- 設計事務所って何をしてるところ?
- ゼネコンと何が違うの?
- 設計事務所にも種類があるの?
- 意匠・構造・設備って分かれてるの?
- 「工事監理」って施工管理と違う?
- 現場に来る監理者は設計事務所の人?
- 年収は高いの?低いの?
- 施工管理から設計事務所に転職できる?
- 監理者とうまく付き合うコツは?
上記の様な悩みを解決します。
設計事務所は、施工管理をしていると現場で必ず関わる相手です。打合せに来る「監理者」が設計事務所の人だったりしますが、設計事務所が何をしていて、ゼネコンや自分たち施工管理とどう違うのかは意外と曖昧なまま、という人も多いはずです。今回は仕事内容・種類・ゼネコンとの違いといった基本に加えて、混同しやすい「監理」と「管理」の違い、年収、そして施工管理から設計事務所への転職や付き合い方まで、現場目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
設計事務所とは?
設計事務所とは、結論「建物の設計と工事監理を行う、建築士のいる事務所」のことです。
正式には「建築士事務所」と呼ばれ、業として設計・監理を行うには都道府県への建築士事務所登録が必要で、管理建築士を置くことが義務づけられています。つまり「建築士が看板を背負って設計と監理をやる専門集団」が設計事務所です。建築家1人の個人事務所から、数百人規模の組織まで大きさはさまざまです。
建築のプロジェクトは大きく「設計フェーズ」と「施工フェーズ」に分かれます。設計事務所が主役になるのは設計フェーズで、施主の要望を形にする設計と、その図面通りに工事が進んでいるかを確認する工事監理までを担当します。実際に建てるのはゼネコンなどの施工会社で、ここが設計事務所と施工側の役割分担です。
設計事務所が作る設計図そのものについてはこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、設計事務所は「建物の上流(どう作るか決める側)」と捉えると分かりやすいです。施工管理は「下流(決まったものを実際に作る側)」なので、現場で監理者と意見が食い違うときも、立場の違いを理解しておくと話がこじれにくくなります。
設計事務所の仕事内容
設計事務所の仕事は、大きく「設計」と「工事監理」の2つです。設計はさらに3つの専門分野に分かれます。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 意匠設計 | 建物のデザイン・間取り・空間構成。全体をまとめる司令塔的役割 |
| 構造設計 | 柱・梁・基礎など構造体の安全性を計算・設計 |
| 設備設計 | 電気・空調・給排水・衛生など設備の設計 |
意匠設計が全体を取りまとめ、構造設計が建物の骨組みの安全を担保し、設備設計が住み心地・使い勝手を支える、という分担です。大きな組織設計事務所では分野ごとに部署が分かれていますが、小さな事務所では意匠設計者が幅広くこなし、構造・設備は外部の専門事務所と協働することも多いです。
意匠図や構造図の役割はこちらが参考になります。

設計の流れは「基本設計(大枠を決める)」から「実施設計(施工できるレベルまで詳細化する)」へ進み、確認申請を経て施工フェーズに移ります。着工後は、設計図通りに工事が行われているかを確認する「工事監理」が設計事務所の役割になります。
構造設計の仕事の中身はこちらが詳しいです。

僕としては、設計事務所の仕事の核は「意匠・構造・設備を1つの建物にまとめあげる調整力」だと感じます。施工管理が現場で各業者をまとめるように、設計事務所は設計段階で各分野をまとめている、と考えると役割がイメージしやすいです。
設計事務所の種類
設計事務所は、大きく4つのタイプに分類されます。同じ「設計事務所」でも、扱う案件も働き方もかなり違います。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 組織設計事務所 | 意匠・構造・設備を総合的に持つ大規模事務所。大型・複雑な建物が得意 |
| アトリエ系設計事務所 | 建築家個人の個性を重視。住宅や小規模商業・公共施設が中心 |
| ゼネコン設計部 | ゼネコン内部の設計部門。設計から施工まで自社で一貫 |
| 建設コンサルタント | 橋・道路・トンネルなど土木インフラの設計・調査が中心 |
ざっくり言うと、組織系は「大きい建物をチームで」、アトリエ系は「個性的な建物を建築家の名前で」、ゼネコン設計部は「設計施工一貫で」、建設コンサルは「土木構造物を」、という棲み分けです。
