- ArchiCADのレンダリングって、そもそもどうやるの?
- レンダリングしたら真っ暗(真っ白)になるのはなぜ?
- 時間がかかりすぎる…下書きでサッと確認できないの?
- 設定項目が多すぎてどれを触ればいいか分からない
- CineRenderって何?標準のやつ?
- TwinmotionやEnscapeとArchiCADは何が違うの?
- 材質(テクスチャ)が反映されず灰色のままになる
- プレゼンで見せるレベルにどうすれば届く?
上記の様な悩みを解決します。
ArchiCADのレンダリングは、作ったモデルからプレゼン用の写実的なパース画像を作り出す機能です。締切前に「とりあえずそれっぽい絵を出したい」場面で使うのですが、設定項目が多く、初めてだと「真っ暗になる」「重すぎて終わらない」「材質が出ない」で必ず一度は詰まります。
扱う範囲は、基本のやり方・エンジンの種類・設定の勘所という土台に加えて、「暗い・重い・材質が出ない」の原因切り分けと、Twinmotionのような外部ソフトをいつ使うべきかの線引きです。設定項目を丸暗記する話ではなく、締切前に最短で見せられる絵を出すことをゴールに置いて進めます。
なお、ソフトの正式表記は現在Graphisoft社の「Archicad」ですが、検索でよく使われる「ArchiCAD」の表記で進めます。同じソフトのことです。
それではいってみましょう!
ArchiCADのレンダリングとは?
ArchiCADのレンダリングとは、結論「ArchiCADの3Dモデルに材質・光・背景を反映させて、写真のようなパース画像を生成する処理」のことです。
「レンダリングとパースって同じ?」という疑問がありますが、厳密にはパース(透視図)は“構図”のこと、レンダリングは“その構図に光と材質を計算して絵に焼き付ける”処理のことです。実務では「レンダリングしてパースを出す」とセットで語られるので、ざっくり同じ流れの話と捉えて問題ありません。
ArchiCADには標準で「CineRender」というレンダリングエンジンが搭載されています。これはCGソフト「Cinema 4D」の技術をベースにしたもので、追加購入なしで写実的な画像が出せます。つまり、ArchiCADを持っていれば別ソフトを買わなくてもレンダリングは始められる、というのが前提です。学生版でもレンダリング機能は使えます。
僕の感覚だと、ArchiCADのレンダリングは「モデリングの延長で、そのまま絵まで持っていける」のが最大の強みです。別ソフトにデータを渡す手間がなく、モデルを直せばすぐ絵に反映される。この“往復の速さ”は、修正が多い設計初期のスタディで効いてきます。
BIMソフトとしてのArchiCADの立ち位置は、こちらとあわせて読むと掴みやすいです。

ArchiCADのレンダリングのやり方
やり方は、結論「3Dビューを作る → レンダリング設定を開く → 実行する」の3ステップです。難しく見えて、幹はこれだけです。心の声にあった「ボタンどこ?」に答える形で流れを追います。
- まず3Dウィンドウで見せたいアングル(構図)を決める。ここで絵の8割が決まる
- 「PhotoRendering設定」のダイアログを開き、エンジン・光・出力サイズを確認する
- 品質プリセットを選ぶ(下書きは低品質、仕上げは高品質)
- レンダリングを実行し、別ウィンドウに生成された画像を確認する
- 気に入らなければアングル・材質・光を直して再実行、を繰り返す
最初のうちは、いきなり高品質で回さず「低品質(ドラフト)で構図と明るさだけ確認 → 良ければ高品質で本番」という二段構えにするのが鉄則です。いきなり最高設定で回すと、1枚に何十分もかけた挙句「構図がイマイチだった」で全部やり直し、という一番もったいないパターンにハマります。
正直なところ、レンダリングで一番大事なのは設定より「構図」です。どんなに設定を詰めても、アングルが悪ければ良い絵にはなりません。まずは良い構図を決める、そこに時間を使うのが結果的に近道です。
ArchiCADのレンダリングエンジンの種類
レンダリングエンジンには大きく分けて「内蔵のもの」と「外部ソフト」があります。まず内蔵から整理します。
ArchiCAD内蔵のエンジンは主に2つです。写実的な絵を出す「CineRender」と、手描き風・スケッチ風の表現を出す「スケッチレンダリング」です。プレゼン用のリアルなパースならCineRender、コンセプト提案でやわらかい印象を出したいならスケッチ、という使い分けになります。
- CineRender:標準の写実系エンジン。追加費用なしでフォトリアルな絵が出せる
- スケッチレンダリング:手描き・線画風の表現。初期提案やダイアグラムに向く
- 外部連携:Twinmotion・Enscape・Lumion・V-Rayなどにモデルを渡して、より高品質・高速に仕上げる
外部ソフトを使うかどうかは後述しますが、結論から言えば「まずは内蔵のCineRenderで十分」です。V-Rayのような外部レンダラーは、内蔵では物足りなくなってから検討すれば良く、入門段階で必須ではありません。
ArchiCADのレンダリング設定の要点
設定項目は多いですが、絵の仕上がりを左右する要点は4つに絞れます。心の声の「どれを触ればいいか分からない」に答えると、この4つだけ押さえれば形になります。
- サーフェス(材質):面ごとの質感。木・コンクリ・ガラスなどをここで指定する
- 光源・太陽:太陽の位置(日時と方位で決まる)と室内照明。光の向きで印象が激変する
- 環境(背景・空):物理的な空やHDRI画像で背景と全体の光を作る
