- 一級建築士の学科って何科目あって何点満点なの?
- 各科目の配点はどうなってる?
- 合格点は何点?毎年変わるの?
- 1科目でも基準点を割ったら即不合格って本当?
- どの科目で稼いで、どの科目を守ればいい?
- 法規は法令集を持ち込めるから満点狙える?
- 構造力学が苦手。捨ててもいい?
- 施工は現場でやってるから楽勝?
上記の様な悩みを解決します。
一級建築士の学科試験は、計画・環境設備・法規・構造・施工の5科目から出題され、1科目でも基準点を割ると不合格という、いわゆる足切りがあるのが厄介なところです。だからこそ「どの科目で稼いで、どの科目で守るか」という得点設計が合否を分けます。今回は科目・配点・合格基準点という基本を正確に押さえた上で、現役の施工管理目線で「科目別の攻略法」「施工管理者ならではの得点戦略」まで、現場で働く人向けに整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
一級建築士の学科とは?
一級建築士の学科とは、結論「計画・環境設備・法規・構造・施工の5科目・計125問を解く四肢択一のマークシート試験」のことです。
最大の特徴は、各科目に基準点(足切り点)が設けられている点です。総得点が合格ラインを超えていても、1科目でも基準点に届かなければ不合格になります。つまり「得意科目で荒稼ぎして苦手科目をカバーする」という戦法が通用せず、全科目をまんべんなく基準点以上に乗せる必要があります。
学科試験は例年7月の第4日曜日に実施され、ここを通過した人だけが10月の設計製図試験に進めます。学科の合格率は年度により15〜23%程度で、製図と合わせた最終合格率は10%前後です。
合格率や難易度の全体像はこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、学科で一番怖いのは総得点より足切りです。施工管理者は施工科目で稼げる反面、構造力学や計画でうっかり基準点を割ると、他がどれだけ良くても一発アウト。だから学科対策は「苦手科目を基準点まで引き上げる」ことを最優先に組むのが、遠回りに見えて一番の近道になります。
一級建築士の学科の科目と配点
一級建築士の学科は5科目で、科目ごとに配点と試験時間が決まっています。配点を知らないと時間配分を間違えます。
科目と配点(2025年度時点)を整理すると、こうなります。
| 科目 | 配点 | 試験時間(区分) |
|---|---|---|
| 計画 | 20点 | 計画・環境設備で2時間 |
| 環境・設備 | 20点 | 同上 |
| 法規 | 30点 | 1時間45分 |
| 構造 | 30点 | 構造・施工で2時間45分 |
| 施工 | 25点 | 同上 |
| 合計 | 125点 | — |
注目すべきは、法規と構造がそれぞれ30点と配点が大きいことです。この2科目だけで60点、全体のほぼ半分を占めます。逆に計画と環境・設備は各20点と軽めです。
この配点バランスから、合格者の間では「法規と構造の60点中50点以上を取ることが合格への最短距離」と言われます。配点の大きい2科目をしっかり固めるほうが、配点の小さい科目を必死に詰めるより効率がいいわけです。
法規の土台になる法令の全体像はこちらで整理しています。