設備設計を専門に担う建築設備士という資格もあり、設備分野の専門性はこちらが参考になります。

僕の感覚だと、就職・転職を考えるなら、この4分類のどこを志望するかで働き方の想像が全然変わってきます。「設計事務所に行きたい」と漠然と言うより、「組織系で大型案件」なのか「アトリエ系で作家性」なのかを決める方が、ミスマッチが減ります。
設計事務所とゼネコン・施工管理の違い
ここが一番混同されるポイントです。設計事務所・ゼネコン・施工管理の違いを役割で整理します。
| 立場 | 主な役割 |
|---|---|
| 設計事務所 | 建物を設計し、工事監理(設計図通りかの確認)を行う |
| ゼネコン | 工事を請け負い、施工全体を統括する |
| 施工管理 | 現場で工程・品質・安全・原価を管理し、工事を進める |
「監理」と「管理」は別物
施工管理者が必ずつまずくのが、「工事監理」と「施工管理」の違いです。読みは同じ「カンリ」でも中身は別物で、現場では区別のために「さらかん(監理)」「たけかん(管理)」と呼び分けることもあります。
- 工事監理(監理):設計者(設計事務所)の立場で、工事が設計図書通りに行われているかを確認する
- 施工管理(管理):施工者(ゼネコン等)の立場で、工程・品質・安全・原価を管理して工事を進める
つまり、現場の打合せに来て「この納まり、図面と違いますよね」とチェックしてくる監理者は、施主側に立つ設計事務所の人、というケースが多いわけです。立場が「設計者側」か「施工者側」かで、見ているものが違います。
僕としては、監理者と施工管理は「敵」ではなく「役割が違うだけ」と捉えるのが現場を回すコツだと感じます。監理者は設計の意図を守る役、施工管理は現実的に建てる役。お互いの立場を理解していれば、指摘も前向きに受け止められます。
設計事務所の年収
設計事務所の年収は、種類と規模によって差が大きいのが実情です。一括りに「設計事務所=薄給」とは言えません。
| 種類 | 年収の傾向 |
|---|---|
| 組織設計事務所(大手) | 高水準。スーパーゼネコン・大手ゼネコンに迫る、または上回る場合も |
| ゼネコン設計部 | ゼネコンの給与体系に準じ、安定して高め |
| 建設コンサルタント | 比較的安定。資格手当などで上乗せされやすい |
| アトリエ系設計事務所 | 事務所の規模・知名度で差が大きく、薄給になりやすい傾向 |
世間のイメージでは「設計事務所は薄給」と思われがちですが、これは主にアトリエ系の小規模事務所の話です。大手の組織設計事務所は給与・福利厚生とも大手ゼネコンと遜色なく、むしろ上回るケースもあります。一方、アトリエ系は「作家性ややりがい重視で、給与は二の次」という世界観の事務所も多く、ここが年収差の正体です。
個人的には、年収だけで設計事務所を選ぶなら組織系・ゼネコン設計部、やりがいや作品性を取るならアトリエ系、という割り切りが現実的です。「設計=薄給だから施工管理の方が稼げる」と単純化せず、どのタイプかで見るのが正確です。
施工管理者から見た設計事務所(連携・転職)
最後に、施工管理者の立場で設計事務所をどう捉えるか、連携と転職の両面から整理します。ここが本記事の肝です。
現場での連携・付き合い方
設計事務所(監理者)と施工管理は、現場でうまく連携できるかどうかが工事の進みを左右します。
- 図面の不整合や納まりの疑問は、自己判断せず早めに監理者へ確認する
- 質疑応答(質疑書)で記録を残し、口頭だけで決めない
- 設計変更は監理者・施主の承認を取り、独断で進めない
- 監理者の指摘は「設計意図を守るため」と捉え、対立ではなく調整で対応する
施工管理から設計事務所への転職
施工管理から設計事務所への転職も十分あり得ます。現場経験は設計でも強い武器になります。
| 観点 | 実情 |
|---|---|
| 建築士資格 | 設計・監理を担うなら建築士(一級・二級)が事実上必要 |
| 経験の活き方 | 「施工を知っている設計者」は納まり・施工性に強く重宝される |
| ハードル | 設計実務(CAD・確認申請)の経験不足は入ってから埋める前提 |
| 働き方 | 案件によっては繁忙期の残業が多く、納期前は負荷が高い |
施工管理経験者は「現場を知らない机上の設計」になりにくいのが強みです。施工性を考えた設計ができる人材は、設計事務所側も歓迎する傾向があります。土木側のキャリアの考え方はこちらも参考になります。

