- 総合図って何?
- どんな種類があるの?
- いつまでに作成すればいいの?
- 作成の手順って?
- 色分けってどんな感じ?
- 総合図作成の注意点って?
上記の様な疑問を解決します。
総合図は特に新築の現場にて重要視されます。建築の図面や設備の図面、それら全てを組み込んだのが総合図であり、総合図が決まらなければ施工図を制作することはできません。
この記事では総合図とは?といったところから、種類、作成時期、手順、注意点などについて解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事を執筆していきますので、初心者の方にも分かりやすい記事になっているかなと思います。
総合図とは
総合図とは、一言で言うと「全ての情報をまとめた図面のこと」です。
総合図に組み込まれる情報
- 建築図面
- 電気設備
- 空調設備
- 衛生設備
上記のような情報の全てをまとめます。
全ての情報を入れることにより、収まりの検討を行うことが可能です。
例えば、エアコンの図面と電灯の図面があったとします。エアコンの図面にはエアコンの情報しかありませんし、電灯の図面には電灯の情報しか入っていません。
もしかしたら、エアコンと電灯の位置が被っている可能性も考えられます。その場合はどちらかが動かさなければなりませんよね。
この様に全ての情報を組み込んだ総合図を制作することにより、各業者間のバッティングを防ぎます。また、このような検討を全ての階で行います。
総合図の種類
総合図の種類①壁・床総合図
建物の壁や床に付くものについて検討を行います。
具体例を挙げると「照明のスイッチ」や「コンセント」などが挙げられます。これは割と早く決まる印象です。
というのはある程度「こうやったら正解だよね」というのが決まっているからです。天井とは違いスペースも余っていますので、そこまで悩む部分ではありません。
総合図の種類②展開総合図
これは壁の総合図と言ってもいいかもしれません。
壁に付く機器に関して、具体的な位置や高さを記入します。
現場によっては展開総合図がないところもあります。「展開図さえあればそれで十分」という考え方だと思われます。
総合図の種類③天井総合図
一番ボリュームが重くて重要なのが、天井の総合図です。
天井総合図では、天井に取り付ける機器の位置や配管の収まりなどについて検討を行います。機器のほとんどは天井につきますから、ここが一番重くて重要となります。
消防法に乗っ取った施工の一例
- 火災報知機は壁から600mm離さなければならない
- 電灯はなるべく目地に合わせる
- 空調の吸込と排気は〇〇mm以上離す
といった条件を元にプロット図を決めていきます。
消防設備に関しては消防法があり、それを守った施工が必要です。また、空調設備にも機器が正常に働く条件があり、かつ、意匠性も気にしなければならない。といったことから、中々決めるのが大変だったりします。
総合図作成の時期
総合図作成の時期ですが、遅くてもその階の躯体工事が始まる前には、その階の総合図が完成しておかなければなりません。
設備工事(サブコン)では打ち込みの対応があります。コンクリートが打たれる前に対応をしなければならない訳です。位置が決まってないのに、打ち込みなんてできないですよね。
打ち込みが終わってから「やっぱここの位置変えて。」みたいな要望は叶いません。
だって、もう終わりましたから。
このようなことがないよう、なるべく早く総合図は完成させた方が良いです。早く決まって悪いことは一つもありません。
つまり、総合図の作成が遅れれば施工図も遅れます。施工図が遅れれば、施工が遅れます。これが積み重なることによって、竣工間際の残業時間がえげつないことになるんです。
とはいえ、設計さんも自分で責任を負いたくないのか、中々決めてくれない設計者もいたりします。
総合図の作成手順
総合図の作成手順
- ゼネコンが建築図を作成し、サブコンに送る
- 各サブコンが建築図に全ての機器をプロットする
- サブコン同士が機器の位置の取り合いを行う
- サブコン内で解決する問題は解決する(なお確認は必要)
- サブコン内で解決しない場合は定例会議にて設計者と打合せを行う
ゼネコンの設計図がスタートですから、ここが始まらなければ全てが遅れます。そこからサブコンが取り合って、定例会議にて最終検討といった形です。
総合図における各設備の色分け
総合図における各設備の色分け
- 建築:白(黒)
- 電気:赤
- 空調:緑
- 衛生:青
総合図における各設備の色分けは上記となります。ちなみに僕のいた現場は空調と衛生が同じ業者だったので、空調設備も衛生設備も「青」で統一されていました。
総合図作成の際の注意点
総合図作成の際の注意点
- 消防法や建築基準法など、法令に乗っ取った離隔や配置を行う
- 全ての決定事項を設計者に確認する
- 分からないことも設計者に確認する
- 電気室やEPS等は重点的に収まりを優先して検討する
- 凡例表を必ず記載する
- 早く作成する
上記が総合図作成の際の注意点となります。
総合図は全ての施工図の元になりますから、超重要です。だからこそキチンと検討しなければならないのですが、総合図が決まらないことには施工図は書けません。早く決める必要があります。
総合図に関する情報まとめ
総合図に関する情報まとめ
- 総合図とは:全ての情報を記載した図面
- 総合図の種類:壁床総合図、展開総合図、天井総合図
- 総合図作成の時期:その階の施工が始まる前(遅くとも)
- 総合図作成の流れ:ゼネコン→サブコン検討→定例にて全員で検討
- 総合図の色分け:建築は白(黒)、電気は赤、空調は緑、衛生は青
- 総合図作成の注意点:法令に乗っ取り、意匠も考え、早く決めること
上記が総合図に関する情報のまとめとなります。
大型現場になればなるほど、建物に組み込まれる設備の種類が多ければ多いほど、意匠にこだわればこだわるほど総合図の作成は大変になります。
とはいえ、避けられないポイントなので気合いを入れて優先的に終わらせましょう。
似たような図面関係の知識でいくと、施工図があります。総合図は施工図を作るためのものであり、施工図も非常に重要な情報です。
下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。