実務だと、配点を意識せずに「とりあえず計画から順番に」と勉強を始める人がいますが、これは非効率です。配点が大きく得点も伸ばしやすい法規・構造を先に厚く固めて、暗記中心の計画・施工を後半に回す。この順番だけで、限られた時間の使い方が一段良くなります。
一級建築士の学科の合格基準点と足切り
一級建築士の学科の合否は、結論「各科目の基準点」と「総得点の基準点」の両方をクリアして決まります。片方でも欠けると不合格です。
科目ごとの基準点と総得点の目安は次の通りです。年度によって調整されるため、あくまで近年の代表値として捉えてください。
| 区分 | 基準点の目安 |
|---|---|
| 計画 | 11点 / 20点 |
| 環境・設備 | 11点 / 20点 |
| 法規 | 16点 / 30点 |
| 構造 | 16点 / 30点 |
| 施工 | 13点 / 25点 |
| 総得点 | 88〜97点 / 125点(年度で変動、近年は90点前後) |
ここで誤解しやすいのが、ネット上の解説で「構造の基準点は30点」などと書かれているケースです。これは配点(30点満点)と基準点(16点前後)を取り違えた誤りなので注意してください。基準点は満点の5〜6割程度に設定されているイメージです。
総得点の合格基準点は年度ごとに上下します。問題が易しい年は基準点が上がり、難しい年は下がる調整が入るため、「毎年◯点取れば確実」という固定ラインはありません。だからこそ、本番でブレないように各科目で基準点に余裕を持たせておくのが安全策になります。
個人的には、学科対策のゴールは「総得点で90点を狙う」より「全科目で基準点+数点の余裕を作る」と設定したほうが現実的だと感じます。足切りで落ちる人は、たいてい1科目だけ穴があるパターン。苦手科目を最後まで捨てずに底上げしておくことが、合格を確実にする一番の保険です。
一級建築士の学科の科目別攻略法
一級建築士の学科は科目ごとに性質がまったく違うので、攻め方を変えるのが鉄則です。科目別の特徴と攻略のポイントを押さえましょう。
5科目それぞれの攻略ポイントは次の通りです。
- 計画:出題範囲が非常に広く、上位者と下位者の差がつきにくい。建築作品・事例は写真で視覚的に覚える
- 環境・設備:範囲が狭めで学習成果が点に出やすい。光・熱・空気の環境工学と、空調・給排水・電気設備をセットで
- 法規:唯一法令集を持ち込める。条文の場所を引けるかが勝負。問題を解きながら法令集の構成を体で覚える
- 構造:構造力学(計算)と一般構造・材料に分かれる。計算は解法パターンを覚え、過去問を反復する
- 施工:範囲が広く、机上で実務知識を覚える難しさがある。まず工事全体の流れを掴んでから細部へ
このうち、点が安定しやすいのは法規と環境・設備です。法規は法令集を引けば答えにたどり着けるため、慣れれば高得点源になります。環境・設備は範囲が狭く、やった分だけ点になります。
一方で差がつくのが構造です。特に構造力学の計算は、苦手な人がそのまま放置すると基準点割れの原因になります。構造科目の前提になる建築構造の基礎はこちらが参考になります。

現場目線で言えば、計画は「深追いしない」のがコツだと感じます。範囲が広すぎて、時間をかけても差がつきにくい科目なので、基準点を確保する程度に抑えて、その時間を法規・構造に回すほうが全体の得点効率は上がります。逆に環境・設備は短期間で伸ばせるので、直前期の得点の底上げに向いています。
施工管理者の一級建築士学科の得点戦略
施工管理者が学科を攻略するなら、結論「施工で稼ぎ、構造力学で守る」という得点戦略が軸になります。自分の現場経験を点数に変える発想が大事です。
施工管理者の強み・弱みを踏まえた科目別の立ち回りは、こう整理できます。
- 施工:現場経験がそのまま効く稼ぎ頭。ただし試験は机上知識を問うので、過去問で出題形式に慣れること
- 環境・設備:設備施工の経験があれば取り組みやすい。守りつつ少し稼げる科目
- 法規:実務で扱う部分もあるが、法令集を引くスキルは別物。早めに慣れて高得点源に
- 構造(一般構造):構法・材料は現場感で戦える
- 構造(構造力学):実務では使わない計算。ここが最大の守りどころ
- 計画:実務とほぼ無関係。基準点確保に徹する
注意したいのが、「施工は現場でやってるから楽勝」という油断です。試験で問われる施工は、自分が経験した工種だけではなく、改修・契約・各種工事まで幅広く、机上知識として覚え直す必要があります。現場経験者でも施工科目で取りこぼす人がいるのは、この机上知識とのギャップが原因です。
科目別の勉強時間の配分や、実務経験が効く科目の話はこちらで詳しく整理しています。

僕としては、施工管理者の学科は「施工と環境設備で貯金を作り、構造力学と計画で基準点を死守する」というイメージで組むと安定すると感じます。得意な施工に時間をかけすぎるより、苦手な構造力学にこそ時間を投じて足切りリスクを消すほうが、合格確率は上がります。自分の得意・不得意を科目単位で棚卸しして、守りの科目に厚く配分するのが施工管理者の勝ち筋です。
一級建築士の学科の勉強法と学科免除制度
一級建築士の学科の勉強法は、結論「過去問の徹底反復」が王道です。学科は7〜8割が過去問ベースで解けると言われ、過去問の完成度が合否に直結します。
効率的に進めるための基本ステップは次の通りです。
- 配点の高い法規・構造から着手し、暗記中心の計画・施工は後半に回す
- テキストはサラッと通し、早めに過去問演習へ移る
- 過去問は最低7年分、できれば10年分を9割正解できるまで反復する
- 間違えた問題はテキストに戻り、理解してから解き直す
- 直前期は環境・設備など短期で伸びる科目で総得点を底上げする
学習期間は、1,000〜1,500時間を約12ヶ月で確保するのが標準です。1年合格を狙うなら、試験の前年秋〜当年初めにはスタートしておきたいところです。学科の独学での進め方はこちらで詳しく解説しています。