現場目線で言えば、施工管理から設計への転職は「現場を知っている」というアドバンテージを活かせる王道ルートの1つだと感じます。ただし設計・監理を本格的にやるなら建築士資格がほぼ前提になるので、転職を見据えるなら早めに資格取得を計画しておくのが現実的です。逆に、設計事務所と良い関係を築ける施工管理者は、転職しなくても現場で重宝されます。
設計事務所に関する情報まとめ
- 定義:建物の設計と工事監理を行う、建築士のいる「建築士事務所」(事務所登録・管理建築士が必要)
- 仕事内容:意匠・構造・設備の設計+工事監理。基本設計→実施設計→確認申請→工事監理の流れ
- 種類:組織設計事務所/アトリエ系/ゼネコン設計部/建設コンサルタントの4分類
- ゼネコン・施工管理との違い:設計事務所=設計と監理、ゼネコン=施工、施工管理=現場の管理
- 監理と管理:工事監理は設計者側、施工管理は施工者側。読みは同じでも立場が逆
- 年収:組織系・ゼネコン設計部は高水準、アトリエ系は差が大きく薄給になりやすい
- 施工管理との関係:質疑で記録を残し承認を取る、監理者とは対立せず調整、転職時は建築士資格が前提
以上が設計事務所に関する情報のまとめです。
設計事務所は、施工管理にとって「現場で必ず関わる、設計と監理の専門集団」です。監理と管理は読みは同じでも立場が逆で、ここを理解しておくと監理者との連携がスムーズになります。年収はタイプによって大きく差があり、「設計=薄給」は主にアトリエ系の話です。施工管理経験は設計でも強い武器になるので、設計側への転職を考えるなら建築士資格を計画的に押さえておくと、キャリアの選択肢が広がるはずです。
設計事務所に関するよくある質問
Q1:設計事務所とゼネコンは何が違うんですか?
役割が違います。設計事務所は建物を「設計」し、工事が設計図通りに進んでいるかを確認する「工事監理」を担います。ゼネコンは工事を請け負って実際に「施工」し、現場全体を統括します。ざっくり言えば、設計事務所が「どう作るかを決める側」、ゼネコンが「実際に作る側」です。ゼネコン設計部のように両方を自社で持つ会社もあります。
Q2:工事監理と施工管理はどう違うんですか?
読みは同じ「カンリ」ですが立場が逆です。工事監理は設計者(設計事務所)の立場で、工事が設計図書通りに行われているかをチェックする仕事です。施工管理は施工者(ゼネコン等)の立場で、工程・品質・安全・原価を管理して工事を進める仕事です。現場では区別のため「さらかん(監理)」「たけかん(管理)」と呼び分けることもあります。
Q3:設計事務所には種類があるんですか?
大きく4つに分かれます。意匠・構造・設備を総合的に持つ「組織設計事務所」、建築家個人の個性を重視する「アトリエ系設計事務所」、ゼネコン内部の「ゼネコン設計部」、土木インフラを扱う「建設コンサルタント」です。同じ設計事務所でも扱う案件や働き方が大きく違うので、就職・転職時はどのタイプかを意識するのが重要です。
Q4:設計事務所の年収は低いんですか?
タイプによります。「設計事務所=薄給」というイメージは主にアトリエ系の小規模事務所の話で、大手の組織設計事務所やゼネコン設計部は、大手ゼネコンと遜色ない、あるいは上回る年収のケースもあります。アトリエ系は作家性ややりがいを重視する文化が強く、給与差が出やすいのが実情です。年収を重視するなら組織系・ゼネコン設計部が現実的な選択になります。
Q5:施工管理から設計事務所に転職できますか?
できます。むしろ施工管理経験は「現場を知っている設計者」として強みになり、施工性を考えた設計ができる人材は歓迎されやすいです。ただし設計・監理を本格的に担うには建築士(一級・二級)の資格が事実上必要で、CADや確認申請といった設計実務は入ってから習得する前提になります。転職を見据えるなら、早めに建築士資格の取得を計画しておくのがおすすめです。
Q6:現場で監理者とうまく付き合うコツはありますか?
監理者を「敵」ではなく「役割が違う相手」と捉えるのがコツです。監理者は設計の意図を守る立場なので、図面と違う納まりには指摘が入ります。自己判断で進めず、疑問は質疑書で記録を残しながら早めに確認し、設計変更は必ず承認を取る、という基本を徹底すると信頼関係が築けます。指摘を前向きに受け止める姿勢が、結局は現場をスムーズに回します。
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