- 自分は一級建築士を受験できるの?
- 令和2年の改正で何が変わったの?
- 実務経験がなくても受験できるって本当?
- 指定科目って何?自分の学科は該当する?
- 二級建築士を持っていればすぐ受けられる?
- 受験と免許登録って別もの?
- 登録に必要な実務経験は何年?
- 施工管理の現場経験は実務経験に入る?
上記の様な悩みを解決します。
一級建築士の受験資格は、令和2年(2020年)の建築士法改正で大きく変わり、「実務経験がなくても受験できる」ようになりました。ただし、受験と免許登録で実務経験の扱いが分かれたため、ここを正しく理解しておかないと「合格したのに登録できない」という事態になりかねません。今回は改正後のルール・ルート別の条件という基本を正確に押さえた上で、現役の施工管理目線で「受験と登録の違い」「施工管理の現場経験が登録に認められる範囲」まで、現場で働く人向けに整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
一級建築士の受験資格とは?
一級建築士の受験資格とは、結論「建築に関する学歴、または二級建築士などの資格を満たせば、実務経験ゼロでも受験できる」というものです。建築士法第14条で定められています。
最大のポイントが、令和2年(2020年)改正です。改正前は「学歴要件+実務経験」の両方を満たさないと受験できませんでしたが、改正後は実務経験が受験資格から免許登録の要件に移されました。つまり、学歴や資格の要件さえ満たせば、卒業後すぐ・実務経験ゼロでも受験できるようになったのです。
これにより、大学を卒業してすぐの人や、二級建築士を取ったばかりの人が、実務を待たずに一級建築士に挑戦できるようになりました。受験のハードルが下がった一方で、「登録時には実務経験が必要」という条件は残っているので、この分離を理解しておくことが大事です。
一級建築士になるまでの全体の流れはこちらで解説しています。

僕の感覚だと、この改正は施工管理者にとって追い風です。以前は「実務を積んでから受験」でしたが、今は「受験は先に済ませ、登録までに実務経験を満たす」順番にできる。現場で働きながら先に学科・製図を突破しておける柔軟さは、働きながら目指す人には大きなメリットです。
一級建築士の受験資格のルート別条件
一級建築士の受験資格を得るルートは、結論「大きく4つ」あります。自分がどのルートに当てはまるかをまず確認しましょう。
受験資格の4つのルートを整理すると、こうなります。
| ルート | 条件 |
|---|---|
| 学歴 | 大学・短大・高専・専修学校等で指定科目を修めて卒業 |
| 二級建築士 | 資格保有者(実務経験の有無を問わない) |
| 建築設備士 | 資格保有者(実務経験の有無を問わない) |
| 国土交通大臣認定 | 同等以上の知識・技能を有すると認められた者(外国大学卒業者等) |
このうち、最も一般的なのが学歴ルートです。建築・土木系の学校で指定科目を修めて卒業していれば、卒業後すぐに受験できます。
注目したいのが、二級建築士と建築設備士のルートです。これらの資格を持っていれば、学歴や実務経験に関係なく一級建築士を受験できます。建築系の学歴がない人にとって、二級建築士を経由するのは現実的な王道ルートになります。
一級建築士の難易度や合格率の全体像はこちらで解説しています。

個人的には、自分のルートを最初に見極めるのが受験準備の第一歩だと感じます。学歴ルートでいけるのか、二級経由が必要なのかで、スタート地点も準備期間もまったく変わってくる。特に学歴ルートは「指定科目を修めたか」が条件なので、次の章で自分の卒業学科が該当するかを確認しておくのがおすすめです。
一級建築士の学歴ルートと指定科目
学歴ルートで受験するなら、結論「指定科目を修めて卒業したか」がカギになります。平成21年度以降に入学した人は、国土交通大臣が指定する建築に関する科目(指定科目)を修めている必要があります。
指定科目に含まれる主な分野は次の通りです。
- 建築設計製図
- 建築計画
- 構造力学・建築一般構造
- 建築環境工学・建築設備
- 建築材料・建築生産
- 建築法規
建築学科であればこれらを網羅していることが多いですが、学科やカリキュラムによって修得単位数が異なります。そして重要なのが、この修得した指定科目の単位数によって、後の免許登録に必要な実務経験年数が変わる点です。
つまり「卒業=受験OK」でも、単位数が少ないと登録時の実務年数が長くなることがあります。自分の卒業証明書や成績証明書で指定科目の単位を確認し、不明な場合は建築技術教育普及センターに照会しておくと安心です。大学の建築学科の学びの中身はこちらが参考になります。

