています(ミスミ「防じんメガネの種類と特長」2026年9月確認)。耐衝撃と耐擦傷は別の性能で、傷が入りやすい作業では加工の有無が寿命を決めます。
眼鏡を併用する人への答えも、形式の側にあります。ゴグル形は眼鏡の上から使えるのが標準で、山本光学のYG-1000は「眼鏡が併用できる成形レンズタイプの保護ゴーグル。ヘルメット装着時でも違和感なくしっかりフィット。」と説明されています(山本光学、2026年9月確認)。ヘルメットとの干渉が読めない場合は、ヘルメット専用タイプという選択肢もあり、YG-6000 YCPはスプリングバンドでヘルメットに取り付ける仕様です(同)。
- 曇り対策は加工の有無だけでなく、ふき取りと水洗いへの耐久で比べる
- 耐衝撃と耐擦傷は別の性能。傷が入る作業は表面硬化加工を見る
- 眼鏡併用はゴグル形が標準。ヘルメット干渉が出るなら専用タイプへ
- 感染対策や微粒子が相手なら無気孔タイプという区分がある
バンドの伸びやレンズの傷は、日常の点検項目に入れておかないと誰も見ません。点検の枠組みはこちらが参考になります。

実務だと、曇るからと言って通気孔の多い物へ逃げるのが一番よくない解き方です。密着を落とせば規格が想定している粉じんの侵入を許すことになるので、順番としては防曇の仕様を上げる、それでも駄目なら作業側を見直す、という並びになります。
価格帯と選び方|880円から5,830円まで何が違うか
最後に価格です。結論、値段の差はゴーグルの形ではなくレンズで決まっていて、同じ型番でも材質を変えると2倍以上動きます。
山本光学の公式サイトに出ている標準タイプの価格を並べると、それがはっきり見えます。YG-5200は、セルロースが1,210円、ミストレスが1,760円、APが1,958円、PET-AFが2,992円で、高性能くもり止めタイプのPET-AFαが3,234円です(山本光学公式、2026年9月確認)。同じ型番、同じ形なのに、レンズの材質と加工だけで2.5倍以上の幅があります。
| 製品 | レンズ仕様 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| YG-505 | セルロース | 880円 |
| YG-5200 | セルロース | 1,210円 |
| YG-5200 | ミストレス | 1,760円 |
| YG-5200 | PET-AF | 2,992円 |
| YG-5200 | PET-AF α | 3,234円 |
| YG-1000 | PET-AF | 3,498円 |
| YG-1100 PAF | PAF | 4,400円 |
| YG-6000 YCP(ヘルメット専用) | PET-AF/スプリングバンド | 5,060円 |
| YG-5100D YCP | くもり止めダブルレンズ/スプリングバンド | 5,830円 |
(いずれも山本光学公式サイト掲載価格、2026年9月確認)
880円台と3,000円台を分けているのは、曇り止めと表面硬化があるかどうかです。短時間の片付けや来客用に置いておく物なら1,000円前後で足りますし、朝から晩まで着けたままの作業なら防曇に払うほうが結局は安く済みます。ここを一律にそろえるから、「高い物を買ったのに現場で外されている」という状態になります。
- 一時的・来客用・予備:セルロース系の1,000円前後
- 通常の粉じん作業:曇り止め加工付きの1,700円〜2,000円台
- 長時間の連続作業や汗をかく季節:防曇の耐久が高い3,000円台
- ヘルメット常時着用で干渉が出る現場:ヘルメット専用タイプの5,000円台
- 交換の目安:レンズの傷・欠けと、ヘッドバンドの伸びや切れ
交換の判断は、規格の側から逆算すると迷いません。ゴグル形で問われている品質はヘッドバンドと取付部の強度でしたから、レンズが無事でもバンドが伸びていれば交換の対象になります。逆に、22mmの鋼球が1.3mから落ちても割れないという水準が下限なので、欠けや深い傷が入ったレンズを「まだ見えるから」で使い続けるのは筋が通りません。
高所での作業では、落としたときの二次災害まで含めて装備を考えることになります。高所作業まわりの整理はこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、保護ゴーグルは「安全のために買う物」というより「作業を止めないために買う物」です。曇って外す、外して目に入る、その日の作業が止まる。この連鎖を1,000円の差で止められるなら、迷う場面ではないと思います。
保護ゴーグルに関する情報まとめ
- 保護ゴーグルとは:JIS T8147の保護めがねのうちゴグル形。ゴーグル専用の規格はない
- 規格が守る対象:浮遊粉じん・薬液飛まつ・飛来物の3つ
- 形式ごとの品質:スペクタクル形はレンズの把持性、ゴグル形はヘッドバンドと取付部の強度
- 記号の読み方:H=保護めがね、A・B・C=種類、S=サイドシールド付き、X=ヘッドバンド式、K=交換用レンズ、1=一眼式、2=二眼式
- レンズの規格値:屈折力0±0.12m-1、平行度0.16cm/m以下、視感透過率85%以上、直径約22mmの鋼球を1.27〜1.3mから落として割れない
- 使い分け:粉じんと薬液の飛沫はゴグル形、視界と通気はスペクタクル形。密着と通気は両立しない
- 遮光作業:JIS T8141の別体系(ゴグル形はD-1・D-2・D-1-H・D-2-H)。番号は基発第773号通達から引く
- 遮光番号の合成:N=(n1+n2)-1。例として10=(8+3)-1
- 法令:第593条で備える、第594条の2で化学物質は使用義務、第594条の3は努力義務
- 数量と管理:第596条で同時に就業する人数と同数以上、常時有効かつ清潔に保持する
- 使用義務と共用:第597条で労働者に使用義務、第598条で疾病感染のおそれがあるときは各人専用
- 価格:山本光学の公式価格で880円から5,830円。差はレンズ材質と防曇・表面硬化加工
以上が保護ゴーグルに関する情報のまとめです。
保護ゴーグルの選定でつまずくのは、たいてい「形から入っている」ときです。ゴーグルかめがねかを先に決めるのではなく、何が目に届くのか(粉じん・薬液・飛来物・光)を決めて、光なら遮光保護具の別規格へ、それ以外なら密着と通気のどちらを取るかで形式が決まり、最後にレンズの材質と加工で価格が決まる。この順番で降りてくれば、880円と5,830円のどちらを買うべきかは自動的に出ます。そして数量と共用の可否は好みではなく条文に書いてあるので、安全書類で聞かれたときは第596条と第598条を根拠にすれば話が早い。規格番号と条番号を1枚に控えておくだけで、発注も説明もずいぶん楽になるはずです。
保護ゴーグルに関するよくある質問
Q1:保護メガネと保護ゴーグルは、規格上は別のものですか?
