施工図とは?設計図との違い、作成のタイミング、注意点など

  • 施工図と設計図ってどう違うの?
  • いつ施工図を書けばいいの?
  • 施工図を作成するときの注意点って?
  • どうやれば効率的に施工図を書けるの?

上記の様な悩みを解決します。

現場で働く人が避けては通れないのが施工図です。

施工図は職人さんが実際に施工する際に使用する図面でして、ある意味最終決定の図面ですから、数ある図面の中でも重要な存在であると言えます。

この記事では施工図とは?といったところから、設計図との違い、作成のタイミング、作成の注意点、作成のコツなどについて解説していきます。

なるべく専門用語は使わずに分かりやすい表現で記事を執筆していくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

施工図とは?(設計図との違い)

施工図とは、結論「施工の最終決定内容を記した図面のこと」です。

まず設計図との違いの部分について見てみましょう。

設計図は「ざっくりこんな感じで施工するよ!」といった風な図面です。設計者の意図を表現したものなので、施工の詳細部分までは決まっていません。抽象度が高く、解像度は低いです。

抽象度が高い図面ということは、細かい部分までは決まっていません。

例えば、照明器具は「だいたいこの位置」と示しているのが設計図な訳ですが、現場の職人さんは「だいたいこの位置」と言われても困ります。「壁から何mmの部分に照明器具を施工するのか?」といった詳細な情報が無ければ施工のしようがありません。

「壁から何mmの部分に照明器具を施工するのか?」といった詳細な情報まで記載するのが、施工図という訳です。

抽象度の高い設計図を、抽象度低く落とし込んだ図面が施工図です。

つまり施工図を作成するには、抽象度を下げる為、細かい収まりを検討する必要があります。具体的には下記の様な項目を考慮して解像度を下げます。

施工図作成の際に検討するべき項目

  • 安全性
  • 経済性
  • 機能性
  • 使い勝手
  • 収まり
  • 意匠性
  • 等々…

ちなみに施工図を作成するのは、施工管理の人達です。

施工図作成後、お客様や設計事務所との打合せを行い、改善を行う必要があれば改善をします。彼らに承認をもらったら、その施工図で現場の施工が始まります。

施工図は作業員に対する指示書でもあります。現場で働いている作業員は設計図ではなく、施工図に乗っ取って施工を行うことになります。

 

施工図作成のタイミング

施工図を施工する直前に作成するのはNGです。

施工図は作成しただけでは意味がなく、意思決定権者(設計やお客様)に承認をもらってからでなければ施工することはできません。

意思決定権者の方々もおかしな施工図になっていないかチェックする必要があります。設計がチェックするのには時間がかかりますし、チェックする人は複数います。作成してから承認を得るまで時間がかかります。

よって、施工図作成のタイミングとしては「なるべく早く」と言えるでしょう。

とはいえ、他の仕事が忙しい場合もありますし、新築工事の場合は総合図が決まってなければ施工図を作成しようがないということもあります。

様々な要因があり、施工図の作成に遅れが生じてしまうのはある程度仕方の無いことかもしれませんが、施工図が無ければ施工はできません。

なるべく事前の準備を怠らず、施工までには必ず間に合う様作成しましょう。

 

施工図作成の注意点

施工図作成の注意点①設計の意図を汲み取る

施工図を作成していく上で欠かせないのは、設計意図を汲み取ることです。

設計意図を汲み取ることができれば、設計の人も納得しやすいので承認まで早いです。

逆に設計意図を汲み取ることが出来ない人は、何度も設計に直しを貰ってしまい無駄な仕事量が増えます。設計としても工数はかかりますから、お互い損です。

  • 電灯設備はどことどこで割っているのか?
  • ここのコンセントは何の負荷を想定してつけているのか?
  • 火災報知機は何故この位置なのか?

等々、意図を把握していれば会議で物事がすぐに決まっていきます。

もし意思決定が遅れれば、そのしわ寄せを食らうのは現場の人間です。

現場の人間は自分達が苦労しない為にも設計者の意図を汲み取って施工図を作成しましょう。

 

施工図作成の注意点②より分かりやすく、より見やすく

とにかく「分かりやすさ」と「見やすさ」が施工図作成においては重要です。

どんなにいいことを書いてあっても、伝わらなければ何の意味もありません。

その施工図を手渡された職人さんが「こうやればいいのか!」と、すぐに分かるようにしましょう。自分が見て「分かりにくいな」と思った図面は、職人さんが見てもやっぱり分かりにくいです。