実務だと、ここを曖昧にしたまま進める人が意外と多い印象です。「建築学科だから大丈夫だろう」で進めて、登録段階で「単位が足りず実務年数が想定より長い」と気づくケースもある。受験前に自分の指定科目の状況を把握しておくだけで、登録までの計画が一気に立てやすくなります。
一級建築士の受験と免許登録の違い・登録の実務経験
ここが令和2年改正で一番ややこしくなった部分です。結論「受験は学歴・資格だけでOK、実務経験は免許登録のときに必要」と、タイミングが分かれています。
学歴・資格別に必要な登録時の実務経験年数を整理すると、こうなります。
| 最終学歴または資格 | 登録に必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学(指定科目修了) | 卒業後2年以上 |
| 短期大学(3年制) | 卒業後3年以上 |
| 短期大学(2年制)・高等専門学校 | 卒業後4年以上 |
| 専修学校・高等学校 | 修得単位数に応じた年数 |
| 二級建築士 | 二級建築士として4年以上 |
| 建築設備士 | 建築設備士として4年以上 |
つまり、試験には先に合格できても、この実務経験年数を満たして「実務経験証明書」を提出しないと、一級建築士として登録・名乗ることはできません。合格はゴールではなく、登録までが一区切りです。
注意したいのが「合格したのに登録できない」パターンです。受験のハードルが下がった分、実務経験の確認を後回しにすると、合格後に「あと何年も実務が必要だった」と気づくことがあります。受験を決めた段階で、自分の登録要件(必要年数と対象業務)を確認しておくのが鉄則です。
僕としては、改正後は「受験」と「登録」を別タスクとして並行管理するのが正解だと感じます。試験勉強と並行して、自分の実務経験が登録要件を満たす見込みかを早めに確認しておく。これをやっておけば、合格と同時にスムーズに登録へ進めます。
施工管理の実務経験は一級建築士の登録に認められる?
施工管理者にとっての最重要ポイントがここです。結論「令和2年改正で、施工の技術上の管理業務が実務経験として認められるようになりました」。つまり施工管理の現場経験が、登録の実務にカウントされる可能性があります。
実務経験として認められる業務・認められない業務を整理すると、こうなります。
- 認められる:設計(意匠・構造・設備・図面作成補助)
- 認められる:工事監理(設計図通りか確認する業務)
- 認められる:施工の技術上の管理(工程・安全・品質管理など。令和2年で拡大)
- 認められる:建築物の調査・評価(耐震診断・劣化調査など。令和2年で追加)
- 認められない:書類作成・営業・単純トレースなどの事務作業
施工管理として現場で工程管理・品質管理・安全管理に携わっている経験は、この「施工の技術上の管理」に該当し得ます。建築一式工事や大工工事などの管理業務が対象です。施工管理技士として現場を回してきた人なら、その経験を登録の実務経験に充てられる可能性が高いということです。
ただし注意点が2つあります。1つは、令和2年改正で新しく対象になった実務は、令和2年3月1日以降の経験のみがカウントされる点。もう1つは、登録時に勤務先の上司や建築士の署名入りの実務経験証明書が必要で、複数の勤務先の経験は合算できる点です。施工管理技士としての実務の積み方はこちらも参考になります。

現場目線で言えば、これは施工管理者が一級建築士を目指す上で非常に大きい改正だと感じます。以前は「設計実務がないと登録できない」イメージがありましたが、今は現場の施工管理経験が正面から認められる。自分の業務が対象に該当するかは、念のため日本建築士会連合会に確認しておくと確実ですが、施工管理のキャリアがそのまま一級建築士への道につながる時代になっています。
一級建築士の学歴がない人のルートと学科免除
建築系の学歴がない人でも、結論「二級建築士を経由すれば一級建築士を目指せます」。ルートは限られますが、道は閉ざされていません。
学歴がない場合の現実的なルートは次の通りです。
- まず二級建築士を取得する(建築系の学歴がなければ実務経験7年で受験資格を得るのが王道)
- 通信制・夜間の建築専門学校で指定科目を履修し、卒業して受験資格を得る
- 資格取得支援制度のある職場に移り、費用補助を受けながら挑戦する
建築系でない学科を卒業した人は、いきなり一級建築士は受験できません。二級建築士を取ってから一級に進むのが定石です。働きながら指定科目を学べる通信・夜間のルートもあるので、社会人からでも計画的に進められます。
あわせて知っておきたいのが学科免除です。令和2年改正で、学科合格の有効期間が3年から5年に延長されました。学科合格に続く4回の試験のうち2回(学科合格年の製図を欠席した場合は3回)まで、学科免除で設計製図試験を受けられます。これにより、製図にじっくり時間をかけられるようになりました。製図対策はこちらで詳しく解説しています。