知っておきたいのが学科免除制度です。学科に合格すると、その後の一定期間は学科が免除され、製図から受けられます。具体的には、学科合格年を含む所定の年数のうち複数回は学科免除で受験できる仕組みで、これを使えば「1年目に学科、2年目以降に製図専念」という戦略が取れます。製図試験の中身はこちらで解説しています。

実務だと、学科は「広く浅く全科目を基準点に乗せる」のが先で、得意科目を伸ばすのは後だと感じます。働きながらだと時間が限られるので、まず全科目を一周して穴を把握し、苦手科目から埋めていく。この順番が、足切りを避けつつ総得点も伸ばす現実的なやり方です。
一級建築士の学科に関するよくある質問
Q1:学科は何点取れば合格できますか?
各科目の基準点(計画11・環境設備11・法規16・構造16・施工13が目安)をすべてクリアし、かつ総得点の基準点(年度で変動、近年90点前後)を超える必要があります。総得点だけ高くても、1科目でも足切りにかかると不合格です。全科目で基準点+数点の余裕を目標にするのが安全です。
Q2:苦手な構造力学は捨ててもいいですか?
捨てるのは危険です。構造は配点30点と大きく、基準点も設定されているため、構造力学を放棄すると基準点割れで足切りになるリスクが高いです。計算は解法パターンを覚えれば対応できるので、捨てるのではなく「最低限のパターンを押さえて基準点を確保する」方針が現実的です。
Q3:施工管理の実務経験は学科で有利になりますか?
施工科目では有利です。設備施工の経験があれば環境・設備も取り組みやすくなります。ただし試験の施工は自分の経験工種だけでなく幅広く問われるため、現場経験者でも机上知識として覚え直す必要があります。構造力学と計画は実務とほぼ無関係なので、ここは経験に頼れません。
Q4:法規は法令集があれば解けますか?
持ち込めるとはいえ、法令集を持っているだけでは解けません。建築基準法は複雑で、どこに何が書いてあるかを把握していないと時間内に引けないからです。事前にインデックスやアンダーラインで引きやすく加工し、問題を解きながら構成を体で覚えることで、法規は高得点源になります。
Q5:学科に受かれば製図はすぐ受けられますか?
学科合格者は同年の製図試験に進めます。さらに、製図で不合格でも学科免除で再挑戦できる期間があるため、「1年目に学科を固め、2年目に製図へ専念する」という戦略も取れます。学科合格は数年有効なので、製図に時間を使える点は大きなメリットです。
一級建築士の学科に関する情報まとめ
- 学科とは:計画・環境設備・法規・構造・施工の5科目125問の四肢択一。各科目に足切りあり
- 配点:計画20・環境設備20・法規30・構造30・施工25の計125点。法規と構造で全体の約半分
- 合格基準点:科目基準点(計画11・環境設備11・法規16・構造16・施工13が目安)+総得点(年度変動、近年90点前後)
- 科目別:法規・環境設備は得点が安定、構造(特に力学)で差がつく、計画は深追いしない
- 施工管理の戦略:施工と環境設備で稼ぎ、構造力学と計画で基準点を死守する
- 勉強法:過去問7〜8割の反復、配点の高い法規・構造を優先、約1,000〜1,500時間を12ヶ月で
- 学科免除:学科合格後は一定期間製図から受けられる。1年目に学科、2年目に製図専念も可能
以上が一級建築士の学科に関する情報のまとめです。
一級建築士の学科は、配点と基準点を正確に押さえて「どこで稼ぎ、どこで守るか」を設計できるかどうかが勝負だと思います。施工管理者なら、得意な施工と環境設備で貯金を作り、苦手な構造力学と計画で基準点を死守する。足切りで落ちる人の多くは1科目に穴があるだけなので、苦手科目を最後まで捨てずに底上げしておくことが、合格を確実にします。受験資格やなるまでの流れと合わせて、自分の得点設計図を描いてみてください。