もし、分かりにくい施工図を書いてしまった場合、職人さんはどうするか想像してみてください。

おそらく監督社員に電話して、分からない部分を聞こうとします。

すると今している仕事を中断して電話の対応をしなければなりません。もしかしたら、現場まで言って説明しなければならないかもしれません。時間の無駄です。

分かりやすい施工図を一発で書ければ、無駄な仕事時間は減ります。

具体的には下記のような項目に注意すれば、分かりやすい図面を書くことが出来ます。

  • 必要があれば部分詳細図の作成
  • 電気の図面だったら、電気以外は薄い色にしておく
  • 分かりにくい部分にはコメントを入れる

 

施工図作成の注意点③網羅性のある施工図を書く

書いた施工図に情報の漏れがないか?を確認することも、施工図を作成する上で重要です。

施工に必要な情報が足りなかったら、職人さんは施工できませんよね。今度は施工図を書き直して、印刷して、職人さんに渡さなければなりません。大きな時間のロスです。

しかし、ここで難しいのは「全ての情報を網羅しようとすると、ごちゃついて見えにくくなる」といった点です。

図面に書き込むスペースが少ない時に全てを記入すると、見にくくなります。しかし、見やすくするために情報を省くと、網羅性がなくなる。といったジレンマがあります。

あまりにごちゃついてしまうなら施工図を複数枚にするなり、手書きで情報を記入するといった手段もあります。その辺は上手くやるしかありません。。。

キープランの記載も忘れないようにしましょう。

 

施工図作成の注意点④寸法に気をつける

施工図を作成する際は、寸法に気をつけましょう。

例えば、インサートの位置を通り芯から1500mm離れた場所にしたとしましょう。現場に行く、通り芯の場所が分からない。返り墨の位置も分かりにくい。となると職人は嫌な気持ちになります。

「こんな分かりにくい施工図書くな!」と怒鳴られてしまいます。

しっかり現場へ行って、どこから寸法を追った方が良いのかを確認しましょう。

また職人さんに直接聞いてしまうのもいいアイデアだと思います。喫煙所なんかで暇している職人さんに「どっから寸法とった方がいいですかね?」と聞いてみましょう。

職人さんも分かりやすい施工図を書いて欲しいので「型枠のつらから追ってよ」とか、アドバイスをもらえることが多いです。実際に現場で働いている人のアドバイスなので、信頼性は高くなります。

 

施工図作成の注意点⑤なるべく1枚で完結させる

これは諸説ありますが、僕は上司に「施工図は一枚完結だ。」と習いました。

その一枚を見れば施工の全てが分かるように図面を作成しろ!との教えです。

「足りない情報は別紙で」といった感じでは、現場での利便性に欠けます。

図面の枚数も増えるので「あれ、この図面なんだっけ?」となる可能性もあります。工事の後半になると、図面の枚数も増えてくるので、ごちゃつかない努力が必要です。

自分の中では整理できていたとしても、職人さんが分からなかったら意味がありません。

工数の面を考えても、施工図をなるべく一枚完結させるのは合理的かなと思います。

 

施工図を効率的に作成するには?

施工図を効率的に作成するコツは「CADの理解」です。

みなさんなんとなく使っているCADですが、効率的に図面を作成するコマンドが隠れています。それを知っていれば知っているだけ、効率的に施工図を作成できます。

忙しいと知らないコマンドを勉強するよりも、非効率的なやり方で図面を作成してしまうことも多いです。確かにその一瞬で考えたらそこまで大きな問題は無いかもしれませんが、今後、何枚何十枚と施工図を書いていくことを考えると、もったいないです。

僕の現場にはCADにめちゃくちゃ詳しい人がいたのですが、普通の人が2週間かかる仕事を一晩で終わらせていました。その人はコマンドを勉強しまくり、画面もカスタマイズしまくってます。

CADの勉強を怠らなければ、効率的に図面を作成することができます。

常に「こんなコマンドはないかな?」と考え、CADに対する理解を深めていくことが大切です。

 

施工図に関する情報まとめ

施工図に関する情報まとめ

  • 施工図とは:施工の最終決定内容を記した図面のこと
  • 施工図作成のタイミング:なるべく早く
  • 施工図作成の注意点:分かりやすく、見やすく、漏れなく書くこと
  • 施工図を効率的に作成するには:CADの勉強

以上が施工図に関する情報のまとめです。

一通り基礎知識は網羅できたと思います。

建築には施工図や設計図以外にも様々な図面があります。竣工図や躯体図、意匠図など、どれも施工には必要な知識ですので、合わせて抑えておきましょう。

下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。

それでは!