- 出力サイズと品質:ピクセル数と品質プリセット。仕上げ用は大きく高品質、確認用は小さく低品質
特に効くのが「太陽の設定」です。ArchiCADは日時と地域を入れると太陽の位置が物理的に決まるので、朝夕の低い光にすると陰影が伸びてドラマチックな絵になります。真昼の設定はのっぺりしがちなので、外観パースは朝夕の斜光を狙うと一気に“それっぽく”なります。
背景の空を綺麗にしたいなら「HDRI」を使います。HDRIは全方位を写した明るさ情報付きの画像で、これを環境に設定すると背景の空だけでなく、モデル全体に自然な光と映り込みが乗ります。手っ取り早くリアルにしたいときの定番です。
内観と外観では設定の勘所が変わります。外観は太陽と空が主役ですが、内観は窓から入る光と室内照明のバランスが主役になります。内観が暗くなりがちなのは、この室内側の光を足していないことが多いです。
図面まわりの基礎も固めておくと、モデルの精度が上がってレンダリングも映えます。

ArchiCADのレンダリングが重い・暗い時の対処
ここが、多くの解説記事が飛ばすけれど一番つまずくポイントです。「真っ暗になる」「重すぎる」「材質が出ない」の3大トラブルを原因から切り分けます。
- 暗い・真っ黒になる:光源が足りていない。太陽の日時(夜になっていないか)を確認し、内観なら室内照明を足す。露出(明るさ)設定も見直す
- 白飛び・真っ白になる:逆に光が強すぎる。露出を下げるか、光源の強さを絞る
- 重い・終わらない:出力サイズが大きすぎ、または品質が高すぎる。確認段階は小さいサイズ・低品質で回す
- 材質が灰色のまま:サーフェスが割り当てられていない、またはテクスチャの読み込みに失敗している。面にサーフェスを設定し直す
- のっぺりする:光が真上(真昼)で陰影が出ていない。太陽を朝夕の低い位置にし、映り込みのある材質を使う
なぜ重いのかというと、CineRenderは光が物に当たって跳ね返る様子を一本ずつ計算する(レイトレーシング)方式で、材質の反射やガラスの透過が増えるほど計算量が跳ね上がるからです。CPU・メモリを大きく使うため、非力なPCだと時間はかかります。ただ「終わらない」の多くはスペックより設定過剰が原因で、確認用を低品質・小サイズにするだけで体感は激変します。まずは設定を疑うのが先です。
もう一つ、プレゼンで見せるレベルにあと一歩届かない時に効くのが「後処理」です。レンダリングした画像を、そのまま出すのではなく、画像編集ソフトで明るさ・コントラスト・彩度を軽く整えるだけで、印象がぐっと締まります。CineRenderの中だけで完璧を目指すより、7割の絵を出して残り3割を後処理で仕上げる、と割り切った方が結果的に速くて綺麗です。
実務だと、締切直前に「暗い」「重い」で焦るのが一番のあるあるです。だからこそ、本番の高品質を回す前に必ず低品質のドラフトで“明るさと構図だけ”先に確定させておく。この一手間が、深夜のやり直しを防ぎます。
ArchiCADの内部レンダリングと外部ソフトの使い分け
「Twinmotionって聞くけど、内蔵と何が違うの?」という疑問は、進むほど気になってきます。結論、選ぶ基準は「スピード」と「見せ方」です。
内蔵のCineRenderは、追加ソフト不要でモデルとの往復が速いのが強みです。一方Twinmotion・Enscape・Lumionといった外部ソフトは、リアルタイムに近い速さで動き、植栽・人・車などの添景や動画(ウォークスルー)を作りやすいのが強みです。静止画1枚の写実性だけならCineRenderでも十分戦えますが、「プレゼンで動画を見せたい」「大量の添景で街並みを作りたい」場面では外部ソフトが効きます。
- 内蔵CineRender:追加費用なし・モデルとの往復が速い。静止画のスタディや仕上げに十分
- Twinmotion / Enscape:リアルタイム表示が速く、添景・動画・VRが得意。プレゼン映えを狙う時
- V-Ray / Lumion:さらに高品質・高表現。作り込んだ本番パースや広告用途向け
個人的には、入門〜中級のうちは内蔵で完結させ、「動画を見せたい」「添景を盛りたい」という明確な目的ができてから外部ソフトを足すのが、時間もお金も無駄になりにくいと思います。最初から外部ソフトを覚えようとすると、レンダリング以前にソフトの操作で消耗します。
ArchiCADのレンダリングに関する情報まとめ
- ArchiCADのレンダリングとは:モデルに材質・光・背景を反映し写実的なパースを作る処理。標準はCineRender
- やり方:3Dビューで構図を決める→設定を開く→実行。まず低品質で確認、良ければ高品質で本番
- エンジンの種類:内蔵のCineRender(写実)とスケッチ(線画風)。外部はTwinmotion等
- 設定の要点:サーフェス・太陽/光源・環境(空/HDRI)・出力サイズと品質の4つ
- 重い・暗い時:光量と露出、出力サイズと品質、サーフェス割り当てを疑う。確認は低品質で
- 内部と外部の使い分け:静止画は内蔵で十分、動画・添景・VRを狙うなら外部ソフト
以上がArchiCADのレンダリングに関する情報のまとめです。一通り、やり方から設定、つまずいた時の対処までは押さえられたかなと思います。
現場目線で言えば、良いパースは「設定の詰め」より「構図と光」で決まります。まずは良いアングルと朝夕の斜光、この2つを意識するだけで仕上がりが変わるので、次のレンダリングで試してみてください。BIMの全体像とあわせて理解すると、レンダリングがワークフローのどこにある作業なのかが見えてきます。