別ではありません。どちらもJIS T8147「保護めがね」の中の形式で、めがねタイプがスペクタクル形、ゴーグルがゴグル形です。適用範囲も共通で、浮遊粉じん・薬液飛まつ・飛来物などから目を保護するために用いる保護めがねと、交換用のレンズおよびアイピースについて規定されています。ただし形式ごとに重視される品質が違い、スペクタクル形ではレンズの把持性、ゴグル形ではヘッドバンドおよびヘッドバンド取付部の強度が挙げられています。ゴーグルの点検でバンドを見る理由はここにあります。
Q2:製品に書かれた「HX-2」のような記号はどう読みますか?
左から順に読みます。ミドリ安全が公開しているJIS T8147の抜粋では、Hが保護めがねの記号、A・B・Cが種類の記号、Sがサイドシールド付き、Xがヘッドバンド式、Kが交換用レンズおよびアイピース、1が一眼式、2が二眼式の略号とされています。ゴーグルを探すときはX(ヘッドバンド式)を、レンズを買い足したいときはK(交換用)を見ることになります。なお遮光保護具はJIS T8141という別の規格で、A-1やD-2-Hといった別の記号体系になるので、規格番号から先に確認してください。
Q3:溶接に透明のゴーグルを使ってはいけませんか?
遮光が必要な作業は、保護めがねのJIS T8147ではなく遮光保護具のJIS T8141の製品を使います。遮光度番号は作業の種類や条件から引くもので、まぶしさを我慢できるかどうかで決めるものではありません。日本保護眼鏡工業会は、遮光保護具を基発第773号通達「しゃ光保護具の使用について」に基づいて選択・使用するとしています。またアセチレン溶接装置やガス集合溶接装置については、労働安全衛生規則の第312条・第313条で、当該作業を行う者に保護眼鏡および保護手袋を着用させることとされています。
Q4:保護ゴーグルは何個そろえればいいですか?
労働安全衛生規則 第596条に「同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。」とあります。在籍人数ではなく、同時に就業する人数が基準です。加えて第598条では、保護具の使用によって労働者に疾病感染のおそれがあるときは各人専用のものを備えるか、疾病感染を予防する措置を講じることとされています。ゴーグルは顔に密着させる保護具なので、持ち回りで使う運用にするなら、洗浄や消毒をどうするかまで決めておく必要があります。
Q5:化学物質を扱う作業では保護ゴーグルが義務になりましたか?
2024年4月からの規定として、労働安全衛生規則 第594条の2で、皮膚等障害化学物質等を製造し、または取り扱う業務に労働者を従事させるときは、不浸透性の保護衣、保護手袋、履物または保護眼鏡等適切な保護具を使用させなければならないとされています。皮膚等障害化学物質等に当たるかどうかは厚生労働大臣が定めるものに限られるので、扱う物がこれに該当するかはSDSと告示側で確認してください。該当しない化学物質については、第594条の3で使用させるよう努めなければならないという努力義務になっています。
Q6:ゴーグルが曇るので通気孔の多いものに替えたいのですが、問題ありませんか?
順番が逆になりやすいところです。ゴグル形は顔との隙間が少ないぶん粉じんが入りにくい一方で、めがねタイプより通気性が悪く曇りやすい、という関係にあります。通気を増やせば曇りは減りますが、規格が想定している浮遊粉じんや薬液飛沫の侵入は増えます。まず防曇の仕様を上げるのが筋で、山本光学の場合は標準の曇り止めのほかに、ふき取りや水洗いへの耐久を高めた高性能くもり止めタイプやダブルレンズが用意されています。それでも解決しないなら、発生源側の対策や作業方法を見直す段階です。
Q7:レンズはいつ交換すればいいですか?
規格の下限から逆算するのが分かりやすい方法です。JIS T8147の耐衝撃性は、直径約22mmの鋼球を1.27〜1.3mの高さから自由落下させても、レンズが割れたり亀裂が入ったりせず、枠から飛び出さないことを求めています。欠けや深い傷が入っているレンズは、この前提から外れていると考えるのが自然です。加えてゴグル形ではヘッドバンドおよびヘッドバンド取付部の強度が品質として挙げられているので、レンズが無事でもバンドが伸びている、取付部が緩んでいるという状態は交換の理由になります。
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