実務だと、学歴がない人ほど「ルート設計」が大事だと感じます。二級経由なのか通信で指定科目を取るのか、入り口で道筋を決めれば、あとは逆算して動くだけ。遠回りに見えても、施工管理として実務を積みながら段階的に資格を重ねていけば、一級建築士は十分に射程に入ります。
一級建築士の受験資格に関するよくある質問
Q1:実務経験がなくても本当に受験できますか?
はい。令和2年改正以降、受験時点での実務経験は不要です。学歴(指定科目を修めて卒業)または二級建築士・建築設備士などの資格を満たせば、卒業・取得後すぐに受験できます。ただし、合格後の免許登録には学歴・資格に応じた実務経験(2〜4年以上)が必要です。
Q2:施工管理の経験は免許登録の実務に使えますか?
使える可能性が高いです。令和2年改正で、工程・品質・安全管理などの「施工の技術上の管理」が実務経験として認められるようになりました。ただし令和2年3月1日以降の経験が対象で、業務内容の要件確認が必要なため、詳細は日本建築士会連合会に照会しておくと確実です。
Q3:受験と免許登録は何が違うのですか?
受験は試験を受ける資格、登録は合格後に一級建築士として名乗るための手続きです。改正後は、受験は学歴・資格だけで可能ですが、登録には実務経験が必要です。試験に合格しても実務経験が足りなければ登録できないため、両者を分けて準備する必要があります。
Q4:学科に合格したら製図は何年以内に受ければいいですか?
令和2年以降に学科合格した場合、その合格は5年間有効で、続く4回の試験のうち2回(学科合格年の製図を欠席すれば3回)まで学科免除で受けられます(従来は3年)。免除期間が延びたことで、製図に十分な準備期間を確保できるようになりました。令和元年以前の合格者は従来通り3年間の免除です。
Q5:受験にかかる費用はどれくらいですか?
受験手数料が17,000円です。これに加えて、合格後の免許登録には登録免許税60,000円と申請手数料(令和2年以降の合格者は28,400円)がかかります。必須費用だけで約10万5,000円以上で、講習を利用するとさらに費用が上乗せされます。
一級建築士の受験資格に関する情報まとめ
- 受験資格とは:学歴または二級建築士などの資格を満たせば、実務経験ゼロでも受験可能
- 令和2年改正:実務経験が受験資格から免許登録の要件に移った(受験のハードルが低下)
- ルート:学歴(指定科目修了)/二級建築士/建築設備士/国土交通大臣認定の4つ
- 指定科目:建築設計製図・計画・構造・環境設備・材料生産・法規など。単位数で登録実務年数が変わる
- 受験と登録は別:受験は資格だけ、登録は実務経験(大学2年・短大3〜4年・二級4年など)が必要
- 施工管理:施工の技術上の管理が令和2年で実務に算入(令和2年3月1日以降の経験が対象)
- 学歴なし:二級建築士経由が王道。学科免除は令和2年以降5年に延長
以上が一級建築士の受験資格に関する情報のまとめです。
一級建築士の受験資格は、令和2年改正で「受験は早く、実務経験は登録までに」という形に変わったのが核心だと思います。施工管理者にとっては、現場で積んだ施工の管理経験が登録の実務として正面から認められるようになった意味は大きいです。まず自分のルート(学歴か二級経由か)を見極め、受験と登録を分けて準備し、合格後にスムーズに登録できるよう実務経験を確認しておく。この段取りができれば、施工管理のキャリアをそのまま一級建築士につなげられます。勉強時間や学科・製図の対策と合わせて、自分の計画を立ててみてください。



